郷が杜備忘録

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運命の人(二)(山崎豊子著)

2020-01-25 | 読書
警視庁に出頭した弓成記者に逮捕状が執行された。

被疑事実は「国家公務員法第111条違反」であった。これは「職務上知りえた秘密を漏らしてはならない国家公務員に、そのそそのかし

またはほう助をした罪」ということであった。

このことが、外務省機密漏洩事件といわれるものであった。

これから起訴、裁判と進んでゆくが、その間に国家権力とジャーナリズムとの闘い、新聞社の苦悩、マスコミによる被疑者及び

家族への執拗な取材など、いまでもテレビや週刊誌、新聞で話題となっている状況へ進んでゆく。



そのようななか、小説の中で私が気になったのはふたりの女性、機密を漏らした外務省事務官、三木昭子と新聞記者弓成の妻、

由里子であった。

三木昭子は、病気で退職した外務省職員の夫の縁故で、外務省に勤めることになり、当時外務省審議官の事務官をしていた。

自分の提供した資料が国会で暴露され、その漏洩元がわかると、夫から退職を促され、警察に出頭することになった。

三木昭子は事件を後悔しており、裁判でも憔悴しきっており、早く裁判から逃れたかったようである。

公訴事実には、「弓成記者は三木事務官と密かに情を通じて、機密情報を持ち出させた」となっており、

三木事務官もホテルに行ったことは認めているが、なぜそのような関係になったかが、よくわからなかった。



また、弓成の妻、由里子は夫を支え新聞記者の妻として立派に夫に尽くしているが、夫の弓成には妻の気持ちが

理解できない。自分の仕事だけが大事なのである。男の生き方にはよくあることだと思う。

しかし、子供を抱え周囲の好奇の目にさらされている由里子の気持ちを考えると、寂しい気持がする。


小説はこの後どのような展開するのか、国家権力とマスメディアの闘いは、「知る権利」の闘いはどうなっていくのか。

それにしても今から50年くらい前1972年頃のことになるが、その時からあまり変わっていない、いやその時よりも

権力の力が強まっており、マスコミの力は弱くなっているような気がする。

そして当時の総理大臣は長期政権を築いた佐藤栄作氏であり、問題の中身は沖縄返還問題であった。








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