兵隊よりも士官になろう

私はリーダーは天性のものではなく、教育によって量産が可能であると考えています。

【21世紀の横型リーダーシップ】1.リーダーとマネージャーの違い

2008-05-02 00:01:24 | リーダーシップ
1 リーダーとマネージャーの違い

 リーダーとマネージャーの違いについて、藤原直哉さんは多くの著書や、講演会で取り上げています。(最新刊 繰り返す世界同時株大暴落-自民崩壊・生活崩壊の時代- p203-207)にもありました。

  リーダーは「何をすることが正しいかを決める人 (Let's do it.) 」です。
  マネージャーは「物事を正しく実行する役割をしている人 (You must do it.) 」です。

 役割の違いが明らかです。とはいえ、多くの場合、リーダーとマネージャーは同じ人がやっています。会社の役職で、経営者、執行役員(事業部長)、部長や課長の管理職、チームリーダーの人達がいたとして、私はリーダーしかやっていません。私はマネージャーしかやっていません。という人はあまりいません。社長はリーダーの割合が多いとか、チームリーダーはマネージャーの割合が多いといったところです。もっとも、マクドナルドの店長みたいに肩書きだけの名ばかり管理職の場合、何の決定に関与できず、ノルマを課せられているだけというのでは、マネージャーの役割はやっていても、リーダーの役割はやっていないといえます。

 リーダーシップには3つの要素があります。

 (1) 頭:理性/合理性、理解力、技術力
 (2) 心:共感/勇気と思いやり
 (3) 腹:度胸/直感力、謙虚さ、やりぬく力

これらは、3つともそろっていないとリーダーシップはうまくいきません。頭と心は、リーダーシップ研修や勉強することでなんとかなります。ところが腹は、腹がすわるという言葉もありますが、リーダーの経験を3年位経験して、いろんな修羅場をくぐりぬけないと、迷いを生じ、決断力が鈍ります。

リーダーシップ研修では、リーダーの候補者に対して、以下の順番で知識とプロセスを理解させることを目的としています。最初に技術(コミュニケーション、コーチング、ヒアリング、意思決定方法など)を教えます。次にプロセス(目的を理解し、定義すること)を教えます。この段階で普通の人でもリーダーとして仕事をすることができます。リーダーシップにおける「読み/書き/パソコン(そろばん)」を手にしたわけです。リーダーシップ研修というとアメリカに源を発しています。リーダーになるには、体系付けした知識と経験を積めばOKと割り切っているあたり、すごいです。

今までマイスターが1台1台手作りで自動車を作っていたのが、自動車組み立て工場で大量生産してしまうといった違いを感じます。個々のリーダーの能力は千差万別ですが、大量にリーダーを作ってしまえば、困難な問題にも、ある程度対処できるし、リーダーが病気で現場を離れていても、サブリーダーがきちんと代行できます。第二次大戦の時、アメリカは自動車産業に対して、明日から飛行機を作れといい、そのとおりやって、飛行機を大量生産し、制空権を奪いました。

アメリカにおけるリーダーシップ研修で使われている教材を見る限り、日本のQC活動やアフターファイブやタバコ部屋でのコミュニケーション、それに近江商人、武士道、座禅、侘び寂びの心など、日本人の伝統として伝えられていることを、アメリカ人でもわかるように体系化した知識にオーサライズしたように見えます。アメリカ人よりも日本人の方がリーダーシップ研修の内容を腹で理解できるのではないでしょうか。

さて、リーダーとして重要な素質は何でしょう? それは「誠実で何事に対しても首尾一貫していること」です。幕末から明治維新の頃の武士達が持っている素質と似ています。大企業や公務員などで多く見られる二枚舌野郎はリーダーになってはいけないのです。


<コラム> ウルトラセブンのリーダーシップ

昭和40年代前半に放送された「ウルトラセブン」という今だに人気のある特撮シリーズがあります。ウルトラセブンは、M78星雲から地球観測に来た宇宙人・恒点観測員340号で、ウルトラ警備隊の7番目のメンバーであるという設定で、そう呼ばれた宇宙人です。
彼は、宇宙からの侵略者や生物兵器から地球を守るため、ウルトラ警備隊と地球人のために活躍してきました。毎週のように宇宙人と戦った結果、過労がたたり、最終話の手前で上司から休暇と転属を勧告されるに至りました。だが、無理を押して戦った結果、体がボロボロな状態で宇宙へ帰らなくてはならなくなりました。
ウルトラセブンがいなくなった後で、宇宙からの侵略者が地球を狙うのを止めたわけでもないし、後任者がウルトラ警備隊と行動を共にするとも限らないので、ウルトラセブンなき地球は侵略者に占領されたのではないでしょうか。
自らの一生懸命頑張っても、周りが自分に頼ってばっかりで、おんぶにだっこという状態が続くと後継者が育つ機会もないし、自分が倒れればそれでおしまいです。あまりいい形のリーダーシップではありません。
チンギス・ハン亡き後に分裂した大モンゴル帝国しかり、アレキサンダー大王が病死した後、数十年にわたり争ったのもしかり。(うん、やっとリーダーシップに関連した話になったぞ)