夜明け前午前5時

徹夜明けの思いつきレベルな発想を、推敲なしでお届け

From summit to plummet

2012-02-19 22:10:12 | The Economist
The Economistのこの記事"From summit to plummet"はJP Pressでいずれ訳文掲載されると思うので、
訳はそっちにおまかせしちゃいますが、しみじみ読んでしまいました。

日本家電メーカーの株ががっつり下がっているのはみなさんご存知(?)ですが、ソニーとパナのレーティングが
BBB-に下がって、ジャンク(※)扱い一歩前という事実を突きつけられると、やっぱり凹みます。
※ググってみたら正確には"Non-investment grade"ですが、「投資に値しない」ってことは要はジャンク。

記事ではNECを例に、なんでこんなにグダグダになったかをかなり手厳しく説明していますが、
NECは事業分野がある範囲に集中しているので凋落度合いが大きかっただけで、
どのメーカーにも身に覚えがある話です。


どうやったら勝ち続けられるのかを体系化するのは難しいです。
ブルーオーシャン戦略で必ず取り上げられる任天堂の「Wii」ですが、今任天堂はかなり苦しんでいるわけですし。
「Wii」誕生時と今で、任天堂の経営陣のメンツは特に変わってません。

でも、この記事で指摘されていることは、「こんな事してたらダメになるのは当たり前」というレベルなので、
全体としてはご指摘ごもっとも、な話。

Sandwiched

2008-08-12 00:26:35 | The Economist
先々週末はRock in Japan Fes 2008(3日間フル参戦)、
先週末は毎年恒例のビーチバレー、
すでに夏休み前に燃え尽きてしまいました。

今年は久しぶりに会社の暦通りの夏休みです。
オリンピックもあるので、激・引きこもり予定。

これまで外遊びが多くて異様に色が黒くなってますが、
元々、基本はインドア派なのです。
今日も美容院で「え…、インドア派…ですか…?」と
笑われましたが。

さて、The Economistと言えば、一番有名なのが
毎年恒例の「ビッグマック・インデックス」。
新聞名を知らなくても、この指数は有名ですね。

購買力平価(PPP)をパロった話なのですが、えらいのは
毎年取り上げてる話なのに「PPPとは何ぞや」ってとこの
イメージをきちんと説明しているところ。
ちまたの経済誌は経済用語連発しまくってるだけで
意外と何も伝えてないこと多いです

ちなみにPPPは
「おなじものは世界のどこでも同じ価値を持つ」
を前提にした為替レートの考え方。
例えば、現在の日本のビッグマック指数はこんな感じです。
・アメリカでビッグマックを買うと、現在一個3.57ドルで
・一方日本だとビッグマック一個で290円。
⇒ビッグマックを基準に考えた円/ドルレート(=PPP)は
 290円÷3.57(ドル)=81.2円/ドル になります。

現在の為替レートは109.95円/ドルなので、
ビッグマック指数から見ると円はかなり割安ってことです。

PPPはだいぶ荒っぽい考え方ですが、でも貿易とか為替を
イメージする上でまずはここからですね。

ちなみに北欧だとビッグマックは激高です。
ドルレートでノルウェーだと7.88ドル。ひえーっ。

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The Big Mac Index "Sandwiched"
~ヨーロッパの通貨は割高だけどアジアは激安、とバーガーノミクスは言ってます~
The Economist July 24th 2008


昨夏から始まった金融危機以来、株価・債券・金・そしてその他投資資産はあちこちで崩壊してます。通貨は振り回されてもいます。このメッタ打ち状態はいくらかでも根本的な評価額に近いものをもたらしたでしょうか?為替レートに対する我々のお気楽な指針:ビッグマック指数以外で。多くの通貨は、去年の2007年7月に我々がハンバーガー価格を比較した時より調子が悪いようです。

ビッグマック指数は、購買力平価(Purchasing-power parity(PPP))理論に基づいています。これは、各国間で財の一バスケットにおいて価格が同じになるよう通貨レートは変動するという考え方です。我々のバスケットにはちょうど一つのアイテム、まさにこれは世界中で販売されている商品、ビッグマックハンバーガーが含まれています。ビッグマックのコストがドル換算でどこでも同じとしたときの為替レートが我々の評価額基準です。

ビッグマックPPPに近い通貨はほんの一部です。7つの通貨が連邦準備銀行(FRB)の主要通貨指数を構成しているんですが、うち1つ(オーストラリアドル)だけが、その評価額の10%内でした。残りの大部分は高いんです。ユーロは50%も過大評価です。英国ポンド・スウェーデンクローナ・スイスフラン・カナダドル、これらもバーガーベンチマークを超えた取引になってます。一年前よりも、ドルに対して全てがより過大な評価です。日本円だけが27%の過小評価でして、これはお買い得と見なせるんではないかと。

ドルは、アジアの大部分においては、まだまだハンバーガーをたくさん買うことができます。シンガポールドルは18%、韓国ウォンは12%の過小評価です。あまり裕福ではないアジア諸国、インドネシアやマレーシアやタイといった国々の通貨も割安です。中国の通貨は最も過小評価されているうちの一つで、まぁ一年前よりはほんの少しましにはなってますけど。

中国バッシングの極端なタイプとして、中国元はバーガー標準に近づけるため通貨切り上げすべきだと結論付けがちです。でも、ファーストフード価格から確実な結論を導きだすには注意深さが必要となります。 PPP測定は、通貨が最終的には長期間継続すべきであるということを示しています。価格の変動は、国境を超えた貿易での材料費によるものと同様に、貧困国の方が安価な、現地でのコストや家賃・賃金といったものによって発生します。これら理由により、PPPは収入が同程度の経済における通貨に対して、より信頼性のある比較方法となるのです。

これら全ての警告に対して、より洗練された分析は、我々が導いたものとだいたい同様の結論をもたらしています。IMFのナンバー2、ジョン・リプスキーは今週、次のように述べています。ユーロは、ファンドの中期評価ベンチマークを上回っている、と。中国の通貨についてはIMFの見解として「大幅に過小評価」。ドルは二つの板挟み状態です。2002年以来のドル価値大幅下落は中期の均衡水準になりつつある、とリプスキー氏は述べています。

もしこれら判断が正しいのであれば、金融危機によってかき回された騒動は、少なくともある通貨ー世界の積み立て通貨ーを公正価格に近づくよう動かします。不思議なことにこの危機は、貪欲な投資家に好まれる2つの通貨:ブラジルレアルとトルコリラ、に関しては信用を揺るがしてはいません。これら2つの通貨は、それらのビッグマックPPPを超えて、新興国市場通貨として際立っています。両通貨は高利率です。トルコ中央銀行は最近、金利水準を16.75%に上げ、ブラジルは7月23日に基準金利を13%に上げました。これら利率はリスクを負う意思がある者に対してはうまみのある収益を提供します。こういったバリューセットについての探索はほかの所で調べてくださいね。


Yabba dabba do

2008-07-28 00:02:02 | The Economist
今月の週末はなにかと用事があって、「週一ペースで」のはずが
早くもぐだぐだと時間が過ぎてしまいました。

本当はいろいろいい記事があったのですよ。アルカイダ特集とか。
そもそもアルカイダ・ハマス・ヒズボラの理解がぐちゃぐちゃだったので、
非常にすっきりしました。

今回の記事と同じページにはWIMAXとLTEの戦いとかも大きく
取り上げられてはいたんですが、こっちは特に目新しい内容では
なかったので、選ぶのは止めました。

で、今回取り上げた内容ですが、思ったことは2つ。


「たぶんこのビジネスモデルが成立するのは限定的」

アフリカは、かなりの国の政府において、自分の利益(これは国という
意味じゃなくて、役人自らの利益)にならないことは全くといって
いいほど投資しないで、ひたすら汚職に励みます。
なので、ちょっとした地元の投資家が自腹でネットワーク構築できる
激安システムといのは、かなりいい視点。

でも、それなりに初期投資できるのであれば、一般的なシステムを
置いちゃう方が後々考えるとお得。
簡易システムは役に立たなくなる日がすぐきちゃうので。

これは初期段階で国がお金出してあげればそんなに難しい事ではなくて、
アジア圏はどこに行ってもだいたいGSM圏内です。
で、かなりの途上国でも、若い奴らはGSM携帯を持っているか、
もしくはみんな「欲しい!」と思ってます。


「アフリカの電話事情(というか経済事情)ってかなりひどい」

南アフリカはアフリカ大陸総生産の4割を占めるほどの経済大国で、
ヨハネスブルグはその最大都市です。
その都市近郊で、こういったシステムがうまく機能してしまうという
事実に驚きました。

アフリカの状況は、手始めにこの本をとっかかりにしています。

アフリカ苦悩する大陸
ロバート・ゲスト
東洋経済新報社

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読んで分かったのは、アフリカのほとんど国では、
ちょっと救いようの無いほどのぐだぐだ政府ぶりでして、
その中では南アフリカはだいぶましなほうだと思ってました。

今、ググってみましたが一人当たりGDPは一万ドル超えてます。
この経済レベルで普通の携帯が持てないっていうのはかなり異常です。

GSM網は間違いなくあるはずなので、低所得者にとっては料金が
払えないということなんでしょう。

思った以上に格差がひどいみたいです。

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Low-cost telecoms "Yabba dabba do"
~ローカル電話網の構築法~
The Economist July 17th 2008

デジタルテクノロジーは予測不可能ですが、いくつかの基本的なパターンに従っています。イノベーションは急速にコモディティ化する、アービトラージ取引可能である、そしてより分散システムになっていくという点です。これら3つ全てを繋げたのが、南アフリカで始まった"village telco"と呼ばれるアイデアの先駆けである、Dabbaのレシピです。これは多くの人々に、より手頃な価格で電話を提供することができます。

1つ目として、Dabbaの設立者であり社会福祉志向の起業家であるラエル・リスースは、ワイヤレスネットワークを構築できると判断した中で最も安いテクノロジーを使っています。再プログラミングされたWi-Fiルータが基地局の役目をしていて、オープンソースソフトウェアがネットワークに織り込まれています。安価なWi-Fi端末で通話可能です。Dabbaは最初にネットワークを構築したヨハネスブルグ近郊、オレンジファーム区の人々に無料市内通話を提供しています。

2つ目、リスース氏はアービトラージ取引をビジネスモデルの基盤としてます。南アフリカのあいまいな通信規定でもきちんと利益を得るために、彼はローカルネットワークを国レベルのネットワークに接続しています。Dabbaは接続料を一括購入し、それをカードによる即金払いという形で小売りします。なぜなら南アフリカの電話料金は高いため、Dabbaにとっては他の通信事業者から安く入札すれば利益を得るのは容易なのです。これなら、契約者がDabbaネットワーク外から電話を受けた時の手数料も稼げますし。

3つ目、リスース氏は彼の会社を他の"village telcos"のモデルにしたいと考えており、テクノロジーを適用しています。彼の希望としては、地元の起業家達が彼ら自らのネットワークを構築し、公衆電話システムのゲートウェイとしてDabbaを使ってくれることです。彼はネットワーク機器メーカーのシスコと協力して、トレーニングクラスを提供しています。このアイデアはちょっとしたインターネットのような分散ネットワークを生み出します。"ワイヤレスネットワークは従来、トップダウン型で生み出されてきたけど、我々はボトムアップでやりたいんだ"とリスース氏は説明します。

今のところ、オレンジファーム区では50の電話機がDabbaのネットワークに接続されている程度です。この会社は今は、モデルが契約者にとって魅力的であり、他のところでも同様にできることを証明しなければいけません。2つの組織が支援を約束しています。Hasso Plattner Venturesというアフリカ系ファンドとドイツのベンチャーキャピタルは投資を行っています。そしてShuttleworth Foundationというちょっと変わった南アフリカの慈善団体は、このテクノロジーをより使いやすくするために資金提供しています。"もしこのコンセプトが軌道に乗れば、villege telcosは富裕国にも現れると思う"とリスース氏は言ってます。

Too hot or too cold?

2008-07-07 01:31:20 | The Economist
沖縄に行ったりして(写真はそのときの海)、ずいぶん遊んでました。
ようやく休日気分も抜けてきたので、残念ながらいつもの生活に戻ります。

あ、自分は国内旅行ほとんどしないんですけど、沖縄はよかったですよー。
あんなに海がきれいだとは。
いつか、離島をぶらぶらめぐる旅したいです。


さて、今回は経済ネタです。
だいぶ前にマンキューの教科書読んで以降、頭からするすると情報が漏れているので
正直何言ってるのか分かんないところもあります。

でも、今の世界経済は微妙なバランスで成り立っているのがよくわかる記事かと。
リバタリアン的な「小さな政府」って、今はちょっとダメな気がする。
それなりに中央銀行が舵取りしないと、バブルか不景気のどっちかしかないような
世界になっちゃいます。
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Global Market "Too hot or too cold?"
~ 投資家は成長願望とインフレ懸念の板挟みになっています~
The Economist June 14th 2008

哀れなグローバルサックスは突然元気がなくなりました。経済状態が、赤ちゃん子グマのポリッジのように”頃合"ー高成長と低インフレーとなってから5年後には、急速にダメになりました。そして中央銀行が激しく反応し始めるにつれて投資家たちはおびえています。

2008年当初、ほとんどの投資家は、信用危機の長引く影響は金利の低下もしくは最悪の場合でも維持に向かう、とみなしていました。しかしこの一週間以降、連邦準備銀行(FED)・ヨーロッパ中央銀行(ECB)・イングランド銀行においては、マーケットは金利の多くを年内は押し上げています。これらは国債市場の短期的な混乱に起因しており、収益を急激に押し上げています。

問題はインフレです。各中央銀行は、急騰する原油と食糧価格が、単に一時的なものであり上昇する賃金といったような副次的効果の結果ではない、ということを期待しています。しかし彼らが知っているように、上昇するインフレ期待は、以前からはっきりしてますが、消し去るのは困難です。だから彼らは、できるかぎり強力に言い続けるんです。

トリッキーなトリシェ:
これはちゃんと調整されたものではありません。6/3にFED長官のベン・バーナンキはドルについて言及しました、通貨の下落はインフレ圧力を加速する、と。しかし6/5にECB総裁のジャン=クロード・トリシェはユーロ圏の利率はすぐに上昇するとの強い見解を示し、これによりユーロは激しく上昇しました。ソシエテ・ジェネラルのストラテジスト、アルバート・エドワーズはこう言います:「バーナンキがドル支持しサイドラインに後退したわずか2日後、彼はトリシェのブーツからスタッドマークを自分の胸に受け取ったのです」(訳注:「トリシェから蹴りを入れられた」という意味???)

中央銀行のゴタゴタはまだまだあります。6/6には、アメリカの失業率の予想外な上昇と、11ドルという原油価格上昇がありましたーこれは共にインフレ上昇と成長率低下を招きます。ダウ・ジョーンズ平均は1日で400ポイント近く下落しました。

投資家たちは中央銀行を恐れています、インフレ抑制しようとする熱意は、経済成長に深刻なダメージをもたらすからです。金融部門の問題はまだままだ続き、リーマンブラザーズでは第二四半期で28億ドルの損失を出しています。株価は今週も投資家がバランスシートとビジネスモデルについて懸念をもっているため下落し続けています。

まだ債券のデフォルトはほとんど発生していませんが、JPモルガンのクレジットストラテジストであるステファン・デュレイクは、投資家達は問題を見いだしつつあると考えています。今年、法人向けローン市場で既に26のデフォルトが発生しています。信用格差(リスキーな借り手に対する超過金利)は3月中旬と5月中旬に急下降しましたが、再び急上昇しています。

一方、家の値段はアメリカとイギリスで下落しています。消費者は、彼らの財産に与えるインパクトと、高騰する燃料・食品価格が財布に与える影響に立ち向かうべく奮闘していますが、金利の上昇は消費者をさらに追い込んでいます。世界経済では、さらに悪いニュースが6月11日にありました:オーストラリアの消費者信頼感指数とニュージーランドの住宅販売が16年ぶりの低水準だと。

先進国だけがインフレと成長を均衡させるという課題を持っているわけではありません。中国では、中央銀行が貸し付けに対する銀行準備量を上昇設定させ、インフレ抑制の努力をし、結果として株価は6月12日まで七日間下落しました。インフレ懸念からインドの中央銀行も一年以上もの間上げなかった利率を初めて上げました。

要するに、グローバル経済はここ12ヶ月の間に2つのショックを受けてきたわけですー信用危機と高騰する商品価格。これらショックは、経済だけでなく金融政策についても、その将来展望を不確実なものにしてしまいます。そして不確実性は投資家を不安にさせ、マーケットが下落リスク有りとみなしてから長い期間経っているというのもその原因を担ってます。ゴールドマンサックスのストラテジスト、ペーター・オッペンハイマーは言います「近年、世界はコストなしでグローバリゼーションから利益を得てきた。新興市場は成長し、先進国はインフレにふたをし続けてこれた。」

しかし高騰する商品価格はゼロサムゲームなのです;毎冬、敗者が生まれます。これら敗者の多くは企業側です。利益幅はある大企業では史上最高値を示していますが、この理由の多くは労働者コストをコントロールする事に成功しているためです。しかし高騰する原料価格は中小企業にとっては問題となります。これらコストは(消費者に)転嫁され、消費者需要が低迷するだけでなく、中央銀行は利率を上げるでしょう。結果として、大企業の利益幅も下がる事になります。

今年初めにアナリスト達は2008年のヨーロッパ企業に対して15%の利益成長を見込んでいました。これは4%に下方修正され、この修正の多くは金融業の問題によるものです。しかしゴールドマンサックスは、アナリスト達はまだ楽観的すぎると考えています;ゴールドマンサックスは、今年の収入は12%も下落すると予測しています。高い利率と低い利益率を考えると、今年の間に株式市場を跳躍させることはまず難しいでしょう。

通貨市場も一触即発です。Fedは対ユーロ・円に対してドル高方針、新興アジア通貨に対してはドル安方針です。しかし、世界中の中央銀行がインフレと成長のトレードオフに取り組んでいる中で、その方針を達成するのは難しいでしょう。アメリカの利率がほとんどの国(日本を除いて)より下がって以来、ドル利回りは今後も魅力がないですし。カナダ銀行は、安定確保のため今週利率を下げると考えられています。

そして、どの政府も、債券市場も不安があるでしょう。アナリスト達は最近の動きのいくつかに頭をかいています。「もし我々があなたに、ここ30年で失業率が最も上昇した後の金曜日にダウは400ポイント下がりましたと言ったら、あなたは2年満期の中期国債を買ったり売ったりしますか?」とUBSのストラテジスト、ウィリアム・オドネルは尋ねます。普通の反応なら「買い」です、でも投資家たちは売りました。高い短期金利予想が安全な退避所としての債券に勝ったのです。

10年というレベルでは、投資家は消費者物価指数の3.9%に対して米国長期債の4.9%という受け取りに期待しています。でももしアメリカ経済が景気後退に落ち込んだら、10年債はもっと下がります。2003年の6月には3.1%だったんですから。

だから、ゴルディロックス(※)のいない世界は、投資家には厳しい世界なんです。熊がポリッジを食べたり森の中を散歩するような場所はないのです。熊が朝食で少女を食べちゃうような場所なのです。

訳注:
※:イギリスの童話「ゴルディロックスと3匹のくま」の主人公で金髪の女の子の名前。
どんな童話か全く知りませんが「Goldilocks economy」で「インフレなき成長を維持する絶好調な経済」を意味するらしいです。『めでたしめでたし』な童話なんでしょうか?

Only a few green shoots

2008-06-15 23:44:37 | The Economist
最近は食糧問題が盛り上がってるので
そういった記事を取り上げてみました。

しかーし…、

下読みせず、記事の短さだけで選んだのが大失敗でした。
む、難しすぎる。

ということで、今回はかなりすっ飛ばしてます。
意味もけっこう取り違えていること間違いなし。
だいぶ直したけど未だボロボロな日本語だらけだし。

ここまで苦労した割には、内容は既報道と対して変わらないです。
サミットに関する記事なので公式発表が中心となる訳で、
当然それほど違いがでるわけもなく…。

話の構図としては、貿易問題での「先進国vs途上国」と
まぁ、まったく同じですね。先進国のエゴはほんとすごい。

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The world food summit "Only a few green shoots"
~ いくつか出たアイデアは(お金はあまりにも足りないですけど…)グローバルな会合の成果でした~
The Economist June 5th 2008

国連のボス達は、焦点を当てた事柄についてはいくらか分別はあります。前の事務総長だったコフィ・アナンの場合、大きな問題は平和維持と貧困国での紛争でした。新事務総長、潘基文の場合は、環境と天然資源でしょう。昨年、気候変化についてのバリ宣言で彼は影響力を示しました。今年初めには水に関して警告を発し、今は食料についての共同行動を求めています。

今週、潘と国連食料農業機関の後援で40以上の政府首脳がローマに集まり、世界の農業に関する悲惨な状況とその対応について話し合いました。多くの援助国・政府は既に対応を始めています。 理論的にはこのサミットはもっといろいろすることはできたのです、というのはこの世代で初めての食料価格急騰でしたから。何かが世界の農業にすごく悪影響を与えていて変える必要があるということを、みんなが思ってます。でも、どれだけの新しい洞察を、この懇親会に加えればいいんでしょう?

政府から資金提供をうけワシントンに拠点を置く研究グループ:国際食糧政策研究所(IFPRI)の所長であるJoachim von Braunによると、国際的な行動は5つに注力すべきだ、と。ローマサミットではそのうち2~3で進展がありました。

一つ目は食糧援助。今年初めに、緊急援助を拠出する中心的な機関である世界食糧計画(WFP)が非常ボタンを押しました。穀物の高騰でお金の底がついた、と。サミットでは、12億ドルの特別食糧援助を発表しましたが、これは会議前に5億ドルの提供をしたサウジアラビアによるところが大きいです。オイルマネーであふれているこの国からの寄付は、ほとんどWFP以外では注目されてきませんでしたが、これは異例の内容です。”新たなお金”についての最も大きな発表は、結局のところ昔に約束した内容の焼き直しなだけでしたから。だからこの(=サウジの)貢献はまさに新しくて大きな違いとなります。

次は、バイオ燃料。会議ではバイオ燃料政策を合理的に考えることができました。いくつかのNGOは、穀物価格を20%下げる効果があるとして、エタノール生産の一時停止を求めています。国連の官僚やいくつかの食品系大企業は、トウモロコシを原料としたエタノール生産に対する国際規制などで、食糧問題をいくらか緩和できると言っています。バイオ燃料はアイデアとしては素晴らしいけど、助成金・関税・生産目標の交錯に見舞われると論じる人もいます。サミットではそれらについて進展はありませんでした。サミット直前に、アメリカの農業長官ED Schaferは、エタノールは世界の食糧価格上昇に対して2-3%しか寄与していないと主張しましたー異論(IFRPIは30%と言ってます)もあり、とりかえしがつかずどうしようもないぐらい、バイオ燃料については意見が分かれています。

三つ目として、食糧援助を超えて、農民のインセンティブを増やし価格を下げるためのいくつか短期処置が会議で考えだされました。最も明確な処置としては輸出禁止の削減です。40程度の食糧輸出国では、税金・割当・一律禁止といった貿易規制のたぐいを課しています。IFPRIの研究では、これらの国の規制排除により穀類価格を平均30%下がると算出しています。サミットでも首脳に近隣諸国を困窮させるようなことはしないよう説得しています、隣国の不満はまさに直面しているのですから。

しかし、ローマ会議ではこの狙いは達成されませんでした。ベトナム・カンボジア・インドは米の輸出再開を約束し、大輸入国である日本は、政府管理下の食糧備蓄米5年分を放出すると発表しました。一方でエジプトは米の輸出禁止を一年延長し、つまりは明らかな改善はみられませんでした

この状況は、この分野での一致団結したアクションを得るということが基本的には難しいということを示しています:各国の関心は全く異なるんです。途上国は輸入国だったり輸出国だったりします。ボツワナや南アフリカは消費者物価指数(CPI)の1/5を食料が占めていて、一方スリランカやバングラディシュでは2/3を占めます。ほとんどの貧困国は食糧高騰の犠牲国か受益国である一方、中国とインドはその原因だとも見なされています。
ノーベル賞受賞者であり飢饉の政治に関する作家でもあるアマルティア・センは、 需要増大(例えばアジアのミドルクラスで)と衰えない生産性が、現在抱える危機の主な理由だと述べています。

サミットでバイオ燃料・輸出禁止・社会的セーフティネット ( これは議論するのが難しいですが)についてほとんど何も決まらなかったのは特に驚くことではありません。どんな場合でも、多くの発言者が議論するときは、短期処置の重要性は限定されるのです。国際農業開発基金の代表であるLennart Bage曰く、"根本的な問題は農業に関する生産性成長が減少していることである。これを逆転させない限り、数年後にはまた同じ状況になるだろう"

長期の国際的行動は、各々の会議の範囲を超えます。農業に関する世界貿易協定がおそらく必要です。例えば長期ビジョンといったような。しかし、ローマ会議では長期的なゴール作りの開始が決まりました:第二期緑の革命です。食糧供給について2030年までに50%増が必要と潘は述べています。
各国は、新種研究や用水路灌漑、小規模農家への肥料の普及といったことに対して資金提供として多くの公約を発表しており、また、少なくとも準備をしています(種・灌漑・肥料は1960年代に起こった第一期緑の革命の主要要素です)。これら公約はローマサミットの主な成果と言えるでしょう。二週間前には、"種/肥料"という言葉は裕福な国の政府からはほとんど聞かれなかったですから。突然、開発の虫たちによるかつての執念が社会政策の領域を突破したのです。

またできるのか?:
第二期緑の革命は、第一期よりも達成が困難だという議論もあります。遺伝子組み換え作物は新種の頼みの綱ですがヨーロッパはそれに断固反対だし、アフリカで灌漑を大きく広げるには水が足りないし、1バレル125ドルにもなった石油は肥料を高騰させているし。でもそれはあまりにも悲観的です。Bageは、30年以上にわたり農業への投資はあまりに減少してきた、それだけが確実に言えることだと指摘しています。この減少を逆転させることができる有益性をまえもって除外するにはちょっと早い。

ただし、農業には投資が必要という小規模農家の要求と、実際に供給されるものは、別問題なんです。過去三ヶ月の間、金銭的な公約は急増し、2つの機関-国連の機関である世界銀行とIFAD-は主な有望貸し手として浮かび上がっています。

あいにく、世界銀行が約束した”新た”な12億ドルものお金とアジア・ラテンアメリカ開発銀行からの5億ドルは、本当の追加分じゃないんです、とイギリス海外開発機構のSimon Maxwellは言います。他のプログラムからの流用であり、借金をして借金を返すという心配を増大させてます。さらに、いわゆる新規投資ですら十分ではないんです。数千万ドル、これは数種類の新種開発としては十分な金額ですが、潘が緑の革命に必要としている150~200億/年からは程遠い。農業の向上に対する潘の努力は賞賛に値するし意欲的です。平和維持を推進したアナンの努力と同じように。

halfway there

2008-06-08 23:22:11 | The Economist
ということで、さっそく今週分です。

以下、半分仕事モードですが、途上国開発って意味では個人的関心の内容でもあり…。


途上国へ適用する通信システムは、いわゆる「キャリア・グレード」じゃ
コスト高すぎてダメなのは分かるけど、じゃ、どうすりゃいいんだろうと
思ってました。

それが、記事に出てくるNSNの"Village Connection"をチェックしてみて、
「あぁ、こういう関わり方があるんだ!」って目からウロコでした。

Village Connection white paper

このプロジェクト自体は、正直うまくいくかどうか、かなり微妙。
慈善事業な空気があって、利益出すところに軸足がないのがまず×。
数字が全く掲載されていないので、最低どの程度の規模が必要なのかとか
全然分からないし。

でも、通信インフラで「主体は現地の人だぜ」っていうビジネスモデルを
成立させちゃう発想にとにかく驚きました。
根っこにあるイメージとしてはマイクロクレジットと同じなんだろうな。
”施し”をするっていう発想から抜け出してます。

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Mobile Telecoms「halfway there」
~世界の再貧困層に携帯電話を普及させる方法~
The Economist May 31st 2008

ここ数ヶ月で携帯電話のユーザーは33億人を超えることになり、これは世界人口の半分に相当します。世界でこれほど急速に広まった技術は他にありません:携帯電話は20年もしないでこれだけ浸透したんです。でも、止まることのない携帯業界は、もう半分も取り込むことを既に視野に入れています。最近、2つのレポートが、加入者として”次の10億人”を加える方法を分析しています。

具体的には、途上国で携帯電話を人々に手頃な価格で提供する方法を意味していて、というのは途上国のほとんどの人たちは、すでに電話はあるからなんです。携帯電話加入者になるのに最も大きな障壁は、マーケット調査会社:Portio Researchのレポートによると、携帯電話端末の値段です。だから業界は価格を下げることに最も注力していて、Motorola(経営難に陥っているアメリカの端末機器メーカー)が先導してます。最も安い端末のコストは$30以下です。PortioのJohn Whiteは、シンプルにして音声通話だけとかならこれから5年で$10まで下げられると考えています。

でも、手頃な端末というのは全体像のほんの一部です。途上国のオペレーターは、地方のお客をつかむためにいろいろ考えてます。バングラデシュの農村では、"テレフォンレディ"が、1回の通話毎に端末を貸し出しています。世界で最も加入者を有するチャイナモバイルでは、通常通話に加えて、田舎の顧客に農業情報サービスを提供しています。フィリピンのオペレータ、スマートコミュニケーションズは、$1.80/100メッセージという安価な文字メッセージや、”電話友達”に対する$0.03/分の通話といったサービスを提供しています。

オペレーターがこんな低価格で利益を出すために、ネットワークインフラは、導入・運用が共に安くなきゃいけません。端末同様、基地局の技術革新も促進されます。オペレーターはコスト削減のため、ネットワークインフラの共有化を見いだしています。機器メーカーは、特に途上国向けに、小さく低価格な基地局を開発しています。

新しいビジネスモデルもいくつかあって、例えば、地元の起業家に基地局や提供サービスの運用を行わせ、それは料金徴収や端末保守まで含んだものとなっています。これは、機器メーカーであるノキアシーメンスネットワークスが掲げたプロジェクト"Village Connection"によるものです。
一方、ライバル会社のエリクソンは、インドのオペレーター、アイデアセルラーと組んで、基地局の動力としてバイオ燃料を使おうとしています。

産業界は端末やサービスを安くしようと懸命になってますが、政府はコストを加え続けています、主に課税と関税で。これらはサハラ以南のアフリカで特に高いものとなっています(産業団体:GSMアソシエーションからの依頼でコンサルタント:フロンティアエコノミクスから今週刊行されたレポートより)。オペレータ収益に対する平均課税率は30%です。携帯電話産業平均としてGDPの4%を占めていますが、国家歳入では7%に寄与しています。

この高課税の説明は簡単です:政府はどっかから課税しなきゃならない。そして、オペレーターの料金徴収システムが大変な仕事を全部やってくれるので携帯電話は簡単な標的となります。でも、携帯電話をキャッシュカウ(※1)とみなすのは近視眼だぜ、と、GSMアソシエーションのGabriel Solomonは言っています。なぜなら移動通信に特化した課税は需要を減少させるからです。もし政府がこの課税を止めてVATだけにすれば移動体通信業界からの税収は2012年までに3%以上の増加にはなるでしょう。そして、平均普及率は33%から41%に増加するでしょう。
(研究によると、典型的な先進国において、10%の携帯電話普及率上昇は1%のGDP成長が見込まれます)

こういったたぐいの方策がなくても、世界の携帯電話普及率は2011年までに75%には達するだろうとPortioは予言しています。そう遠くない昔にヤッピー達のおもちゃだったこのデバイスは、今や最貧国を経済成長させる強力な力となっています。でも、もっと活用することはできます。ほとんどの政府は経済成長と通信の拡大に味方していると言う。移動体通信に特化した課税と関税を削減すれば、二つとも促進することができますよ。


訳注:
※1:cash cow
安定して稼ぎを出せる領域の商品のこと。「金のなる木」。
経営戦略方面の言葉で、他にスター(花形商品)、クエスチョンマーク(問題児)、ドッグ(負け犬)があります。そういや経営学って、なにかにつけ四象限に分類分けしますね。分析した気分にさせるのは確かですが…。