夜明け前午前5時

徹夜明けの思いつきレベルな発想を、推敲なしでお届け

BOOKすごろく

2007-09-08 23:03:45 | 本:小説
読書感想文は、毎年8/31にあとがきと解説から読み始める子どもでした。

算数のドリルは、一度も最終ページまでやった記憶がありません。

進研ゼミ、郵送した回数は片手で足りる程度でした。

∴ワタシがBlogをまめに更新することは根本的に困難です。


さて、Blog書いてない間に読んだ本がたまってきちゃったので、
感想大放出です。上から順に◎。


■毎日かあさん4 出戻り編(西原理恵子)

書店で数ページめくってみて
「これは立ち読みヤバイ」と即買って家で読みました。
涙ぽろぽろ落ちてきます。

「鳥頭紀行」での鴨ちゃんとの出会いから、
サイバラはいつも鴨ちゃんのことはボロクソに書いてて、
それは照れが多分にあったはず。
鴨ちゃんのBlog読むと、サイバラの方が惚れてた気がするし。
でも、今回は真っ正面から鴨ちゃんのことを書いてます。

カンボジア編の1ページ目、
「二人で取材しました」のコメントの上に、
鴨ちゃんが撮ったサイバラの写真があって、
まぁ、なんてことない1ページ目なんだけど。

今、書きながら思い出すだけでもヤバイです。


■太陽の塔(森見登見彦)

なんで今まで読んでなかったんだろう。
モリミー、最高です!
一気に数冊読みましたが、これが俺ベスト。
初めから最後まで1ミリも進んでなくて、
妄想大暴走っぷりが尋常じゃない。


■夜は短し歩けよ乙女(森見登見彦)

一般的にモリミーブレイクした本がこれ('07 本屋大賞2位)。

これもおもしろかった。
ヒロインかわいいし(「なむなむ!」)、
主人公はあいかわらず妄想大爆発だし、
変な奴らが山ほど出てくるし。

最後の終わり方もいいなぁ。
残りページが少なくなってくると、
「あぁ、もう終わりか…」ってさびしくなる
そんな、いい小説です。


■適当教典(高田純次)

本屋で表紙の純次と目が合いました。

還暦なのに白ブリーフ一丁。
もうそれだけで、買わない理由があろうか?(いやない)
かっこよすぎます、兄貴!

そんな純次に印税が入るようにと即購入。
内容はどうでもいいんです。


■ゴーレム100(アルフレッド・ベスター)

ちょっとまだ消化不足。
内容がぶっとびすぎてて、ちょっとついていけない。

ロールシャッハテストみたいな絵が何ページも続いたり、
文章はグロい感じ満載だったり、
最後はバロウズ的な壊れた文章になってたり。


■つげ義春とぼく(つげ義春)

高校の時の副読本「高校生のための文章読本」に
確か、この本が載ってました。
よく行く古本屋で見つけて購入。

エッセイはそれほどおもしろくはなく、
やっぱり絵・漫画のパートがおもしろい。

『「大場電気鍍金工業所」が出来るまで』で
完成形とコマ割が併記してあって、
これを見ると、日本のマンガってすごい、
と思う。


■ブルーオーシャン戦略(W・チャン・キム&レネ・モボルニュ)

自分が買ったのは17刷もしてて、2年前に売れまくったビジネス書。
でもなぁ…、やっぱりここに書かれてるのは結果論です。
ポーターみたいに体系化したいのは分かるんだけど、
経営学として体系化するたぐいのものじゃない気がする。

HBRの2007年8月号に著者の弟子みたいな人が具体的な手法を
書いてましたが、この通りやったら、収集つかなくなりそう。


■悪人(吉田修一)

正直にいうと、がっかり。

骨太だし、大作だし、描写もリアルだし、でも、がっかりです。
力のある作家なら、これ書けます。吉田修一じゃなくても。

自分にしか書けないものを書くことが大事だと思うんだけどな。
「書きたいもの」を書いたらダメだと思う。

以前に全くおんなじ感想を持った小説があって、
それは重松清の「疾走」。
一世一代の力作を狙うと、みんなおんなじ感じになるのも謎。

カンバセイション・ピース

2007-06-30 01:43:30 | 本:小説

やはりディズニーの背景は無理がありました。
ついうっかりM心で選んでしまったのです。

これ以上ディズニーを語るのもヤなんでさっさと本題へ。
今日は久しぶりに小難しい内容です。


保坂和志をはじめて読んでみました。
一冊目はカンバセイション・ピース

や、この人すごいです。

感覚としては音楽を聴いてるみたいで、ジャンルはテクノ。
しかも4つ打ちバスドラ系じゃなくて、1ビートのポリリズムが
ずーっと続きながら、ちょっとづつ変化していく感じ。
とにかく太い。うねってます。

ストーリーって意味では、なんにもないし、なんにも進みません。
主人公がうだうだ考えてることがうだうだ続くだけ。

でも、この、「うだうだ考え続ける」ってのがすごく大事なのです。


それらしい結論をぱっと出すんじゃなくて、分からないことは
分からないまま留保して考え続ける、この感じが、最近
非常に気になっています。

ドキュメンタリー映像作家の森達也もまさに同じタイプで、
この人も、簡単には結論を出しません。というか、結論は
出しません。うだうだ考え続けてます、この人も。


結論が出るってことは、自分の中に評価軸があって、
その評価軸自体は揺らがないから、
外部の事象にたいして結論(見解)が出せるわけです。

でも、その評価軸ってほんとに正しいの?ということを
常に問い続けてるわけです、この二人は。

正直、この立ち位置はつらい。
こんなことしてると、いつまでも結論なんで出ないですから。
でも、この問い続けるって姿勢こそが「思考する」ってことだろ、と
言ってるわけです、この二人は。

この問いの先に何があるのか‥、それは分からない。
何も生まれないかもしれません。
でも、簡単に結論を出しちゃうような状態は思考停止だってことは
間違いないです。


ロング・グッドバイ

2007-05-29 01:14:21 | 本:小説

重い、重すぎる…。
内容じゃなくて、重量が。

通勤向けじゃないです、コレは。
外で読みたい人は、文庫出るまで待ちましょう。

あと、前半にバーッと主要な登場人物がたくさん
出てくるので、この辺は一気に読まないと、
何度も後戻りすることになります。
こんなところも通勤向けじゃない理由。

で、中身としては、うーん…、

「春樹ボイルド」?
「ハード春樹」?

少なくとも「ハードボイルド」とはちょっと違う。
この「ハード」感の薄さが気になるなぁ。

ただ、春樹ファンなら楽しめるとは思います。
クールな感じは初期作品に近いので、そんな文体を
これだけの長さで読める楽しさは○。


GWおまけ

2007-05-07 01:37:16 | 本:小説

とはいっても、ずーっと同じ本読むのもつらいので、
GW中は、いろいろ他もかじってます。


新教養主義宣言

 その山形浩生の本が文庫化されたので。
 ほとんどは本人のHP上で読めるテキストばかりなので
 わざわざ買うことはなかったか…。

タイタンの妖女

 これはもう何回目の再読だろうか。
 没ヴォネガットということで、長編を再読してみようと思いその第一弾。
 やっぱりいいです、これ。


ホテル・ニューハンプシャー

 今回一番のヒット。
 これまでアーヴィングはいまいち読みきれなかったんだけど(長すぎて)、
 ちょっと前に「オウエンのために祈りを」を再読して、かなりよかったので、
  次に手に取ったのがこれ。
 #一発で腑に落ちることが少ないにぶい頭なんで、再読多いんです…。

 小説の中で次女リリーが、「グレート・ギャツビー」のエンディングに対して
 『完璧な終わり方』と言ってますが、この本のエピローグも全く同じ。
 最後のエピローグに至ったときに感じる感覚がほんとうにすんばらしい。
 もちろんながーい物語(でも全然退屈じゃない)を辿ってきて、
 その結果としての感覚なので、エピローグだけ読んでもダメですよ。

  最悪なシチュエーションだらけの家族の物語なのに、最後でこんなに
 勇気づけられちゃうのはなんでなんだろう。

 長編小説ってすごいと、久しぶりに思った。


So it goes

2007-04-15 22:03:05 | 本:小説

ヴォネガット作品は大事にちょっとづつ読み進めていて
それも先月に「猫のゆりかご」で読み終わってしまって、
「あーあ、ついに読み切ってしまった…」と思っていた
矢先の出来事でした。

作家としては'80年代で終わってて、現代の作家ではないので、
「新作はもう読めない」という意味でのショックは特にないです。

それに、ヴォネガットファンなら、彼の死に対して悲しみとかではなく、
タイトルの言葉「So it goes(そんなものさ)」といった感じだろうし。


とはいうものの、海外の作家ではダントツで一番好きだったので
何かぽっかり空いてしまった感じはあります。
精神的な軸が太くないというか、排気量の大きくないタイプの人間は、
彼の小説で非常に救われたんじゃないかな、自分含めて。

ちなみに「こいつ軸太いな~」と思うのは、
アーヴィングとかポール・オースターとか村上春樹。
どれも好きだし、特に村上春樹は一番大事な作家だけど、
でも、タイプは違う。


公式サイトのトップページが秀逸。
最後までヴォネガットはヴォネガットでした。


とりあえず全部保留

2007-01-31 01:20:25 | 本:小説

今月の通勤電車の中、なぜかいつも眠かった。

なので、読んだ本は全て、分かったような分からないような。
とりあえず、まともな感想は全部保留だなぁ。
忘れないために、最低限だけメモ書き程度に残します。

さよなら、サイレント・ネイビー

 地下鉄サリン事件実行犯の豊田と大学で同級、現在
 東大助教授の著者が書いたノンフィクション。
 導き出した結論がとても新鮮。

 でも、今自分が読みたいノンフィクションはこんな形じゃない。
  取材する側とされる側の関係性が固定されすぎてる。
 意図的に分かりやすい構図にしているかもしれないけど。
 やたらと春樹の「アンダーグラウンド」を攻撃しているのも
  どうかと思う(そもそも視点が違うのだから)。

 
グレート・ギャツビー

 再読。でもまだ頭の中にガチッと入ってきた感がないです。
 物語の構造が把握できたので、も一回読んで細部を
 チェックしたい。

ザ・スコットフィッツジェラルド・ブック

 なぜかこれまで読んでなかった。
 春樹訳の短編が2編収録されてて、そのできの違いが
 あまりに明白で、その対比がおもしろい。

 両方とも、同じような青春恋愛小説。
  でも、関係性の見え方がぜんぜん違う。
 「リッチ・ボーイ」のほうが遥かに精細。
  なんとなく文字を置いた感じとか、どこにも全くない。

シカゴ育ち

 どの短編も映画っぽい。
 街の空気感がすごく濃いー感じで伝わってくる。
 なので、自分としては「この小説家は読まなくてもいいや」
 と思ってしまうのです。映画で同じ感覚は味わえると。 


哀しい予感

2007-01-07 01:00:44 | 本:小説

今日は楽しみにしていた「哀しい予感」を観てきました。

観てきました、と書いたように、小説じゃなくて舞台です。
吉本ばななの小説を、今回、塚本晋也が舞台化したのです。
本多劇場で1/5~21の公演。


今日のまとめ:『市川実日子がすんばらしい!!』


小説読んだことある人なら分かると思いますが、
以下の4人を中心に物語は進みます。

弥生:   市川実日子
哲生:   加瀬亮
ゆきの:藤井かほり
正彦:   奥村和史

今まで、市川実日子はキャラクター勝負の人、
ちょっと前で言うと緒川たまきみたいな感じかなー、
と思ってました。
ルックスの特徴が強すぎるというか。

それが、今日の舞台を見てびっくり。
今まで舞台を観て「自然さ」を感じることはなかったんだけど
今日の市川実日子は、まさに「自然」でした。


いわゆる舞台っぽさって、あるじゃないですか。
腹から声を出す感じとか、
いかにもなオーバーアクションとか。

劇場の広い空間で観客に伝えるっていう必要性から
そうなるのは分かるのだけれど、正直好きじゃないです。
僕らの日常と比べて、動きや話し方があまりに違いすぎる。


市川実日子は、ちゃんと通る声を出して、その上で
吉本ばななの世界で一番大事な(と僕は思ってる)
「場の空気感・距離感」もきちっと出してる。
いわゆる舞台っぽいと感じるような作られた芝居だと
これは絶対に出ないです。

うーん、どうもうまく説明できてないな。
観てもらえば、すぐ分かってくれるとおもうんだけど…。


加瀬亮のほうはと言えば、えーと、映画の方でがんばってください。
舞台でのよさはあまり感じませんでした。
今日の出来はかなり悪かったと正直な感想を述べておきます。

ただ、今日は二日目なので、全体的にまだまだ固いのかもしれません。


モンキー・ハウスへようこそ

2007-01-04 02:37:07 | 本:小説

ずいぶんあっさり明けてしまいました2007。

あっさりのわりに、2007は早くもしっくりきてます。
が、平成19年というのがどうもなじめません。

実家に帰って、静岡新聞に「静岡空港21年開港!」とか書いてあっても
「ふーん、ずいぶん先じゃん。まだ計画中止可能?」って思ってしまった。
実は2年後ですね。


さて、2007も相変わらず本の話から。
これは冬休みに読んだ本です。
文庫は2冊組らしいのですが、自分は古本屋で買ったので、早川書房の
ハードカバーのやつ。

ヴォネガットの短編が、なんと25編もはいってます。
そして、どれもこれもおもしろい!

短編なのに、ヴォネガットが長編で取り上げる要素(幸福・戦争・国・お金 etc…)は
全部入ってて、とってもお買い得です。

初めてのヴォネガットなら、まずこれ読むのがいいと思います。

自分の場合、SFを全く読まなかったので、ヴォネガットのSF的要素には
初めかなり抵抗がありました。
いきなり「トラルファマドール星」とか出てくると、やっぱ引きますよ。
雑誌「ムー」の世界が頭をよぎります。
SF未経験者の場合、ここを乗り越えられるかどうか。

ということで、本書を使ったヴォネガット入門の手引きを…

①SF的要素は好き嫌いがあるので、本書の中のSF系の短編が肌に合うか
  どうかをチェック!
  ヴォネガットは、それほどぶっとんだ設定になってないので、なじみやすいとは
  思うけど。でも、普通の小説よりは展開速いかも。
    
②SF的要素がOKなら、もう大丈夫。この短編集の中で好きな1本をピックアップ。
   NGだった人は、残念ながらここでお別れです。

③「こんな感じの長編が読みたいんですけど…」と、ヴォネガット好きな人に相談。
    たぶん喜んで、その短編が核となった長編を選んでくれます。
   ここでついでに、自分の好きな本を熱く薦める可能性大ですが、無視です。
   長編ごとにかなり色が異なるので、人が絶賛していても、自分が好きになるとは
  限らないのです。

④読むべし。


ちなみに前にも書きましたが、ワタシの場合、③で「タイタンの妖女」をしつこく
薦めることになります。


遠い声 遠い部屋

2006-12-10 02:27:45 | 本:小説

春樹訳「グレート・ギャツビー」、いいですねー。
でも、いったん寝かした後、のんびり再読中なので、
感想はもう少し後になります。

今日は「遠い声 遠い部屋」。


感想:『妄想少年版 キャッチャー・イン・ザ・ライ』

キャッチャー~と、遠い声~、どちらも少年を主人公にした
青春小説という枠組みです。
遠い声~のほうが主人公の年齢設定が低めですけど。

で、キャッチャーのホールデンと、遠い声のジョエル、
どっちに共感できるかって言うと、圧倒的にジョエルです。


キャッチャーは、ま、一般的にはすごく評価高いですよね。
さっき調べたらWikipediaでも項目あるぐらいだし。
今、本棚からキャッチャー~(春樹訳版)を引っ張り出してきたら、
帯には「不朽の青春文学」とか書いてあるし。

でも、自分にはさっぱりわかんない。
みんなの青春って、こんな感じなんでしょうか?

ホールデンの大人に対する徹底的な批判とか
「おまえ何様?」って思っちゃう。
ある種の人たちが持つ、無自覚な攻撃性も感じちゃうし。
キャッチャー~をものすごくリスペクトする人と自分とは、
たぶん根本的なところでうまく合わないと思う。


遠い声のジョエルは、屈折してて内向的。
大人の目から見たらたいしたことなさそうな物事が
一大スペクタクルワールドになっちゃいます。
空想、というか妄想に近い世界が広がるのです。

自分は明らかに「ジョエル派」。


カポーティは、この小説が一作目、しかも22歳のときの作品です。
ちょっとすごすぎ。


幽霊たち

2006-11-11 23:44:27 | 本:小説

#今日は日記調で書いてみようと突然思いました。
 で、書いてみたんですが、全体的にトーンが暗い。
 色でいうと、明らかに灰色系。
 俺は素だと基本的に暗いんだろうか…。


朝から雨。
いきなり外に出る気ゼロになる。

家でぐだぐだ過ごすにはやっぱり本。
オースターの「幽霊たち」を手に取る。
短い本なので、すぐに読了。

これでニューヨーク三部作は読み終わった。
三部作だと「鍵のかかった部屋」が一番好き。
この「幽霊たち」は観念的すぎていまいち好きになれない。


夕方には雨があがったので、よく行く魚屋へ。
ホウボウが安かったので買ってアクアパッツァに。

調理後の顔アップはかなり気持ち悪いので、
若干引き気味で撮ってみる。
それでもだいぶ気持ち悪いな…。


ご飯を食べながら雑誌「ダ・ヴィンチ」を読んでいたら、
ばななの「哀しい予感」を塚本晋也演出で舞台があることを知る。
塚本晋也って舞台演出もやるんだ。
さっそく調べてチケット予約。

ばなな作品は「アムリタ」以降ほとんど読んでないので、
これを機会にちょっと読んでみようかと思う。