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「エヴリシング・フロウズ」津村記久子

2014年11月04日 21時40分30秒 | 読書(小説/日本)

エヴリシング・フロウズ 
「エヴリシング・フロウズ」津村記久子

面白かった。
予想以上に楽しめた。
中学3年のヒロシが主人公。(母子家庭)
周囲の人間関係・・・同級生、先生、大人たちも丁寧に描かれている。
日々の生活、将来への不安、受験への鬱屈。
何者にもなっていないけど、夢も失っていない年齢。
読んでいてリアルな感覚。
両親の離婚、いじめ、虐待・・・様々な問題が提起されている。

津村記久子さんと言えば、「ポトスライムの舟」が有名。
これで、第140回芥川賞を受賞された。
本作品を読むと、芥川賞というより、直木賞でもおかしくない。
また、普通に大人向けの小説としても面白いし、児童文学としても読める。
いろんな意味で、境界線上の作品と思う。
それにしても、このような作品を書かれるとは思わなかった。
嬉しい驚きだ。
「八月の青い蝶」(周防柳)とともに、今年度トップクラスの面白さであった。

PS
クラスメートのヤザワ君がひょうひょうとしていい味を出している。
中学生トップの自転車アスリート、って設定が良い。
女子生徒たちも個性が充実している。
絵のうまい増田。
ソフトボール部の野末と大土居。
他校の女子校に通っているフルノ。
会話が関西弁で進行するのも、ポイントが高い。

【ネット上の紹介】
クラス替えは、新しい人間関係の始まり。絵の好きな中学3年生のヒロシは、背が高くいつも一人でいる矢澤、ソフトボール部の野末と大土居の女子2人組、決して顔を上げないが抜群に絵のうまい増田らと、少しずつ仲良くなっていく。母親に反発し、学校と塾を往復する毎日にうんざりしながら、将来の夢もおぼろげなままに迫りくる受験。そして、ある時ついに事件が…。大阪を舞台に、人生の入り口に立った少年少女のたゆたい、揺れる心を、繊細な筆致で描いた青春群像小説。

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