サロゲート (2009)

2010-01-30 02:43:44 | Weblog
サロゲート (2009)
Surrogates

U.S. Release Date: 2009

■監督:ジョナサン・モストウ
■原作:ロバート・ヴェンディティ
■キャスト:ブルース・ウィリス/ラダ・ミッチェル/ロザムンド・パイク/ボリス・コジョー/ジェームズ・クロムウェル
■音楽:リチャード・マーヴィン
■字幕:戸田奈津子
■お勧め度:★★★(★)

 「ブルース・ウィリス主演で放つSFサスペンス。人間が各々の身代わりロボット“サロゲート”に日常生活の一切を任せるようになった近未来社会を舞台に、FBI捜査官がある殺人事件を機に浮き彫りとなっていく巨大な陰謀へ迫るさまをスリリングに描く。共演は「サイレントヒル」のラダ・ミッチェル、「007/ダイ・アナザー・デイ」のロザムンド・パイク。監督は「ターミネーター3」のジョナサン・モストウ。
 人間の身代わりロボット“サロゲート”が普及し、その常用が不可欠となった近未来。人間は外出せず、サロゲートとの媒介となるスティムチェアーから遠隔操作することで、実生活の全てをサロゲートに委ねていた。一方でサロゲート排斥運動を指導する予言者ら反対派による独立区も生まれる中、サロゲートの採用で犯罪や伝染病、人種差別が激減し、人類は理想的な社会を実現したのだった。だがある時、ほぼ完璧に安全なはずのこの社会で殺人事件が発生する。2体のサロゲートが破壊されただけでなく、持ち主までが変死していたのだ。事件を担当するのは、FBI捜査官トム・グリアーとジェニファー・ピータース。彼らもまた自分たちのサロゲートを駆使し、捜査にあたる。するとグリアーはやがて、犯人が隠し持っていた武器から、事件とサロゲートの最大手メーカー、VSI社との関連性を突き止めるのだが…。」(allcinema.net/より。)

前半のサロゲートと本体殺人事件の部分がミステリー調で少し飽きるものの、色々とテーマがあって面白い。「面白い」というのはブラックなユーモアも含めて。

サロゲートというのは、一人の本体(人間)が何体でも作れて操作できる。作品では全ての人間が人間サロゲートを作って操作しているが、何も人間じゃなくても構わないのじゃないだろうか。極端な話し、人間嫌いな場合は、たとえば鳥になって大空を飛びたい、人間並みの感覚を持った飛行機になりたい。ゲーム好きだったらモンスターとか。それとは別に社会生活用のサロゲートを使うことも出来る。サロゲート中毒、依存症というけれど、全ての人間が人間サロゲートを作って操作するという事は、人間や社会中毒、依存症とも言える。この点を追求してみたら、ちょっとしたコメディー作品になっていただろうし、本筋がマジなだけに、付け足し的な面白さがあったかもしれない。一番、近いのはデブ男が美女サロゲートを使うぐらい。ブルース・ウィリスのカツラは全く似合ってなくて面白い。

サロゲートを使えるようになったら、どういう人間になりたいかというのもテーマだろう。当然ながら美男、美女。ただしサロゲートは人間の俳優がメイクで演じているわけなので、願望がそのまま滑稽さとなって表れていて笑える。その結果として本体にどのような影響を与えるかというのもテーマだろう。サロゲート依存症で本体が精神的に破滅とか。この問題に気付いた主人公がサロゲート使用に疑問を抱き、サロゲート開発者の思惑と、ある意味で一致するという筋は納得がいく。ただしサロゲート使用が既存の事実となっている社会で、しかもサロゲート無しでは成り立たない社会になっている事を考えると、ラストはちょっと手抜きっぽい。

「アバター」と違ってサロゲートの遠隔操作は、かなり信憑性があるかもしれない。脳医学、実際は「脳医科学」というのかもしれないが、脳から出る信号を感知して、それでサロゲートを操作するというのは、人間ロボットは無理にしても、簡単な作業なら今でも出来るのじゃないか。医学は全く分からないが、脳が感知できるような信号を出していて、それを受信することが出来るような事を読んだことがある。この技術がさらに発展すれば、ロボットは無理にしても、体の一部ぐらいは操作できるのじゃないだろうか。これは身体障害者の場合は朗報だろうし、そうでなくても危険な作業をする場合に手だけ人工の物を操作できれば現実的にも役立つだろう。その延長線上に作品を作ったというのは説得力があるし面白い。ただし筋書きがちょっとおそまつな感じがするが。単なる復讐劇。

一番、問題というかテーマは、人間関係をサロゲートでやった場合、はたして人間関係が成り立つのか。デブ男が美女サロゲートを使うというのは極端な例にしても、サロゲート依存症の人間は、まともに外出して町を歩くことも出来ない。人間としての機能を失いつつある。サロゲートの使い別けも含めて、そうした状況で人間関係、社会関係が成り立つだろうか。成り立たないというのが作品の結論でもある。この点は、特に主人公とその妻との関係で良く描かれている。前半の飽きっぽい部分を我慢すれば、洋画にしてはかなり出来のいい作品だろう。

ヒアリング度:★★
感動度:★★★
二度以上見たい度:★
劇場で見たい度:★★
ビデオ/DVDで欲しい度:
ビデオ/DVDで見た方がいい度:★★★
ムカつく度:
考えさせられる度:★★
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)