今度は愛妻家 (2009)

2010-01-23 03:49:30 | Weblog
今度は愛妻家 (2009)

U.S. Release Date:

■監督:行定勲
■原作:中谷まゆみ
■キャスト:豊川悦司/薬師丸ひろ子/石橋蓮司/濱田岳/水川あさみ
■音楽:主題歌:井上陽水『赤い目のクラウン』
■字幕:
■お勧め度:★★★(★)

 「脚本家・中谷まゆみ原作の同名舞台劇を豊川悦司、薬師丸ひろ子主演で映画化した感動の夫婦愛ドラマ。ぐうたらなダメ夫が結婚10年になる妻との結婚生活にうっとうしさを感じながらも、いつしかごく当たり前の日常の幸せをかみしめていく姿を、コミカルな演出を織り交ぜつつしみじみとしたタッチで綴る。監督は「北の零年」「遠くの空に消えた」の行定勲。
 かつては売れっ子カメラマンだった北見俊介だが、今は写真も撮らずにダラダラと呑気な毎日を送っている。一方、健康オタクの妻さくらは、そんな夫に文句を言いながらもかいがいしく世話を焼く日々。しかしあるとき俊介は、友だちと箱根旅行に行く直前のさくらに“子どもを作る気がないなら、別れて”と切り出される。その場はごまかしたものの、さくらと入れ代わりでやって来た女優志願の蘭子といいムードになったところに、たまたま引き返してきたさくらが現われ、いよいよ愛想を尽かされる。その後、旅行に行ったさくらはなかなか戻らず、最初こそ独身生活気分を満喫していた俊介だったが…。」(allcinema.net/より。)

難しい。上の解説はイントロだけ。

前半、思うのは、なぜ夫がぐうたら生活しているか。これの種明かしが後半。ネタバラさないと何も書けないのでバラすと、妻は1年前に交通事故死。自分でも分からないほど妻を愛していた夫はその事で生き甲斐を失いぐうたら生活。その彼に死んだ妻が亡霊のごとく付きまとう。という意味での夫婦愛を描いた作品。もうひとつ難しくしているのは、前半はテレビドラマ風ながら、ネタバレ以降は、原作の舞台劇を再現したものになっている。むしろ作品を見せるというより舞台劇を再現することに重点が置かれている。舞台劇を観たことが無かったらこの部分は分からないだろう。分かっていれば、かなり上手く再現しているし見応えある。特に石橋蓮司のオカマの描き方は映画というより舞台劇のそれ。映画の良さ、利点も取り入れている。

テーマ的にも難しい。夫婦愛を描いたといっても、破局寸前の状態ながら、実は夫の方は妻に依存(症)している。甘えていると言ってもいい。言っていることとは裏腹に。しかし依存(症)にしても甘えにしても悪い事ではないし、夫婦愛の一面として見ることが出来る。おそらく原作者が描きたかったのは、こうした意味での夫婦愛の複雑さかもしれない。同棲だけでバツ歴なしなので、あまりよく分からないが。それでも作品のテーマは良く分かる。原作の出来の良さだろう。妻が死んだという事実を受け入れられないほど愛していた夫としては、今でも妻が身近にいるように感じられ、それを現実に妻を登場させて描いている。ここらへんがちょっと妖怪ものっぽい所があって面白い。往年の角川作品で「華麗なる」デビューを飾った薬師丸ひろ子は当り役。(「野性の証明」(1978年)、「セーラー服と機関銃」(1981年))

夫婦の描き方が日本風でもある。「I Love You」を連発しないと即、離婚とかの欧米風に比べて、言っている事とは裏腹な愛情や甘え。ただし作品では、そうした夫婦愛が成り立つのか、これも問うているしテーマでもあるだろし、限界まで追求しているように思われる。「俺の健康なんて君には関係ないだろう」とかいう台詞がそれで、これを妻がどう受け止めるか。この点は最後まで分からない。夫婦の愛情を描いた作品であることは確かにしても、舞台劇をベースにしたサスペンス、ミステリー作品でもあるだろう。この3点、全てに成功している。しかし観るのだったら、ある程度、内容を知っていないと、内容に振り回されることになるかもしれない。特に後半は舞台劇の再現であること。もっとも、良くというか細かに見るタイプなら、妻が1年前に死んだ事は分かるかもしれないが(登場人物をよく見れば)。

ヒアリング度:
感動度:★★★★
二度以上見たい度:★★★
劇場で見たい度:★
ビデオ/DVDで欲しい度:
ビデオ/DVDで見た方がいい度:★★★★
ムカつく度:
考えさせられる度:★★★
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)