夜明け前午前5時

徹夜明けの思いつきレベルな発想を、推敲なしでお届け

エンディングノート

2011-10-18 01:03:04 | 映画
「それでも、生きていく」DVD未だ出ません、困りました。
3話以降は全て録画しているので、ま、いいのですが、そういう問題ではありません。
このドラマをDVDとして残す、ということが大事じゃないのかね、フジテレビよ。


さて話は本題に戻して…

「エンディングノート」。
久しぶりに、とてもいい、ドキュメンタリー映画観ました。

自分は基本的にドキュメンタリー映画が好きな方です。
基本的にドキュメンタリーは当たり外れが激しいですし超低予算なので、
外れると「観てらんない、帰る」ということもしばしばなのですが、
少なくともドキュメンタリーを撮る覚悟、
具体的に言うと、カメラを向けることで無条件に発生する攻撃性、
そこを乗り越えてでも撮るという壁がドキュメンタリーにはあるので
その踏み絵を超えているという点で、ある程度信用しています。

ただ、ドキュメンタリーを主な生業とするようになると、
「ドキュメンタリーとは本質的に攻撃的である」
という開き直りと言うか、傲慢さが見え出してきて、それはそれで、
ちょっとつらいものがあります。言っていることは確かに正しいのですが…。

で、そこをクリアできるのが、被写体に対して関係性として深く入り込んでしまう、
というやり方です。

身内を撮ると必然的にそうなりますし、ブログで初めに取り上げた「STEVIE」もおんなじ。
STEVIEでは、映す側が被写体STEVIEを支える覚悟を決めてます。

そういった被写体は生きてて何度もないので、ドキュメンタリーを生業とする人は
普通選択しないのですが、観る側は、監督のそれ以降の映画人生とか気にしませんからね。
その映画がいいか悪いかだけなので。


さて、長々書きましたがここまで前振りです。
この映画はそれだけじゃないすばらしさがありまして、
それは、主人公であるお父さんの面白さと言うか、おかしみというか、そういったところをきちんと
「描くぞ!」と思って描いているところ。ナレーションもふわっとしていて、いい。

末期ガンなので、幸せな物語であるはずはないんだけど、かといって人は始終深刻なわけではなく、
どんな状況でも日常を生きているし、楽しいこともあるし、そんな状況だからこそのユーモアもあるし。

終盤で、高齢の母親に病室から別れの電話をしているにもかかわらず「なにかあったらまた電話するわ」って。
この状態で何かあったらそりゃもう電話できんだろ!ってツッコミと、そんな状況でも相手の気持ちを
軽くしようとする想いに泣けてくるのと、このシーン含めてもう完全に入り込んでました。

だからこそ、最後の長回しのカットが切ない。
淡々と続く、もう動かない固定されたカメラの風景が、切ないです。

パコと魔法の絵本

2010-07-12 00:03:05 | 映画
選挙の夜はどうしようもなく選挙特番ばかりなので
テレビ観ようがないですよね。
でもしかし、僕にはひかりTVがあるのだ!(えらそう)

三ヶ月間お試し期間を経て解約するつもりが
すっかり地上波より観てる時間が多いという有様です。

今日は「パコと魔法の絵本」をやってたので観てしまいました。
これまで何度か観てるけど、あぁ、やっぱりすんばらしいです。

自分がディズニーを好きではないのは周知の事実(?)。
理由を聞かれてもこれまで「ごにょごにょ…」てな感じで
うやむやにしてました。
これから先も、はっきり言いようがないので、はっきり言う
つもりもありません。
が、ひとつ言えるのは、ディズニーのファンタジーでは、
この映画に登場する、パコや大貫を救うことはできない
ってことです。

でも、切実にファンタジーが必要なのは、
パコや大貫といった人たちなのです。

どうしようもない状況で、ほんとうに切羽詰まったときに、
ファンタジーにしか救えないこと。
それがこの映画では、これでもかーってぐらいに迫ってきます。
すごいいびつな形ですけど、僕はこっちが信用できます。

最近の"ほぼ日"

2008-03-07 00:43:46 | 映画
さいきん、また"ほぼ日"を頻繁にチェックしてます。

なぜって、「きまぐれカメら」がいい。
特に、ブイヨン(糸井家の飼い犬)最高です。
写真ももちろん、『ブイヨンの気持ち(未刊)』とかのコメントが外れなし!!
言葉選びが、もう、これはちょっとまねできないなぁ、と。
糸井重里なので、すごいのは当たり前なのかもしれませんけど。

コンテンツもおもしろくて、『初恋のきた道』で、泣きましょう。とかは、
読んだ後ついDVD買ってしまいました。

前に映画館で観たときも「いい映画だなぁ」とは思ったけど、
たぶん、そのときの自分には、ピタッと合うほどの感覚はなかった。

改めて観直したら、今考えてることとか、なんか波長みたいなものが
合ったらしく、いろんなことが繋がって「うわ、すごいっ」。

これのおかげで、また最近映画づいてます。

カップルズ

2007-07-03 00:57:36 | 映画
カップルズ


これまで観た映画のうちで5本の指に入る大事な映画です。

そして、この映画を撮ったエドワード・ヤンが亡くなったことを
ついさっき知りました。


同じアジア系で大事な映画「恋する惑星」のウォン・カーウァイが、
恋する惑星以外ぱっとしないのに比べて、エドワード・ヤンは
コンスタントにいい作品を作り続けてきました。
それだけに、ほんとうに残念。

あ、ウォン・カーウァイは他がぱっとしないんじゃなくて、
「恋する惑星」が奇跡的にすごいっていうのが正しいな。


話は戻してエドワード・ヤン、この人はいろいろすごいけど、
特にすごいのは、劇場音楽を一切使わないこと。

映画を観てるとあまり気にしないかもしれませんが、
ほとんどの映画は、盛り上げどころはストリングスとかで
必ず盛大に「ジャジャーンッ」てやってます。

娯楽系とか歴史大作なら分かるけど、人とか街を描いた映画で
「ジャジャーンッ」ってされると、非常に違和感があります。
なんか、スケールが合わないんだよ、って思っちゃう。
生活の中で頭の中に「ジャジャーンッ」なんて大げさな音
今だかつて一回も鳴らねーよ、と逐一つっこみが入ります。

あ、今、ワタシの頭の中には北野映画の「HANABI」が流れてます。
北野映画は好きなだけに、あのおおげさな音楽だけがホントにじゃ‥。


さて、また話は戻して、カップルズのラストは、音楽がないからこそ
生まれた名シーンです。街の雑然とした映像と喧騒。

この街は欲望にまみれた汚い空間だけど、でも、こんな多様な
空間だからこそ‥
あー、だめだ。全然うまくまとまらないや。

ま、うまくまとまらないのは当たり前といえば当たり前で、
それは、この作品はじめエドワード・ヤンの作品はどれも、
映画でしか表現し得ないものを表現してるからです。
そんなところも大事に思う理由の一つ。
「ほんとうの映画」って感じがします、この人の映画は。

気球クラブ、その後

2007-02-01 01:38:45 | 映画

気になっていたこの映画、金曜日までの公開だったので
あわてて観に行きました。
水曜1000円ってのもありましたが。

気球クラブ、その後」。

何が気になっていたかって、荒井由実の名曲「翳りゆく部屋」が
モチーフとなった映画ということ、こりゃ観に行かなきゃ、と。


同じ監督の「紀子の食卓」が、力入りまくった長編小説だとしたら、
本作は、短編小説、しかも随筆とか散文って感じです。

力が抜けてて、ほどよく軽くて、でも目が行き届いてる。
こういった映画が個人的には大好きです。

物語のテーマは一言で言えば「青春の終わり」。
これまた俺ストライクど真ん中。

そして、永作博美がいい。
この人、もっと映画出ればいいのにっていつも思う。
最近の「好きだ、」は、映画自体がダメだったから仕方ないけど、
「ドッペルゲンガー」以来の、いい永作を観させてもらいました。

ユーミンの原曲が使われず、カバー曲だったのはちょっと残念だったけど、
でも、Port of Notesのボーカルの人がカバーしてて、それはそれで
よかったかな、と思う。


ただ…
初めから最後まで、ほぼずーっと、スナック菓子をバリバリ食べてる人がいて、
ほんっと、ほんっと、もう一回言いますが、ほんとーーーに、うるさかった。
結局、映画には入り込めずじまい。
シネアミューズは飲み物だけOKのはずなのに。

シネアミューズとの相性、どうしていっつも悪いんだろう。
集中して観れたためしがない。


紀子の食卓

2006-11-16 02:44:33 | 映画

観ようと思ってたのに、いつの間にか終わってたこの映画

「あーぁ…」と思ってあきらめてたら、アップリンクXで
レイトショー上映が始まったので、さっそく観に行きました。

最近、単館系は、いくつかの映画館で順に上映されることが
けっこうあって、うれしい。


感想:「おしり痛かった…」

アップリンクXって、いろんな種類の一人がけソファが
それぞれ座席になってます。
ソファって長い時間同じ体勢だと結構きつい。
2時間超の長い映画だったので、苦しかった。


ちょっとまじめに映画の感想を述べると、確かにレベルは
とても高い映画。ちゃんと考えて、ちゃんと作ってる。

でも…、あまりにも意図的な仕掛けが多すぎる。
シナリオの構造(ある家族の話がメビウスの環みたいになってる)
自体が表現になっていたり。
しかも、そういったことがかなり表に出てる。

自分の感覚では、これが映画である必然性は、ないです。

最近評価される映画・小説は、この傾向ばかりなので、
自分の感覚がおかしいのかもしれませんけど。


あ、ここまで書いてなんですが、基本いい映画ですよ。
これだけ長いのに、ぜんぜん長く感じさせないし、
「これいらない」と思うようなカットもほとんどない。


ゆれる

2006-11-05 00:51:42 | 映画

そして今日2本目は「ゆれる」。

ずーっと気になってた映画ですが、今日は18:30~の回で
西川監督のティーチインがあったので、いい機会かなーと思い、
観に行きました。


これは、オダギリジョーと香川照之の映画です!

で、自分的には香川照之の勝ち。
全ては、ラストカットに集約されます。

ラストカットの完成度(香川が演じる兄「稔」の表情)が
あまりに高かったので、その後の監督のティーチインで
「ラストカットは時間に追われて…」という話を聞いて
さらに驚きました。

あのラストカットは、シナリオ時点で明確に頭の中に
あったんだろうか?

それとも現場で撮った時点で見えた絵なんだろうか?

あー、手を挙げて質問しときゃよかった…。


幸福のスイッチ

2006-11-05 00:51:26 | 映画

今日は映画三昧。

ま、三昧といっても2本なんですが。
1日に3本以上観ると、どうしても1本は印象薄くなっちゃうので。
最終週でどうしても観ておかないとってとき以外は1日2本まで、
と決めてるのです。


まず1本目は「幸福のスイッチ」。

ひさしぶりにテアトル新宿に行きました。
最近、邦画をあんまり観てなかったんですが、邦画といえばココ。
チョイスがとってもいい映画館です。

そして、この映画の監督、実は松下電器の元社員の人なんです。
かつ、ショップ店さんを舞台にした映画。
#普通「販売店」と言うけど、松下は「ショップ店さん」と言う。


いやー、素直にとてもいい映画でした。
身内な感じ(?)なので、冷蔵庫納品とか、屋根の上の
アンテナ交換とか、自分の販売実習のときを思い出しつつ。

ちょっとひいき目かもしれないけれど、でも、すごいよかった。
映画って、そもそも、こういうものなのかな、って。

物語を通じて、勇気とか元気をもらって、
んで、自分もがんばって行こう、って思う、
そんな映画。


学生のときはほんと人間嫌いで、社会に出るつもりなんて全く無くて、
でも、映画とか友人とかいろいろ偶然に後押しされて、僕は社会に
出ちゃったわけです。

今日、その選択は間違ってなかったと、ホントしみじみ思った。


学生のときに観たら、たぶん印象は全く違ったんだろうな。
「なんて偽善的な世界なんだ」とか、きっと思っちゃったりして。

確かに、映画という表現の限界を探ることとかが、映画に生きる人に
とってはすごく重要なのはよく分かる。
自分も映画を観るときは、そっち側の視点でいることが多いし。
でも、それは映画の1つの要素であって、それが全てじゃない。


松下グループの人は必ず観に行くべし。
間違いなく初心に帰れます。

あと、仕事に悩んでる人も観に行くべし。
仕事って何なのか、答えが見えてくるかもしれません。


寺やん

2006-10-21 00:00:49 | 映画

今日は楽しみにしてました。

え?何がって?
そりゃもう「逃亡者 木島丈一郎」ですよ!

北野映画ではもうおなじみの寺やん。
今、日本で一番信頼できる俳優です。

フジとしては、明日の「容疑者 室井慎次」がメイン
なのかもしれないけど、自分は断然今日がメインです。

最後、エンドロールで寺島進が一番初めに出たときは
ちょっと泣けてくるぐらいでした。

で、作り手も、かなり思い入れがある感じでよかった。
寺やんを中心にきちっと作ろうとしてました。
ま、「The Movie」レベルなのは仕方ないけど、TVドラマとしては、
かなりがんばってたほうだと思います。
一個だけ苦言を言うと、辰アニイはあまりにもちょっと(演技が)…。


寺島進はどうしてもチンピラ系の役が多くなっちゃうけど、
映画「おかえり」でやったような、普通の人の役もやってほしいな。
「おかえり」は、ほんとうに好きな映画で、自分映画史BEST5に入る
すんばらしい映画です。
ずーっとリバイバル上演を待ってるんだけど、学生のときに
初めて観て以降、観れてない。DVDも出てないし。

VHSビデオは売ってるみたいだけど12,600円!!
当然TSUTAYAで見たこともない…。


セキ☆ララ

2006-06-18 00:39:42 | 映画

今日からBフレッツです。

ただいまの速度67.90Mbps。す、すごい。
ほんの一年前はダイアルアップ接続だったのに。
でも、このブロードバンド環境を全く利用できてません。
せいぜいGyaoぐらいかな。


さて、前回の本の感想はけっきょく触れることなく、昨晩観た
映画の感想です。

セキ☆ララ

えーとですね、実はコレ、AVです。

オーディオ関係ではなく、
FOMAのテレビ電話でもなく、
『アダルトビデオ』。

ま、いわゆる普通のAVではなく、在日三世の松江哲明が
撮った、ドキュメンタリーです。
トークショウ(松江哲明×園子温)があったってのもあるけど
レイトショーにもかかわらず、下北沢の映画館はほぼ満員でした。

DVDも出てるので買って観ることもできるんだけど、これは
映画館まで足を運んで正解だった。
なんていうか、当然AVなカットもあって、館内が重ーい空気に
なっちゃうかなと思ったけど、そんなこともなく、逆に笑いがある。

映画館でみんなでAV観て、おかしくて笑ってる。
こんな光景、後にも先にも出会うことないだろうな。


内容としては、part1は女優を在日三世、part2は男優を在日2世で
キャスティングして、旅あり、インタビューあり、ラブホあり、という
ロードムービー風AV。


やっぱり中心は在日の問題で、かなり語らせてるんだけど、
その話自体より、話し手の反応やしぐさをちゃんと切り取っている
ところが、すごくよかった。

例えば、花岡じった(part2の男優)が、だんだん素になって、爪を
噛み始めるところとか。
#このシーンはトークショウでも園子温がコメントしてた


逆にちょっと気になったのは、「ちゃんとしすぎてる」部分。


車の中から、夜の雨の街を数分長回しで撮った絵があって、
映画観てるときは「ん? この映像なんで必要なの?」と思った。

園子温も「あれは何で?」と聞いてて、それに対する松江の答えは
「ロードムービーな感じを出したいと思って」。

『こんな感じを出したいときはこの映像』みたいな紋切り型の引き出しって
なるべく使ってほしくない。意図的ならいいけど、無意識にやってしまうと
ホントどこにでもある、ありきたりな映画になってしまうと思うのです。


8mフィルムで撮った風景を差し込むのも、同じようにありきたりな感じになる。


両者とも、ちゃんとした映画っぽくなる映像・手法だから、分かるんだけど、
でも、ドキュメンタリーに「ちゃんとした感じ」とかはいらないんじゃないかな。