逝きし世の面影

政治、経済、社会、宗教などを脈絡無く語る

3ヶ月半ぶり株価20000円台回復とロシア機撃墜の深層

2015年12月05日 | 経済
『7~9月期のたった3カ月で8兆円がパー。しかし、その後2ヶ月で2万円台突破のジェットコースター相場』

年金資金までつぎ込むアベノミクスの株価操作(日本銀行による違法なインサイダー取引)でも9月末時点では17000円を割っていた株価が、2ヶ月前から唐突に上昇し出して12月1日には、とうとう20000円の大台を突破する。
2ヶ月前までの世界的株価の大幅な低下は中国経済の減速が大きく影響したと言われているが、それなら2ヶ月前からの急上昇は何が原因しているのだろうか。
この問題では経済専門家の間に合理的な説明が一切無いのは不思議である。
超短期間にV字回復した株価であるが、株価下落の原因とされた中国経済の失速は少しもV字回復していないだけでは無く日本のGDPはマイナス成長だしアメリカのゼロ金利解除も目前に迫っている。もちろん公的資金で株価を人為的に吊り上げるアベノミクスの限界もあらわでもはや崩壊は時間の問題である。
証券会社系のエコノミストの『説』だけでは、基本的に株価が2ヶ月間で20000円台まで上がるような最良の経済状態ではない。
指摘されているものとはまったく別のファクターが考えられるのです

『二ヶ月前は、国民の大事な年金資金がカラッポ寸前だった』

11月30日に発表された公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)2015年7~9月期の運用損益は7兆8899億円の大赤字だった。(国内株式4兆3154億円、外国株式3兆6552億円)
今まで最大の損害だった7年前の2008年(10~12月期)の損失額は5.7兆円であり、今回は赤字額としては過去最大を記録する。アメリカの金融不安のリーマン・ショック以上の中国経済の減速によるチャイナ・ショックである。


『円を抜き世界3位の国際通貨に 「人民元」に脅かされる日本』日刊ゲンダイ

中国の人民元が米ドルや円などに次ぐ基準通貨に仲間入りした。11月30日、国際通貨基金(IMF)の理事会が「特別引き出し権(SDR)」と呼ぶ準備通貨に人民元を採用することを正式決定した。
これにより、国際金融の世界で人民元の存在感はますます高まり、円は地位を脅かされる。
SDRとは、IMFが通貨危機に備え加盟国に配る「準備通貨」のこと。現在は米ドル41.9%、ユーロ37.4%、英ポンド11.3%、円9.4%の通貨バスケットで構成され、加盟国は外貨不足に陥った際にSDRを他国に渡せば、構成通貨と交換できる。
中国が世界最大の輸出大国であることを踏まえると、SDRの構成で人民元の比率は円やポンドを上回り、米ドル、ユーロに次ぐ世界3位の国際通貨の地位を得る。
対照的に円は4位に転落。“アジア唯一の基準通貨”という金看板を失った。
中国にとって人民元がSDR構成通貨に採用されるメリットは絶大だ。
大損失が発生しているドル依存から脱却できるし、人民元建てにより輸出入の為替リスクも軽減できる。
目ざとい中国当局は用意周到に準備を進めてきた。
「SDRの採用には①貿易の量②通貨取引の自由度という2つの基準を満たす必要があります。IMF内には人民元の『自由度』について慎重論がありましたが、中国は外国為替取引や貿易に対する管理を緩和するとともに、ロコツな株価維持政策を控えるようになりました」(金融関係者)

人民元のSDR入りに一番驚いているのは安倍政権ではないか。
今年3月、英国をはじめとする欧州勢が雪崩を打って中国のAIIB(アジアインフラ投資銀行)に参加したが、日本は取り残された。
人民元の国際通貨化も「ムリ」というタカをくくった論調が多かったが、フタを開ければ正式決定である。
シグマ・キャピタルチーフエコノミストの田代秀敏氏がこう言う。
「人民元のSDR入りはあうんの呼吸というか、IMFも欧米各国も望んだ結果といえます。世界最大の外貨準備と預金総額を持つ経済大国の通貨が、主要な国際通貨になれば、国際金融システムが安定します。中国は人民元を米ドルに代わる基軸通貨にする意図がないことを明言しているので、当然、米国だって承認しています。中国台頭の現実を直視していないのは日本くらいのものです」
いまだに中国の“爆買い”を小バカにする風潮があるが、彼らの購買力が日本経済を支えている。
そろそろ現実を直視しないと日本は戦前のように世界で孤立する。
2015年12月2日 日刊ゲンダイ

『日本(安倍晋三)が熱望する米中対決(冷戦構造の再構築)ではなく、米中合作(政治・経済のメルトダウン)に向かう世界の趨勢』

最新の2014年世論調査では、過半数の52%のアメリカ人が中国が世界最大の経済大国になると思っている。中国以外では31%がアメリカを、16%が日本、インド、ロシアやEUを選んだ。
そもそも中国は有史以来長い間世界一の経済大国であり続けたのである。
19世紀初頭の1820年のGDP世界シェアで中国は28%台で断トツの一位。イギリス、フランス、ロシアはそれぞれ5%台。アメリカは2%。
『中国は超大国としてアメリカを追い抜くか』とのアメリカの2011年調査結果では46%対45%と拮抗していた。
日本以外の世界の世論調査では常に『追い抜く』が『追い抜かない』を大きくリードしている。
今の世界では、中国の超大国化を考えていないのは日本だけの特殊な話なのです。そもそも今の中国の大発展は新自由主義でヒトモノカネが自由に国境を越えた結果であり、その新自由主義を推進したのはアメリカや日本の経済界である。(今の巨大な中国を作った張本人はアメリカや日本だった)


『日常的に繰り返されていたトルコ軍機による対ギリシャ国境の領空侵犯』
(先月には50回にも上った傍若無人なトルコ軍機の領空侵犯ですが、ギリシャ軍の参謀本部によるとロシア機撃墜直後からピッタリ領空侵犯が無くなったというから何かの事実誤認では無くて確信犯。わざと挑発しているのである)

『政治・経済の延長としての戦争』クラウゼヴィッツの「戦争論」

『チャイナ・ショック(世界同時株安)で1700円割れ、絶体絶命のアベノミクス(日本)の危機を救ったのはロシア(プーチン)だった?!』
フランスで130人が死亡したパリ同時テロ(11月13日)直後に、日本を含む世界の株価が敏感に反応して急上昇している。
ところが、中国の経済成長の停滞による世界同時株安(リーマン・ショック以上のチャイナ・ショック)の2ヶ月前からの株価反転では、ロシア(プーチン)のシリア空爆参戦が大きく影響していたと考えられるのですから恐ろしい。
まさにクラウゼヴィッツの戦争論のとおりで『政治・経済』と『戦争』とは一つながり。延長線上の現象なのである。
(今に続く九月末から10月初めに起きた世界的な大事件は他に無いので、消去法で世界の株価上昇の原因とは『ロシア参戦』以外残らない。
困ったことに他には一つも無いのである)
13日のパリ同時テロの印象が薄れるまもなく連続して24日に起きたトルコによる露軍機撃墜事件では双方の言い分が真っ向から衝突する。
トルコ政府はロシアに領空侵犯があったから国家主権を守る為に撃墜したと主張し、ロシアは『攻撃はトルコ政府がIS(イスラム国)から の石油密売ルート問題を隠すために行った犯罪』だと主張する。
トルコはNATOの正式加盟国なのでEU諸国やアメリカも同盟国であるトルコ側の言い分を支持しているが基本的に無茶。論理的に破綻している。
今回のトルコ(アメリカやNATO)の言い分ですが交戦している敵国に準じる、停戦中の仮想敵国相手の暴論であり、到底友好関係にある隣国に対する態度ではない。
日本国の領空侵犯では(ミグ25戦闘機が函館空港に強行着陸した亡命事件を含め)隣国のロシア機などが38回を数えている。(1年半に1回程度の頻度)ところが、過去に威嚇射撃したことが1回有るだけ。
基本的に撃墜は、その飛行経路が国家に致命的な危険をもたらすと判断されて時に、差し迫った危機を避ける目的での『それ以外には方法が無い緊急避難』的なものとされている。
国際法上の不法行為である領空侵犯に対して、当該国は対領空侵犯措置を取ることができると定められているが、トルコが今回主張するような領空侵犯即撃墜でななく、何重にも手順を踏んでからの最後の手段である。
(1)航空無線による警告
(2)軍用機による警告
(3)軍用機による威嚇射撃
(4)強制着陸
(5)撃墜
トルコの説明が全部正しくとも、今回は軍用機による威嚇や曳航弾による威嚇射撃など②③④を省略して①から⑤に領空侵犯の対応が一気にエスカレートしていることは明らか。危険極まりない無謀な挑発行為であると断じられる。
1992年アメリカ南部の田舎町バトンルージュで、フリーズと警告したが立ち止まらなかったハロウィンのハーティに出席途中の日本人留学生を、不法侵入者としてマグナム拳銃で射殺した殺人事件を髣髴させる、なんとも嫌な事件である。(何とこの殺人の陪審員裁判で被告の正当防衛が認められ無罪となっているが、個人の武装を憲法で保障しているアメリカならではの話である)
『ロシア軍機は日本の領空も良く侵犯し、航空自衛隊の戦闘機がスクランブルをかけます。』などの誤解も有るが、これは丸っきりの間違い。
スクランブルは防空識別圏( ADIZ )内への侵入で発動されるのもので、これは領空侵犯とはまったく意味が違います。

『ロシアとトルコの親密な関係』

ロシアとトルコは隣国なので天然ガスの6割、石油も3分の1がロシアからと、経済的な結びつきが強い。大喧嘩すると双方が大損害が出る。
今回も、どこかの時点で踏みとどまるでしょう。
領空侵犯ですが、事実は不明(水掛け論)だがロシアが『後ろから撃たれた』とか、『基地に引き上げるところだった』と言っているが、墜落地点はシリア領です。
たぶん、そういうことなのでしょうね。
今回のロシア軍のシリア空爆ですが、ロシアのチェチェン人のISIS部隊の殲滅目的だったとの不思議な報道もあるが、時期的にみると、ロシア軍の石油施設やコンボイを破壊したことに関連していると考えると辻褄がピッタリ合います。
ISISですがトルコに石油を密輸して1日当たり数億円も儲けていた。
ロシア軍のシリア空爆で、この莫大な利益が無くなったのでトルコ側が怒ってロシアに仕返ししたのでしょう。

『ウクライナ問題でのアメリカ主導の対露経済制裁に不参加だったトルコ』

政治経済の延長が戦争であるとクラウゼヴィッツの「戦争論」は喝破するが、今回のロシア戦闘機の撃墜も十分に政治的経済的な動機が考えられる。
ウクライナ紛争では、アメリカは渋るNATO諸国にも対ロ経済制裁を行わせ、ロシア経済に打撃を与えるだけではなくて、ロシアと密接に結びついている欧州経済にも大きな打撃を与えている。
ところが、NATOの有力な一員であるトルコですが、今までは対ロ経済制裁に参加しないだけではなくて、これまではロシア製の原子炉の導入とか、東欧を通らないガスのパイプライン建設とか、アメリカが主導する経済制裁とは逆方向で動いていた。
大西洋を隔てて大きく離れているアメリカとロシアの経済関係は小さいが、対照的に地続きの欧州諸国とロシアとは大きい。
そして、ロシアとトルコの経済的な結びつきは他のNATO加盟の欧州諸国よりも格段に大きいのである。(トルコとロシアは相互にビザを免除する互恵関係にある)
ところが、このロシアとトルコ両国の親密ぶりのですが、これを何とか止めさせたいと願っている勢力は、アメリカだけではなくトルコ軍内や政府内にも必ずいる。
ロシア機の撃墜ですが、偶発事故ではなくて、十分に準備していたトルコ軍の待ち伏せ作戦の可能性が高い。
まさにクラウゼヴィッツの「戦争論」のように、経済とテロ戦争が一つながりであり、『一体構造』なのだと考えれば、今までとは違う別の景色が見えてくる。

『シリア空爆 「警告なしで空爆受けたのは(10月からのロシア軍が)初めて」???と住民証言』

2015年12月4日付け朝日新聞(カイロ=翁長忠雄 トルコ南部ガジアンテップ=春日芳晃の署名入り記事)では、ロシアが軍事介入した9月末以降、ISIS(イスラム国)などイスラム過激派組織(反体制派勢力)空爆が激化。トルコに一時避難した住民らが、朝日記者に対して『警告なしで空爆を受けたのは、初めてだった』とシリアの現状を証言したという。
それが事実なら、1年以上前から続いていたアメリカやNATO、湾岸諸国の空爆とはISIS側に『あらかじめ警告してから、損害が出ないように慎重に空爆していた』双方馴れ合い。本物の戦争ではなくて、八百長の出来レースだったのである。
世界最強の米軍の猛烈な空爆でイスラム国が壊滅するどころか益々力をつけていたのは当然だった。

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