夜明け前午前5時

徹夜明けの思いつきレベルな発想を、推敲なしでお届け

ウェブ進化論

2006-06-27 01:57:43 | 本:ビジネス

新書買うのって、何年ぶりだろう。
たぶん大学の一般教養以来だから・・・、10年以上前か。

ウェブ進化論」。
新書ブームにものってガンガン売れてるようです。

全体を通した感想を言えば、新書というスタンスをわきまえて、
わかりやすく書いてあると思います。
グーグルの特殊性や新しいビジネスモデルとしてのWeb2.0の
イメージをざっとつかむにはすごくいい。
総じて、「好感触」って感じ。


でもね、「革命」とか「知の世界の秩序再編」とか言われちゃうと
「んー、それは明らかにちょっと言いすぎ」と思うわけです。


具体的に、非常に気になる課題点を2つ挙げておきます。


まず、あとがきが非常にずるい、この人。

内容は全体を通じて楽観主義を貫き通してるんだけど、
あとがきで『本を書くにあたって、オプティミズムを意識した』
をしつこいぐらいに強調してる。

この本を批判することは、ほとんどの場合、楽観主義を
批判することになります。
このとき、「批判すること→旧概念(Web1.0)や既存技術を
擁護・支持する人」へ繋がるように仕組んであるわけです。

こういう構造を作っておくと、この本を肯定する人は、肯定的な
発言をする一方、この本に批判的な人は物を言いづらくなる。


もう一点。
メディア史で考えてみると、今のウェブはそんなに大きな
位置づけにはならないはず。
過去の大転換として、「印刷」「電信・電話」「新聞」「ラジオ」「TV」
があるけど、これら過去の転換点に対して、グーグルの狙う世界や
ブログ環境は大転換ってほどじゃない。

TVは結果としてものすごく影響を与えるメディアになったけど、
そのTVでさえも、マクルーハンが60年代に興奮して書いた
TVに関するメディア論は、今読むとSFの世界に近い。

例えば、衛星通信で全世界に情報を同時配信可能になっても、
残念ながら「世界が1つの村のようなもの」になったりは
しなかったわけです、結局のところは。

要は、メディアの成長において、「実現可能性」と「実際に進んで
いく方向」は全くの別物ということです。


ニャ夢ウェイ

2006-06-21 01:37:32 | 本:その他

今、猫といえば「きょうの猫村さん」ですが、
忘れちゃいけないもう一冊。

ニャ夢ウェイ

松尾スズキ夫妻が雑種猫「オロチ」を飼い始めて
「キャワイーン」な日々を描く。
ただそれだけの漫画(?)です。

でもね、猫好きにはたまらん。
冒頭数ページのオロチ写真見て、即購入決定。

はー、猫飼いたいなー。
弘明寺は野良猫が少ないし。
この街の数少ない弱点です。

向かいの家の犬なんて、朝の6時前から8時まで
きっちり2時間、毎朝吠えまくりだよ。ほんとバカ犬。
それにくらべりゃ、うちで猫飼うぐらい、誰にも
迷惑かかんないじゃん。


セキ☆ララ

2006-06-18 00:39:42 | 映画

今日からBフレッツです。

ただいまの速度67.90Mbps。す、すごい。
ほんの一年前はダイアルアップ接続だったのに。
でも、このブロードバンド環境を全く利用できてません。
せいぜいGyaoぐらいかな。


さて、前回の本の感想はけっきょく触れることなく、昨晩観た
映画の感想です。

セキ☆ララ

えーとですね、実はコレ、AVです。

オーディオ関係ではなく、
FOMAのテレビ電話でもなく、
『アダルトビデオ』。

ま、いわゆる普通のAVではなく、在日三世の松江哲明が
撮った、ドキュメンタリーです。
トークショウ(松江哲明×園子温)があったってのもあるけど
レイトショーにもかかわらず、下北沢の映画館はほぼ満員でした。

DVDも出てるので買って観ることもできるんだけど、これは
映画館まで足を運んで正解だった。
なんていうか、当然AVなカットもあって、館内が重ーい空気に
なっちゃうかなと思ったけど、そんなこともなく、逆に笑いがある。

映画館でみんなでAV観て、おかしくて笑ってる。
こんな光景、後にも先にも出会うことないだろうな。


内容としては、part1は女優を在日三世、part2は男優を在日2世で
キャスティングして、旅あり、インタビューあり、ラブホあり、という
ロードムービー風AV。


やっぱり中心は在日の問題で、かなり語らせてるんだけど、
その話自体より、話し手の反応やしぐさをちゃんと切り取っている
ところが、すごくよかった。

例えば、花岡じった(part2の男優)が、だんだん素になって、爪を
噛み始めるところとか。
#このシーンはトークショウでも園子温がコメントしてた


逆にちょっと気になったのは、「ちゃんとしすぎてる」部分。


車の中から、夜の雨の街を数分長回しで撮った絵があって、
映画観てるときは「ん? この映像なんで必要なの?」と思った。

園子温も「あれは何で?」と聞いてて、それに対する松江の答えは
「ロードムービーな感じを出したいと思って」。

『こんな感じを出したいときはこの映像』みたいな紋切り型の引き出しって
なるべく使ってほしくない。意図的ならいいけど、無意識にやってしまうと
ホントどこにでもある、ありきたりな映画になってしまうと思うのです。


8mフィルムで撮った風景を差し込むのも、同じようにありきたりな感じになる。


両者とも、ちゃんとした映画っぽくなる映像・手法だから、分かるんだけど、
でも、ドキュメンタリーに「ちゃんとした感じ」とかはいらないんじゃないかな。


森達也の夜の映画学校

2006-06-14 23:55:19 | 本:その他

ドキュメンタリー映画を主に撮っている森達也の対談集

いきなり脱線しますが、この人の年代(1955年生まれあたり)の自主映画畑
メンバーはかなり強力です。

で、この年代でどうしても避けては通れないのが、立教出身の監督。
黒沢清、周防正行、青山真治、etc... ざくざく出てきます。
いまや日本映画界を代表するような人たちばかりですね。

自分の中では「頭脳派・理論派」って感じのこれら監督、要は、
蓮実重彦の講義を受けてた人たちです。

 ※蓮実重彦:
 元東大総長で、ニューアカトリオの一人。東大の先生だけど
 長い間、立教で 映画論を教えていた。
 本職はフローベール研究らしいけど  映画・小説評論でしか
 名前聞かない。

黒沢清、周防正行は、自分の世界を作ってるけど、青山真治は
もろに蓮実重彦の影響受けっぱなしの映像です。
「Helpless」を観たたときは、数分で、「うわー...。こりゃ喜ぶわ。」といった
感想でした。 (最近のは観てないからわかんないけど)

ちなみに小説家で影響をがっつりうけてるのが安部和重ですが、
この人も、映画評だと、蓮実重彦と間違えるぐらいの似た文章書きます。

そして、そんな自分そっくりさんを手放しで褒める批評家って...。
こんなムラ社会で生産される表現に興味は持てません。


と、ほうっておくとこの話は尽きそうにないので、この辺で脱線は
終わらせて、本題は後日。


4コマ哲学教室

2006-06-12 03:09:38 | 本:その他

相原コージの「漫歌」生きる意味シリーズ+テキストという形の
4コマ哲学教室


正直、テキストはほとんどいらんです。
哲学に関して「要はこういうことですよ」っていう入門書は
全く訳にたたん。
『要は』って括った時点で、別物です。
小説を『要は~』って2ページぐらいで説明されたところで、
まったく意味がないのと同じ。

この人、サルトル、ヘーゲルあたりは得意なようだけど、
ハイデガー、ニーチェ、ポストモダンのあたりは、まったく
説明になってないし。


相原コージの「漫歌」は、もう、おもしろすぎる。

生きる意味を悩みまくる「浩」と、食われるために生きてる「ブタ公」の
禅問答みたいな4コマ漫画なんですが、未だにこういった題材で
漫画を描き続けることができるのがスゴイ。

絵の空気は「ブタ公:かってにシロクマ、浩:コージ苑」といった感じ。


ちなみに、巻末宣伝の「反社会学講座」もおもしろいです。
Web上のしか読んだこと無いけど↓

http://mazzan.at.infoseek.co.jp/


競争の戦略

2006-06-12 02:30:47 | 本:ビジネス

最近、体調崩すことはほとんどなかったのですが、
久しぶりに風邪ひきました。

この時期の風邪は、体が熱かったり逆に悪寒がしたり
もう大変でした。

で、寝続けたおかげで体調は戻ったんだけど、今、とりあえず
全然眠くない、全く。寝すぎた。


眠れないので、久しぶりにBlog更新です。


今回の本は、実はゴールデンウィークから読んではいたんだけど、
大著なので、さっきようやく終わりました。

経営戦略といえばまず挙げられるマイケル・E・ポーターのこの本。
ビジネス系書籍の古典みたいな本です。

目次は、以下のパート分けを筆頭に、ぎっちり分類分けされてます。
この時点で、「敷居高いなー」って印象。
 パートⅠ:競争戦略のための分析技法
 パートⅡ:業界環境のタイプ別競争戦略
 パートⅢ:戦略デシジョンのタイプ


ポーターといえば、「5つの力」モデルでしょう!と気合を入れて
読み始めたんですが、ある意味いきなり肩透かし。
1章の2ページ目でいきなり「5つの力」モデルの図が出てきます。
鮨屋入ってお任せでお願いしたら、いきなり大トロ出されたようなもんです。

ポーターにはもうひとつ「3つの基本戦略」というのもあるんですが、
パートⅠは「5つの力」と「3つの基本戦略」をいろんな角度から
ひたすら分析しまくります。
最近のビジネス書と違って、事例も少ないので、読むのはかなりハード。

正直、1回読んだだけじゃ、全体像は把握できませんでした。
「ものすごく広く、かつそれなりに深く」分析してるので、要素が
多すぎてちょっとついていけない。


パートⅡ、Ⅲはそれなりに「ふむふむ」といった感じで読めました。
Ⅰに比べると具体的な話になるので。


結論としては、これは無理して読まなくてもよかった。
巷にあるMBA系の読み物で、戦略論の章があれば必ず「5つの力」は
概要説明があるので、それで最低限は理解できる。
本著を読まないとエッセンスが分からないってことはない。