ヒッキーはつむじ風!!

ヒッキーが観て気に入った映画を、ブログで紹介します。

「ゼロの焦点」

2009-11-22 02:09:47 | Weblog
                              「ゼロの焦点」

原作 松本清張「ゼロの焦点」
監督 犬童一心
脚本 犬童一心・中園健司

広末涼子・中谷美紀・木村多江、アカデミー賞女優三人が共演するミステリー大作であります!

この作品は、本を映画化した場合に避けられない事でありますが、原作を読んだことがある人と、そうでない人で、かなり感想が違ってくると思いますな・・。

ネタバレあります!!あえてストーリーの核心に触れた部分がありますのでご注意ください!

私は原作をかなり以前に読んだことがありました。
なので、ゼロの焦点映画化の話を聞いた時に、「終盤からラストをどうやって脚色もしくは変えてくるのだろう」「あの北陸の雰囲気をはたしてうまく出せるだろうか」と、非常に楽しみに、かつ一抹の不安を抱いていました・・。

主人公、板根禎子役を広末涼子さんが演じると聞いて、多少の違和感はつきものですから、「頑張って欲しいな」と期待半分、不安半分・・。

いざ、上映開始。不安的中(笑)

やはり、広末涼子さんにはこの役は荷が重すぎましたかな・・。
彼女は声が高い。それに童顔です。
現代劇には向いているのかもしれませんが、昭和30年代を舞台にしたこのような重厚なミステリーには、正直いってちょっとキビシイかなぁ・・。まぁ、少なくとも、私が思い描いていた“板根禎子”像とは異なっていましたな・・。

物語りの舞台は昭和30年代・・。板根禎子(広末涼子)はお見合いで出会った10歳年上の鵜原憲一(西島秀俊)と結婚した・・。
憲一はある広告代理店の金沢出張所に勤務しているが、この結婚を機に、東京本社へ異動になる予定だった。
しかし、結婚して間もなく、金沢へ残務整理に行ったまま、憲一の行方が判らなくなった・・。
禎子は単身、初冬の北陸、金沢へ向かった・・。

異郷の地、金沢で憲一を探す禎子を待ち受けていたのは、謎の連続殺人事件だった・・。
憲一の兄・宗太郎(杉本哲太)と、憲一の後任である本多良雄(野間口徹)が殺されたのだ。
宗太郎は毒殺、本多は刺殺であった。

殺害現場で目撃された“赤いコートの女”。スラング混じりの英語を話す受付の女・・。“曾根益三郎”という男の遺書・・。
ウイスキーに混ぜられた“毒薬”・・。煉瓦会社の社長・・。その妻・・。
陰鬱とした北陸を舞台に起きた連続殺人の真犯人は?その真相は・・・?


とまぁ、こんな感じなのですが・・。

観終わって、まず、脚本が弱いっす!演出力にも疑問が残りました・・。
この原作が書かれたのは昭和33年ですから、当時としては凄いミステリーで、この小説が口火となって、現在まで至る「ミステリー小説」の流れが出来上がったほどでしょう。
しかし、この映画を観るのは、平成21年の人々なのです。

当然、原作通りでは通用しませんし、この映画のような中途半端なストーリーの改変では・・。お客さんはテレビの「○○サスペンス劇場」や、劇場で公開されるミステリー物などをいつでも観れるし、実際に観ている方も多いでしょう。

そういう観客を唸らせるには、あのストーリー展開(特に後半部分)では弱いですよ。
いまどき、わざわざ真っ赤なコート着て、包丁で一刺しもないでしょう。
さらに、刺し殺したのなら、死体はそのままにしないでしょう。どこかへ隠すとかするでしょう。
リアリティが無いんですね・・。

さらに、犯人はわざと赤いコートを○○に着せて、車を止め、殺そうとしますが、
そんな計画的で用意周到な殺人犯が、○○の涙のセリフを聞いて急にうろたえるでしょうか??何か不自然なんですな・・。

さらに、ラスト近くで、禎子に平手打ちされた佐知子は、車に乗って走り去って、その後が全く描かれていません。どこ行っちゃったの?どうなっちゃったの・・?

という間に映画は終わってしまいます・・。消化不良・・(T_T)/~~。

それぞれの俳優さんは素晴らしい演技だったと思いますよ。

特に中谷美紀は圧巻でした!彼女のお陰でこの作品が瓦解せずにあるという感じでしたね。

音楽もとても良かったですね。
こういう、良作になり得る要素があっただけに、残念だったです。

戦争で全てを失い、唯一残った弟のために、生きるために、アメリカ兵相手の娼婦になった・・。
その苦渋に満ちた過去を断ち切るために・・・。
という部分を、もっと丁寧に描いてほしかった・・。

「砂の器」の真似をしろという訳ではありませんが、焼け野原で防空頭巾を被った
佐知子が、弟に「今日からあたしがお父さん。・・で、今日からあたしがお母さん」というシーンから立川での暮らしのシーンを、何十倍にも膨らませてほしかったっすね(その方が殺人の動機づけともなる)。

まぁしかし、人は好きずき、○井は月々と申しまして、
一緒に観た連れは「非常に楽しめた!」と申しておりました・・。

というわけで、

ひきばっち的満足度★★☆


11月23日加筆、訂正。