もぐ菜のみっしり茶匣(はこ)院

ようこそ腐女子の匣喫茶へ お好みのモノをどうぞ、召し上がれ。 日々を書き連ね、妄想をこよなく愛でます

Fate/Zeroで気まぐれビミョーなBL言時 完結

2013-07-15 07:53:51 | 腐女子の御伴
※この小説はFate/Zeroの設定を基に、二次創作(夢小説)として執筆しております。 一個人の解釈なので、原作やアニメ制作会社、出版社とは一切関係ありません。その点をご理解いただき、お読み下さる様お願いいたします。



*腐はムリな方は回れ右*



         2013年 腐女子の暑中お見舞い マーボ豆腐と金ピカでびみょ~なBL  『愛しき共謀(きょうぼう)者 完結』






言峰が私室に戻って来ると、ワインの空(あ)き瓶が床に何本も散乱(さんらん)しておりギルガメッシュの気配(けはい)がしない。

騒ぐだけ騒ぎ立てて帰った様子だった。散乱(さんらん)したワインの空(あ)き瓶を片付ける事にした。



私室の片付けを終えると、一息をやっとつけた。昨日の晩から今日の夕方まで師である時臣と、そのサーヴァントであるギルガメッシュにいいように振り回された。

さすがに腹が空(す)いた。 何か作ろうと考えてると、身体の廻りに金の霧が渦巻きまばゆく光を放つ。まさかと思うと、その通りの人物が実体化した。

「遅いぞ、綺礼。」

と、ギルガメッシュは言うが楽しい愛玩具(あいがんぐ)が、見つかり遊ぶ気満々で実に楽しいそうである。

「…‥」

言峰は横目でちらりと実態化した英雄王を無言で見ただけで、黙々と私室の清掃を始めた。

「綺礼!! 王である、我を無視するとは、貴様は──── この痴れ者が!!」

ギルガメッシュが何を言おうと聞こえてない、言峰は魔術を行使(こうし)し耳を塞いで居た。

ギルガメッシュはふて腐れて機嫌悪くソファーに魔力で、言峰を押し付けて無理矢理座らせてその上に自分が膝で乗り上げた。

ギルガメッシュは綺礼の鼻先に、顔をまじかに近づけた。その瞳は怒りで充ちてるのではなく、綺礼に何か見出(みい)だそうとする瞳だった。

ギルガメッシュの息がかかる距離で、余りに真剣な眼差しで食い入る様に自分を見つめたので耳栓の魔術を解除した。

「綺礼、貴様は、今までそう生きて来たのだな。だからこそ、収集した酒の味も知らんのだろ。」

「あぁ、そうだ。お前には、関係ない。まったく邪魔だ、そこを退(ど)け。」

ギルガメッシュは自分の質問に対して、苛立つ綺礼を敏感に感じとり笑う。

「貴様は、まるで何も知らぬ赤子の様だな。関係ないだっと?? 笑止!! 我から視線を反(そ)らすな。こうまでしないと、王の声が聞こえぬか。」

ギルガメッシュの瞳を見つめれば見つめる程に綺礼は、言い訳がましい思考(しこう)が脳内をグルグルと巡る。開き直るしか方法がない

「だからなんだ。私はそう言う生き物。」

「だからこそ貴様に、令呪が与えられと思わんか??」

言峰はギルガメッシュの言葉を聞き目を見開き驚く。そんな言峰の態度に満足し、ギルガメッシュは言峰の口元に自分の唇(くちびる)を寄せた。

「貴様が奉信する、神はお前の業(ごう)の深さを知らない。向き合ってもくれず、知ろうとしない。お前を知れるのは、我だけだ。時臣を抱き、何か燻(くすぶ)らなかったか??性欲ではない何かを。」

言峰は瞳をつぶりギルガメッシュから顔を反(そ)らそうとして動揺を隠そうとした。

言峰の耳元で愛おしく優しくギルガメッシュが囁(ささや)く。



我は貴様が望むモノを与えられる、唯一無二の存在であり、お前は我の寵愛(ちょうあい)を享受(きょうじゅ)されるのが相応(ふさわ)しい。



言峰の唇(くちびる)にギルガメッシュは接吻(せっぷん)を落とし、首筋に甘噛みをし金の霧となり完全に気配(けはい)を消し言峰の私室から去って行った。

ギルガメッシュが膝上から居なくなっても、ギルガメッシュに支配されてる様で身動きが取れない。

言峰は無意識に唇(くちびる)を強くはむと、微量のワインを味わった。




            それは、初めて知る蜜の味。



その蜜の秘密を暴き思うがままに貪(むさぼ)り喰らい尽(つ)くしたいと思う自分と、それ制止する自分に戸惑う。

手の甲を見つめると、令呪が浮かび上がり熱を帯びじりじりと言峰にその存在を知らしめた。



        Fate/Zeroで気まぐれビミョーなBL言時 完



2013年 腐女子の暑中お見舞い申し上げます。 御愛読ありがとうございました♪

Fate/Zeroで気まぐれビミョーなBL言時(9)

2013-07-15 07:53:29 | 腐女子の御伴
※この小説はFate/Zeroの設定を基に、二次創作(夢小説)として執筆しております。 一個人の解釈なので、原作やアニメ制作会社、出版社とは一切関係ありません。その点をご理解いただき、お読み下さる様お願いいたします。



*腐はムリな方は回れ右*



         2013年 腐女子の暑中お見舞い マーボ豆腐と金ピカでびみょ~なBL  『昼顔の蔦(つた) (9)』






ギルガメッシュは私服姿で、ゆったりとした態度。酔いが廻り上機嫌な表情で瞳を細めて、言峰を手招きし自らの元に呼び寄せた。


時臣を相手にする時も、この様に機嫌が良ければいいのにと思い言峰は複雑である。自分が居る時の時臣に対してのギルガメッシュの横暴(おうぼう)な態度。

ソファーから上半身を起こすと、ギルガメッシュはぐいっと言峰の身体を引っ張り自分の身体の上に倒れ込ませる。

ギルガメッシュの高い鼻がぴくりと動き匂いを嗅(か)いでいる。その直後にギルガメッシュの表情が一変した。

深紅の瞳が大きく見開き怒りの色が伺(うかが)えた。言峰は何が何だか分からずただギルガメッシュを見つめた。

「あの男め!! 我より、先に綺礼に手を出すとはな。この臭いは───── あぁ、虫ずが走る!!あヤツめ綺礼に自分の、臭いを纏(まと)わせるとは万事死罪に値(あたい)する。綺礼、湯浴びをしてまいれ。」


「湯浴びだっと?? 昨日の晩は遠坂家で床(とこ)を借りたので、下着は変えられなかったがシャワーは浴びたさ。そうだろうな、さぞや臭うだろ雑種だからな。」

言峰はくくっと楽しげに笑う。 ギルガメッシュは形の良い眉毛を吊り上げ腹立ちげに言う。

「王の腹に玉(ぎょく)したのを、赦(ゆる)しのただぞ。その意味が分からぬか??」

聖遺物(いぶつ)で召喚されて以来から、ギルガメッシュは言峰に興味津々(しんしん)であった。とうとう言峰の元にお忍(しの)びで遊興(ゆうきょう)に来てしまった。

言峰は思う、つっけんどうな態度で英雄王を帰すと、時臣に狂暴な八つ当たりを食らわすだろうと。

致しかない─── 英雄王のご希望に添うのが、1番の得策であると言峰は結論に達したのであった。それもまた一つの、自己義務と。

「王の中の王よ、手をお離し戴(いただ)けますか。」

「綺礼、貴様に、我の名を呼ぶのを赦(ゆる)そう。さぁ、早く、湯浴びをしてまいれ。」

言峰はギルガメッシュの身体から立ち上がると、恭(うやうや)しく跪(ひざま)づき、深々と頭(こうべ)を下げた。

「綺礼、我の言う言葉が分からぬか?? その様な、形だけの忠義など要(い)らんわ!!さっさと、湯浴びに行け!!」


床に跪(ひざま)づいた言峰の頭上から、英雄王の不機嫌な声音(こわね)が降って来た。それを聞き言峰は何だか大声を出して笑いたくなったが、心中でぐっと堪(こら)えて床から立ち上がって室内のクローゼットへ。

クローゼットから着替えと下着を取り出し浴室に向かうので、私室の扉のノブを掴もうとした時に背後から声を掛けられた。

「あの酒で酔わぬか。」

「やはりな、お前の仕業(しわざ)か。酒に小細工で媚薬を、仕込ませて何がしたかった??」

「媚薬を仕込むとは聞き捨てならん。あの酒は飲むと幻惑(げんわく)を見て夢うつつとなり、前後の記憶が不覚になる。綺礼、貴様は飲んだのか??」

「飲んだが、何も変わらん。」



言峰は浴室へ。




脱衣所で衣服と下着を脱ぎ浴室に入った。

いつもなら、シャワーで全てを済ますが今日は浴槽に湯をはった。


シャワーを浴びながら言峰は思う。

ギルガメッシュが時臣の匂いを、あぁまでも毛嫌いするとはな。


言峰からすると時臣の匂いは世俗(せぞく)離れした、匂いで香水の類(たぐい)ではない。一般人にはきっと、それは美しい気高い香りと言うだろう。

Fate/Zeroで気まぐれビミョーなBL言時(8)

2013-07-15 07:53:08 | 腐女子の御伴
※この小説はFate/Zeroの設定を基に、二次創作(夢小説)として執筆しております。 一個人の解釈なので、原作やアニメ制作会社、出版社とは一切関係ありません。その点をご理解いただき、お読み下さる様お願いいたします。



*腐はムリな方は回れ右*



         2013年 腐女子の暑中お見舞い マーボ豆腐とワインでびみょ~なBL  『つかの間の羽休め (8)』






時臣は食事を終えると、いつもの様に地下室の魔術工房に降りて行った。言峰はその様子を見て、いつもの時臣に戻れた事を安心した。

英雄王の思うままの策略(さくりゃく)に自(みずか)ら嵌(は)まり、自己の義務で時臣を抱いた事は悔いてはない。

英雄王はけして無意味な事をしない。何が意味が隠されているはずと言峰はそう結論を下した。


時臣は出された物は残さず食べたので食欲もあり言峰は安心した。メイン厨房(ちゅうぼう)で食事の後片付けを終えた。

言峰も地下室の魔術工房へ。



時臣は精悍(せいかん)な顔つきで、いつもの気高く美しい瞳。デスクチェアーに深く座り足を組んでる姿なのに実に優雅が栄(は)える。

「君は段取りと手際が素晴らしい程に良い。早かったね。妻の後片付けは、こんなにも早くはないのだよ。」

「いえ、大変遅くなってしまいました。葵殿はきっと色々な、事細かな雑務をされるのでしょう。」

「葵にそう伝えておくよ。」

差し当たりのない日常的な会話をし、時臣は終始温厚な表情だった。今は魔術師としての遠坂時臣ではなく、独(ひと)りの夫であり父親で在(あ)りたいのだろうと言峰は思った。


言峰がそう思った矢先に、時臣は真剣な眼差(まなざ)しで言峰を見つめた。


「君が女性であったなら、君を妻として娶(めと)った事だろう。葵の母胎は魔術師を産むには実に優秀であった。が、彼女は魔術師ではない。」

「何の悪いご冗談で、ございましょうか?? 我が師よ。私は葵殿と同じく、魔術師ではございません。」

「冗談ではない。私は自分の意見を述べたまでの話しだ。私は凛が次期、遠坂家の当主になるまでの短い間の当主に過ぎない。あの子に、潜在する魔術師としての才能は親である私でさえも驚いてる。私を、たやすく超える存在になるだろう。私には共に、聖杯戦争に参戦出来るパートナーが必要だったのかも知れない。」

「ご息女は我が師と葵殿が共に、存在したから誕生したのです。どうされたのですか?? その様な弱気では困ります。」

「そうだな。少々、君を困らしてしまったね。私の気持ちを君に知って貰いたかったのだ。では本題に入ろう、今後の陣営戦略だっが。」


「連日連夜、児童達の連続失踪と、立て続けに冬木市内で多発している、無差別一家虐殺事件をアサシンに調べさせたのですが─────」


「その事件の事で、嫌な予感がするのだ。」



アサシンが調べて来た事を全て、時臣に報告を済ませて言峰は教会へ帰途(きと)に着いた。


見上げると陽は傾いており、どれだけ遠坂家の屋敷に拘束(こうそく)されて居たのか時間を確認しなくってもおおよそは分かる。


平和な光景の閑静(かんせい)な住宅街は、聖杯戦争前と何も変わらないがピリピリとした雰囲で張り詰めているのを感じた。



(現代の世で、聖杯戦争とはな。それも今回は、聖杯を望む者同士の戦いではなく、派手に事件を起こし廻ってる輩(やから)も居る。何故(なぜ)、私が聖杯に招かれたのだろうと。)



時臣の采配(さいはい)が問われる。実戦経験のない、時臣を考慮したからこその布陣(ふじん)。言峰は馴染む事ない街並みを突き切った。



教会に帰宅し、礼拝堂で祈りを捧げた。教会敷地内の居住区である自分の私室へ。


部屋に入ると強く飲み込まれそうな魔力が、言峰に纏(まと)わり付く。ソファーには退屈に飽きた我が物顔で、英雄王ギルガメッシュが私服姿で寝そべって居た。

「遅いではないか、綺礼。疲れて居るが、実に晴れ晴れしい顔つきだな。そうか、貴様には効かなかったのか。我は茶番劇の観賞を、愉(たの)しみにしておったのだぞ。」

ギルガメッシュを鋭い険(けん)を含む瞳で睨む言峰。そんな言峰を、もし一般人が見たら、その場で倒れ込むぐらいの睨みには殺傷力がある。

ギルガメッシュは、ソファーに寝そべりワイングラス越しに言峰を見つめご機嫌に笑う。

「貴様の酒蔵は実に良い物だ。褒めて遣わそう。どの酒も、我、好みで美味(びみ)であった。近行(ちこう)寄れ、雑種。」

言峰は怒りよりも呆(あ)れ返りの境地。床に転がる大量の空になったワイン瓶を避けながら、私室の扉の前からギルガメッシュが寝そべってるソファーへ近寄った。

Fate/Zeroで気まぐれビミョーなBL言時(7)

2013-07-15 07:52:31 | 腐女子の御伴
※この小説はFate/Zeroの設定を基に、二次創作(夢小説)として執筆しております。 一個人の解釈なので、原作やアニメ制作会社、出版社とは一切関係ありません。その点をご理解いただき、お読み下さる様お願いいたします。



*腐はムリな方は回れ右*



         2013年 腐女子の暑中お見舞い マーボ豆腐とワインでびみょ~なBL  『静穏(せいおん)と不穏(ふおん)の間に (7)』






夫妻のベッドルームに時臣を寝かしつけ、羽毛シュレープを掛けた。

「それでは、ごゆっくりとお休みください。まだ、聖杯戦争が始まったばかりで、長期戦になる模様です。だからこそ、鋭気を養うのも一つの戦略。」

言峰はそう時臣に言うと、ベッドルームから去ろうとする。時臣は言峰を引き止めた。


「綺礼、私の傍(かたわ)らに居てはくれないか。夢魔が私を狙って居る。」

床に跪(ひざま)づき綺礼は時臣のベッドに寄り添う。

時臣はベッドに身体を横たえて、綺礼を見つめて手をギュッと握り放さない。

「夢魔?? 我が師よ、貴方(あなた)ほどの魔術師が、何を一体怖れるのですか。夢魔が何をしたと言うのです??」

「夢魔に怯える憐(あわ)れな者に、どうか神の深き慈悲(じひ)を。」

神の慈悲(じひ)と言う言葉を出されては言峰は抵抗が出来ない。そして言峰は心中で思う。



(それは神の慈悲(じひ)ではない、それは私の自己義務だ。憐(あわ)れな魔術師を狙う、その夢魔は、この私だっと言うのに。)


「私に出来る範囲内で、貴方をお守り致しましょう。どうぞ、何なりと。」

「神の深き慈悲(じひ)を心から感謝を。どうか、私を抱きしめてくださる様に乞(こ)います。」

無言で言峰は頷き、躊躇(ためら)う事なく時臣の添い寝を承諾(しょうだく)した。


言峰がベッドに上がり時臣の隣に身体を横たえ、時臣の身体を両腕で抱きしめた。

時臣は安心した様で規則正しい寝息が聞こえた。


言峰は心の深遠(しんえん)の淵(ふち)で、何かが疼(うず)き自身の胸が高鳴るが、それをどう形容したら良いのか分からない。その感情を持て余す。



時臣も熟睡したらしく、言峰の身体から手が離れた。そそっと素早く言峰は身体を動かし、ベッドの端に身体を進ませて降りた。

部屋の片隅に一人掛け用のソファーが置いてあったので、言峰はそれに腰掛けた。ため息に似た深呼吸をし、カソックの裏ポケットからコンパクト判の聖書を取り出し読書を始めた。



それから2時間が経(た)った。



時臣が目を覚ますと言峰はソファーから立ち上がり、ベッドに近づいて来て床に跪(ひざま)づく。

「ご気分は落ち着かれましたか?? 私は朝食の用意を致しますが、宜しいでしょか。」

時臣はベッドから上半身を起こし、言峰を見つめた。

「すまないが、朝食の用意を宜しく頼む。私はシャワーを浴びてから、朝食を頂こう。」

「私の様な武骨者が作る、料理なので期待はしないでください。では、失礼致します。」

言峰は床から立ち上がり時臣に一礼をし、ベッドルームから去って行った。

時臣はベッドから降りて、ルームシューズを履きバスルームへ。



何だかんで時刻は11時で、朝食にしては遅く昼食にはやや早い時間。


ダイニングで昼食を用意してる言峰の姿に、時臣は少々驚いた。カソックの上に真っ白い裾の長いメイドエプロンをして、素早く手慣れた動作で作業をしてる。




「綺礼、その、エプロンは……」

「厨房(ちゅうぼう)に掛けてあったので、エプロンを拝借致しました。」

カソック姿の言峰に何とも不似合いなメイドエプロンで、予想を超える姿を見るとは思わなかった。言峰は本人はメイドエプロンと言う事は、得に気にしておらず何も感じてない。

広く大きなテーブルには、きちんとテーブルマナーに則(のっと)ってクロスにナプキンとシルバーが用意されてあった。

言峰はテーブルの椅子を引くと、時臣はその椅子に座った。



テーブルには温野菜のバーニャカウダソースとスープに 彩(いろど)りとりのフルーツがカットされてガラスの器に丁寧に盛り付けられていた。

「ただいま、リゾットをお持ち致します。」

「君が作る料理が楽しみだよ。」

隣に居る言峰を見つめ、時臣が穏やかに言う。

言峰は時臣の返事を聞きくと、厨房(ちゅうぼう)に向かう。


言峰が食事用のワゴンにリゾットとティーコジーとティーカップとティーの小物を乗せて持って来たが、メイドエプロンは着用してなかった。そんな言峰に時臣は言う。

「綺礼、エプロンを外したんだね。とてもお似合いだった。」

「料理を作る時にエプロンが、必要だっただけの話しです。美しい乙女の姿であれば良いのですが、私の様な武骨な男のエプロン姿などは興ざめでございましょうに。」

言峰はそう言いながら、時臣が座るテーブルの前にリゾットを置いた。

Fate/Zeroで気まぐれビミョーなBL言時(6)

2013-07-15 07:51:54 | 腐女子の御伴
※この小説はFate/Zeroの設定を基に、二次創作(夢小説)として執筆しております。 一個人の解釈なので、原作やアニメ制作会社、出版社とは一切関係ありません。その点をご理解いただき、お読み下さる様お願いいたします。



*腐はムリな方は回れ右*



         2013年 腐女子の暑中お見舞い マーボ豆腐とワインでびみょ~なBL  『素知(そし)らぬ朝 (6)』






時臣は、まどろみ気配(けはい)で朝と感じた。昨日は終わらない悪夢を見続けて、眩暈(めまい)さえ感じた。まるで、お伽話(とぎ)話しの様な、得体の知れない夢魔が自分の意識を奪い─────── 思い出したくもない。


ベッドから上半身を起こし部屋を見渡す。何も変わらず、静かな寝室である。壁掛け時計に目をやり、今が何時なのか気がついた。朝の8時をやや過ぎだった。

いつもなら、もっと早く起きると言うのに。時臣は屋敷に居るはずのない、人物の微量な魔力と気配(けはい)を察知した。

いつもの定例報告時間に報告がないのを心配し、屋敷に言峰が駆け付けたのか?? それにしても緊急であるなら、まずは自分の寝室に来るはずである。

言峰が発してる気は静かで落ち着いてる。何かに集中をしている気である、いったい何をして居るのだろう。

時臣はモスグリーンの寝間着にダークブラウンのガウンを羽織(はお)り、ベッドから足を下ろしルームシューズを履いた。朝の着替えを置く、リネンテーブルには下着と、いつもの着替えセットと横のフックにはスーツ上下が掛けられいた。

こんな丁寧に用意してくれるとは。時臣はありがたく感じる半面、言峰がここまでする理由も知らなければならない。


(昨日、何が、あった??  しかし、私、自身が何も覚えていない。綺礼から聞くしか他ない。)


時臣は夫妻寝室から足早に歩き、言峰が発する微量な魔力と気を辿(たど)り向かう。



廊下を歩き階段を下り辿(たど)り着いたのは半地下の厨房(ちゅうぼう)だった。 そこはいつも使用人達が遠坂家の食事を作る厨房(ちゅうぼう)である。

家族だけ使用するプライベートキッチンとダイニングルームもあるが、言峰はメイン厨房(ちゅうぼう)に居る様である。

時臣はスライド式の自動ドアに手を軽くタッチし開けた。



広々した厨房(ちゅうぼう)には、業務用と同じぐらいな容量がある冷蔵庫と冷凍庫があり、あらゆる料理器具が設置されていてまるでレストランの様な設備。

言峰は既(すで)に時臣の気配(けはい)を察して居て、時臣が来るのを深々と腰を折(お)り頭(こうべ)を下げて待って居た。

「おはよう、綺礼。顔を上げなさい。」

そう時臣に言われると、綺礼は身体を真っ直ぐに姿勢を正し頭(こうべ)を上げた。

「おはようございます。我が師よ。」

言峰は時臣を見つめると形の良い眉をやや寄せて、時臣の出(い)で立ちに表情が厳しくなった。

時臣は、つい気が競ってしまいダークブラウンのガウンを羽織(はお)りモスグリーンの寝間着のままだった。

言峰のそんな表情を見つめて、時臣は物柔らかな微笑(びしょう)を浮かべた。

「君が私の事で、気を悪くする事はないよ。」


「いえ、我が師は遠坂家の当主です。その様なお姿で、この場所にお出(い)でになるとは。私の気配(けはい)で分かると思っており驚きました。」

「この屋敷は、英雄王と私しか居ない。だから、綺礼が来たと分かったよ。昨日の晩に私は寝る前に、ワインを飲んだ後の記憶が消失していて、気がついたら朝だった。私は寝室で目覚めた。君は私が記憶を消失した時間が、何時で何があったか知ってるはずではないかっと。」


「はい、時臣様と私は二人でワインを飲みました。時間は21時頃で、久しぶりのワインの愛飲(あいいん)で二人で深く飲み交わし、少々ほろ酔いになり私が寝室へご案内を致しました。勝手に夫妻の寝室に入った事は、非常識であると思いました。どうか、お許し下さい。」


ふっと時臣は夢魔を思い出し、一瞬意識が遠のき目の前が真っ白になった。

自分の躯(からだ)を抱く夢魔の黒い幻影が!! 時臣は夢魔を振り払った。


「止めろ!!私から手を離せ───」


厨房(ちゅうぼう)の床に倒れ込んだ時臣を、言峰が膝立ちし両腕で抱き込む様に上半身を支えた。


「時臣様、気をしっかりと。」


時臣は青ざめ額(ひたい)から冷たい汗が滲み出る。言峰の声を聞かなければまた、夢魔に連れ去らわれそうになった。

こばわり小さく震えた時臣の冷えた身体を言峰は優しく抱きしめ、背中をあやす様に撫(な)でさすった。

「お食事は後ほどに致しましょう。寝室へ、ご案内致しますが、宜しいでしょうか??」

時臣は腕を言峰の首に廻し瞳を閉じ、言峰の体温に心の安(やす)らぎを感じた。

それを時臣からの返事であると了解し、言峰は時臣を抱きかかえ寝室へ向かった。

Fate/Zeroで気まぐれビミョーなBL言時(5)

2013-07-15 07:51:27 | 腐女子の御伴
※この小説はFate/Zeroの設定を基に、二次創作(夢小説)として執筆しております。 一個人の解釈なので、原作やアニメ制作会社、出版社とは一切関係ありません。その点をご理解いただき、お読み下さる様お願いいたします。



*腐はムリな方は回れ右*



         2013年 腐女子の暑中お見舞い マーボ豆腐とワインでびみょ~なBL  『ロザリオと義務 (5)』






ちぐはぐな感情に時臣は、また飲み込まれて快楽を拒絶するが、離れそうになると欲する。何もかもを放り出して眠りたい。

足は言峰の躯(からだ)に足を絡めたままで、さっきよりも力を込めていて離そうとしない。言峰は時臣から躯(からだ)をやや離した。

媚薬はまだ効いているらしく、時臣の視線が夢を見てる様で定まらない。言峰は睡眠薬を飲まして寝かそうかっと思ったが、アルコールを摂取したのに睡眠薬を飲ますと劇薬となるので止めた。

熱に浮かされた時臣は瞳を開き言峰をどうにか見つめた。

「綺礼、綺礼、君だけが、私の救い。」

縋(すが)る眼差し受け止めて、言峰はあやふやに逃げ切れないと観念した。

「貴方が望む救いを捧げましょう。」

言峰は絡められた足を解(ほぐし)し自分の両肩に足を担ぎ、躯(からだ)を低くし時臣を開脚させた。

開脚した真ん中に言峰が入り込み、足を高く持ち上げた。 言峰の目の前には時臣の赤黒く充血したそそり立つ牡芯(おしん)から、とめどなく透明な櫁(みつ)を滴(したた)れていた。

言峰は舌先で蜜を擽(くすぐ)る様に舐めると、時臣は躯(からだ)を弓の様にしならせ叫ぶ。

「うっあぁぁぁあああ!!」

逃れ様とする時臣の躯(からだ)を無理矢理にベッドに強く押し付け言峰は、足をめいいっぱい開きより高く上げてる。

一気に牡芯(おしん)口に含み、強く吸い軽く歯をあててやる。時臣は躯(からだ)に全ての思考を吹き飛ばす様な雷(いかずち)が駆け巡る。

言峰は時臣の左の足を持ち上げて右足は自分の体重をかけて拘束しつつ、双丘の奥にひくつく秘腔(ひこう)へ指を。

牡芯(おしん)をしゃぶり、牡芯(おしん)の小さな窪みを舌で舐(な)める。

時臣は抵抗する余裕も意識がなく、ぐったりとし反応がない。言峰は最後の仕上げをしなければならない。

言峰は自分のズボンのファスナーを下ろし、自分の牡芯(おしん)を露出(ろしゅつ)させた。乾いたまま、貫くのは秘腔(ひこう)を傷つけてしまう。

時臣の牡芯(おしん)からダラダラと流れた白色の櫁(みつ)を言峰は、手に取り自分の牡芯(おしん)に塗りつけた。まるでその行為は自慰(じい)の様だ。

言峰の牡芯(おしん)は欲望を微塵(みじん)も感じてはない、どうしてこうも自分に似て無感情なのだろう。

苦笑う言峰は時臣の秘腔(ひこう)に、自分の牡芯(おしん)を宛てがい腰を一気に深く落とした。

言峰は信じられない行動を時臣に見せつける。

薄らぼんやりとした意識を時臣は取り戻した。

「綺礼??何を?!だめぇだ、やめて──────!!」


時臣は叫び声を上げる。引き裂かれ突かれ言峰の牡芯(おしん)を、締め上げて逃れ様とし腰を浮かせるが逆に深くほおぶり誘う。

言峰はぎりぎりまで牡芯(おしん)を引きずり挿入を繰り返し、何度も音を立て腰を打ちつけた。

時臣の意識は焼き切れてしまい、言峰に腰を揺さぶられ突かれても反応なく躯(からだ)を投げ出した。


気を失いぐったりとした時臣を見つめ、自己義務感を全(まっと)うしたと言峰は安堵(あんど)感に満ちた。

牡芯(おしん)を抜き欲望に身を浸される事なく元に戻し自分の衣を正すと次の作業へ。時臣の躯(からだ)に付けた情交の赤い痕跡(こんせき)を治癒し完全に消した。

身体を清潔にして新しい下着と寝間着に着替えさせる。作業工程を脳内で確認し、明日の朝食の段取りもある。

壁掛けの時計で現在時刻を把握し、言峰は作業を開始した。

Fate/Zeroで気まぐれビミョーなBL言時(4)

2013-07-15 07:46:42 | 腐女子の御伴
※この小説はFate/Zeroの設定を基に、二次創作(夢小説)として執筆しております。 一個人の解釈なので、原作やアニメ制作会社、出版社とは一切関係ありません。その点をご理解いただき、お読み下さる様お願いいたします。



*腐はムリな方は回れ右*



         2013年 腐女子の暑中お見舞い マーボ豆腐とワインでびみょ~なBL  『囚われの魔術師 (4)』







グシャりと胸元が開(はだ)けたワイシャツに、巻くし上げられた肌着。言峰は時臣の赤く熟れた小さな胸の果実へ、熱い吐息(といき)を浴びせた。

「ゃっあ‥」

時臣はぐっと唇(くちびる)を結ぶ。臥(ふ)せがちな長い睫毛(まつげ)震わせ、瞳をあければ受け入れがたき光景を映す。

言峰は時臣の肌の感触(かんしょく)を掌(てのひら)で存分に触れて遊ぶ。チロりと舌先で時臣の赤く膨れた乳頭を掠める嘗めてやる。

躯(からだ)を震わせ息を飲みただ堪える時臣。言峰は性欲で時臣を抱いて居る訳ではない、自己の義務感で抱いて居るので快楽とは対極的な感情。

混濁(こんだく)した意識が時臣を苛(さいな)む。言峰も自分と同じく媚薬で快楽に共に堕ちてくれれば、幾分か苦悩は軽減されるが─────


冷静沈着な澄(す)んだ瞳の言峰を時臣は直視が出来ない。その瞳に痴情(ちじょう)を曝(さら)す時臣は消え去りたいと。

グチュりとぬめる湿った音と共に感じた事のない、刺激が時臣は躯(からだ)が駆け巡る。言峰がまるで、赤子のように時臣の乳頭を口に含み吸う。

時臣は声を発っし制止をしょうとするが耳を防ぎたくなる様な、甘くねだる鳴き声を上げた。

次々に止(や)む事がない快感に理性を喰らい尽くされてゆく。甘噛みをされたと思えば、掌(てのひら)で転がす様に押しつけ潰されたりと。

言峰は頭を時臣の腹部の下へ動かし、なぞる様に舌先をはわし臍(へそ)廻りに唇(くち)づけた。次の快感に躯(からだ)をわなつかせる時臣。

ジクジクと下半身に熱が燻(くすぶ)りねっとりと感じる。時臣は無意識に言峰の下半身に擦り付けるて居た。

臍(へそ)に舌先を突っ込み入れて嘗(な)めてやると、時臣は躯(からだ)を浮かすが言峰は体重をかけて身動きがとれない様にベッドに押し付けた。

よがり啜り鳴く時臣の声に言峰は口元を綻(ほころ)ばず。胸元を弄(いじ)られるはまだ堪える程の余裕があったが、下半身への快感は堪え様がないと。

「お願いだから、駄目だっ、止めな──── ぁぁひゃああ、いゃあぁぁ!!」

時臣はそこから先の声を途切れさせた叫び声を上げた。スラクッスのベルトが外され、ファスナーが下ろされ小さな音がした。

黒の下着はグチョりと染みが広がりまるでお漏らした様にずぶ濡れ。時臣の股間は快楽に期待を膨らませ弾けんばかり。

言峰は時臣の黒の下着とスラクッスをさっと脱がし、床へ捨て落とす。

布越しに優しく時臣の股間を触れ撫(な)でる。

「時臣様、さぁ、夢酔いから目覚めましょう。心を翻弄(ほんろう)され、さぞやお辛いでしょうに。」

言峰はまるで幼子を見守る優しい瞳で見つめ、労(いたわ)るように時臣に言い含めた。

時臣はホッとし目尻に光る雫を浮かべると、言峰は雫を唇(くちびる)で受け止めた。



言峰の胸にぽつりぽつりと何かが、落ち滴(したた)りジワジワと空っぽの胸を、どす黒い染みが広がるのを感じた。

何処(どこ)かで薄々と感じた事がある様で、今までに感じた事のない強烈でほどばしる何か。 言峰は口元を酷く歪ませた───── 無防備にも程がある。


時臣の黒の下着を一気にずり下げた。

驚き目を見開き時臣は、ずった布の刺激に射精をした。

牡芯(おしん)はダラダラと、はしたなく透明の櫁(みつ)を垂らす。

ぐゅんと指先で時臣の櫁(みつ)を掬(すく)う。

言峰の低い嗤(わら)う声。

時臣は頑(かたく)なに瞳を閉じ言峰から顔を背けた。こからの行為で、心が壊れてしまわない様に意識を遮断をしたかった。

Fate/Zeroで気まぐれビミョーなBL言時(3)

2013-07-15 07:46:16 | 腐女子の御伴
※この小説はFate/Zeroの設定を基に、二次創作(夢小説)として執筆しております。 一個人の解釈なので、原作やアニメ制作会社、出版社とは一切関係ありません。その点をご理解いただき、お読み下さる様お願いいたします。



*腐はムリな方は回れ右*



         2013年 腐女子の暑中お見舞い マーボ豆腐とワインでびみょ~なBL  『漆黒(しっこく)の天(そら)と深紅(しんく)の月 (3)』






言峰はベッドに乗り上げてから、時臣の隣に身体を横たえた。時臣のリボンタイに指先を絡めてシュルリと解(ほど)く。

ぐちゃぐちゃにするのは、気が引けるのでベッドサイドテーブルにおいた。スーツの上着とベストを器用に言峰は脱がし床に放り捨てた。

スーツの上着とベストはクローゼットに掛けたいが、そこまでの時間の余裕がない。言峰は早急に、この行為を終わらしたい。

同じワインを飲んだはずなのに、言峰には媚薬の症状がいっこうに出ない。やはり魔術回路が関係あるのだろうか??

時臣の真っ白のワイシャツのボタンを一つづつ外してゆくと、とても甘い匂いが鼻を掠(かす)めた。言峰は自分が大輪の花の櫁を吸う蝶の気持ちを感じた。

時臣は言峰の唇(くちびる)を捜し口元へ。言峰は口元を時臣の耳へ寄せ舌先を耳の奥に捩込む。 時臣は瞳を強くつぶった。

「うっんん。」

時臣の躯(からだ)が激しく反応し、首をイヤイヤと振る。ギュッと言峰の躯(からだ)に爪を立てる。

ふぅと言峰は息をつき、なんとも歯がゆい行為だろうと時臣を睨む。時臣の目尻から光りが一つこぼれ落ちる。


(この私に涙を見せるとはな──── もっと激しく痛めつけて乱暴に犯す様に抱いたら、どんな顔で良い声で泣き叫ぶのだろう??)


言峰はギラリと獲物を狙う瞳で時臣を見つめた。 そんな事を考えて居るのも知るよしもない時臣はこっつりとおでこを、言峰の広く深い胸元に寄せた。


(このまま、乱暴な行為に及(およ)べば、俗物(ぞくぶつ)の王の計略(けいりゃく)にまんまと嵌(は)まる様なものか。奴に腹を抱えて高見の見物をさせるとは許しがたい。ならば私が一方的に時臣師を、愛撫(あいぶ)をしてやれば良いか。)


言峰は両腕で抱き閉じ込めた時臣の背中をあやす様に撫(な)でてから、両肩に手をおきベッドにぐいっと力強く押し付けた。

不安げに時臣はベッドから降りようとしたので、言峰は完全にすっぽりと覆(おお)った。

言峰はベッドサイドテーブルから、リボンタイを手に取り時臣の両手首を揃えて頭上でリボンタイで縛り拘束した。

「あぁ、なんて事を。嫌だ。」

時臣は少しずつ媚薬から醒(さ)め始めている様にも思えたが、開(はだ)けたワイシャツからは熟れた熱を感じる。

熟れた熱を持て余し独(ひと)りでは散らす事が出来ない。時臣をこのまま放置したら精神を激しく消費させて、必要以上に心身を疲労させてしまう。聖杯戦争を優位に進める為にも良い事ではない。

時臣は今だかつてない未曾有(みぞう)の大勝負に挑む。 自分の命さえも賭けての、血戦を経験した事はないだろうと。




だからこそ、自分はこの聖杯戦争に招かれた───────



言峰は手の甲(こう)に赤々と浮かび上がる令呪の刻印を見つめた。諜報員であり、ある時は危険因子(いんし)を狩る者として。

そう時臣は血で血を洗う実戦を知らない。生まれながらの貴族であり、気高い美しい魔術師は外道で卑劣(ひれつ)な闘いを蔑視(べっし)するだろう。

言峰の結論はただ一つ。どんな理(ことわり)を打ち砕き曲げ様とも、時臣に聖杯を授(さず)ける。全ては敬愛(けいあい)する父の為に。


時臣の労(いたわ)る優しい声が聞こえた。

「綺礼、辛そうだ。私の事で心配させてしまったね。私から離れなさい。お願いだから、身体に触れないで。熱で意識が、これ以上は保てない。ぁっんぅ‥」

時臣は頭上で縛られた手首を見つめ何かの魔術の詠唱(えいしょう)をするが魔術が発動しない。媚薬で魔術が封じられている様だった。

しっとりと濡れた前髪を時臣の顔から、言峰はそっと掻(か)き上げた。

「これは悪い夢です。どうか、お忘れください。」


言峰はそう言い含めると、時臣の唇(くちびる)に接吻(せっぷん)を落とした。



時臣の瞳は夢心地でワインに仕込まれた媚薬で再び意識が奪われ、熱に浮かされた様に足を綺礼の身体に絡(から)めた。

Fate/Zeroで気まぐれビミョーなBL言時(2)

2013-07-15 07:45:48 | 腐女子の御伴
※この小説はFate/Zeroの設定を基に、二次創作(夢小説)として執筆しております。 一個人の解釈なので、原作やアニメ制作会社、出版社とは一切関係ありません。その点をご理解いただき、お読み下さる様お願いいたします。



*腐はムリな方は回れ右*



         2013年 腐女子の暑中お見舞い マーボ豆腐とワインでびみょ~なBL  『思量深(しりょうふか)き侵入者 (2)』






遠坂家の屋敷は廊下はどこを見渡しても幅広く長い。時臣が聖戦争に参戦するにあたり使用人達に隙を言い渡したので誰、一人居ないはずなのに屋敷は隅々(すみずみ)まで小綺麗である。

それが言峰にとって不自然さと違和感を感じとっている。そして、弟子として屋敷に招き入れられた時から感じてるのは、自分自信を拒絶するかの様な気高い澄んだ気の流れと魔力。



当初から、わかりきってる事だった。自分は聖杯戦争に参戦する理由である動機や願望が何一つない事を。この世で奉信する神の次に尊敬し敬謙(けいけん)の念に値(あたい)する父親の切実の願いによりに言峰は、遠坂家の門に下っただけの話し。


くくっと小さく皮肉めいた笑いを言峰は零す。


物知らぬ幼い娘の凛は自分の、底無し沼の如(ごと)くどす黒く澱(よど)んだ何かに気づき警戒してると言うのに────── 夫婦揃いに揃ってお人良し過ぎる。


階段を登り奥へと廊下を歩くと、遠坂夫妻の寝室の前に辿(たど)り着いた。夫妻の寝室は、愛娘の凛でさえもむやみに立ち入る事をしない様に時臣から言われて居る。

愛娘の凛でさえも絶対入室禁止命令である。時臣にとってこの夫妻の寝室は神聖な領域なのだろうと言峰は思う。

その夫妻にとって神聖な領域に踏み荒らす自分は、如何様(いかよう)な者だろう。両腕に抱きかかえられた時臣が、か弱い力で必死になり言峰を止めようとしているのが伺(うかが)える。

そんな時臣を見つめ言峰は、英雄王の取り計らいは何か考える。それとも退屈な時臣に飽きて気まぐれの思いつきで、ただの暇つぶしなのだろうか??

外界と神聖な夫妻の寝室を隔ててる、美しい装飾(そうしょく)が施(ほどこ)された重厚な作りの扉を開く。

夫妻の好みが随所(ずいしょ)に垣間見るシンプルな部屋でありながら、遠坂家の当主に相応(ふさわ)しい部屋である。クローゼットやチェストを見るだけで豪奢(ごうしゃ)な生活をしてるのが伺(うかが)える。本人達にとっては、ごく当たり前で普通なだろうと。

厚地の遮光カーテンで遮(さえぎ)られた小さな世界は雑音は聞こえない。夫妻の寝室はどうやら間続きでソファーが置かれた部屋で談話室のようだ。

扉が二つある。片方はきっと浴室と洗面所ではなかろうか?? とベッドルーム。

さすがの言峰も苦笑した。分別のある常識人でありながら、どうりで何か一般人の常識からは大きく外れてる気がよくわかった。

言峰は時臣を抱きかかえながら、夫妻のベッドルームに続く扉のノブに手をかけた。



部屋の中の豪奢(ごうしゃ)な家具や骨董品に贅をつくした部屋を見ても幾分か慣れた。部屋の真ん中に広々としたベッドが一つ置かれていた。

ベッドスプレットと羽毛シュレープをはぎ、時臣を寝かせた。ベッドに運びさえすれば時臣は、安心して寝落ちするだろうと言峰は思った。

あれ程に抵抗してた時臣が、今度は言峰の身体に腕を回し離そうとしない首筋に熱い息がかかる。

「時臣師。」

「綺礼??」

甘ったるい声音(こわね)で名を呼ばれ言峰は時臣を見つめると、宝石の様なアイスブルーの瞳は物欲しげに誘う。

「時臣師、今、少々お待ちを。私にも心構えをさせてください。」

言峰にそう言われると時臣は、小さく首を傾(かし)げると身体から腕をそっと離した。その仕種は少女のように可憐である。



「アサシン。」

言峰に呼ばれふっと風の様に黒い影が綺礼の背後に跪(ひざま)づく、かいがいしく手の平に何かを乗せて差し出す。先程、客間で時臣が飲んでいたワイングラスだった。

「貴方だけ、痴体を曝(さら)す訳にいけません。この、私めも御一緒させてさせて頂きます。魔術回路が持たない私に、この媚薬がどの程度効くか分かりませんがね。」

言峰はアサシンから受け取るとワイングラスを口元に寄せて、一気に呷(あおる)と空になったワイングラスを背後に跪(ひざま)づく影に投げ渡たす。影はワイングラスをしっかりと手の平で受け取った。

「下がれ、アサシン。警戒を怠るな。」

「仰(おお)せのままに。」

影が消えると言峰はカソックを脱ぎ、欲望に汚され艶やかに濡れた瞳の時臣に微笑みかけた。

それに答える様に時臣は、言峰の首筋に唇(くち)づけた。

Fate/Zeroで気まぐれビミョーなBL言時(1)

2013-07-15 07:45:17 | 腐女子の御伴
※この小説はFate/Zeroの設定を基に、二次創作(夢小説)として執筆しております。 一個人の解釈なので、原作やアニメ制作会社、出版社とは一切関係ありません。その点をご理解いただき、お読み下さる様お願いいたします。



*腐はムリな方は回れ右*



         2013年 腐女子の暑中お見舞い マーボ豆腐とワインでびみょ~なBL  『とある魔術師の受難(じゅなん) (1)』






カーテンの隙間から白銀の月明かりが薄暗がりの部屋に忍び込み、ソファーにけだるく躯(からだ)を投げ出した時臣を探し当てた。

そのソファーは客間に置かれている物で、数日前までは家族で和気あいあいと過ごした場所。愛妻と愛娘は身の安全を優先とし、聖杯戦争の舞台となる冬木市から二人を遠ざけた。

今まで感じた事のない身に覚えがない強烈な何か…‥ が、時臣を翻弄(ほんろう)し何かが麻痺をし始めるてゆくのを怯えさえ感じた。

ローテーブルの上にぽつんと置き去りにされた、一口だけ飲んだワイングラスを見つめた。ワインを飲むのはいつもの寝る前の儀式的行為で意識を静(せい)に移し入眠(にゅうみん)を促す。

時臣はガウンを羽織(はお)る事さえ着替もままならずソファーに倒れ込んだ。いつもなら、妻である葵が傍(かたわ)らにおり気にかけてくれているが────────

屋敷には誰も居ない訳ではない、共に聖杯戦争に参戦する使い魔であるサーヴァントで王の中の王であるギルガメッシュ。

通常なら自分が仕えるマスターの異変に気がつくはず。彼は時臣により聖遺物(いぶつ)で召喚されたが現界してからは出歩き気が済むまで屋敷には帰宅しない。そうとうの事がない限り、時臣の前に姿を現さない。


躯(からだ)に纏(まと)わり付き散らない熱に犯されてゆく。唇(くちびる)からは、熱をおびた耳を塞ぎたくなる喘(あ)ぎ声を漏らす。

右手を唇(くちびる)を宛がい、左手は持て余し自分の身体に触れるが誰かに強引に触れて欲しいと自分自信の意識に驚いた。

幻影で客間の重たい扉が開いた様な気がした。人の気配(けはい)を感じようとするが、それはこの現実から逃れたい自分自信の願望とさえ思え決めつけた。

横向きになり身体をまるめ掠(かす)れた誘うような声で、時臣は助けを乞(こ)う。


やはり…‥ 奴め。 我が師よ、気を確かに。私が貴方のお傍におります。


なんて都合の良い幻聴さえも聞こえ出すとは。その声は弟子である、言峰綺礼の声だった。



彼はこの屋敷には居ないはずだ。なぜ居る?? 奴とは??

気配(けはい)がソファーに近づいて来た。

言峰は微笑(ほほえ)み聖職者に相応しく慈(いつく)しむ様に両腕を時臣に差し出す。彼の瞳に写る自分はどのように見えて居るのか?? 時臣は苦悩し瞳を曇らせた。


言峰の両腕に抱き込まれ時臣は背中を優しくさすられる。洋服の生地越しからでも感じる彼の体温が心地良い。


「綺礼。」

「時臣様。」

物欲しげな瞳と焦らすように躯(からだ)を擦り付ける時臣に苦悩で満ちた眼差(まなざ)しを返す言峰。

言峰はローテーブルの上に残されたワインが注がれた、ワイングラスを見つめ溜息を軽くついた。

そうか、やはり奴の仕業か。 何を楽しくって、この様な事をするのか言峰は理解に苦しむ。あらゆる俗物の頂点に立つ、英雄王ことギルガメッシュの優雅な美笑(びしょう)を思い出した。


言峰はうごめく時臣をがっちりと拘束し身体を抱き寄せかかえ持ち上げて、客間から退室し時臣の寝室へ向かって行った。