釣りバカ日誌19 ようこそ!鈴木建設御一行様 2008

2008-12-07 04:04:39 | Weblog
釣りバカ日誌19 ようこそ!鈴木建設御一行様 2008

U.S. Release Date: xxx

■監督:朝原雄三
■キャスト:西田敏行/三國連太郎/浅田美代子/中本賢/常盤貴子/山本太郎/竹内力+
■音楽:信田かずお
■字幕:
■お勧め度:★★★(★)

 「西田敏行、三國連太郎共演の大人気「釣りバカ日誌」シリーズ通算21作目(番外編2作を含む)。今回は鈴木建設御一行が社員旅行で大分県を訪れ、そこで再びハマちゃんが繰り広げる大騒動を描く。ゲストには常盤貴子、山本太郎、竹内力。
 会長になっても会社一筋で多忙な一之助に対し、相変わらず会社そっちのけで釣り一筋の伝助。そんなストレスとは無縁の伝助だったが、会社の健康診断で再検査となり、胃カメラを飲むハメに。さんざん大騒ぎして、総務部の派遣社員・河井波子を困らせた伝助だったが、再検査の結果は特に問題なし。晴れて社員旅行にも参加でき、大喜びの伝助。今回の行き先は大分県。幹事を務めるのは同県出身の波子。釣りのことしか頭にない伝助は、波子の兄・康平が地元で漁師をしていると知ると、さっそく釣りの手配を頼むのだったが…。」(allcinema.net/より。)

毎年恒例となったこのシリーズ、いつやるか分からないという緊張感(?)も含めて、正月やらお盆とかは関係無い身としては、楽しみなシリーズでもある。これはそもそもは「寅さん」に代わる正月映画だったような気がするが、格下げになって、混む正月にやるよりは、変な時期にやってくれた方が、自分一人で楽しめる(正月ができる)ような気がして楽しい。そのような事なので、あまり期待はしてなかったが、今回の作品はなぜか出来がいいのに驚いた。このシリーズ、全部、観てるわけでは無いので分からないが、最大の理由は西田敏行と三國連太郎が傍役に引っ込んで、常盤貴子と山本太郎の恋を取り持つキューピッド役に徹するというパターンを採用した事だろう。前にも書いたが、このシリーズで一番、好きなのは、風吹ジュンと小林稔侍の仲を取り持つやつ(釣りバカ日誌9)で、今は特に一応は主演の二人が衰えたこともあって、物語りとか、その他のキャストの良し悪しで作品の質が決まるような所が出てきた。この点、本作品は、このシリーズとしては当たりの方だろう。かなり細部に気を遣っている。前にも書いたが、タモ(網)が無いと30センチのイサキ(という魚)も上げられないほど体力が低下したハマちゃんに、最初のシーンで東京湾の大アナゴを上げさせるのは、製作者としての気づかいだろう。(説明すると、海の底に居るアナゴとかの魚は、走らない(左右に動き回らない)ので、力がなくても棒抜きできる)スーさんに至っては、本作品ではとうとう、釣り竿を握る場面もカットされた。初期~中期の作品と比べると、こういうのって、散り行く物の美といったような日本的な美が感じられ、この事は意図的に作品に盛り込まれている(観れば分かる)。この点も本作品の出来が良かったと感じた理由だろう。それとこれは、作品の筋書きによっては副次的(付け足し的)なものにされがちなハマちゃんの家庭が、浅田美代子、息子の鯉太郎の成長、それと特に釣り船屋の「八」が頻繁に絡んでくることで、会社ものというより、ホームドラマっぽい部分を強調した、できたのも、作品に内容を与えている。特にハマちゃんとみち子さんの絡みというのが、細かな会話や動作も含めて、とても愛らしく描かれ、むしろ常盤貴子と山本太郎の恋物語より印象深い。このへん、邦画というとテレビ会社ばかりで、映画会社は何をやっているのかと書いたが、本作品(松竹)は、やはり映画会社が作ったものという気がする。両者の違いというのは、テレビ会社の作品というのは筋が勝負、映画会社の作品は役者の使い方が勝負という点があるのじゃないか。この点、さすが映画会社が作った作品と思われる部分があるが、いかんせん、このシリーズ自体の制約があるので、あまり期待して観てはいけない作品に留まっているが、これはしょうがないだろう。元々は、酒酔気分で観る正月映画だったわけだし。それにしても全盛期の頃に比べると、同じシリーズでも少しづつテーマや雰囲気を変えているようで、この方向で行けば、どっちかが死ぬまでこのシリーズは続けられそうな印象がしてきた。特に面白くなくても、毎年恒例作品というのは、存在するだけで価値があるのじゃないか。他の国には無いだろう。「寅さん」~「釣りバカ」というのは、日本的な映画の伝統とも言える。そういうものは大切にするべきだし、実は個人的な理由で「寅さん」は大嫌いで、ほとんど一本も観てないが、むしろ今の「釣りバカ」を観ると、その良さが逆に分かるような気がする。それとこれは最近、観ている邦画に限られた事かもしれないが、洋画に比べると、後味の良さというのがある。「フレフレ少女」はもちろんだし、イマイチだった「ハッピーフライト」にしても、後味の良さという点では、平均的な洋画以上だろう。これは大事なことで、たとえば凄い作品であっても、後味の悪い作品というのは、観る価値はあっても記憶からは消したいような所があって、同じ、印象深い作品にすると言っても、後味の良い作品の方がいいし、極端な基準を設けると、後味の良し悪しで作品の価値を強引に評価することも出来るのじゃないだろうか。余談。近くの海が、また一段、綺麗になってしまった。綺麗な海に魚は居ない。


ヒアリング度:
感動度:★★★
二度以上見たい度:★★★
劇場で見たい度:★★
ビデオ/DVDで欲しい度:
ビデオ/DVDで見た方がいい度:★★★★
ムカつく度:
考えさせられる度:
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)