地球が静止する日 The Day the Earth Stood Still 2008
U.S. Release Date: 2008
■監督:スコット・デリクソン
■キャスト:キアヌ・リーヴス/ジェニファー・コネリー/ジェイデン・スミス/キャシー・ベイツ
■音楽:タイラー・ベイツ
■字幕:林完治
■お勧め度:★★★(平均点)
「51年に製作されたSF映画の古典「地球の静止する日」をキアヌ・リーヴス主演でリメイクしたSFスペクタクル・サスペンス。ある使命を帯びて地球に降り立った宇宙からの使者を前に、ついに存亡の危機を迎えた人類の運命を壮大なスケールで描き出す。共演はジェニファー・コネリー、キャシー・ベイツ。監督は「エミリー・ローズ」のスコット・デリクソン。
ある日、謎の巨大な球体が地球に飛来、アメリカ政府が厳戒態勢を敷く中、宇宙からの使者クラトゥがセントラルパークに降り立つ。あらゆる分野の専門家を集めた対策チームが組織され、亡き夫の連れ子ジェイコブと2人暮らしの生物学者ヘレンも強制的に招集される。やがて軍の施設でクラトゥに対する尋問が試みられるが、クラトゥは特殊な能力で拘束を解くと施設から姿を消してしまう。クラトゥの目的も判らぬまま世界中がパニックとなる中、クラトゥは協力者にヘレンを選び接触を図る。そしてついに、ヘレンはクラトゥから衝撃の事実を告げられるのだったが…。」(allcinema.net/より。)
チラシに書いてあることは例によって大嘘こんこんちきなので無視するにしても、スペクタクル・サスペンスというより環境問題の社会派作品だろう。キアヌ・リーヴス演じるクラトゥは太陽系以外の世界にある諸文明を代表して地球に来て、地球環境の視点から人類をどうするか、それを決めるという意味での「使者」。彼は70年前に中国に派遣されたエージェントと会い、表面的には否定的だが、実際は人類に対して思いのあるレポートを聞くが、彼自身は人間という種族(種属)にはあまり詳しくない。それが証拠に地球環境の危機を国連の場で訴えようとするが、祖国防衛が任務である国防長官(キャシー・ベイツ)に阻まれる。むしろ偶然、出会ったヘレン博士(ジェニファー・コネリー)やその恩師らしき教授から人類の別の側面を知り、むしろこの教授の詰問から、人類の悪行を表面的に捉える事の早計さを感じ、次第に好意的になっていく。科学的、客観的に見れば人類は地球の敵で、地球環境を救うには人類抹殺が手段という結論を下しながらも、その結論の早計さに気付き、人類を助けることになるという筋書きで、ここらへんはおそらくは1951年のオリジナルとは少し違った部分だろう。逆に言うとオリジナルをリメイクする事で、テーマと筋書き的には少し無理が生じた。1951年には、今ほど地球環境は悪化してなかっただろう。それこそ温暖化やオゾン層破壊はなかったし、資源は無尽蔵、冬になれば横浜でも11月から雪が降って、夏にはちゃんと台風も来た(今年は確かゼロ)。無理というか原作があるために中途半端な作品になってしまったかもしれない。環境問題で一番、難しいのは、普通に生活していると、ヒートアイランドとかは別にしても、環境の悪化を直に感じることが出来ないことが多いし、むしろ生活に追われ、環境や地球の危機は頭では分かっていても、自分で実際、なにが出来るかという事が分からない。割り箸を使い捨てにする事が悪いという事は分かっていても、昔、何かで読んだか知ったアメリカ女性だったか、自分の箸を持ち歩いて、感情を逆撫でするようなのが居たが、社会の中でしか生きられないという運命を背負った人類としては、自分の命か地球の命かというのは、個々人で決めるしかないだろう。作品では本当の危機に際して初めて人類は地球を救う決断をするだろうというのがテーマになっているが、これもちょっと、今の環境問題の複雑さと現実とは懸け離れたテーマだろう。地球を救うために人類を抹殺するというのは、言うのは簡単だが、テーマとして描くには、50年前ならショッキングだったかもしれないが、今では短絡的で説得力が無い。とは言っても、他に問題の立て方があるかというと、これも疑問で、上に書いたような事を、どっちみち分からないという事で無視すれば、唯一の警告の仕方かもしれない。作品としての面白さはむしろ各々の人物が立場の違いから、様々な考え方で事に当るという所で、クラトゥの立場以外にも、国防長官として武力で国を守るという考えから、有能なせいでむしろ「物体」に対しては全く成す術も無いという事に気付き、ヘレンと同じ考えに到達する過程、あるいは逆に普通の軍人である事から武力しか頭に無い指揮官、ヘレンの息子役のジェイコブ(ジェイデン・スミス)にしても、軍人として死んだ父親を思う気持ちからクラトゥには敵対的ながら、クラトゥの行動を見るうちに考え方が変わっていく過程とか、むしろ人間関係の描き方が面白い作品だろう。あとは演技を見るなら例によって演技をしない事が持ち味のキアヌ・リーヴスの面白さだろう。演技は他人まかせで自分は主役という美味しい役をやらせたら、それこそハリウッド随一という部分が最高に発揮された作品。リーヴスはほんと、こういう役が巧い。過去の「マトリックス」で余計なアクションで誤魔化しを強制された彼としては、久々に自分流の演技ができた作品だろう。総じてチラシ、その他の宣伝さえ無視すればそこそこ楽しめる作品。
ヒアリング度:★★★
感動度:★★
二度以上見たい度:★
劇場で見たい度:★
ビデオ/DVDで欲しい度:
ビデオ/DVDで見た方がいい度:★★
ムカつく度:
考えさせられる度:★
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)
U.S. Release Date: 2008
■監督:スコット・デリクソン
■キャスト:キアヌ・リーヴス/ジェニファー・コネリー/ジェイデン・スミス/キャシー・ベイツ
■音楽:タイラー・ベイツ
■字幕:林完治
■お勧め度:★★★(平均点)
「51年に製作されたSF映画の古典「地球の静止する日」をキアヌ・リーヴス主演でリメイクしたSFスペクタクル・サスペンス。ある使命を帯びて地球に降り立った宇宙からの使者を前に、ついに存亡の危機を迎えた人類の運命を壮大なスケールで描き出す。共演はジェニファー・コネリー、キャシー・ベイツ。監督は「エミリー・ローズ」のスコット・デリクソン。
ある日、謎の巨大な球体が地球に飛来、アメリカ政府が厳戒態勢を敷く中、宇宙からの使者クラトゥがセントラルパークに降り立つ。あらゆる分野の専門家を集めた対策チームが組織され、亡き夫の連れ子ジェイコブと2人暮らしの生物学者ヘレンも強制的に招集される。やがて軍の施設でクラトゥに対する尋問が試みられるが、クラトゥは特殊な能力で拘束を解くと施設から姿を消してしまう。クラトゥの目的も判らぬまま世界中がパニックとなる中、クラトゥは協力者にヘレンを選び接触を図る。そしてついに、ヘレンはクラトゥから衝撃の事実を告げられるのだったが…。」(allcinema.net/より。)
チラシに書いてあることは例によって大嘘こんこんちきなので無視するにしても、スペクタクル・サスペンスというより環境問題の社会派作品だろう。キアヌ・リーヴス演じるクラトゥは太陽系以外の世界にある諸文明を代表して地球に来て、地球環境の視点から人類をどうするか、それを決めるという意味での「使者」。彼は70年前に中国に派遣されたエージェントと会い、表面的には否定的だが、実際は人類に対して思いのあるレポートを聞くが、彼自身は人間という種族(種属)にはあまり詳しくない。それが証拠に地球環境の危機を国連の場で訴えようとするが、祖国防衛が任務である国防長官(キャシー・ベイツ)に阻まれる。むしろ偶然、出会ったヘレン博士(ジェニファー・コネリー)やその恩師らしき教授から人類の別の側面を知り、むしろこの教授の詰問から、人類の悪行を表面的に捉える事の早計さを感じ、次第に好意的になっていく。科学的、客観的に見れば人類は地球の敵で、地球環境を救うには人類抹殺が手段という結論を下しながらも、その結論の早計さに気付き、人類を助けることになるという筋書きで、ここらへんはおそらくは1951年のオリジナルとは少し違った部分だろう。逆に言うとオリジナルをリメイクする事で、テーマと筋書き的には少し無理が生じた。1951年には、今ほど地球環境は悪化してなかっただろう。それこそ温暖化やオゾン層破壊はなかったし、資源は無尽蔵、冬になれば横浜でも11月から雪が降って、夏にはちゃんと台風も来た(今年は確かゼロ)。無理というか原作があるために中途半端な作品になってしまったかもしれない。環境問題で一番、難しいのは、普通に生活していると、ヒートアイランドとかは別にしても、環境の悪化を直に感じることが出来ないことが多いし、むしろ生活に追われ、環境や地球の危機は頭では分かっていても、自分で実際、なにが出来るかという事が分からない。割り箸を使い捨てにする事が悪いという事は分かっていても、昔、何かで読んだか知ったアメリカ女性だったか、自分の箸を持ち歩いて、感情を逆撫でするようなのが居たが、社会の中でしか生きられないという運命を背負った人類としては、自分の命か地球の命かというのは、個々人で決めるしかないだろう。作品では本当の危機に際して初めて人類は地球を救う決断をするだろうというのがテーマになっているが、これもちょっと、今の環境問題の複雑さと現実とは懸け離れたテーマだろう。地球を救うために人類を抹殺するというのは、言うのは簡単だが、テーマとして描くには、50年前ならショッキングだったかもしれないが、今では短絡的で説得力が無い。とは言っても、他に問題の立て方があるかというと、これも疑問で、上に書いたような事を、どっちみち分からないという事で無視すれば、唯一の警告の仕方かもしれない。作品としての面白さはむしろ各々の人物が立場の違いから、様々な考え方で事に当るという所で、クラトゥの立場以外にも、国防長官として武力で国を守るという考えから、有能なせいでむしろ「物体」に対しては全く成す術も無いという事に気付き、ヘレンと同じ考えに到達する過程、あるいは逆に普通の軍人である事から武力しか頭に無い指揮官、ヘレンの息子役のジェイコブ(ジェイデン・スミス)にしても、軍人として死んだ父親を思う気持ちからクラトゥには敵対的ながら、クラトゥの行動を見るうちに考え方が変わっていく過程とか、むしろ人間関係の描き方が面白い作品だろう。あとは演技を見るなら例によって演技をしない事が持ち味のキアヌ・リーヴスの面白さだろう。演技は他人まかせで自分は主役という美味しい役をやらせたら、それこそハリウッド随一という部分が最高に発揮された作品。リーヴスはほんと、こういう役が巧い。過去の「マトリックス」で余計なアクションで誤魔化しを強制された彼としては、久々に自分流の演技ができた作品だろう。総じてチラシ、その他の宣伝さえ無視すればそこそこ楽しめる作品。
ヒアリング度:★★★
感動度:★★
二度以上見たい度:★
劇場で見たい度:★
ビデオ/DVDで欲しい度:
ビデオ/DVDで見た方がいい度:★★
ムカつく度:
考えさせられる度:★
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)