夜明け前午前5時

徹夜明けの思いつきレベルな発想を、推敲なしでお届け

ふつかよい

2006-02-26 21:51:43 | 本:その他

今日はひどい二日酔い。
なにもしない、というか、できない一日でした。


二日酔いのときは、なぜか鷺沢萠を思い出します。


今、自分の本棚を探して、なぜか無いんだけど、
確か「町へ出よ、キスをしよう」というエッセイ集で、二日酔いのことを
書いた話があります。
それが妙に記憶に残ってるのです。

『二日酔いの朝、ちょっと無理してでもスパークリングワインを
飲んでごらん、すっきりするから(ビールでも可)。でも、よっぽど
調子がいいときにしてね。』みたいな内容でした。

この話のミソは「スパークリングワイン」ってとこ。

「ビール」だったら、たぶんぜんぜん記憶に残らない。
「シャンパン」とか「スプマンテ」とかだと、ちょっとスノッブすぎて
鼻につく。

20代一人暮らしの冷蔵庫にスパークリングワインが冷やしてある
状況も、まあ、かなり特殊といえば特殊だけれど、スタイリッシュで
あろうというがんばりというか、そんなところに好感が持てるのです。


cowbooks

2006-02-23 23:24:49 | 本:その他

今読んでいる本は、もうちょっと時間がかかりそうで、
早くもここに書くネタがありません。

というわけで、よく行く本屋の話でもします。


cowbooks」。中目黒にある古本屋さんです。

・合コンで趣味を聞かれ、3番目ぐらいに「本読むのも好きかな」
・かばんの中には読みかけの本がだいたいある
・友達の家に行くと、さりげなく本棚をチェックしてしまう

といったレベルの本好きにはジャストミートです。


そんなに広くはないのですが、とにかく壁の両側にある本棚の中身がすばらしいです。
どの本もきちっと選ばれてそこに並んでることがビシビシ伝わってきます。
理想の本棚って感じ。眺めてるだけで幸せになる。

選ばれる本も、「聞いたことはあるけど読んでなくて、ちょっと気になっていた」
というレベルが勢ぞろいです。

 アメリカ:ヴォネガット、ブローティガン、バロウズ、ギンズバーグ、ケルアック、etc
 ラテンアメリカ:ガルシア・マルケス、ボルヘス、etc
 日本:内田百聞、藤枝静男、稲垣足穂、etc

どう? 気になるでしょう? 「アメリカ」って分類はあまりに雑ですけど。
読書家な人なら「そんなの当然抑えてるよ」でしょうが、ふつうの本好きだと、
このあたり、読めてないのも多いですよね。
ブローティガン、ヴォネガットあたりは超メジャーですが、少なくとも私は
特に海外文学には疎かったので、「これ、気になってたんだよ~」という感じで
手に取っています。

月1ぐらいのペースで行くと、それなりに本が入れ替わっていて、なかなか楽しい。


古本ですが、正直、安くはありません。
でも、本棚をじっくり眺めて、気になる本を手に取ることができるシアワセ。
「いつまでもこの本棚を眺めることができる料」としては、安いものです。


数少ない難点としては、ブローティガンは文庫化されていないものが多いですが、
これだけはなぜか初版本ばかりだということ。あまり初版本とかにはこだわらない
お店なんですが。高くてなかなか手が出ません。

といいつつ、「西瓜糖の日々」は文庫本がでてるのに初版本買っちゃいました。


翻訳夜話

2006-02-21 23:46:43 | 本:その他

このBlogを始めるきっかけとなった本です。
つまり家の本棚にあるにもかかわらずまた買ってしまった


村上春樹と、
翻訳家であり小沢健二がゼミ生でもあった(!)柴田元幸の、
翻訳に関するフォーラムを主に収録した本です。

興味の中心はどうしても村上春樹になってしまうわけですが、
他では絶対に語らないようなことを、けっこう語ってます。
自分の文体の構造についてとか、どうして『グレイト・ギャツビー』が
すばらしいのか、など。

村上春樹を好きな理由として、その文体が比重として高い人は
おすすめな本ですね。

あと、最後の方で村上が提唱(?)する「カキフライ理論」は、ほんと
うなずいちゃいました。


村上春樹をして「天才」「文句なしにすごい」と言わしめる
フィッツジェラルド。
『グレイト・ギャツビー』は2回ぐらい読んではいるのですが
(もちろん和訳)、いまだ、さっぱり良さが分かりません。

一回、死ぬ気で原書読んでみたほうがいいのかも。
同じくさっぱり分からないアーヴィングよりは短いし。


ボブ・ディラン ノー・ディレクション・ホーム

2006-02-21 00:39:34 | 映画

先週見たこの映画、とりあえず長い。
3時間30分。途中10分の休憩があります(笑)。
「オールナイトかよっ」とつっこみいれたくなるぐらい。


で、感想です。

かなりのボブディラン好きじゃないと厳しいです。

 ・昔、みうらじゅんの熱い語りに影響され一通りは聞いたことがある
 ・映画で取り上げられているウディー・ガスリーは、村上春樹の
  「意味がなければスイングはない」で読んだばかり
というかなりのプラス要素がありながら...、途中ちょっと寝ました。


ほんの数年でスターに上り詰めていくところとか、
ボブディラン自身は何も変わらないところとか、
公民権運動とフォークの関係だとか、
たしかに2時間分ぐらいはすごくいい。

でも、1時間ぐらいは削れるんではないの?スコセッシさん。


ま、基本的には、いい映画であることは間違いないです。
スコセッシの撮ったドキュメンタリーですから。

部分的な場面を言うと、ラストシーンの「ライク・ア・ローリング・ストーン」から
エンドロールへ移る流れは、ものすごく好き。
ここを観るためだけに、この映画をもう一回観てもいいぐらい。
#ラストシーン~エンドロール好きなので

でも、途中はまた30分ぐらい寝ます、きっと。


STEVIE

2006-02-19 23:44:34 | 映画

突如blogを始めてみました。

というのも、本や映画を観たら、感想とかを手帳にメモしてはいるんですが、
やたらよく忘れるのです。
今日も、すでに家の本棚にある本を再購入。今年すでに2回目。
このままではいかん。ということで始まりました。


一回目は「STEVIE」。
「フープ・ドリームス」で有名になったドキュメンタリー監督の映画です。
昨日から公開ということで、監督が来日して舞台挨拶があったのですが
混んでるとヤなので、挨拶のない回を選んでいきました。
が、ちょっとだけですが監督・プロデューサーの挨拶が上映前にありました。


この映画、実はそれほど期待してませんでした。
アメリカ人のドキュメンタリーでは、マイケル・ムーアの「ボウリング・フォー・コロンバイン」で
ほんとうにうんざりさせられたから。

それが、この映画は、まったく逆のアプローチでびっくり。
そしてこのやり方が、被写体に対して誠実であろうとするドキュメンタリーが
成り立つ、たぶん唯一の形だと思う。

監督のジェイムスは常にドキュメンタリーが持つ加害者性を意識してる。
結果として、自分自身も、当事者として深く入り込んでいきます。
性犯罪の加害者を人間として描くだけでも映画としてはリスキーな選択なのに
自分が「Big Brother」としてスティーヴィーを支える覚悟をどこかで決めちゃってる。

婚約者トーニャ(障害者)の友人(彼女も障害者)を訪れ、結婚を報告した場面や、
収監直前に昔の里親を訪れのんびり過ごす場面では、ほんの一瞬だけ現れた
幸福感に、そしてそれは、一瞬だけで終わってしまうことを全員が知っていることに、
観ている側はどうしようもない思いになります。
彼は刑務所行きとなるべき人間で、でも、行くべきじゃない。

結論なんか出しようのない、現実の複雑さ。

2時間25分を全く長く感じさせない、そして本当に誠実な、すばらしい
映画でした。
そう、この映画には「誠実」という言葉が一番合っていると思います。