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新型インフルエンザ・ウォッチング日記~渡航医学のブログ~

照会・お便りetcはこちらへどうぞ
opinion@zav.att.ne.jp(関西福祉大学 勝田吉彰研究室)

カーボベルデのジカウイルスはブラジルから来たと証明@パスツール

2016-05-21 16:45:05 | ジカ熱/ジカウイルス感染症/Zika

アフリカのカーボベルデのジカウイルス感染症(ジカ熱)。元々オリジナルのアフリカの状況とやや異なった様相を呈していましたが、このウイルスはブラジル由来だったとセネガルのパスツール研の分析により証明、WHO発表になっています。

ブラジルを席巻したウイルスはアジア由来ですから、(元々オリジナルのアフリカのジカウイルスを横目にしつつ無関係に)、アジア→ブラジル→カーボベルデにやってきたことになります。

カーボベルデ。管理人がセネガル在勤中、在セネガル日本国大使館がカーボベルデを兼轄していましたから、もっぱらカーボと通称されるこの国はちょっとおなじみさんでした。そして検体を分析したのがダカールのパスツール研。岬の白っぽい建物も懐かしいところです。

いまカーボのジカは7557例。小頭症出産も確認。

ソースはWHO
http://www.who.int/mediacentre/news/releases/2016/zika-cabo-verde/en/

WHO confirms Zika virus strain imported from the Americas to Cabo Verde

News Release

 

 


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欧州におけるジカウイルス感染症(ジカ熱)のリスク高い国と低い国

2016-05-20 18:17:21 | ジカ熱/ジカウイルス感染症/Zika

欧州におけるジカウイルス感染症(ジカ熱)のリスク評価をWHOが発表しています。

これは、ネッタイシマカの存否、ヒトスジシマカの存否、気候など様々な要素を検討したものです。

URL
http://www.euro.who.int/__data/assets/pdf_file/0003/309981/Zika-Virus-Technical-report.pdf?ua=1

大きな文書となりますが、11ページの棒グラフご覧ください。

リスクの高い順:
フランス→イタリア→マルタ→クロアチア→イスラエル→スペイン→モナコ→サンマリノ→トルコ→ギリシャ→スイス→ブルガリア→ルーマニア→スロベニア→ジョージア→アルバニア→ボスニア→モンテネグロ。

逆にリスクが0.00とされているところ
ラトビア、ベラルーシ、アイスランド、エストニア、フィンランド

 


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ジカ以外にもいろいろ、五輪見に行く人に伝えるべきブラジルの病気(おさらい)

2016-05-19 11:41:46 | ジカ熱/ジカウイルス感染症/Zika

 開会まで2か月とちょっと。リオ五輪に行きたいという人の相談が、来始める頃です。
今回は、ジカウイルス感染症以外のブラジルの病気について。
主要4サイトに何が挙げられているか、ピックアップしておさらいしてみました。

1.外務省医務官情報
 デング熱・呼吸器感染症・寄生虫症・有毒性動物・マラリア・黄熱病・急性肝炎・狂犬病・シャーガス病・リーシュマニア病・マンソン住血吸虫症、HIV/AIDS
http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/cs_ame/brazil.html

2.Forth (検疫所)
黄熱・マラリア・デング熱・フィラリア症・シャーガス病・リーシュマニア症・レプトスピラ症(ワイル病)・ハンタウイルス肺症・住血吸虫症・類鼻疽・狂犬病・(蛇・蜘・サソリ・毛虫)咬傷死亡例も
http://www.forth.go.jp/destinations/country/brazil.html

3.米CDC
マラリア・A型肝炎・チフス・狂犬病・黄熱
http://wwwnc.cdc.gov/travel/destinations/traveler/none/brazil

4.Fit for Travel (UK)
麻疹・マラリア・高高度(高地)の健康リスク・デング熱・住血吸虫症
http://www.fitfortravel.nhs.uk/destinations/south-america--antarctica/brazil.aspx

 

期間中、「リオの空港」と「高級ホテル」と「オリンピック会場」だけ行って直行直帰する品行方正な人の割合がいかほどかわからないのですが、五輪会場以外にどこを訪問するのか聞き出す必要がある、渡航医学的にもなかなか難しい国です。

「ジカ以外の病気」の啓発、つとめましょう。なお、「五輪会場と高級ホテルの往復以外にどこ行きますか?」と尋ねて「〇×▼〇〇に行くのを楽しみにしてます!」って返ってきたとき、その「〇×▼〇〇」はどんな感じのところなのか、こちらのサイト(画像)が参考になります。やはりイグアスの滝周辺はいかにも鬱蒼としているなとか感覚的に。
https://retrip.jp/articles/10944/
https://www.tripadvisor.jp/Attractions-g294280-Activities-Brazil.html

 写真はパンタナール。日本の本州ほどの大きさの湿地。 

こちらも参照を(CDC  2016 Summer Olympics)
http://wwwnc.cdc.gov/travel/notices/alert/2016-summer-olympics-rio

 


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ジカウイルス感染症(ジカ熱)対策で揺れる米議会

2016-05-18 19:54:53 | ジカ熱/ジカウイルス感染症/Zika

ホワイトハウスと米議会のあいだで、ジカウイルス感染症(ジカ熱)対策めぐりカネの問題で紛糾している模様。

オバマ大統領(ホワイトハウス)側の言い分:
ジカの危機、早急に対応が必要。19億ドル必要。共和党の意見は受け入れられない。

共和党側の言い分:
ジカウイルス感染症(ジカ熱)はエボラのようなオオゴトではない。そんなに緊急だという話は聞こえてこない。

オバマケアの側と、医療費を削りたい側の攻防。小頭症に悩み重荷を背負うのは決して共和党エリートなわけではなく、まあ、こんな感じだからトランプに乗っ取られてしまうのでしょう共和党。

共和党側:
https://www.statnews.com/2016/05/17/zika-funding-house-republicans/

ホワイトハウス側:
http://in.reuters.com/article/us-usa-zika-white-house-idINKCN0Y826Z?feedType=RSS&feedName=health&utm_source=Twitter&utm_medium=Social&utm_campaign=Feed%3A+reuters%2FINhealth+%28News+%2F+IN+%2F+Health%29

Sports | Wed May 18, 2016 1:34am IST

White House opposes House Zika bill, calls funding inadequate


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ジカウイルス感染症(ジカ熱)第一例のシンガポール当局の本気度

2016-05-17 09:30:19 | ジカ熱/ジカウイルス感染症/Zika

シンガポールのジカウイルス感染症(ジカ熱)第一例。48歳男性。渡航歴はサンパウロ。Tan Tock Seng Hospital 入院、経過良好。

これを受けて、シンガポール環境局(The National Environment Agency (NEA) はWatten Estateの500か所を検査して30か所以上の水たまりを処置した・・・と大きな写真入りで報道。

シンガポールといえば、デング熱対策で、水たまり放置家庭の立入や罰金!という強硬策で名を馳せましたが、今回もこういったデモンストレーションが効果をあげるのでしょう。

気になるのは、この男性がTan Tock Seng Hospital に入院しているのも、強制性があるのか否か。日本では、四類感染症やその類縁疾患には(もちろん)強制入院など有りえないわけですが、あの罰金制度の厳しさなど見ていると、”拡散防止のために絶対蚊に刺されないようにするため入院!”なんてあながち無いとも断言できず・・・

ストレートタイムズ
http://www.straitstimes.com/singapore/zika-case-more-than-500-premises-inspected-over-30-breeding-sites-destroyed-by-nea

Zika case: More than 500 premises inspected, over 30 breeding sites destroyed by NEA


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オリンピック中のリオで期待するほど蚊は減らないかもしれない話

2016-05-14 18:54:02 | ジカ熱/ジカウイルス感染症/Zika

オリンピックが開催される8月のリオは南半球の冬にあたるから蚊が減って大丈夫だろう・・というのが五輪関係者などの楽観論ですが、それに疑義を呈する見解。

  • 五輪期間中の蚊の減少を予想する向きもあるが、実際それほど単純ではない。蚊の卵は、1年以上生存することができるし、気温と湿度が上がれば分単位の時間で十分にふ化できる。
  • 気候は相対的なものである。他の蚊媒介疾患の動きをみていても、年によっては、8月の状況がピークシーズン並みの水準だった年もある。
  • 市当局のデータによれば、8月のデング熱感染者は、2012年と13年には1%を占めたが14年には6%を占めた。
  • さらに、8月にはピークシーズンを上回る発生をみせる年さえある。昨年夏には794例の発生があった。この数字は2014年の3から5月を合計した数字、773例をも上回る。

  • 今年は、エルニーニョ現象によってデングの増加があった。1月には1122例のデング発生数で、前年の165例より著増している。

  • オリンピックで世界中から50万人が集まる。五輪関係者は、リオ局地の気候と蚊にしか意識がいっていないが、五輪をきっかけにブラジルの他の地域を旅行する計画の人は多い。

  • 感染者の8割が無症状のこの病気が、現在存在しないところへ拡散されるリスクは高い。最も大きなリスクはマスギャザリングによるものだ。2014年のブラジルワールドカップは国内12か所でおこなわれデングの拡散が懸念された。しかしこの年には歴史的な干ばつに見舞われていて蚊は少なかった。その年のデングは2649例。しかし2015年は18059例。(この10年で最悪だった2012年は130000例)

  • 雨よりももっと問題なのは、卵があらゆる処、家の中まで含めということだ。ちょっと暖かくなればたちまち蚊が戻ってくる。

オリンピックの頃は蚊が減るから大丈夫という楽観論、日本でも聞かれることがありますが、明確に否定したほうが良いという話。同種の蚊で媒介されるデング熱の状況からも、8月はまったく安心できないシーズンと言えます。

また、「オリンピックを機会に、ついでに他のところに行ってみたい」と考えるのも自然なことです。ブラジルはアフリカより遠く丸一昼夜以上かかる。ここまで来たら、イグアスの滝ぐらいは、サンパウロぐらいは、アマゾンぐらいは・・・

ついでに、おなじくネッタイシマカで媒介される黄熱。黄熱のワクチンが推奨されていないのはリオとレシフェとサンパウロ(市限定。サンパウロ州自体は真っ黄色)と数か所ぐらいしかありません。こんなに金のかかるブラジルくんだり行ってすぐ帰るのは・・・なんて言ってる人を見かけたら、黄熱もA肝も、できればチフスもと言ってあげましょう。

ソースはロイター

http://www.reuters.com/article/us-health-zika-rio-idUSKCN0VI1OP

http://mobile.reuters.com/article/idUSKCN0VI1OP

 


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ジカウイルス感染症(ジカ熱)診断に尿検査くわわる

2016-05-12 08:04:25 | ジカ熱/ジカウイルス感染症/Zika

ジカウイルス感染症(ジカ熱)診断のガイドラインに尿検査が加わっています。
血液検査よりも長期間、陽性をだせる可能性。

  • 米CDCガイドライン改正。これまでの「発症後1週間以内の血液PCR」に加えて尿検査が追加された。

  • 発症後14日後までの尿検体追加。発症後1週間以内ならば、血液検査PCRも追加するよう定めている。現時点ではTrioplex RT-PCR assay がFDA認可した唯一の検査法。また、発症後2週間を過ぎた時点での尿検査の信頼性についてはさらに研究が必要。

  • 4月20日までにフロリダ州で基準にあう913例検査。うち70例で尿検体採取でき、そのうち65例(93%)で陽性。発症5日以内に採取できた55例中52例(95%)で陽性。同時期の血液検体では55例中31例(56%)陽性。

  • 発症5日を過ぎると、尿検査で82%陽性。同時期の血液検査はすべて陰性。 

要は、血液中よりも尿中の方がウイルス残存期間が長いから、尿検査を調べましょう。でも不確かなこともあるから発症間もない間は血液検査も併用しましょうということのようです。いずれもうちょっとハッキリしてきたら、ジカの検査は検尿で!ということになるかもしれません。

http://www.cidrap.umn.edu/news-perspective/2016/05/cdc-updates-zika-guidance-include-urine-testing

CDC updates Zika guidance to include urine testing


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リオオリンピックを延期すべき論の根拠

2016-05-11 13:46:46 | ジカ熱/ジカウイルス感染症/Zika

リオオリンピックは中止ないし延期すべきであるという論が出てくるのは”お約束”みたいなものですが、その論拠に耳を傾けてみましょう。

  1. リオデジャネイロのジカウイルス感染症(ジカ熱)は、誰の予想よりも広く拡がっている。リオはいま、どの都市よりも感染者数が多いと見積もられている(26000)。リオは流行の端っこにいるのではなくド真ん中にいるのだ。デング熱など他の蚊媒介とおなじく五輪の頃には減ると予想する向きは多い。その予想は合理的ではあるが、冬のジカをリオは経験していない。デングは、冬に減りはするが消失はしない。また、デング熱の発生自体、今年のリオは未曾有で昨年の6倍水準(8133vs1285)
  2. ジカウイルス自体は70年ほど前から報告されているものだが、その遺伝子分析から、今流行しているのは以前からのものと比べて大幅に異なっている。→小頭症やギランバレーの話へ
  3. 50万人の旅行者が五輪で訪れ、これが世界中に拡散する可能性。ただ一人が持ち帰るだけの可能性。いまブラジルで席巻しているジカは、2013年5月から12月のあいだに、ただ1人の持ち込みから始まったと推定されている。
  4. 五輪(による人の動き)によって流行の拡大が加速されてしまえば、その対策にかかる時間が奪われてしまう。ジカ対策の開発ーワクチン、治療薬、検査キット、殺虫剤、ーは現在すでに最優先ですすめられている。が、しかし、流行が加速すればその時間も足りなくなってくる。
  5. オリンピック憲章との矛盾。オリンピックは社会的責任と世界共通の倫理的原則を尊重する(“Olympism seeks to create … social responsibility and respect for universal fundamental ethical principles”)とあるが、病気を世界中に拡大してしまえば倫理もへったくれもない。しかも、オリンピックを見に来れるような富裕層は自分でリスクをとればよいが、帰国後感染させられる方は富裕層ではない大衆だ。

ジカを理由とするオリンピック延期/中止論は、これからも色々出てくるでしょう。そしてそれは確かに合理的な論だと管理人は支持します。

しかしながら、問題は、こうした医学的社会的に合理的な論は、金儲けの好きな人々の資本の論理にはなかなか勝てないということ、そしてオリンピックにからむ利権があまりに巨大だということでしょう。こういう論がまとまりを見せてうねりを作り出せてゆくのか否か、期待をもって見つめつつも、その勝負の行方はあてにせず、「ブラジルに50万人集まる」前提で淡々とリスクコミュニケーションに取り組んでゆくというのが結局は我々のスタンスになるのでしょう。

ソースはハーバード公衆衛生
http://harvardpublichealthreview.org/off-the-podium-why-rios-2016-olympic-games-must-not-proceed/

 

Off the Podium: Why Public Health Concerns for Global Spread of Zika Virus Means That Rio de Janeiro’s 2016 Olympic Games Must Not Proceed


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ジカの森でインタビュー、本当のところジカウイルスはどこから来たのか霧の中

2016-05-08 18:35:50 | ジカ熱/ジカウイルス感染症/Zika

ウガンダのジカの森を取材。関係者から、本当のところジカウイルスはどこから来たのかわからないとコメント引き出しています。

  • ウガンダの首都カンパラから25kmのジカの森。ウガンダのウイルス研の所有地との看板。56歳専門家にインタビュー。
  • 本当のところジカウイルスはどこから来たのかわかっていない。ジカウイルスはこのジカの森で黄熱病の研究で偶然発見された。マカク猿を檻に入れてここの土台に固定して研究。採血して黄熱ではないウイルスを発見。
  • ジカウイルスは西アフリカ、東アフリカ、アジアの森にいる。ただ明らかなのは1947年に最初にここで同定されたということ。
  • 最初発見されてからアフリカとアジアで小規模なアウトブレイクがあった。そしてそれらの地域に60年とどまっていた。そして2007年にミクロネシアのヤップ島で発生。通常発生しない地域で発生した最初のエピソード。どうやってそこに到達したか? ネッタイシマカ媒介だが、この蚊は400メートル以上飛ぶことができない。人間の介在が必要。ひとつの可能性は、感染した卵の状態で移動したこと。たとえばミクロネシアは島なので漁師が多い。その漁船には蚊が産卵する水たまりが出来やすい。そこでひとつのシナリオはジカウイルスのあるアジアのどこかからミクロネシアに運ばれてきて、そして漁船が島から島へと移動するうちに感染した卵を運んだのではないか。

  • 2013年にはポリネシアで他のアウトブレイクが起こった。ボート競争が、ジカを分布させるのに一役買ったのではないか。

  • さらに他の可能性は感染したヒトを通じた運搬。症状がでるのは15%なので意識しないうちに簡単に拡がる。感染者が未感染地で蚊に咬まれて新たなサイクルが始まる。 (性交感染可能性も)
  • 今回、ブラジルをはじめとして55か国に拡大している流行も、最初は南西アジアから入ってきた。遺伝子分析結果からは、ブラジルのジカは2013年から入っていたことがわかっているが、しかしアウトブレイク発生までこんなに時間がかかったのがなぜかは誰にもわからない。

  •  今回ブラジルからの流行まで、深刻なこととはとらえられていなかった。ミクロネシアの流行でも動きは鈍かった。そして今回。ジカのもうひとつの面、先天性異常があり、2月にはWHOのPHEIC宣言に至った。
  • ジカウイルスに対しナイーブな所には拡がる。この場合のナイーブとは無知の意味ではなくて医学的にナイーブの意味。ジカはフラビウイルスの仲間で、デング・チクングニヤ・黄熱などに感染すると、他の同属ウイルスに対しても部分的な免疫をもつ。しかしミクロネシアやポリネシアにはこのような病気はなかった(ので顕在化した)。しかしこれでは今回ブラジル~の事態の説明にはならない。ブラジルでは何年間にもわたってデング熱があったのだから。
  • 今回なんらかの変異があって、米大陸で拡がりやすい条件があったのではといわれているがまだ確証はない。
  • アフリカではカーボベルデで国内発生があったが、他の場所ではない。他のアフリカには拡がらないだろうとウガンダの専門家はみている。
  • ネッタイシマカには2つのタイプがある。ひとつは動物の血を好み、自然のなかに産卵する。もうひとつのタイプはヒトの血を好み、コンテナなど人工物に産卵する。後者の媒介蚊となりやすいものはアフリカ以外に分布するので、アフリカでは広汎な流行にななりにくい。だからアフリカではジカウイルス感染症はあまり報告されず、むしろ、マラリア媒介のハマダラカの方が優勢。
  • しかし同時にウガンダではあまりチェックされていないという面もある。グローバリゼーションのなか、ウガンダには224種類の蚊がいる。

しばしば錯覚します。ジカウイルス感染症(ジカ熱)はウガンダのジカの森で発生したのだと。実はそうではなくてアフリカのあちこちに存在はするのだけれど、媒介しやすいタイプのネッタイシマカはアフリカに少ないこと、デングやチクングニヤが存在する場所では部分免疫をもっているからオオゴトにはなりにくいこと。

しかしブラジルから中南米のいまの状況を説明できるものはありません。さらに我々の日本はといえば、つい先日、ヒトスジシマカで媒介されることが証明されたばかり、デングも新聞ダネになるような少なさで人々はフラビウイルスにナイーブ、全然ダメじゃん・・・ということになります。う〜ん。 

http://qz.com/635161/even-in-the-place-where-zika-virus-was-first-discovered-its-true-origin-is-a-mystery/

Even in the place where Zika virus was first discovered, its true origin is a mystery

Obsession
Contagion
May 05, 2016

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ジカウイルス感染症(ジカ熱)のアップデート、新顔はペルー・グラナダ・サンバルテルミー

2016-05-06 19:02:54 | ジカ熱/ジカウイルス感染症/Zika

WHO(PAHO)のジカアップデート。
5/5付(前回は4/28付)。前回から新たに加わった国内感染発生国はペルー、グラナダ、サン・バルテルミーの3国。

一部で(デング熱ほかのパターンと軌を一にして)減少傾向。スリナムを例示。
一方で逆説的に増えている国も。

詳細はPAHO
http://www.paho.org/hq/index.php?option=com_content&view=article&id=11599&Itemid=41691&lang=en

【追記】
今回初お目見えのサン・バルテルミー。Wikiの記述から。
1493年クリストファー・コロンブスにより発見された。コロンブスは弟のバルトロメの名を島に名付けた、先住民のアラワクカリブ族は現地語でオゥアナラ (Ouanalao) と呼んでいた。1648年フランス人が入植した。その後、悪名高い海賊の隠れ家になった。1651年にはマルタ騎士団の財産ともなる。1744年からスウェーデンに売却され、スウェーデン領になる1784年までの間は、イギリスが占領した。スウェーデンはこの島で1786年西インド会社を設立するが、利益に結びつかず、1805年に閉鎖された。若干の植民活動も行われたが、経済活動には全くの不向きであった。またスウェーデンは奴隷貿易にも着手したものの、奴隷制1846年に廃止されている。1878年グアドループの一部として再びフランスの領土となり、1963年にはサン・マルタンと共にグアドループ県に属するサン・マルタン−サン・バルテルミー郡となった。しかし、2003年の選挙の結果、フランス領セント・マーチン島北部ことサン・マルタン島と共に2007年2月22日グアドループ県から脱退し、独自のフランス海外準県に昇格した。」

という壮絶な歴史のある国です。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%90%E3%83%AB%E3%83%86%E3%83%AB%E3%83%9F%E3%83%BC%E5%B3%B6

 


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