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言葉って面白い!

この日本語、英語でなんていうの?その奥に深い文化の違いが見えてきませんか。

パリのシャルル・ドゴール空港にて

2014年04月12日 | 旅の話し
フランスのカンヌに行きました。
季節もよく、天候にも恵まれ、快適な旅でした。
その帰り道、パリのシャルル・ドゴール空港で、東京へのフライトを待っている間に、ちょっと不思議な体験をしました。
同僚や家族に土産物を買おうと免税店を回っていた時のことです。
リカーショップに入り、お気に入りのサンテミリオンの赤ワインがとても安く売られていたので、一本買うことに決め、レジに並びました。
私の前に並んでいたのは、東洋人の客。
彼が支払いを済ませると、レジ係のイタリア人らしき若い男性が「シェイシェイ」と、声をかけています。
それに応えて、その東洋人が「シェイシェイ」と言葉を返したので、彼が中国人なのだと分かりました。
近年中国人は世界中を旅行するようになり、ヨーロッパでも日本人よりはるかに数多く中国人を見かけます。
なるほど、ヨーロッパの人たちは、今では東洋人の観光客といえば中国人だと思うものなのかな、と考えながら、私は黙って赤ワインをレジに出しました。
すると、そのレジ係の男性は、私に釣銭を渡しながら「ドモ、アリガト」と言ったのです。
私は、彼とひとことも言葉を交わしていません。
先ほどの中国人も、見かけだけでは中国人なのか韓国人なのか日本人なのか、よく分からないくらいでした。
なぜ言葉を交わさずとも、彼が中国人で、私が日本人だと分かったのか、不思議でした。

その次に訪れたチョコレート屋さんでも同じようなことがありました。
フランス人の女性が私にボーディングチケットを見せるように要求したのですが、私が勘違いしてパスポートを見せたところ、隣の中国人らしき店員が「トージョーケン…キップ」とつたない日本語で話したのです。
彼が搭乗券や切符という日本語を知っていたことは、驚くに足らぬことですが、ほとんどまだ会話を交わしていないのに、少なくとも日本語はひとことも発していないのに、彼は瞬時に私を日本人だと悟っていたのです。

私は、人の顔の区別をつけるのが苦手で、ヨーロッパに行くと、その人がどこの国の人かは、主に聞こえてくる言葉で判別します。
たとえ英語を話していても、フランス語なまり、イタリア語なまりの英語なら、フランス人、イタリア人だと分かります。
しかし顔や身なりだけではなかなか判別がつきません。
そんな私にとって、この空港での体験は新鮮な驚きでした。

フランスのシャルル・ドゴール空港は、世界中の国々の人たちが行き交う場所です。
そこで働く人たちは、毎日実に多くの人種を相手に商売をしています。
彼らが、訪れる客に対して「シェイシェイ」と声をかけるのか、「アリガト」とかけるのか。商売のプロとしては重要なことなのでしょう。
佇まい、物腰、服装や装飾品、あるいは髪型や化粧の仕方…。
言葉を耳にしなくても、その人の出身国や人種を判別する手段はたくさんあります。
考えてみれば、人間がまだ言葉を持たなかった時代にも、目の前にいる相手が敵なのか味方なのか、同一人種なのか違うのかを見分けることは、生きるために必要な能力だったはずです。
これだけ近代化が進み、言葉が発達した時代にも、そうした本能的な識別能力は、脳のどこかに残されているのでしょう。

フランスワインのおつりを受け取りながら、私は日本語で「アリガト」と言ってきたイタリア人のレジ係に「Thank you.」と英語で返して、東京行きのフライトのゲートに向かったのでした。
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北海道旅、英語の次は?

2013年08月13日 | 旅の話し
網走の監獄の博物館の展示は、解説板もよくできています。
何より国際的。
日本語だけでなく、何か国語にも訳されています。
英語はもちろんですが、他に何語が…?
スペイン語?フランス語?…と思いきや、そうではありません。
英語・韓国語・中国語です。
最近はそれが普通になりました。
最近は、海外からの日本への観光客は、中国と韓国からが大多数。そのニーズに応えるということでしょう。
また欧米人には、英語を解す人も多くいますから、英語、スペイン語、フランス語、と並べるよりも、英・中・韓がリーズナブルなのでしょう。

面白かったのは、中国語が二種類あったこと。
つまり英・中・中・韓なのです。
二つの中国語は、よく見ると少し表記が違います。
わたしは中国語を解さないのでその違いが分かりませんが、もしかすると中国と台湾かもしれません。

そういえば、その夜の宿泊先のホテルの夕食会場でも、日本語よりも中国語を話す人の方が多いのではないかと思うほど、多くの中国人がいました。
中韓両国と日本の外交の緊張など、どこ吹く風、です。
市民レベルでのこうした国際交流が、政治の世界の緊張緩和にも一役買ってくれることを願います。
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網走監獄にて、ホーとプラウ

2013年08月12日 | 旅の話し
北海道を旅しました。
広々とした平原の真ん中を貫く道を車で走るだけで、心が癒される気がします。
ましてや、猛暑の東京を飛び出しての道東。
命の洗濯とは、まさにこのことです。

網走の最大の観光スポットは監獄の博物館です。
監獄?と眉を顰める人もいるかもしれませんが、これが結構面白いです。
展示も工夫を凝らしている上に、単に刑務所のことだけを取り上げているのではなく、明治大正期の北海道の開拓の歴史や農業の歴史などがよく分かるように解説されています。
いかに網走の囚人の歴史が、農業開拓と深く関わっていたかがよく分かると同時に、日本の近代史の一端を垣間見ることができました。

こうした近世・近代の人々の暮らしを扱う博物館では、聞き慣れない単語を数多く目にします。特に農機具などの名前は、知らないものが大多数です。
普段、農業に携わっているわけでもなく、ましてやトラクターも精米機もない時代の農機具などは、言葉を知らなくて当たり前かもしれません。
その中でも特に不思議な名前の農機具が目に留まりました。
「ホー」と「プラウ」です。
他の農機具の多くと異なり、カタカナで表記されているので、目立ちます。
北海道の方言だろうか、と、よく説明書きを見てみると、いずれも明治期に西洋から導入されたものでした。
だからカタカナなのです。

ホーは、英語ではhoe。鍬(くわ)です。特に「草削り鍬」のことを指すらしいです。
一方のプラウは、plow。これは犂(すき)のこと。特に「洋犂」のことです。
いずれも原始的な鍬や犂ではなく、19世紀のかなり進化したものですが、北海道開拓のために西洋から直接農機具を輸入した経緯が名前にも表れています。

北海道では、17世紀に稲作、18世紀末に馬鈴薯の作付が始まるなど、前史はありますが、
本格的に農業の歴史が始まったのは、明治になってからと言っても過言ではありません。
特に道央や道東は、道南に比べると、ずいぶん遅れてから開拓が始まりました。
ちょうど明治期は、日本全体が西洋の文化を次々と取り入れた時代。
北海道の農業の萌芽も、時期が重なり、農機具も西洋からの導入が盛んに行われたのでしょう。
それまで、さほど進んだ農業がなかった地域に、初めて本格的な農具が西洋から入る。
当然、それを表す言葉も同時に取り入れなければ、追いつかなかったのでしょう。
かえって、何千年もの農業の歴史を持つ、本州や九州では見られなかった現象かもしれません。
言葉は、歴史とともに、です。
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会津・大内宿でのひとこま

2012年05月06日 | 旅の話し



会津に行きました。
風評被害で閑散としているかと思いきや、ゴールデンウイークだからなのか、多くの人混みで賑わっています。
中でも会津若松から小一時間車を走らせて辿り着いた大内宿は、駐車場に車を停めるだけでも30分以上待たねばならないほどの盛況でした。

大内宿は、かつての街道筋に並んでいた宿屋などが往時のままに保存されている観光地です。茅葺の屋根の家々は、今では大半が土産物屋や民宿を営んでいます。
その中に小さな博物館があったので、入ってみました。かつての民家の暮らしをテーマに、実際の間取りや生活用具などが見られます。



興味深かったのは、古い生活用具の名前でした。
馴染みの少ない言葉がずらりと並んでいます。
カンテラ。炭鉱や夜店で用いた照明器具。これは名前は知っていましたが、普段の生活ではまず見ることはなくなりました。
ではこれらはいかがでしょうか。
メンバコ。メッパ。オボケ。ザグリ。ゲンベイ。
恥ずかしながら聞いただけでは、何のことやらさっぱり分かりませんでした。
解説を読んでみます。
メンバコは、茹でたそばや餅を入れる箱のこと。
メッパは、桧で作った飯入れ用の弁当箱。
オボケは、麻を撚り合せた糸を保管しておくための入れ物。
ザグリは、マユから糸を紡ぐ時に使う道具。
ゲンベイは、雪道を歩く時などに使う保温性の高い履き物。
いずれも昔は生活の中で普通に使われていた道具であり、言葉です。
今では、博物館でしか見ることも聞くこともなくなりました。

言葉は、文化や生活の中で生まれてくるもので、生活が変われば言葉も変わります。
新しいモノができれば新しい言葉が生まれ、モノが使われなくなればその言葉も使われなくなります。
例えばポケベルなんて、20年前は最新機器でしたが今では半ば死語になっています。
メッパもザグリもポケベルも、暮らしの変化とともに消えていく言葉なのでしょう。
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マレーシア、ナンバーワン!

2010年09月06日 | 旅の話し
仕事でマレーシアに行く機会がありました。
短い時間ですが、アジアの人たちと英語でディスカッションをする機会もありました。
アジアの中には、インドやシンガポールのように英語が公用語になっている国もあれば、公用語でなくとも小中学校で必修科目になっていて多くの人が英語を話す国もあります。多種多様な民族が集まるアジアの会議では、必然的に英語が共通語となります。
 英語を話すのも一苦労ですが、それぞれに訛りの強い英語ばかりのため、聞き取るのはもっと集中力を要します。中には、英語で話しているのか、自国語で話しているのか、それすら聞き分けられない場合もあります。
 世界語となったからこそ、英語は訛りの幅も世界レベルで広いと言えるかもしれません。

 ところで、マレーシアに到着し空港を出て最初に英語に触れたのは、タクシーの中でした。ホテルまでそこそこ長い時間乗るので、運転手と世間話を始めました。何でもマレーシアでは、幼い頃からみんな英語を学ぶのだそうで、その運転手も「マレーシアでは英語はノープロブレムだよ」と明るく笑っています。
 Malaysia, English, no problem! 
文法無視の英語に一抹の不安を抱えながらも、アジア人同士の片言の英会話が続きました。

 やがて高速道路の脇に大きなスタジアムが見えてきました。
Is that a soccer stadium? 〔サッカーのスタジアムですか?〕
と聞くと、Yes. という返事。
 それにしても立派で大きなスタジアムです。そういえば最大のスタジアムがこの辺りにあるという噂も聞いたことがあるぞ。それじゃあ、もしかして…
Is it the biggest one in Malaysia? 〔マレーシアで1番大きいサッカー場ですか?〕
 すると、運転手さんはYesともNoとも言わぬ表情。やがてひとこと、Big one! と叫びました。
 うーん。大きいのは大きいけど、やはり国内最大のサッカー場ではなかったということかな?ちょっと早とちりだったかな、と自戒していると、運転手さんがまたまた文法無視の英語でにこやかに続けました。
Big! Big! Malaysia, No.1!
明るい笑顔、威勢のよい英語です。ん?しかし、もしかしてそれは……、結局マレーシアで1番大きいってことではありませんか?

察するに、この運転手さん、どうやらbiggestという言葉の意味が分からなかったようです。
それすら知らずに、「英語はノープロブレム」と言い張るその自信!そしてそれでも何とかMalaysia, No 1! で通じさせてしまう力強さ!
 そう、言葉の目的は、誰が何と言おうと「自分の言いたいことを伝える」ことに違いないわけです。そんなシンプルな、しかし奥の深い真実を実感させてくれたタクシーの出来事でした。
 
 しばらくすると、やがて息を飲むような美しい夕焼けが窓の外に見えてきました。
運転手に語りかける私の英語は、もはや完全に文法無視でした。
Sunset! Beautiful! Nice!
すると、運転手は満足そうな顔をして応えてくれました。
Yes! Beautiful! No.1!

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