中断している作品について

『ダンシング・ウィスパーズ』の続巻について質問がありましたので、月例の「現在の状況」に掲載されていない中断中の作品の現状について、これまでの経緯も含めてこちらにまとめておきます。
一部、以前にブログなどに掲載した内容と重複する点がありますがご了承いただければと思います。
なおこの文面は、私の公式サイトの方でも閲覧できるようにいたします。

『ダンシング・ウィスパーズ』
『ヨーコ』ＴＶアニメ化が決定した時点で、『ダンシング・ウィスパーズ』を取り巻く諸事情を考慮した結果「しばらく刊行スケジュールが開いても問題はない」と判断した当時のファンタジア文庫編集部より、「当面は『ヨーコ』に専念して欲しい」という申し入れがあり私もそれを了承しました。
しかしながら『ヨーコ』のメディアミックスが一段落した時点で、この作品を取り巻く環境が大きく変わってしまい、編集部の判断としては「現状で『ウィスパーズ』を刊行しても部数が伸びず得策ではない。『ヨーコ』や他の作品を優先して、状況が盛り上がってきた時点で再度、検討したい」という事になりました。
その後も編集部と『ヨーコ』完結編の打ち合わせの際に『ウィスパーズ』続巻についても話をしているのですが、「ネット配信もされておらず現実問題としては難しい」「『ヨーコ』完結編を刊行した後、その結果を見て考えたい」という事です。
『ヨーコ』完結編が刊行されそれが売れるか、あるいは他作品がメディアミックス化され既刊の需要が増すなどの状況が整わないと、富士見書房としては、刊行は厳しいという考えのようです。


『限外特捜シャッフル』
当時のドラゴンマガジン編集部より「現代物でお願いしたい」という指定のうえ、全三話を三回に分け各話の間に一ヶ月の休みをおき、全九回掲載後に文庫化というスケジュールでスタートしました。
しかしながら第一話三回分のアンケートがきわめて悪く、その後の掲載予定が立たなくなりました。
本来なら次の掲載はないはずだったのですが、ドラゴンマガジンの掲載枠が空いたので、何か書かないかと言われて急遽執筆したのが「香りの迷宮」でした。これは当初予定していた二話以降のプロットを再構成したものです。
ドラゴンマガジン掲載時には時間が無かったため、『限外特捜シャッフル１　かぐわしきかな皇帝』として文庫化刊行の際には大幅に手を入れる事になった次第です。
文庫が売れれば続巻の可能性も有ったかも知れませんが、芳しい結果とはなりませんでした。
現実的には打ち切り状態ですが、連続ストーリーではないので、何かの機会が有れば、まったく違う形でも復活させられないかと考えていますが、今のところ具体的な話はありません。


『エイティエリート』
当時のスニーカー文庫編集部より「長くなっても良いので、派手な展開の作品を」という事で、私も長期的なプロットを立てスタートしました。
第一巻の滑り出しは良かったのですがその後、伸び悩み、第二巻刊行後も状況は好転しませんでした。
一年ごと三冊分の企画を出すという形で進行しており、増刷が決まり次第、二年目第四巻以降の企画を提出する予定でしたが、第三巻の打ち合わせの段階になっても、一巻、二巻の増刷がかかっておりませんでした。
当時の担当さんから「続巻については楽観的に考えてくださって構いません」というお話をいただいていたのですが、第三巻の原稿が完成する直前に「第四巻以降の目処が立たない」つまり「打ち切り」という旨、連絡がありました。第三巻でストーリーが完結しないのはそのためです。
また担当さんの個人的意見として「多少、時間が開いても何とか続巻の可能性を探りたいので、後書きなどで打ち切り、第一部完という言葉は使わないで欲しい」という申し入れがあり、後書きではあのように「しばらく時間が開く」と書いた次第です。
しかしながらその後、担当さんが編集部より異動してしまい、続巻の話も立ち消えになってしまいました。担当さん以外スニーカー文庫編集部には面識のある方がほとんどおらず、スニーカー文庫から続巻刊行可能性はほぼありません。