「ゼロの焦点」
原作 松本清張「ゼロの焦点」
監督 犬童一心
脚本 犬童一心・中園健司
広末涼子・中谷美紀・木村多江、アカデミー賞女優三人が共演するミステリー大作であります!
この作品は、本を映画化した場合に避けられない事でありますが、原作を読んだことがある人と、そうでない人で、かなり感想が違ってくると思いますな・・。
ネタバレあります!!あえてストーリーの核心に触れた部分がありますのでご注意ください!
私は原作をかなり以前に読んだことがありました。
なので、ゼロの焦点映画化の話を聞いた時に、「終盤からラストをどうやって脚色もしくは変えてくるのだろう」「あの北陸の雰囲気をはたしてうまく出せるだろうか」と、非常に楽しみに、かつ一抹の不安を抱いていました・・。
主人公、板根禎子役を広末涼子さんが演じると聞いて、多少の違和感はつきものですから、「頑張って欲しいな」と期待半分、不安半分・・。
いざ、上映開始。不安的中(笑)
やはり、広末涼子さんにはこの役は荷が重すぎましたかな・・。
彼女は声が高い。それに童顔です。
現代劇には向いているのかもしれませんが、昭和30年代を舞台にしたこのような重厚なミステリーには、正直いってちょっとキビシイかなぁ・・。まぁ、少なくとも、私が思い描いていた“板根禎子”像とは異なっていましたな・・。
物語りの舞台は昭和30年代・・。板根禎子(広末涼子)はお見合いで出会った10歳年上の鵜原憲一(西島秀俊)と結婚した・・。
憲一はある広告代理店の金沢出張所に勤務しているが、この結婚を機に、東京本社へ異動になる予定だった。
しかし、結婚して間もなく、金沢へ残務整理に行ったまま、憲一の行方が判らなくなった・・。
禎子は単身、初冬の北陸、金沢へ向かった・・。
異郷の地、金沢で憲一を探す禎子を待ち受けていたのは、謎の連続殺人事件だった・・。
憲一の兄・宗太郎(杉本哲太)と、憲一の後任である本多良雄(野間口徹)が殺されたのだ。
宗太郎は毒殺、本多は刺殺であった。
殺害現場で目撃された“赤いコートの女”。スラング混じりの英語を話す受付の女・・。“曾根益三郎”という男の遺書・・。
ウイスキーに混ぜられた“毒薬”・・。煉瓦会社の社長・・。その妻・・。
陰鬱とした北陸を舞台に起きた連続殺人の真犯人は?その真相は・・・?
とまぁ、こんな感じなのですが・・。
観終わって、まず、脚本が弱いっす!演出力にも疑問が残りました・・。
この原作が書かれたのは昭和33年ですから、当時としては凄いミステリーで、この小説が口火となって、現在まで至る「ミステリー小説」の流れが出来上がったほどでしょう。
しかし、この映画を観るのは、平成21年の人々なのです。
当然、原作通りでは通用しませんし、この映画のような中途半端なストーリーの改変では・・。お客さんはテレビの「○○サスペンス劇場」や、劇場で公開されるミステリー物などをいつでも観れるし、実際に観ている方も多いでしょう。
そういう観客を唸らせるには、あのストーリー展開(特に後半部分)では弱いですよ。
いまどき、わざわざ真っ赤なコート着て、包丁で一刺しもないでしょう。
さらに、刺し殺したのなら、死体はそのままにしないでしょう。どこかへ隠すとかするでしょう。
リアリティが無いんですね・・。
さらに、犯人はわざと赤いコートを○○に着せて、車を止め、殺そうとしますが、
そんな計画的で用意周到な殺人犯が、○○の涙のセリフを聞いて急にうろたえるでしょうか??何か不自然なんですな・・。
さらに、ラスト近くで、禎子に平手打ちされた佐知子は、車に乗って走り去って、その後が全く描かれていません。どこ行っちゃったの?どうなっちゃったの・・?
という間に映画は終わってしまいます・・。消化不良・・(T_T)/~~。
それぞれの俳優さんは素晴らしい演技だったと思いますよ。
特に中谷美紀は圧巻でした!彼女のお陰でこの作品が瓦解せずにあるという感じでしたね。
音楽もとても良かったですね。
こういう、良作になり得る要素があっただけに、残念だったです。
戦争で全てを失い、唯一残った弟のために、生きるために、アメリカ兵相手の娼婦になった・・。
その苦渋に満ちた過去を断ち切るために・・・。
という部分を、もっと丁寧に描いてほしかった・・。
「砂の器」の真似をしろという訳ではありませんが、焼け野原で防空頭巾を被った
佐知子が、弟に「今日からあたしがお父さん。・・で、今日からあたしがお母さん」というシーンから立川での暮らしのシーンを、何十倍にも膨らませてほしかったっすね(その方が殺人の動機づけともなる)。
まぁしかし、人は好きずき、○井は月々と申しまして、
一緒に観た連れは「非常に楽しめた!」と申しておりました・・。
というわけで、
ひきばっち的満足度★★☆
11月23日加筆、訂正。
原作 松本清張「ゼロの焦点」
監督 犬童一心
脚本 犬童一心・中園健司
広末涼子・中谷美紀・木村多江、アカデミー賞女優三人が共演するミステリー大作であります!
この作品は、本を映画化した場合に避けられない事でありますが、原作を読んだことがある人と、そうでない人で、かなり感想が違ってくると思いますな・・。
ネタバレあります!!あえてストーリーの核心に触れた部分がありますのでご注意ください!
私は原作をかなり以前に読んだことがありました。
なので、ゼロの焦点映画化の話を聞いた時に、「終盤からラストをどうやって脚色もしくは変えてくるのだろう」「あの北陸の雰囲気をはたしてうまく出せるだろうか」と、非常に楽しみに、かつ一抹の不安を抱いていました・・。
主人公、板根禎子役を広末涼子さんが演じると聞いて、多少の違和感はつきものですから、「頑張って欲しいな」と期待半分、不安半分・・。
いざ、上映開始。不安的中(笑)
やはり、広末涼子さんにはこの役は荷が重すぎましたかな・・。
彼女は声が高い。それに童顔です。
現代劇には向いているのかもしれませんが、昭和30年代を舞台にしたこのような重厚なミステリーには、正直いってちょっとキビシイかなぁ・・。まぁ、少なくとも、私が思い描いていた“板根禎子”像とは異なっていましたな・・。
物語りの舞台は昭和30年代・・。板根禎子(広末涼子)はお見合いで出会った10歳年上の鵜原憲一(西島秀俊)と結婚した・・。
憲一はある広告代理店の金沢出張所に勤務しているが、この結婚を機に、東京本社へ異動になる予定だった。
しかし、結婚して間もなく、金沢へ残務整理に行ったまま、憲一の行方が判らなくなった・・。
禎子は単身、初冬の北陸、金沢へ向かった・・。
異郷の地、金沢で憲一を探す禎子を待ち受けていたのは、謎の連続殺人事件だった・・。
憲一の兄・宗太郎(杉本哲太)と、憲一の後任である本多良雄(野間口徹)が殺されたのだ。
宗太郎は毒殺、本多は刺殺であった。
殺害現場で目撃された“赤いコートの女”。スラング混じりの英語を話す受付の女・・。“曾根益三郎”という男の遺書・・。
ウイスキーに混ぜられた“毒薬”・・。煉瓦会社の社長・・。その妻・・。
陰鬱とした北陸を舞台に起きた連続殺人の真犯人は?その真相は・・・?
とまぁ、こんな感じなのですが・・。
観終わって、まず、脚本が弱いっす!演出力にも疑問が残りました・・。
この原作が書かれたのは昭和33年ですから、当時としては凄いミステリーで、この小説が口火となって、現在まで至る「ミステリー小説」の流れが出来上がったほどでしょう。
しかし、この映画を観るのは、平成21年の人々なのです。
当然、原作通りでは通用しませんし、この映画のような中途半端なストーリーの改変では・・。お客さんはテレビの「○○サスペンス劇場」や、劇場で公開されるミステリー物などをいつでも観れるし、実際に観ている方も多いでしょう。
そういう観客を唸らせるには、あのストーリー展開(特に後半部分)では弱いですよ。
いまどき、わざわざ真っ赤なコート着て、包丁で一刺しもないでしょう。
さらに、刺し殺したのなら、死体はそのままにしないでしょう。どこかへ隠すとかするでしょう。
リアリティが無いんですね・・。
さらに、犯人はわざと赤いコートを○○に着せて、車を止め、殺そうとしますが、
そんな計画的で用意周到な殺人犯が、○○の涙のセリフを聞いて急にうろたえるでしょうか??何か不自然なんですな・・。
さらに、ラスト近くで、禎子に平手打ちされた佐知子は、車に乗って走り去って、その後が全く描かれていません。どこ行っちゃったの?どうなっちゃったの・・?
という間に映画は終わってしまいます・・。消化不良・・(T_T)/~~。
それぞれの俳優さんは素晴らしい演技だったと思いますよ。
特に中谷美紀は圧巻でした!彼女のお陰でこの作品が瓦解せずにあるという感じでしたね。
音楽もとても良かったですね。
こういう、良作になり得る要素があっただけに、残念だったです。
戦争で全てを失い、唯一残った弟のために、生きるために、アメリカ兵相手の娼婦になった・・。
その苦渋に満ちた過去を断ち切るために・・・。
という部分を、もっと丁寧に描いてほしかった・・。
「砂の器」の真似をしろという訳ではありませんが、焼け野原で防空頭巾を被った
佐知子が、弟に「今日からあたしがお父さん。・・で、今日からあたしがお母さん」というシーンから立川での暮らしのシーンを、何十倍にも膨らませてほしかったっすね(その方が殺人の動機づけともなる)。
まぁしかし、人は好きずき、○井は月々と申しまして、
一緒に観た連れは「非常に楽しめた!」と申しておりました・・。
というわけで、
ひきばっち的満足度★★☆
11月23日加筆、訂正。
ま、中谷さんと対峙しちゃうと辛いものがあるのは事実なんですが。
ていうか、見終わって時間がたった今思うのは、一応主演は広末さんなんで、中谷さんも少しは主演を立てる芝居をしても良かったんじゃないかななんて思ったりもしてます。何だか全力で叩き潰しに行ってる勢いなんですもん。(苦笑)
トラックバック&コメントありがとうございました。(*^-^*
この作品の三人の女優さんはそれぞれに他の人にはマネ出来ない
独特の個性を持っていますね。
映画とはいえ、細部を端折りすぎていて説明的だったのが残念でしたね。。。
やはり、昭和のサスペンスを時代設定そのままに
平成になった今映画化するのは無理がありましたね。。。
仰るとおり、中谷さんの演技は「主演俳優を立てる演技」とは言いがたいかもしれないっすね~。叩き潰しにいったんでしょうかね・・・かもですね~・・(汗)。
昭和三十年代に書かれたミステリーで、しかも長編ですので、よほど気をつけて端折らないと、やはり、説明的になってしまうんでしょうね・・。
少し、自分の中で、期待が大きすぎたのかなと、反省しております・・。
そうなんですよね。。。
現代のミステリーとしては、かなり弱いです。
だから、ミステリーとしてよりも昭和の雰囲気をお楽しみ下さい
って感じに留まっちゃうんですよね~(^^;ゞ
主演女優さんの、舌足らずなナレーションも
耐えられない人には耐えられなかっただろう、と
想像しました。。。
私は中谷美紀さんのファンなので、彼女の演技を
見に行ったようなものかな^^;
私も中谷美紀さんの大ファンなので、堪能いたしました。
木村多江さんは、出番が少なかったですな・・。もう少し見たかったです・・。
時代の波に翻弄される三人の女性・・。50年前に書かれたサスペンス・ミステリーを映画化する・・大変だったと思いますな・・。
ラストの妻はいじわるっ!て思いましたもん。
それで・・あれ??って思いました!だって・・。
私はどうも昔~この作品を読んだ時。
広末演じる妻にどっぷり感情移入してたみたいなんですよね。
どこがどう違うのか分からないンですけど。
不思議ですよね。
女優さんも、ノスタルジックな雰囲気も
とても良かったと思うだけにこの違和感が残念に感じちゃいました~!!
この映画の感想、辛口コメントが多いようですが、私、おもしろかったです!ところどころ
不可解な場面があったものの、3女優の演技は
見ごたえがありました。原作をまったく知らずに見たのも先入観がなくて楽しめたからかもしれません。
夜汽車、寂れた海辺の景色、ドラム缶での焚き火、電話の音…。中年のおじさんにはノスタルジーが感じられました。
この映画、見るものの視点によって感じ方が
大きく変わる、ある意味、稀有な作品なのかも知れませんね。
そうですねー、あの場面で「マリー!」なんて底意地悪いですよね・・。
そのあと平手打ちしちゃうし・・。
これらのシークェンスは原作には無いですからね~。
脚色したのでしょうが、これじゃ禎子のイメージが悪くなっちゃいますよね(T_T)。
原作では、佐知子が全てを夫に話し、生きる望みを失い、羽咋の断崖まで車で向かうのを、禎子が後からタクシーで追いかける・・!
というラストなので、結構緊迫感漂うんですが、本作ではアレンジしてありましたね。
まぁ、原作が有名だと、映画を作る側もそれだけ苦労するのでしょうな・・。
kobaっち先生、すごく堪能したらしいじゃないっすか!
やっぱり先入観が無いってイイ事ですな~(^^♪
> 夜汽車、寂れた海辺の景色、ドラム缶での焚き火、電話の音…。中年のおじさんにはノスタルジーが感じられました。
って、歳は一緒でんがな!
私も、禎子が列車の窓の曇りを手で拭くと雪国の景色が・・・ってあたりは「いいねぇ・・!」と思いましたよ!
しかし、へたに原作を2回も熟読しているともういけませんな・・(T_T)/~~。
観ていくうちに違和感が大きくなって・・。
原作のラストは、海に浮かぶ小船の上に佐知子が立って、船を漕ぎながら禎子と室田氏に別れの手を振る・・・。
のですが・・。映画では、海に浮かぶ小船・・??誰も漕いでないじゃん・・???
え・・・???ワカラン・・・・??(汗)
という状態に私は陥ってしまい、よもやそこに
佐知子が横たわっていようとは、ほんのさっき聞いてビックリしとる有様です(T_T)/。
先入観て、恐ろしいです・・・。
以後気を付けますm(__)m。