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新型インフルエンザ・ウォッチング日記~渡航医学のブログ~

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opinion@zav.att.ne.jp(関西福祉大学 勝田吉彰研究室)

媒介蚊対策の決め手は古タイヤとフェロモン(カナダ→グァテマラ)

2016-04-11 11:03:31 | ジカ熱/ジカウイルス感染症/Zika

決め手と言うと少々大げさかもしれませんが、ローコストで媒介蚊対策に効果をあげるコスパ高き方法をカナダチーム開発。古タイヤとフェロモンがキーワード

  • カナダチームGrand Challenges Canada initiative開発、グァテマラで実績。
  • ovillanta。古タイヤを50cmほどで切断。それを2個、唇のように組み合わせて作成。

  • 片方に、牛乳を素材につくられた蚊のフェロモン入りの液体を入れて蚊をおびき寄せる。その液体のなかに短冊型の紙を入れる。週に2回、その短冊型の紙をチェックし、卵を焼却またはアルコール処理する。
  • 底に設けられた排水穴から液体を出して、幼生(ボウフラ)が残っていれば処理する。その後液体は再使用。

  • グァテマラの実験では、この新型トラップを84個設置し、従来型のバケツ型トラップ84個と比較したところ、7倍の蚊のたまごが捕捉された(18100個捕獲)。
  • この方法で、水たまりに殺虫剤散布に比べて1/3のコストで済み、成虫を殺虫剤で殺すのに比べて20%、1/5のコストで済む。

蚊の成虫を殺虫剤で処理するよりも、蚊をわかさないよう幼生(ボウフラ)対策の方が効率が良いというのはよく言われてきたところです。しかしそのボウフラ対策も、工夫を重ねればコスト(ほぼタダ)、効率7倍となりました。まだまだ色々出てきそうで楽しみですね。どこかのTVで「蚊のたまご捕獲選手権」だとか「ロボット大会のノリで高校選手権」とかやらないかなあ。

 

http://www.ndtv.com/health/new-way-to-trap-kill-mosquito-eggs-may-help-fight-zika-1373742

Fighting the Zika virus with junked tires

 


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アジアのジカウイルス感染症、ベトナム2例

2016-04-06 11:33:24 | ジカ熱/ジカウイルス感染症/Zika

アジアのジカウイルス感染症、ベトナムで2例確認です。年中蚊がいて、これから雨季に向かう国のは気になります。

  • ベトナム ホーチミンで1例、NhaTrangで1例。
  • NhaTrangは64歳女性、3月26日発症。2日間自宅療養するも良くならないので受診。
  • 確定診断はパスツール研。
  • ホーチミンは33歳女性。3月29日発症。
  • ベトナムでは、(ベトナムから)帰国後3月6日に発症したオーストラリア人感染者の発生以来、警戒態勢引き上げていた。

症状以上の詳細はないものの、(ベトナムから帰国後の豪人女性が~の1件もあり)国内感染が、最大都市ホーチミンでもということなのでしょう。先天性異常や神経障害にかかわることは報じられていませんがアジアの展開注目されます。

 

http://www.thanhniennews.com/health/zika-virus-spreads-to-vietnam-with-first-2-confirmed-cases-60915.html

Zika virus spreads to Vietnam with first 2 confirmed cases

Thanh Nien News

HO CHI MINH CITY - Tuesday, April 05, 2016 10:13


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コロンビア・エルサルバドル・ホンジュラスでジカのペースが少し落ち着いてきている一方で米フロリダ緊張

2016-04-04 10:52:31 | ジカ熱/ジカウイルス感染症/Zika

中南米でジカウイルス感染症の拡大ペースが少しおちついてきている一方で、米フロリダでは危機感高まっています。

  • コロンビアでは6000例/週→3000例/週
  • エルサルバドルでは1000例/週→100例/週
  • ホンジュラスでは2000例/週→700例/週
  • その要因として、幼生(ボウフラ)対策が功を奏していること、感染により地域での抗体レベルがあがっていることが考えられる。
  • しかしながら、全体としてはアウトブレイクが下火とはとても言えない。ブラジルでは新たな地区へ拡大しているし、中米カリブでは第二波があるかもしれない。
  • コロンビアでは小頭症児32例中8例でジカ陽性であった。

全体として、「一部減り始めた国もあるけどまだまだ油断ならぬよ」という論調です。

ソースはワシントンポストhttps://www.washingtonpost.com/world/the_americas/spread-of-zika-virus-appears-to-be-slowing-in-parts-of-latin-america/2016/03/31/9cbb4fc2-f5c2-11e5-958d-d038dac6e718_story.html

Spread of Zika virus appears to be slowing in parts of Latin America

 米国フロリダ州ではジカウイルス感染症確定例が75例に達し、当局に緊張感高まる。気候風土が媒介蚊に適すると。(今のところ75例は輸入例)

 ソースはinquisitor
http://www.inquisitr.com/2955251/zika-virus-in-florida-on-the-rise-officials-fear-the-worst-report/

April 2, 2016

Zika Virus In Florida Is On The Rise, Officials Fear The Worst


Read more at http://www.inquisitr.com/2955251/zika-virus-in-florida-on-the-rise-officials-fear-the-worst-report/#K8Pjbfa0H8CP0bgf.99
 

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ジカウイルス感染症で本当に小頭症が発生するのですか?と聞かれたとき答えること

2016-04-03 20:27:36 | ジカ熱/ジカウイルス感染症/Zika

ジカウイルス感染症で小頭症が発生するって、どうして言えるのか? ニューヨークタイムズが一般向けに簡潔にまとめてくれています。五月雨式にいっぱいインプットされて、ごちゃごちゃ気味の頭に、ポイントはこの5つということで。

  1. ブラジルでぐっと増えている
  2. (小規模ながら)フランス領ポリネシアでも発生している
  3. ジカウイルスは胎盤を通過する
  4. 脳細胞を攻撃する
  5. 先天性異常の状況が(非感染例と)大幅に異なる
    胎児死亡、小頭症、胎盤異常、視力障碍につながる神経障害

それぞれの説明がついています。
ソースはNYタイムズ
http://www.nytimes.com/interactive/2016/04/01/health/02zika-microcephaly.html?_r=2

5 Reasons to Think the Zika
Virus Causes Microcephaly


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ジカウイルス感染症のリスクコミュニケーション、カンどころはここだ

2016-03-30 09:05:11 | ジカ熱/ジカウイルス感染症/Zika

ジカウイルス感染症。人々は何を理解して何を誤解しているのか。そこが明らかになれば、リスクコミュニケーションの勘どころになります。ハーバード公衆衛生が良い仕事をしています。

  • 全米1275世帯に電話調査。うち105世帯は妊婦含む。
  • ジカウイルス感染症が蚊によって媒介されることを知っていたのは87%
  • 夏になれば蚊対策をやると言っているのが約2/3.
  • 55%がリペラント(虫よけスプレー)使用、56%が水たまり対策をやると。
  • ジカウイルス感染症のケースが自分の地域に出てきたら、地面の薬剤散布に同意するのが81%、薬剤の空中散布に同意するのが66%。
  • 性交感染することを知らないのが40%
  • 咳やくしゃみで飛沫感染すると思っているのが31%
  • 感染した妊婦は、将来にわたってずっと、先天性異常児出産のリスクが高いと思っているのが40%(ジカウイルスが血中に存在するのは1週間前後。それ以外に体内にどれぐらい期間とどまるのか正確に明らかにはなっていないが、ずっと永続することはない)

注意が必要なのは、少なからぬ割合で、ジカが飛沫感染すると思っていることです。MERSやSARSで見られたごとく、ある病気Xが飛沫感染するとなると、その感染者に近づくとヤバイと考える人が一定数発生して、その感染者を排除しようとする差別的動きに結びついてきます。ジカに関連して流言や陰謀論が発生しやすいのはごく初期に証明づみですから、ここのところ要注意です。我々医療者(マスコミの大部分も)は、ジカウイルスが蚊媒介でくしゃみで感染したりしないのは「言うまでもない常識」だと思っていて、だからこそこの部分が落とし穴になる気がします。夏以降、日本国内感染が本格化してきたらくどい程強調すべきところでしょう。

一度ジカウイルスに感染してしまった女性が、ずっとずっと小頭症出産リスク・・・という誤解もまた、結婚に反対されたりといった形で問題化しそうです。

水たまり対策をちゃんとやりますと言ってるのが55%というのも頼りない数字ですが、ここらへんはシンガポール政府がデング対策で、水たまり放置世帯からビシビシ罰金を取り立ててデングを減らしたように、やりようはあるのでしょう。性交感染を知らない人40%というのも、リスコミ頑張りましょうということで。

https://www.statnews.com/2016/03/29/zika-poll/

1 in 3 Americans think you can catch Zika from a sneeze

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ジカウイルス感染症対策で目を付けられたバックパッカーの安宿(豪クイーンズランド)

2016-03-23 09:18:19 | ジカ熱/ジカウイルス感染症/Zika

オーストラリア クイーンズランド州。

13例目のジカウイルス感染症確認(トンガから帰国した男性例)を受けて、殺虫剤散布がおこなわれ(個人宅には散布呼びかけ)ています。その中でも目を付けられているのが、バックパッカー向け安宿。あきらかに海外から来た人間がいるから("We've made a point of treating backpacker accommodation because obviously a lot of people in backpacker accommodation have recently come in from overseas," )と。

実は日本でもバックパッカー向け安宿というものがいまどんどん増えています。たとえば楽天トラベルあたりで、東京や京都で検索して「安い順に並べる」クリックすれば、以前にはこんなには無かったよなという位、ぞろぞろと出てきます。おそらく自治体レベルで、特に注意していただく必要があるのでしょう。

ソースはSBS
http://www.sbs.com.au/news/article/2016/03/22/qld-zika-response-targets-backpacker-sites

22 Mar 2016 - 8:28am

Qld Zika response targets backpacker sites


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バングラデッシュでも渡航歴のないジカウイルス感染症確認

2016-03-23 08:49:31 | ジカ熱/ジカウイルス感染症/Zika

ジカウイルス感染症。バングラデッシュでも渡航歴のないケース確認。国内感染の有り得ることが示唆されています。

  • 67歳男性。渡航歴なし
  • 2014〜15年にかけて発熱で受診した1000例の血液サンプルを検査したところ、この男性の陽性が確認された。

この書き方からは、この67歳男性は(発熱主訴として受診しつつも)ジカウイルス感染症とは認識されなかったと思われ、同様のケースが1000例にひとりづついると考えられるのでしょう。

バングラデッシュといてば繊維産業が盛んで、ユニクロ、H&M・・名だたる有名企業が工場を構えており、先進国からの出張者・駐在者もコンスタントに出入りする場所ですので、かなり気になる話であります。

ソースは
http://outbreaknewstoday.com/bangladesh-reports-zika-virus-in-patient-with-no-travel-history-53436/

Bangladesh reports Zika virus in patient with no travel history

Posted by on March 22, 2016


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いまブラジルで起こってる困ったこと(司法も立法も行政もバトル状態でジカ熱なんか蚊帳の外)

2016-03-19 14:25:23 | ジカ熱/ジカウイルス感染症/Zika

ジカウイルス感染症関連で、もっとも頑張ってもらわなければならないブラジル政府。軍隊22万人動員して媒介蚊対策の啓発活動以来、「対策面で」おっと言わせる報道があまり出てこないなあと思ったら、政治がマヒ状況なのでした。

以前、ブラジル通貨が大暴落していて、だから割安なリゾートとして海外客が増えている話だとか国営石油会社を舞台とした大汚職だとか紹介しました。後者の汚職に端を発した件がますます事態泥沼化。

現大統領(美人女性)ルセフ氏は前大統領ルラ氏の子飼い。前大統領は国営石油会社を舞台に大汚職をやらかしており、(とりあえず今はシャバにいるけど)司直に追われる身。

で、この人が塀の向こう側に行ってしまうのを阻止しようと動くのが現美人大統領。なんと、前大統領を「官房長官」に任命してしまうというウルトラCを繰り出して実行にうつしてしまいました。官房長官になれば捜査がぐっとやりにくくなり裁けるのは最高裁のみ(日本の議員の不逮捕特権みたいなものですね。中身はだいぶ違うけど)、汚職の捜査も合法的に出来ないだろうということで。

国民は当然怒り狂って、ゼネストが始まりあちこちマヒ。大統領は弾劾手続きへ。
裁判所は国民の側にたって、前大統領の官房長官就任人事を無効だ!と官房長官人事差し止め。

なんだか、司法・行政・立法の三権が独立してなくってドロドロのバトルを繰り広げているのです。この状況ではジカウイルス感染症のこと考えている人は専門家のぞけばほとんどいなくなり、頭に血が上った群衆は肌もあらわに街頭デモに繰り出しまた蚊に刺され・・・もう、ひっちゃかめっちゃかです。

(CNN日本語版)
http://www.cnn.co.jp/world/35079737.html
http://www.cnn.co.jp/world/35079780.html


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ジカ熱怖けりゃ高地へどうぞ(米CDC改訂)

2016-03-13 09:14:19 | ジカ熱/ジカウイルス感染症/Zika

ジカウイルス感染症にかかわる米CDCのtravel alert改訂。高度2000メートル以上ではジカ感染リスク極小と。

  • travel alertは、蚊の棲息条件を検討しながら見直した。
  • ジカウイルス感染症流行国の中においても、高度2000メートル以上の場所では、感染可能性は低い(1%以下)である。
  • 高度2000メートル以下の場所では引き続き、妊婦の渡航を避けるよう勧告。
  • 蚊の分布は、気温・降水量・植生などによって異なる。

検討がすすむにつれ、きめ細かなアドバイスが可能になります。「A国はアブナイから(妊婦は)行っちゃいけません」の段階から一歩すすんで、「高地ならまず大丈夫」へと。さらに「○○はアブナイけど○○地域に限定すればOK」とか実用的になってゆくのでしょう。

「そんな事言っても、入国してから”高度2000m”に到達するまでに感染してしまうじゃないか?」との指摘も当然想定はされます。ただ、世界には、首都の国際空港に降り立ったその瞬間からすでに2000メートルという場所も存在したりします。いずれも中南米です。

 ボゴタ(コロンビア首都)2640m
 キト(エクアドル首都) 2850m
 ラパス(ボリビア首都) 3600m

こういった場所では標高2000m以上だけで旅行を完結できますね。

ソースはCDC
http://www.cdc.gov/mmwr/volumes/65/wr/mm6510e1er.htm

Revision to CDC’s Zika Travel Notices: Minimal Likelihood for Mosquito-Borne Zika Virus Transmission at Elevations Above 2,000 Meters

 


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ジカウイルス感染症の性交感染、ニュアンスの変化

2016-03-10 08:52:29 | ジカ熱/ジカウイルス感染症/Zika

ジカウイルス感染症、性交感染のニュアンスがより強化。

WHO報告。これまで思われていたより、もっとフツウにあるんだよとチャン事務局長の発言が各国各紙で大見出しになっています。

まったく新しい話でもないですが、ニュアンスの変化が与える社会的影響は大きいと思われます。

  • これまで思われてたよりフツウに多いよ(more common than previously thought)
  • 小頭症に限らず先天性異常と結びつく証拠はコツコツと積みあがっているよ(increasing evidence of links between Zika and various birth defects)

BBCの記事は写真も迫力がありますね。チャン事務局長の写真って、穏やかに微笑んでいたり、ちょっとだけ怖い顔系だったりが多く、こういう表情はあまり見ません。カメラマンの腕。

ソースはBBC
http://www.bbc.com/news/health-35757541


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