写真上はファの出るフルス(裏面)。ファの穴を開けるレバーが付いている。
写真下はシドの出るフルス(おもて面)。ファシドのレバーがついている。
李春華先生は、雲南省や中国の民歌や新しく作曲されたフルスの曲を情緒たっぷり芸術的に演奏される。日本の伊藤悟さんはフルス(ひょうたん笛と言っておられる)で、少数民族に伝わっていた古い音楽を掘り起こし、循環呼吸で吹いておられる。どちらもすばらしい取り組みだ。
ただ、李春華先生がフルスを国際楽器にしたくないとおっしゃったのについて私はちょっと違う考えをもっている。このブログの冒頭に、「中国生まれの民族楽器「フルス」を日本育ちの国際楽器に」という標語を掲げているとおりである。
フルスで、吹く曲のジャンルや種類や方法はそれぞれの好みによって選んでいい。ただ、日本人がフルスを吹くなら、どうしても日本の曲を吹きたいであろう。そうすると、どうしても、フルスの改良が必要である。
まず、一般のフルスがファの音が出ないと言うのは致命的である。実は出ないことはないが音程が不正確で、かすれた音がする。これは簡単な改良で出るようになる。 さらに音域が狭いことである。これも、通常は上のラまでしか出ないがレバーをつけてその上のドまで出るフルスが開発されている。最低、この程度の改良はしないと日本での普及はおぼつかない。
演奏技術の向上のためには李春華先生のテキストで中国民歌を練習するのはいい。私もやっている。しかし、曲数が限られている。二胡はすでに日本に伝わって、あらゆる楽曲が弾かれるようになり、多くの愛好者がいて、すでに国際楽器となった。
フルスもトランペットやフルートのようにオーケストラに使われる楽器と同じようにしようとは思わないけど、たとえば、オカリナやハーモニカのように手頃で個性的な愛される国際楽器になるべきであり、なりうる可能性がある。なんといってもそれはそのまろやかな音色の魅力によってである。
私の大牟田の愛好会でははじめはファの出ない普通のフルスで練習していたが、不便を感じたので、その後、ファの出るフルスに変えたところ、それがお気に入りになった。その後、シドまで出るフルスを手に入れた人たちはもうそれが手放せなくなったという実績がある。
日本フルス普及会の会員の皆さんにはご希望によりファの出るフルスを安くお分けしているが、ドまで出るフルスは、技術的に、もうちょっとという段階なので、あんまりおすすめはしていない。でも、これを手に入れたら手放せないと言うのも事実だ。