無症状感染にいきり立つ人に示すとよいかもしれない、英オックスフォード大からランセットのレター

ランセットのレター。オックスフォード大学Robin Thompson氏。注目すべき点だけ抜き書き

• 基本再生産数（ここでは2.2を採用）を１以下におさえられればよいが、無症候感染があると難しくなる。
• しかし、無症候感染のエビデンスはほとんどない。
• 仮に無症候時の感染が感染全体の２０％を占めるとしても（この数字は、過大評価されているといわれるSARSの半分として）、８０％をしめる有症状者からの感染、つまり有症状者の隔離ができれば抑え込みは可能ではないか。
• 有症状者の隔離といっても、症状が軽ければ難しくもなる。だから、無症候者を（滞在歴だけで）隔離することに意味がないともいえない。その場合、ウイルスをもっていないのに隔離される者のコストにも配慮が必要である。
• 有症状者、軽症の場合の自宅隔離についても考慮すべきで、これだけでも中国国外における持続的感染拡大は防げるのだ。

レターではありますが、いずれちゃんとした数字が出てくるのでしょうが、ランセットだ英オックスフォード大だというクレジットが付いています。頭に血が上っていきり立ってる人に、とりあえずぶつけて落ち着いていただくための知見としてはお役に立つかもです。

https://www.thelancet.com/pdfs/journals/laninf/PIIS1473-3099(20)30068-2.pdf

Pandemic potential of
2019-nCoV

新型コロナはエアロゾルで感染する説の考察（ボロ高層住宅がやらかしたか）

すでに国内報道にも載っております「新型コロナウイルスはエアロゾルでも感染するかも」と中国当局発表した説。

あれ聴いて、管理人含め、2003年SARSで中国にいた人間はアッ！と思いだすことがあるはず。

広州だか香港だかの、ボロ高層住宅の集団感染事件。

老朽化したボロ高層アパートの、ある方向向きの住民ばかりがSARSに感染してしまった事件です。結局検証でわかったのは、排水管が原因でした。ボロ住宅のトイレ配管、トイレが向いてる側のボロ配管からボワーッと漏れ出しエアロゾル感染。すわ空気感染か！と社会に衝撃を与えましたが、結局同様案件はその後発生せず、やはりコロナウイルスは飛沫感染ということに落ち着いた経緯があります。

今回、管理人の考察。エアロゾル感染はあったのかもしれない。武漢のボロアパートのボロ配管が、”あの時”みたいに”やらかしてしまった”のではないかと。

ともあれ、日本国内ではあまりパニくる話ではないでしょう。

【追記】

本件のペーパーはこちらです。

YuIT , QiuH , TseLA , WongTW . Severe acute respiratory syndrome beyond Amoy Gardens: completing the incomplete legacy.   Clin Infect Dis. 2014;58(5):683-6. DOI: 10.1093/cid/cit797  PMID: 24319085 

 

水際作戦は有効ですか？ まったく無意味ですか？ と聞かれたときの報告（ユーロサーベイランス）

空港検疫の水際作戦。頑張れ一色の最初期は過ぎて、「水際作戦はまだ有効ですか？」「あながありそうですがいいですか」から、「検疫なんて無意味じゃないですか？」までさまざまに聞かれます。記者さんはともかく、コメンテーターは歯切れ良くないと生き残れないのでなおさらです。

では、それらに押されないで示すべきお応えは・・・

検知されないのが４６％と半分弱。潜伏期とか検査感度とか無症候例の比率で異なりますと。

https://www.eurosurveillance.org/content/10.2807/1560-7917.ES.2020.25.5.2000080#abstract_content

Effectiveness of airport screening at detecting travellers infected with novel coronavirus (2019-nCoV)  

• Billy J Quilty¹, Sam Clifford¹, CMMID nCoV working group2^1,2,3, Stefan Flasche^1,3, Rosalind M Eggo^1,3