秋保温泉にある磊々峡は、名取川の浸食により作られた渓谷です。
この渓谷を作っている岩石は、地質学的には「湯元層の軽石凝灰岩」と呼ばれており、「秋保石」と
いう名で広く知られています。
東北大学史料館の腰壁や東北学院大学本館など様々な建築物に使われています。
実はこの石は、いまから800~700万年前に、仙台西部に存在した巨大カルデラ火山によって作り
上げられました。
この火山は「白沢カルデラ」と呼ばれ、大規模噴火に伴って、愛子を中心とした半径20キロメートル
の地域が陥没してできました。
この噴火により発生した火砕流が一瞬で秋保周辺に厚さ100メートルもの火山灰を堆積させ、それが
固まって岩石となり、後に名取川の水が岩石を深く浸食することにより形成されたのが磊々峡です。
この噴火の直後には、陥没した地域に雨水がたまり、「古仙台湖」と呼ばれる巨大なカルデラ湖が
でき、この湖底にたまった地層から、植物の化石がたくさん産出しています。
また、この湖底でできた地層にはゼオライトと呼ばれる粘土鉱物が多く含まれ、ペットのトイレ砂など
脱臭・乾燥剤として利用されているということです。
この情報は、仙台市政だより2021年8月号に掲載された「しりとりでつなぐミュージアム」の
東北大学総合学術博物館さんの記事を参考にしました。