鈴木信夫の詩の世界 ~筋ジスと向き合った40年~

筋ジストロフィーと向き合い、2011年5月、40歳の若さでこの世を去った詩人鈴木信夫の心に響く詩を紹介します。

いびつな祈り

2020-07-16 | 
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鈴木信夫の詩手紙の作品から

絵手紙作家の浅田美知子さんとの絵手紙・詩手紙の交流は2年を超えて
続いており、このころは、ほぼ毎日1編の詩をつくっています。
できるだけ鈴木信夫らしい詩を選び、詩手紙そのものを見ていただき、
そこに書き加えられたコメントを紹介してゆきます。
一部、詩集に載せたものもありますが、未発表のものが中心です。
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こんなコメントを書いています。
「テレビでポンペイ展についてやっていました。
 一瞬で飲み込まれたポンペイ。
 行き過ぎた快楽は自らを滅ぼすのかもしれないですね。」

ちょっと状況は違いますが、ちょうど1年後、東日本大震災が起こりました。
東北地域が一瞬にして津波に飲み込まれました。
日本の防災対策は10年たっても脆弱です。
大雨による被害が九州をはじめ中部地方に広がりました。

        いびつな祈り
                                  2010年3月

わたしのなかにある、いびつな祈り
奇異な気持ちがそうさせるのです
わたしは何故、これほどに辛い?
わたしは何故、普通に生きられない?
わたしだけなのか、何故、わたしなのか
口をついて、あふれだし、あふれだし

幸せをくださいという、いびつな祈り
この胸に居座り続けているのです
自由に飛び立つこともできず
自由に命を絶つこともできず
これがなければ、これさえなければ
抑えられない気持ちが湧いてきます

わたしのそばにいる人に苦しみを与え
わたしの心にも苦しみを与えて
下向きに、下向きに生きようとしてしまう
いびつな祈りをやめて、日々、感謝の祈りにしていこうか
幸せをくださいでなく、幸せになるんだ
そういう気持ちになればいいのですね

   
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