早朝、トイレに入っていたら何か落ちてきた。
くりっとした瞳でこちらを見てくるはヤモリ氏。
数日前からトイレに立て込もっていると噂の、ヤモリ氏である。
逃がしてやりたい。
さすがにトイレで人生を終えるのは悲し過ぎるであろう。
私もそれほど無慈悲ではない。
捕まえて逃がしてやろうとするが、ズボンを下げたこの状態。なんて残念なのだ。
ヤモリ氏が驚かないようにズボンを上げ、流し、捕獲体勢に入る。
緊張の瞬間。
無事捕獲!
しっぽは…独立。
人命優先と判断した私は活発なしっぽを個室に残し
父上に玄関を開けてもらい、無事にしゃばへ返したのだった。
別れは辛いものである。
私の腕にすがりつくその姿は切なすぎて直視できず
自然と木々に紛れて行くことを期待した。
しかし、一時で生まれた信頼は厚く、袖から入ってこようとする始末。
愛されているなと感じた瞬間であった。
そして、本当に最後の別れ。
人は出会い、別れる。
人とヤモリもまた同様。この出会いをむげにはしない。
そう心に誓ってノブを握り、優しく扉を閉めたのであった。
くりっとした瞳でこちらを見てくるはヤモリ氏。
数日前からトイレに立て込もっていると噂の、ヤモリ氏である。
逃がしてやりたい。
さすがにトイレで人生を終えるのは悲し過ぎるであろう。
私もそれほど無慈悲ではない。
捕まえて逃がしてやろうとするが、ズボンを下げたこの状態。なんて残念なのだ。
ヤモリ氏が驚かないようにズボンを上げ、流し、捕獲体勢に入る。
緊張の瞬間。
無事捕獲!
しっぽは…独立。
人命優先と判断した私は活発なしっぽを個室に残し
父上に玄関を開けてもらい、無事にしゃばへ返したのだった。
別れは辛いものである。
私の腕にすがりつくその姿は切なすぎて直視できず
自然と木々に紛れて行くことを期待した。
しかし、一時で生まれた信頼は厚く、袖から入ってこようとする始末。
愛されているなと感じた瞬間であった。
そして、本当に最後の別れ。
人は出会い、別れる。
人とヤモリもまた同様。この出会いをむげにはしない。
そう心に誓ってノブを握り、優しく扉を閉めたのであった。