ザ・ウォーカー (2010)

2010-07-02 16:35:18 | Weblog
ザ・ウォーカー (2010)

The Book of Eli

U.S. Release Date: 2010

■監督:アレン・ヒューズ
■キャスト:デンゼル・ワシントン/ゲイリー・オールドマン/ミラ・クニス/ジェニファー・ビールス/レイ・スティーヴンソン/マルコム・マクダウェル
■音楽:アッティカス・ロス
■字幕:林完治
■お勧め度:★★★

 「「フロム・ヘル」のヒューズ兄弟がデンゼル・ワシントンを主演に迎えて描くSFサスペンス・アクション。文明が崩壊した終末世界のアメリカ大陸を舞台に、世界に一冊だけとなったある本を襲撃者から守り、西へと運ぶ謎めいた男の姿を、ハードなバイオレンスとスタイリッシュな映像で描き出す。共演に「ダークナイト」のゲイリー・オールドマンと「マックス・ペイン」のミラ・クニス。
 イーライという名の謎の男は、崩壊したアメリカ大陸の荒野を西に向かって歩き続けていた。ある本を携えて。その本は、いまや世界にこのただ一冊となっていた。イーライは、その本に近づこうとする者は容赦なく斬り捨てた。そんな中、とある町に立ち寄ったイーライ。そこは、カーネギーという男が独裁者として君臨する町。彼は、ある本を探していた。その本があれば世界を支配できると考えていた。やがて、イーライの本こそが、目的の本だと確信するカーネギーだったが…。」(allcinema.net/より。)

原題の「The Book of __」の意味が分かれば、ほとんど結末まで分かってしまう、という事を前提にしたミステリー部分、これが分かれば多少は楽しめるだろうが、「ザ・ウォーカー」だけだと、もしかすると何が何だか分からない作品かもしれない。減点法で残るのは、「文明が崩壊した終末世界」への憧れ。しかしこのテーマはマンネリなので、どうなのか。世界崩壊の原因は「戦争」、「紫外線」というから、おそらくは戦争によるオゾン層の破壊、オゾンホール、それくらいしか描かれないので、あまり反戦物にもなっていない。これはもちろん「The Book of __」を強調したいからなのだろうが、これだとキリスト教の事に詳しい映画ファン以外、分からないだろう。しょうがないのでネタバラしに走ると、デンゼル・ワシントンが西に運ぶ「本」というのは旧約聖書のことで、それが点字版だった。これがために、せっかく「本」を手に入れたカーネギー(ゲイリー・オールドマン)には、盲目の「女」にすがるしか、「本」を読む手段が無いという悲劇。テーマ的にはかなり深いものがあるかもしれない。この「本」がそもそもの戦争の原因だったという台詞があるので、「戦争」というのは「テロリスト」を含んだ、いわば宗教戦争だろう。現在の局地戦、内戦のほとんどが宗教絡みだという事も含めて。それで滅んだ世界にたった一冊残された聖書が旧約聖書という、キリスト教(新約聖書)、ユダヤ教、イスラム教という分裂の原点になった書物だというのもテーマだろう。そして時はちょうど印刷機が復活した西海岸、アルカトラズ島。そこで待つ男(マルコム・マクダウェル)に、失った点字版、聖書の代りに口頭で内容を書き記させる大任を授かった男、それが「ザ・ウォーカー」。要は旧約聖書という物をベースに、宗教というもの、あるいは3つに分裂した宗教をもう一度ゼロから考え直そう、そしてそれを元に現在の世界の状況も、というのがテーマなのだろうが、仏教世界とかの、いわば第三者向けの解説部分なしに、このテーマを描いても無理だろう。はっきり言ってアクションものでもないし。それとローバシンながら、食事の前に観ない方がいいでしょう。人肉を食べるというのが、シーンとしては出てこないものの、随所に連想させる部分があるので。


ヒアリング度:★★★
感動度:★★
二度以上見たい度:★
劇場で見たい度:★★
ビデオ/DVDで欲しい度:
ビデオ/DVDで見た方がいい度:★★★
ムカつく度:
考えさせられる度:★★★
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)