これまで2人のヒト感染報告されているH10N8、73歳死亡例から採取したウイルス分析しパンデミック可能性を指摘した報告。
- H10N8は昨年末以来、2例のヒト感染。55歳と73歳。江西省。
- 73歳例からサンプル採取して遺伝子分析。A/Jiangxi-Donghu/346/2013(H10N8) と命名。or JX346 for short
- この17年で5種類目の新種(インフル)ウイルス、遺伝子的には脅威を秘めたもので要警戒。
- H10N8は(鳥のあいだで)過去2回報告されている。2007年に河南省の湖で、また、2012年に広東省で報告。しかしながら、今回ヒト感染したものは、過去2回鳥で見つかったものとは別種。今後、鳥とヒト両面でしっかりモニタリングしてゆく必要ありと警告。
- 現在流行中のH9N2と密接に関連。H9N2は、今回のH10N8だけでなく、H7N2やH5N1でも、遺伝子交雑している。H9N2が、これらヒトに感染するウイルスと交雑するメカニズムはまだ未解明。
- 江西省南昌の73歳女性例の経過は、11月27日に咳で発症、29日発熱、30日肺炎で入院、その後、抗生剤・人工呼吸ほか手を尽くすも発症から9日間で死亡と急速経過。
- 発症4日前に鶏を購入しているが、それを調理した事実はない。濃厚接触者追跡ではいずれも発症なし。
- H10とN8は別の野鳥ウイルスが交雑して出来、鳥に感染してからさらにH9N2と交雑し、今回の新種発生に至ったと仮説。
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PB2タンパクにグルタミン酸とリシン混合物。哺乳類に感染適応所見。
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α2-3シアル酸結合。ヒト肺細胞に有意。H5N1ヒト感染で見られたような肺組織損傷の可能性(Further, the authors report that the novel virus preferentially binds avian-like alpha2,3-linked sialic acid receptors, which are "dominant in human lung tissue," suggesting a potential for the kind of lung damage found in human H5N1 infections.)
かなり素早い発表で、H10N8の秘めたる破壊力が浮き上がってくる報告です。
発症4日前に鶏購入、しかし調理せず。鳥市場にもうもうと立ち上がる塵埃を吸って・・・ということでしょうか。管理人は講演のたびに、「海外に行かれる方は鳥市場に立ち入ってはいけません」と言っておりますが、実は、自分では立ち入ったことがあります。外務省時代に検診で通っていた重慶市。高級ホテルとされる万豪飯店のまわりを散歩してると、わずか徒歩数分のところに鳥市場があり、迷い込むように入ってしまった。写真では伝わりませんが、ムッというか、ホワッツというか、独特の空気のにおいがあります。鳥糞と土砂が混じりあっているのですが、(当然のことながら)その商品には”羽”がありバタバタ動かすので空気がしょっちゅう舞い上がり拡散されるのです。そしてその粒子を吸い込むことになる・・・だから「鳥を買ったけど調理していない」状態でも十分感染しうるのです。
Doctors warn of pandemic potential of the new H10N8 bird flu virus
Cases of new bird flu strain enough to cause 'alarm' about its possibility for mutation