今日も忙しいのと天気がよくないので写真はなし。新聞に127億光年離れたところに誕生後10億年という若い銀河団が観測されたという記事が出ていた。
星というものはその材料となる水素ガスが我々の太陽の質量の数十倍以上あればすぐに形成されて、あっという間に輝きだして、あっという間に超新星爆発する。ま、「あっという間」といっても数十万年はかかるが、太陽のようなこじんまりした星は100億年は輝くことを考えると巨大な星は物凄く短命だ。
私たちが今住んでいる地球も、それを構成している元素はすべて別の星がその中心核で製造したものだ。星は水素を元にして発熱しながら他の全ての元素を作り出す製造工場に過ぎない。短いもので数十万年、長いもので数千万年から数億年かかってどこかの星で製造された物質が、超新星爆発によってあたり一面にまき散らされ、またそれが凝集して第2世代の星ができあがる。そしてそれがまた爆発して凝集して星になる。宇宙はそのようなことの繰り返しだ。
今回観測された銀河も10億歳ということだから、若いとは言え、その中ではもう何世代かの星の誕生が繰り返されているだろう。あと10億光年先まで観測できれば、ごく初期の宇宙のようすがわかる。初期の宇宙ではガスの濃度も濃かっただろうから、まるで花火がはじけるようにそこいら中でパチパチと星が爆発していたに違いない。爆発しては集まり、また爆発しては集まる。それを何度から繰り返しているうちに徐々に宇宙は膨張して、落ち着いてきたのだ。
私の身体を構成している炭素や酸素やカルシウムや鉄などのすべての物質は、いったい何度の超新星爆発をくぐり抜けてきたのだろうか。私の身体の粒子たちは、少なくとも一回は輝く星の中心にあったのだ。初期の宇宙がどうなっていたかがよくわからないから、ひょっとしたら何度も星に取り込まれて輝いたことがあったのかもしれない。いずれにせよ、私の身体の粒子たちは、宇宙の初めからすでに137億年は存在を続けてきた者たちなのだ。
雨雲の下で、遠い宇宙の果てを想像する静かな夜。