252 生存者あり 2008

2008-12-14 11:24:03 | Weblog
252 生存者あり 2008

U.S. Release Date: xxx

■監督:水田伸生
■原作/脚本:小森陽一
■キャスト:伊藤英明/内野聖陽/山田孝之/香椎由宇/木村祐一/MINJI/山本太郎他
■音楽:岩代太郎/主題歌:MINJI『LOVE ALIVE』
■字幕:
■お勧め度:★★★★

 「史上最大規模の巨大台風が日本に直撃、人々が大パニックに陥る中、決死のサバイバルが繰り広げられるスペクタクル・ヒューマン・ドラマ。かつてない自然の猛威に見舞われた東京を舞台に、地下に閉じこめられた元ハイパーレスキュー隊員の弟とその救出に奔走するハイパーレスキュー隊長の兄を軸とした双方の行方をリアルかつ壮大なスケールで描く。主演は「海猿」の伊藤英明と「黒い家」の内野聖陽。監督は「舞妓 Haaaan!!!」の水田伸生。
 首都圏を襲った直下型地震から数日後の東京。都市機能はほぼ回復し、いつもの日常を迎えようとしていた。だがそんな中、地震の影響で海水温度が急上昇し、太平洋上に未曾有の巨大台風が発生する。その猛威は間もなく湾岸に押し寄せ、巨大な雹や高潮による洪水が凄まじい勢いで都心になだれ込んでくるのだった。その頃、元ハイパーレスキュー隊員の篠原祐司は、娘の誕生日を祝うため妻と銀座で待ち合わせをしていた。しかし、妻と娘は途中の地下鉄新橋駅でこの台風による災害と人々のパニックに巻き込まれ、離ればなれに。そして、祐司は家族を救うため新橋へ急行する。一方、祐司の兄でハイパーレスキュー隊の隊長を務める静馬は、部隊を率いて懸命の救助活動にあたっていた…。」(allcinema.net/より。)

なんか最近の邦画の好調ぶりが、日テレにも「伝染」したようで、期待をはるかに裏切る、どちらかというとパニック・ヒューマン・ドラマ。スペクタクル部分は殆ど大津波の部分だけで、パニック物として見た場合、従来の特に洋画のパニック物と違う、超える部分があってかなり感動的。従来のパニック物というのは、CGとかを見せるのが主で、それに適当な人間関係、それと誰が助かって、誰が死ぬかというのを当てるぐらいが関の山だったが、本作では助けられる側に、元ハイパーレスキュー隊員を配したことで、助ける側と助けられる側に、兄弟の絆とともに、作品構成上の絆ができて、この二人のレスキュー隊員やその他の助かった、ほんのわずかな人々、それらの人間模様などが、パニック物にしては、かなり深く描かれ、ヒューマン・ドラマ性豊かな作品になっていて飽きない。たしかに従来のパニック物の場合は何も分からない素人が知恵を出し合って生存の道を探すという面白さがあったが、これはパターン化していて、もう使えないだろう。あるいは同じレスキュー物にしても、題名は忘れたが沿岸警備隊のやつ、一人がヒーローになって、というのも古臭い気がする。だったらむしろ表面はパニック物にしておいて、実際はヒューマン・ドラマというのも、面白い作品展開だろう。もっともこれは原作者の功績かもしれないが。それにしてもテレビ局が作った作品にしては、かなり映画している。ただし日活と東宝の協力がかなりあったと思われるが。(ちなみに配給はなぜかワーナー)

題名の「252 生存者あり」というのも、ちょっとした工夫が見られる。これはSOSのモールス信号が、長さを変えての3-3-3なのに対して、長さを変えられない場合、2回、5回、2回という信号で、ハイパーレスキュー隊が使っているらしい。この信号を察知した兄のレスキュー隊員の方が、生き埋めになっているのは元レスキュー隊員の弟である事が分かり、彼であれば生存者をどう導くか、それを前提にして、かなり無謀な救出作戦を展開するというもので、ここらへんの絆というか信頼関係みたいなものが、単なるパニック作品の域を超えている。キャスト的にもかなり豪華で、かつ各々になんらかの過去や思いがあって、パニックを契機にして、それらを乗り越え成長していくといった部分もあって、人間模様の描き方も、パニック物にありがちな薄っぺらなものと違っている。それと本作品での東京の描き方にも工夫があると見たい。これは横浜のヘキ地に住んでいる者から見ると、ビルと赤の他人しか居ない東京というイメージ通りに描き、洪水に見舞われた地下鉄(これも東京の恐怖)の構内で人がバタバタ死んでゆき、死体だらけになるといったシーン、これはかなり思いきった決断があったような気がするし、これがあるために、ヒューマン・ドラマの部分が生きてくる。こういう思いきった決断や構成というのが、映画がテレビドラマと違う、あるいは映画ではできてもテレビドラマでは出来ない部分じゃないだろうか。これだけ死体の山を撮ったら、テレビだったら、なんとか委員会や団体から苦情が出て責任者は○○だろう。映画というのは、変な言い方ながら自分の意志で観るものだから、その分、思いきった事をやっても、観た方の責任にできる。この利点を活かせるかどうかが、テレビドラマと映画の違い、あるいは映画というものの存在価値じゃないだろうか。作品自体、十分、面白いにしても、こうした部分が見られたのは、また一段、邦画に期待が持てる。それとこれはちょっと無知で分からないが、地震で地下のマグマが噴出して海水温が上がり、巨大台風が発生し、それが普通の台風と同じ進路を取って東京を襲うというのは、かなり現実的な感じがして、いわゆる直下型地震より可能性が高いような気がするが、どうなのだろうか。気象庁も絡んでいる作品なので、これは予測されている事なのだろうか。ここらへんもちょっと発想の斬新さを感じる。


ヒアリング度:
感動度:★★★★
二度以上見たい度:★★★
劇場で見たい度:★★★
ビデオ/DVDで欲しい度:
ビデオ/DVDで見た方がいい度:★★
ムカつく度:
考えさせられる度:★★
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)