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逝きし世の面影

政治、経済、社会、宗教などを脈絡無く語る

続、米国の食肉産業とBSE(30ヶ月は安全?)

2008年05月04日 | 経済

『米牛肉輸入で譲歩か 事実上の制限撤廃へ』
2007.12.7 20:35 MSN産経

米農務省のマーク・キーナム農務次官は7日、東京で行われている日米次官級経済対話で、日本側から米国からの牛肉輸出について月齢30カ月未満でどうかとの打診があったことを明らかにした。

これまで日本は米国産牛肉について月齢20カ月以下に限定して輸入を解禁している。

キーナム農務次官は米国大使館で行われた記者会見で、「(日本は)食品安全委員会で、月齢30カ月未満の米国産牛肉の輸入について諮る。
米国としては月齢制限の全面撤廃を求めているので遺憾だ」と話した。

『米産牛肉輸入、30カ月未満に緩和へ』
2007.12.7 23:03 MSN産経

政府は7日、米国産牛肉の輸入条件について、生後20カ月以下としている月齢条件を30カ月未満に緩和することで米側と調整する方針を明らかにした。
若林正俊農相は同日夜の記者会見で「輸入機会を増やすとすれば、多くの国が採用する30カ月(未満)という線で検討する」と言明。





『20ヶ月未満でも危険 』

アメリカ農務省は自国内でBSE が発生して大問題になっている当時から日本の20ヶ月制限を不当として、30ヶ月への緩和を要求していた。
輸入制限を20ヶ月未満を30ヶ月に変更するのは肉の安全性とは関係なく、純粋にアメリカの食肉産業の経済問題です。

実は20ヶ月未満では、アメリカの食肉業者にとって、大変都合が悪い事情が有る。
普通、動物は食料事情、季節で、繁殖時期がある程度決り、食料が沢山有る時期に子供を産む。
牛は、草が生え出す春先4月から5月が出産時期。自然繁殖のアメリカでは万遍なく生まれてはくれない。
20ヶ月未満では端境期の関係で出荷量や経済性に大いに問題が出て来る。(15ヶ月とか16ヶ月で出荷しないといけない)
30ヶ月だとこの問題が簡単にクリア出来るし、アメリカ牛は殆どが30ヶ月くらいで出荷している国内事情も有る。

狂牛病プリオン説は、まだ完全に100%証明されてはいないようです。
しかしイギリスで原因とされた肉骨粉を禁止したら劇的に感染牛を減らすことが出来たので疫学的には証明されている。

アメリカの問題点は、正にこの点に有る。
年間数百万頭もされるアメリカでは大量の骨等の産業廃棄物が発生、これを家畜の飼料の肉骨粉として再利用する。
世界の大勢に逆らって、未だに肉骨粉を使用し続けるアメリカからの牛の輸入は20ヶ月未満でも、もってのほか。30ヶ月などは狂気の沙汰。







『米国産牛肉をめぐる、過去の経緯』

2003年12月下旬、米国初のBSE感染牛が確認され、日本は直ちに禁輸(米国産牛肉の輸入禁止)措置を取る。

2004年1月23日 日本の農水省で輸入再開に向けた日米協議が開かれた。日本は米国に対して、牛の全頭検査を要求し、米国は拒否した。

2004年10月23日 米国産牛肉の輸入再開問題を協議する日米局長級協議が行われた。日本が新たなBSE(牛海綿状脳症)対策案で全頭検査対象から除外する生後20か月以下の牛のうち、米政府が農場の記録簿を正確だと保証した牛については、輸入を再開する方向を確認し、終了した。

2005年6月10日 米国農務省は2例目のBSE感染牛が一頭発見された、と発表した。輸入再開は当然、見送られた。

2005年11月16日 来日したブッシュ大統領と小泉首相(当時)の首脳会談で、小泉はブッシュの圧力に屈し、年内輸入再開の方針を伝えた。

2005年12月12日 厚生労働省は、米国産牛肉は安全だとして、輸入を再開すると公式に発表した。

2005年12月17日 輸入再開発表から4日後、再開後の米国産牛肉第一便が成田に到着した。

2006年1月20日  輸入再開からわずか一ヶ月後、輸入牛肉に特定危険部位である脊椎を除去していない牛肉が混ざっていた。日本は再度禁輸措置を取った。

2006年2月2日  米農務省監査局の米国内のBSE対策に関する監査報告書で、歩行困難になった牛20頭が原因不明のまま食肉処理されていたことが明らかになった。

2006年7月27日 日本政府が、米国産牛肉の輸入再開を決定(6月、農林水産省と厚生労働省が米国に派遣した調査団の査察の結果、35か所の食肉処理施設のうち、1,2施設で問題があったが、その処理施設で扱われた牛肉を外せば、問題なかろうとの理由)。

2006年8月 輸入再開。

2006年11月8日、大阪港に陸揚げされた米国産牛肉に、輸入許可を受けていないリンパ組織「胸腺」9キロ一箱が混入していたことが発覚する。

2007年2月16日、横浜港に陸揚げされた米国産牛肉9トン(473箱)の中から、日米間の輸入条件に違反する牛肉が見つかった。輸出した米タイソン社は、問題の肉が20カ月以上のもので、輸入条件違反であることを認めた。「誤って日本向け貨物と共に出荷されたもの」と釈明した。

2008年4月23日米国から輸入された牛肉の中に、BSEの原因物質がたまりやすく輸入が認められていない特定危険部位の脊柱が見つかったと発表した。

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3 コメント

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結局は「コスト」一辺倒なんですね (kaetzchen)
2008-05-05 20:57:19
ブログ主さん,こんにちは.

| 狂牛病プリオン説は、まだ完全に100%証明されてはいないようです。

そうなんです.97年にノーベル賞をもらったプルシナーのプリオン説はあくまで「演繹説」にしか過ぎません.

科学では演繹と帰納の両方がつりあって,初めて学説とされますから,帰納論のないプリオン説はあくまで未だ「仮説」に過ぎません.

分かり易く言うと,演繹とは
1)アメリカ人は牛肉を食べる
2)ジェームズ君はアメリカ人である
3)だからジェームズ君は牛肉を食べる
という推論の流れを追っているから,
3')しかしジェームズ君はベジタリアンである
という推論から外れた結論を導き出すことはできない.これがプリオン説の最大の欠点である.

ちなみに帰納論とは日常生活で使われる推論で,
1)ジェームズ君が学校を休んでいる
2)そういえばジェームズ君の飼ってる牛がふらふらしてると聴いたよ
3)じゃあきっと獣医さんを呼んで牛の看病をしてるんだ
という場合,前提となる情報1)2)が正しくても,3)が正しいとは必ずしも言えない訳で,既に牛は死んでいるのかも知れないし,されているのかも知れません.つまり,結論が前提に含まれない情報を含んでいる時,それを帰納論または帰納主義と言います.(だから高校数学の数学的帰納法はでたらめ)

詳しくは長くなるので,またいずれ.
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狂牛病プリオン説 (ブログ主)
2008-05-06 10:45:34
石井部隊のように、人体実験できるわけではないし、検証しょうがないんですね。
検証できないなら「100%証明された」とは科学的にはいえない。
科学者には、プリオン説は有力な仮説であるとの謙虚さが必要ではないでしょうか。

しかしイギリスでの経験から、肉骨粉とは、明らかに何らかの因果関係は有るでしょう。
ところが、アメリカでは肉骨粉問題は、産業廃棄物問題でも有るわけです。健康より金。命より金。最期は金の問題ですね。
返信する
実験環境の汚染 (kaetzchen)
2008-05-06 14:33:11
の問題もあるんですよ.つまり,ヘタレ牛と同居している他のウシや飼い主の大脳にも異常プリオンが蓄積されてしまうとか,プルシナー研究室自体が異常プリオン(正確にはスクレイピー病原体)で汚染されてしまっているという可能性を,誰も指摘していないのです.

# 例えば,大腸菌とか酢酸菌を飼ってる研究室に,学食で納豆を食った学生が入ってくると,その研究室は納豆菌で汚染されて,大腸菌や酢酸菌が納豆菌に食われてしまうという笑い話があります.案外,そんなレベルの話じゃないかという論文も出ています.

また,微生物学の実験の経験がある人だと経験的に知ってることですけど,任意の病原体を継代すると,潜伏期間が短くなっていくという現象があります.つまり,最初の世代が病気を引き起こすまでの期間よりも,次の第二世代が病気を引き起こすまでの期間が短くなり,さらに第三世代だとさらに短くなる……という現象です.ところが,プルシナー研究室の論文では第一世代が500日,第二世代が250日,第三世代が125日という劇的な速さで潜伏期間が短くなっているのです.他の病原体にはこのような例は見られません.

研究室,特に大規模な動物実験設備の中では様々な病気を持ったマウスが飼われている例が多く,わざわざ隔離して飼うことは珍しいです.ということは,何らかの理由でマウスが病気をうつしっこした可能性が出てくるのではないかとも言えるのです.

また,試験管内(in vitro)で遺伝子工学を用い,人工的に作った「異常型プリオンタンパク質」を,わざと健康なマウスに摂取した時,大脳にプリオンが蓄積されたかどうかという,反証実験も未だに誰も行っていない(またはしようとすると研究費を絶たれる)という所が,非常に怪しいのです.
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