ヒッキーはつむじ風!!

ヒッキーが観て気に入った映画を、ブログで紹介します。

「沈まぬ太陽」

2009-11-14 13:38:44 | Weblog
                              「沈まぬ太陽」

新宿ピカデリーにて。
途中に休憩が入る長編と聞いていたので、なかなか観る勇気(?)がなかったが、丁度新宿での用事が早く終わったので、映画館へ飛び込んだ。

3時間20分・・あっという間だった。
途中に休憩が入ってリセット出来たせいもあるが、ぎゅぎゅっと凝縮されたストーリーに終始引き付けられた。

私はあまり本を読まない(自慢にもなりませんねm(__)m)ので、この映画の同名の原作(山崎豊子著)も読んだことはないのだが、
観終わって、よくこれほどまでの映画化が出来たものだと、驚きました!
是非、原作も読んでみたいと思いましたよ。

ストーリーは色々な所で語られているので、大まかにしか書きませんが、
舞台となる「企業」は日本の国際線の筆頭である「国民航空」。
1960年代に劣悪な労働状況を変革しようとした労働組合の組合長・恩地元(渡辺謙)は、差別人事に遭い、カラチ(パキスタン)、テヘラン(イラン)、ナイロビ(ケニア)と9年間に渡る海外勤務を過ごすことになる・・。

その間に、かつては副組合長として共に闘った行天(三浦友和)は会社側に傾き、出世の道を歩んでいた・・。
やっとの思いで日本に戻って来た恩地であったが、かつて労組で共に闘った連中は、みな酷い差別人事に遭っていた・・。
そんな時、あの事故が起きた。
羽田発大阪行き国民航空ジャンボ・ジェット123便が群馬県御巣鷹山に墜落したのである・・。


この映画は、冒頭間もなく123便の墜落事故に時系列が移る。
そして恩地が海外で勤める9年間の間にも、この事故に関する場面がインサートされるのである。

この編集方法によって、ストーリーの向かう先に待ち受けている厳然たる事実を、観る者に常に意識させるのである。

この作品は、恩地元という一人の男が、どんな苦境に立たされても、屈することなく自らが属する“企業”と闘い、第一義を貫かんとするその生き様をメイン・テーマにしていることは明らかであろう。

しかし、恩地の生き様だけであれば、「国民航空」という企業でなくてもよかったはずである。
この映画には、後に遺族係として御遺族と直接関わる恩地の姿と、もしかしたら防げたかもしれない「事故」の背景を描く事が、本当のテーマとしてあったのであろう。
そうでなければ、「御巣鷹山」という地名を使った意味が無いと、私は思います。

この映画の製作に携わった全ての方々に敬意を表します・・。

原作 山崎豊子「沈まぬ太陽」

監督 若松節朗

脚本 西岡琢也

出演 渡辺 謙 三浦友和 石坂浩二 松雪泰子 鈴木京香 草笛光子 松下奈緒
   香川照之 加藤 剛 小林稔侍 宇津井健 木村多江 清水美沙 鶴田真由
   神山 繁 西村雅彦 大杉 漣 山田辰夫 柴 俊夫 小野武彦 菅田 俊
   他

ひきばっち的満足度★★★★☆