逝きし世の面影

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「国家」は謝罪しない

2016年01月05日 | 社会・歴史
『修正しきれていない「作る会」の日本の歴史修正主義』

今の日本の歴史修正主義者の『新しい歴史教科書を作る会』のお馬鹿教科書の冒頭には、『現在の価値観で過去の歴史を判断するべきでない』との記述がある。
ところがである。彼ら右翼歴史修正主義者自身が一番現在の価値基準(民主主義)で当時の日本の行動の『善悪』を判断している。
今現在流行していると言う理由から『時間軸を偽造』してまでインチキ臭いアメリカの民主主義的な価値観で、世界征服を夢見た偉大な『世界帝国』であった70年前の大日本帝国を弁護しようとするから無理が生まれる。
自虐史観などというが新しい歴史教科書を作る会自身が一番自虐的で、世界征服を夢見た偉大な帝国であった大日本帝国の(もう少しで達成されそうだった)『偉大な業績』を貶めている。
『八紘一宇』、『満蒙は日本の生命線』のスローガンが、拡大に拡大を続け世界制服に突き進む。
御前会議でニュージーランドもオーストラリアも全て日本の勢力圏でシンガポールなどの要衝は帝国の直轄地にして中国インドなど世界人口の半分を支配しようと計画。(残りの半分はナチスドイツ等枢軸同盟国)
この世界制服計画は(残念ながらに直ぐに終わってしまうが)一時的では有るが殆んど成功していた。
当時の中国の首都南京陥落(南京大虐殺)で日本国内では大々的に提灯行列等の祝賀行事が行われる。
八紘一宇の大儀を信じ世界征服の為に奮闘した皇軍兵士達にとっては、ましてや其の為に命を捧げて靖国神社に祭られている軍神達にとっては、今更日本の『世界征服は悪』では到底納得出来まい。天皇を中心として世界を一つに束ねる事は『正義』であり『真理』だった。因み『宇』とは村のこと。
右翼国粋主義(安倍晋三ら)なら、なぜ堂々と日本が世界制服を企てた事を誇らないのか。?
なぜ当時の日本人の価値観では『悪ではなかった』『善であった』と言わないのか。?『作る会』の歴史修正主義(右翼国粋主義)ですが、これでは歴史の修正では無くて単なる『偽造』(ニセモノ)である。

『そもそも「国家」は謝罪しない』

2015年の安倍晋三首相の戦後70年談話の発表を前にして、中国外務省が『日本は軍国主義が発動した侵略戦争を正視し、深く反省すべきだ』、『実際の行動でアジアの隣国および国際社会の信頼を得るべきだ』などと日本の『おわびと反省』を要求したことに対して、フィリピン政府は、『過去の問題を蒸し返すことで日本とフィリピンの両国関係を破壊するな』と中国に「警告」したと当の中国メディアの環球網が8月10日に報じている。
同じく2015年8月にフランス国際放送(RFI)の中国語版のニュースサイトでは、中国が歴史問題で日本に毎年謝罪を迫るのは根拠がないと報じている。
基本的にグローバルスタンダードでは、『そもそも「国家」は謝罪しない』のである。日本では右翼左翼の違いがなく知識層では全員が『真剣に謝罪したドイツ』(徹底して戦争責任を追及した)と思っているが、実は『悪い』のはドイツではなくてヒトラーやナチスであり、肝心のドイツ国軍やドイツ政府などの『国家』ではない。
第二次世界大戦後のドイツでは、すべての悪事の『責任』をヒトラーやナチス(具体的にはSS「ナチス親衛隊」)に全部まとめて『丸投げ』して巧妙に逃げたのである。

『ドイツもイタリアも侵略を謝罪しない』

RFI記事は、『日本が戦争行為を反省し、永遠の不戦の誓いをしていることはだれでも知っている
『中国人と韓国人が毎日のように「日本の侵略と植民の歴史」を唱えているのは見劣りがする』。
『謝罪については、田中角栄元首相が国交正常化のために訪中した際にすでに、深々と頭を下げた』。
『日本が莫大なODAなどで中国を支援してきたことにも触れ、日本は贖罪のための賠償もした』。
RFI記事は『今の平和主義の日本が、軍拡主義の中国に服従することはない。民主主義の日本が権威主義の中国に服従することはない。国際主義の日本が民族主義の中国に服従することはない』と結論した。
『戦争については、人類の歴史で日常茶飯事だった。侵略行為の認定も勝利国によるもので、敗戦国は領土喪失、賠償、一定期間の占領、戦争犯罪者の裁判などが強いられるが、これらが終了すれば、謝罪や清算はすべて完結したことになる』。
『ドイツやイタリアも侵略国であり敗戦国だが、「何度も繰り返して相手国に謝罪するのは見たことがない」、「国際法でもそんなことは定められていない。中国以外の世界中の第二次世界大戦の“被害国”は、そんなことをしない』。
日本でも中国でも同じで『ドイツは戦争についてきちんと謝罪した』が一般常識になっている。
しかし『ドイツの謝罪』例の1970年ワルシャワにおけるブラント首相の謝罪は、ナチスの『ユダヤ人の迫害』に対するものでドイツの侵略戦争に対するものではない。
同じく1985年(終戦40周年)のヴァイツゼッカー大統領の『われわれ全員が過去からの帰結にかかわりあっており、過去に対する責任を負わされている』とあるだけでブラント首相と同じで『反省』や『謝罪』は一切無い。
イタリアに至っては開戦時には日独と同じ枢軸国(敗戦国)側だったが、早々と降伏して1945年の終戦時には連合国側なので『戦勝国』なので反省も謝罪も一切ない。『戦争』とは何とも恐ろしい話だが、選挙やスポーツと同じで『勝ったものが正しい』(負けたものが悪い)との極めて原始的で単純明快、シンプルすぎる原理で動いている。負けたから『悪い』と決定されたのであり日本がもしも勝っていれば世界は逆になっていて今頃は東京の一番目立つ場所に東条英機の銅像が建てられ教科書でも偉人中の偉人として記述されている。

『民主主義は、完全でも万能でもない』

『民主主義』ですが基本的に脆弱で不完全な『危うい』制度なのです。因みに、古代ギリシャで一番有名な哲学者アリストテレスの師プラトンは民主主義よりも独裁者による専制政治が、共和制より帝政による『独裁』のほうが政治形態として優れていると断定している。
ローマも初期は民主制(議会制民主主義)でしたが独裁者(デイクタトル)による統治、そして共和制から帝政に移行と変化・発展していく。
元老達の推薦と市民の選挙により『独裁者』を選び、それまで議会で長々と、時には数年も話し合いながら結論が引き延ばされていた懸案も、あっという間に解決される。当時においては民主主義よりも独裁政治が格段に上の政治制度とされていた。
今の日本の『作る会』などの歴史修正主義は、現在の価値観『民主主義』や『民族自決』を使って、過去の日本帝国の『独裁・専制』や『帝国主義』を説明(弁護)しようとする、何とも頓珍漢なことをしている。
当時の日本人にとっては、間違いなく『世界制服は善』だったのである。



『「世界征服」は可能か?』 不倫は日本の文化。世界征服は男のロマン。良い子は読んではいけない禁断の書。

岡田 斗司夫 (著) ちくまプリマー新書
悪の組織の「世界征服」に関するおそらく世界初の考察。
世界征服を思いつくところから、成し遂げた後までを仮想シミュレーション。
悪の組織は、何の為に「世界征服」を企むのか。?
世界制服を成功させるためには何が必要なのか。?その戦略とは如何なるものか。?
悲願成就。世界制服の暁には彼等は何がしたいのか。?

『そもそも「世界征服」とは何か』

世界征服を目指しているかに見える『北斗の拳』の最大の悪役で自ら『世紀末覇者』を宣言しているラオウは、未だに日本はおろか世界中から熱狂的なファンが付いているが、単なる喧嘩好きな大男にすぎない。
どこかに強い奴がいると聞くと、行ってケンカして帰ってくる筋肉馬鹿の一人である。
それに比べ後半に出てくる南斗聖拳の聖帝サウザーは大勢の子供を労働力として酷使して巨大ピラミッド建設を目指すので『悪』『世界征服』のイメージに近いが、ちゃんと真面目に『世界征服したい』と考えているのか疑わしい。
目先の快感や思いつきに振り回されて、自分の野望を見失っている。本人にはじっくりと反省してもらいたい。

『人類絶滅』

これは文句無く悪の帝国の究極の完全世界征服バージョンである。
『宇宙戦艦ヤマト』にでてくるガミラス星人は遊星爆弾で地球を放射能で汚染して人類を絶滅しようとするが、ガミラス人は放射能と亜硫酸ガスの大気がベストなので『引越し前にバルサンを焚いてゴキブリ等の害虫を駆除する』のと同じ行為で、この作戦は攻撃と環境の適正化(環境浄化)であり、論理的・知的な侵略作戦である。
しかも攻撃に使う遊星爆弾の製造・発射基地は冥王星に有るため地球からの攻撃が届かず、ガミラス側にはほとんど戦死者は出ない。
イスラエルのガザ空爆かアフガン駐留アメリカ軍のパキスタン現地武装勢力へのミサイル攻撃のような話である。
イスラエルの攻撃を正当化するものはなにか。出エジプトの約束の地カナン(パレスチナ)は既に異民族の異教徒が住んでいたので、これ等の民族絶滅を聖戦として正しい事(正義)であるばかりでなく義務でも有ると旧約聖書に記述している。
また新約聖書のヨハネの黙示録では人類絶滅がキリスト再臨(至福の千年王国)の絶対条件とされているので(アメリカ人の3分の1以上を占める)原理主義者にとっては『人類滅亡』や地球の消滅は『待ち望まれている』喜ばしい未来なのですから恐ろしい。
ですからデスラー総統のガミラス星人とイスラエル・アメリカの原理主義者はほとんど同じ立場、行動原理で有ると言って差し支えない。



『支配されそうだから逆に支配する』大日本帝国の栄光(野望)と無残な挫折

世界征服の理由としては、実にリアルな目的である。
『機動戦士ガンダム』に登場するジオン公国がこれ該当するが、ジオン公国は地球連邦からの独立を求めて独立戦争を仕掛ける。
地球連邦の支配から離れジオン公国の完全独立を求めているわけですから240年前のイギリスとアメリカ13州の関係とそっくりである。
普通に考えると被支配民族が独立戦争をしかけているのですから、被支配民族側が正義で支配者は悪となりそうですが、ガンダムではアメリカ史とは逆に描かれている。
ジオン公国の悪事が、これでもかこれでもかと繰り返し描かれ悪の帝国であるとの評価は定まっているようだが、悪の帝国であったから負けたとの歴史認識は正しくなく、話は逆で負けたから悪の帝国との歴史認識が定まったのである。
地球連邦に勝ってさえいればどれ程の悪事でも隠蔽する事が出来るし逆に地球連邦の悪事を大々的に記録する事も出来る。
ジオン公国と全く同じように現、近代史上この『支配されそうだから、支配する』を実践して見せた国家が、誰あろう日本列島にかって存在し周辺諸国に恐れられた強大な軍事大国、我が『大日本帝国』である。
大日本帝国の最初の戦争の動機は欧米列強の支配から逃れる為であったかもしれないが緒戦の日清日露の勝利の甘い蜜が、理性を狂わせ自分の実力以上の世界支配の野望まで膨らませて滅亡する。
ジオン公国も大日本帝国も、実力以上の世界征服(異民族支配)など目指さず、自国の完全独立(自主独立)を目指してさえいれば国家崩壊に至らず、地球連邦(アメリカを主とする連合国)による屈辱的な全面占領とそれに続く、より屈辱的な軍事・政治・経済・文化・思想等の全面支配に屈する事も無かった。
敗戦ののち大日本帝国はかって地球上に存在した『悪の帝国』として現在世界の人々に記憶されているが、機動戦士ガンダムのジオン公国と同じで有ると理解すれば今の若い人でも歴史が分りやすくなる。

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3 コメント

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病的に騙されやすい日本人、亀井静香の真言。 (太田 (旧ネプギアソリッド))
2016-01-05 21:09:20
>ちなみに、欧米諸国の一つの特徴として「自分たちが納得するために平気でウソをつく」文化も忘れてはなりません。

欧米では、
「日本の若い女の子は優しくて甘い言葉をかけると簡単にセックスさせる」
「日本の女子学生はセックス目当てで付き合い遊んで捨てても失恋したと思い、デートレイプだの騒がない。」
と、イエローキャブと呼ばれ性的搾取に最適とされてるそうです。
日本人女ほど騙しやすくバカな連中は無いと。


亀井静香「日本人は馬鹿ばっかり」

そうなんです! 日本人は昔から、
「長期戦略」が建てられず学校やテレビが真実を伝えると信じる善良な子供国家なんです。
中国は崩壊するだの10年前から唱えて本気にしたり、原子力発電所を隣国のミサイルの射程内や地震地帯に立てまくる危機感ゼロ、今が楽しければそれでよい刹那主義なんです。
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Unknown (ましま)
2016-01-06 11:33:58
『現在の価値観で過去の歴史を判断するべきでない』最大の実例、「戦後レジームの脱却」の矛盾に気付かないレベルの人が、日本を支配しています。
返信する
地球温暖化とか、日本国の国連報告とか、 (宗純)
2016-01-09 14:24:33
太田 (旧ネプギアソリッド)さん、ましまさん、コメント有難うございます。

現在は氷河期の真っただ中であることを失念したとしか思えない人為的CO2温暖化説が、さも科学的真実であるかに装った、国連による地球温暖化対策が全員で真面目な顔で論議されている。
炭酸ガスですが地球誕生から45億年間も一貫して減り続けており、今の地球環境とは植物から見れば随分寒くて唯一の食べ物である炭酸ガスが少ない厳しい環境なのです。
巨大ななシダ類が繁茂した恐竜時代ですが今の数倍以上の多難ガス濃度なのですから、植物から見れば地球温暖化も炭酸ガスの増加も、『悪い』どころか素晴らしい出来事ですよ。
なんと日本国の女子高生の15%は援助交際をしているとの報告が国連で出されているとか、あるいはホモやレスビアンが日本では十数人に一人の割合でいるとかの驚愕の、あるいは爆笑のトンデモ報告が国連が出している。
その日本国ですが、今の本当の日本のリアルな話ではなくて、ネットウヨも真っ青な、ほぼ脳内妄想のバーチャル空間の話。現実とは違いすぎる。
まあ、安倍晋三が救いがたいお馬鹿なのは間違いではないが、
何も、お馬鹿なのは安倍晋三一人の話でも無いのです。
ほぼ全員がお馬鹿なのですから、今の世界がぐちゃぐちゃになっているのもある意味では仕方がないのです。
大部分が賢ければ、今のようにはなりません。

話変わって、またまた山本太郎がやってくれました。
衆参720人以上いる全国会議員の中で、今回の北朝鮮の核実験が満場一致で非難決議が可決されるが、高校中退(学歴が中卒)の山本太郎一人が採決で欠席したそうです。
山本太郎が山本宣冶になる日本の無残
2013年10月20日 | 政治
http://blog.goo.ne.jp/syokunin-2008/e/4e68846245b302a71d360091edbb7ba8
「臣が狂愚 」放射能汚染で112年ぶりの直訴
2013年11月04日 | 政治
http://blog.goo.ne.jp/syokunin-2008/e/a1dc5375aaab241c10091653bf04edbd
日本国憲法16条(請願権)を知らなかった自民党政府や産経、読売
2013年11月06日 | 憲法
http://blog.goo.ne.jp/syokunin-2008/e/0b9058bd8be46d92cdf0415e945e724a
十分な検証ないまま「対テロ非難決議」 山本議員のみ退席
2015年02月09日 | 政治
http://blog.goo.ne.jp/syokunin-2008/e/115873156da87b17b119bf35338d531e
と、代表的なものを列挙したがこれ以外にもずいぶん山本太郎を取り上げているが、空気を読まず全員が賛成する中で一人だけ反対している姿勢はこの『逝きし世の面影』と同じ。
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