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「新史太閤記」(上・下)司馬遼太郎

2019年06月15日 20時09分47秒 | 読書(歴史/時代)
「新史太閤記」(上・下)司馬遼太郎

P8
「猿」
 とよんでやるのはいくら子供でも酷すぎると思い、高野聖たちはひよし、とよんだ。猿は、叡山の守護神日吉(ひえ)明神の使いものである。ひよしは猿の宗教的美称といっていいい。

P10
三河には、徳川家康とその家臣団の気風で代表されるような、
「三河気質」
 というものがある。極端な農民型で、農民の美質と欠点をもっている。律儀で篤実で義理にあつく、侍奉をすれば戦場では労をおしまず命をおしまず働く。着実ではあるが逆にいえば、投機がきらいで開放的でなく冒険心にとぼしい。印象として陽気さがない。家康とその三河衆は、こういう農民的特質をみごとなほどもっている。
(中略)
 が、隣国の尾張はまるでちがう。
 地形がちがうのである。
(中略)
当然、土地にしがみつく保守的な生き方よりも、外に出て利をかせぐ進取的、ときに投機的な生きかたをとらざるをえない。

羽柴という姓について
P317
なんと芸のない姓のつけ方であろう。織田家の重臣である柴田勝家と丹羽長秀の二姓一字ずつをとっただけのことではないか。

P291
城というより、山塞であろう。眼前に、浅井、朝倉軍が籠城している小谷城(標高400メートル)がそびえている。その小谷城に対し、姉川河原をはさんで南に盛りあがっているのが、猿の横山城である。標高312メートル。

P313
藤吉郎はそのころには、横山城を守りつつも前線陣地をさらに進め、虎御前山(とらごぜやま)で包囲軍の指揮をとっていた。

【感想】
秀吉一代記が上下2巻にまとめられている。
様々なエピソードがあるが、2巻では収まりきれない。
かなり割愛されているが、その分、スピーディな展開が楽しめる。
晩年は、性格が変わったような陰惨なエピソードが多いが、カットされて辞世の句になって終了・・・これには意見が分かれるでしょうね。
淀殿も登場しない。
落城のシーンにも浅井三姉妹が出てこない。
合戦と謀略を中心に展開する。
PS
秀吉がなぜ文字が書けて算術が出来るのか説明がない。
普通の百姓に出来ることではない、と思うのだけど。
寺に預けられていたときに学んだ、と言うことなのか?

【追加】
このあと「関ヶ原」「城塞」と続く。
(「新史太閤記」の前は「国盗り物語」・・・こちらは読了済み)
引き続き読もうと思う。
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