鈴木信夫の詩の世界 ~筋ジスと向き合った40年~

筋ジストロフィーと向き合い、2011年5月、40歳の若さでこの世を去った詩人鈴木信夫の心に響く詩を紹介します。

トマトひとつ

2014-07-19 | 
鈴木信夫はトマトが大好物でした。
トマトは野菜なのか果物なのかという議論があります。
どちらでもいいことなのですが、食卓には欠かせないものだとすると野菜なのかな。


        トマトひとつ
                              2004年1月 鈴木信夫

僕はきみがとても好き
きみは熱いあつい夏に「ぐっと」赤みをますトマトひとつ
あざやかな赤がいいね
まっ赤になったきみが好き

僕はひとがとても好き
ひとも熱いあつい夏に頑張っていたら大きくなれる
前を見つめる視線がいいね
いつもめいっぱい頑張るひとが好き

僕はきみがとても好き
きみは熱いあつい夏に「ぐっと」甘みをますトマトひとつ
みずみずしいのがいい感じ
ちょっと酸っぱいきみが好き

僕はひとがとても好き
ひとも熱いあつい夏に夢を描いていたらかならずかなう
キラキラしてていい感じ
夢をあきらめず生きてるひとが好き



この詩は、詩集「生命いっぱい」(神奈川新聞社)P162に収録されたものです。

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