シンガポールのジカウイルス感染症。41例の報道に驚く間もなく56例⇒82例⇒115例⇒もっともっと増えるだろう報道。
ではシンガポールで流行すると他国に比べて(加えて)、いったい何が特に困るのかの考察。
1.媒介蚊対策の抜きんでたシンガポール。 あのシンガポールでさえ・・・とアジア当局者に与える無力感
シンガポールの公衆衛生、なかでも媒介蚊対策は抜きんでた存在でした。
1週間に10分、蚊対策(ボウフラ対策)にあてようと呼びかけ
抜き打ち検査、複数回守らぬ世帯への罰金制度
キャンペーン、大イベントでは大臣もフランクに会場を歩き回る
クイズ大会
HPからキーワードを打ち込むとバウチャーが当たる”モノで釣る作戦”
ボランティアの効果的利用 などなど。
他のアジア当局から見て憧れのシンガポールの対策。(一部で、シンガポールは学術面で弱い、論文が出てこないという声も耳にしますが、その筋とて、システムとして整い方は認めている)
そのシンガポールをもってしても、こうだったという無力感を感じている周辺諸国の当局者は多いと容易に想像できます
2.金満シンガポールにはアジア各国から労働者が集まっている。
東南アジアの先頭を走るシンガポール。さまざまな周辺諸国から出稼ぎ労働者が集まります。ハウスメイド、建設労働者、運輸労働者・・・のみならず、資格系もさまざまに。たとえば管理人のフェイスブック友達にはミャンマーで就職できなかった看護師がシンガポールの病院で働きつつ”リア充”を見せつける写真をしばしばアップしてきてあてられています(苦笑)
こういった人々が一時帰国しては戻り・・・と。10月には中華系連休も控えていますね。どんどん拡大してゆくのは”時間の問題”と表現されますが、実際には単に把握されていないだけかという気もします。(管理人的には、ミャンマーの未報告は???)
3.日本人の在住(在留邦人数)はアジア随一
シンガポールの在留邦人数 36963人。
タイ67424人より少ないものの、インドネシア18463人、フィリピン17021人、ベトナム14625人、ミャンマー1776人・・・と比べて、あの小さな島にこれだけ!と驚く数住んでいます。これと比例して、出張者も多い。これだけ進出すれば、現地人従業員の日本本社出張もまた。
また、シンガポール在留邦人が特徴的なのは、「シンガポールに居を定めつつも、他のアジア諸国を兼轄してしょっちゅう行き来している」ことです。たとえばミャンマーやカンボジアに現地事務所を置くけれど日本人社員はシンガポールから見ている(頻回に出張する)
つまり、シンガポールにて流行するということは、日本への影響、アジア全体の影響とも、他国に増してということになり深刻さを増します。(以上の文章の「日本」を他の先進国に置き換えてもそれぞれ同様)
そういうわけで、シンガポールの事態は別格なものがあります。これから蚊が減ってゆく日本はぎりぎりセーフなのか(輸入例については全然セーフじゃない状況ですが)、きわどい観察になります。
シンガポール蚊対策HP
http://www.dengue.gov.sg/
海外在留邦人数調査統計
http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000162700.pdf
NYタイムズ
http://www.nytimes.com/2016/08/31/world/asia/singapore-zika-virus-infections.html?_r=1
Singapore Says It Expects More Zika Cases