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郷が杜備忘録

旅行や読書と日々の行動の記録。
日常のできごとや思い出の写真が中心。 たまに旅行の記事も投稿します!

シュンペーター -孤高の経済学者-(伊東光晴・根井雅弘著)

2024-07-12 | 読書

手元に未読の新書がたくさんあるので、できるだけ読破しようとあがいている。

かなり前に買った本だと思うが、シュンペーターという経済学者に興味があり、購入した。
著者の伊東光晴氏には「ケインズ」の著書もあり、そちらも確保してはある。
伊東氏はかつてはテレビなどにも出ていて、経済の解説や国の審議委員などで活躍していたので知っていた。
ところで、シュンペーターであるがケインズと並ぶ20世紀を代表する経済学者といわれていたが、いまいち知名度は低かったように思う。
それでも彼の書いた「理論経済学の本質と主要内容」は25歳の時に書かれ、その4年後には「経済発展の理論」を書いているので、天才的な経済学者であったようだ。
彼に影響を与えたのは、フランスの経済学者ワルラスと哲学者ベルクソンのようだ。
シュンペーターはオーストリア=ハンガリー帝国に生まれ、オーストリア、ドイツなどで活動し、その後アメリカにわたっているようだ。
シュンペーターの経済学は、経済にとって大切なことは技術革新であり、新製品による新市場の創設であり、ケインズの有効需要創出策とは違って、供給サイドを革新するものであった。
しかし、現実の経済学は80年代のアメリカの数理経済学が誤った方向性への導きにより、グローバル経済と金融万能、格差の拡大につながったのではないかと私は思う。
シュンペーター氏の経済学に関する著作は、もっと顧みられるべき価値があるのではないかと考えた次第である。
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ペルソナ 三島由紀夫伝(猪瀬直樹著)

2024-07-03 | 読書

他の方の読書ブログを読んでいてこの本に興味を持った。

この本も前に読んだ孫正義伝と同じく、三島由紀夫、本名平岡公威氏の祖父まで遡っての伝記であり、また、三島氏の作品を介しての、三島氏の内面を観察したものとなっている。
三島由紀夫の祖父、平岡定太郎は兵庫県の農民出身ながら東京帝大を卒業し、官僚となっている。その息子、梓(あずさ)も東京帝大出で、官僚になった。定太郎の孫が、作家の三島由紀夫、本名平岡公威(きみたけ)である。
三島氏も初めは大蔵省に入ったが9ヵ月で退官して、のち作家となった。三島の家系は官僚の家系でもあった。
祖父の定太郎は、平民宰相といわれた原敬に誘われ、樺太庁長官になった。ただし、その後紆余曲折があり、疑獄に襲われ、満州関係の事業にかかわったりする。
三島由紀夫についての私の知っていたことは、「金閣寺」の作者であるとともに、
昭和45年11月25日に陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地で切腹、自害したことであった。
私は高校生であり、なぜそのような最後になったかについて、理解できなかった。
今回の猪瀬氏の著作は、そこに至る筋道について、三島氏の家系や本人の性格などを、三島氏の著作を通して説き明かしてくれた。
目次は、
プロローグ
第1章 原敬暗殺の謎
第2章 幽閉された少年
第3章 意志的情熱
第4章 時計と日本刀
エピローグ
となっている。
内容には、日本の戦前の歴史を交えながら、三島氏の交友関係などを通して書かれていて、歴史も勉強しながら読み進めることができた。
特に後半、「盾の会」などの設立に関して、明治時代の初期に熊本県で起きた士族叛乱、神風連の乱への、三島の傾倒があったことを知った。

三島氏の意識の内には、戦前の天皇制と戦後の民主主義との間にある違和感に、同調できない感覚があったのではないか、と私には思われた。
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書いてはいけない(森永卓郎著)

2024-06-30 | 読書
ふたたび森永卓郎さんの本を読んだ。
ステージ4のがん告知を受けた森永さんだから書けた勇気ある書だと思う。
この本は、森永さんが就職した官庁やメディアで経験したことに基づいて書かれているので、真実味があると思う。
この本を読むことで、今の日本社会がどのように築かれてきたか?どのようになっているか?私たちを囲む世界が、どのような仕組みで保たれているかがわかるような気がする。政治が、メディアが何を守ってきたのか、他国からの侵略を防ぐという言葉の裏には何があるのか?
巧みに分かったように話してはいるが、その裏には何が潜んでいるか?我々はよく考えて見ないといけないと思う。
戦後になって、日本国憲法ができて大きく変わったように思っていたが、その実は何も変わってはいなかった。古い思想が隠され、巧みに騙されてきたようだ。
さらに、森永さんのこの著作の出版に当たってはいろんな困難があった。それは三五館シンシャ以外からは断られたということ。そこには税務調査という国税当局の嫌がらせが潜んでいるようだ。
国税は上の方を見ないで、国民視点に立って大悪を調査して欲しいものだ。
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GAFA(ガーファ)(スコット・ギャロウェイ著)

2024-06-18 | 読書

2018年に出た本であるが、今をときめくIT業界の本を読んでみた。約6年が経とうとしているし、既にいろんな所が変わってきているが、その歴史を知っておくのも役に立つのではと思った。

先日ソフトバンクの孫正義さんの本を読んだことで思い付いた。
テクノロジー業界の4強、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンは、さまざまな喜びや繋がり、経済的繁栄や発明をもたらしているが、これらの企業は人類を幸せに導く聖なる四騎士なのか、それともヨハネの黙示録の四騎士なのであろうか?
※「ヨハネの黙示録の四騎士」とは、地上の四分の一を支配し、剣、飢饉、悪疫、
 獣によって「地上の人間を殺す権威」を与えられているという。
これら4企業の成り立ちを調べ、その戦略と教訓を引き出す。
そして、四騎士の時代に個人が成功するために必要な特性を考える。
これが、この本を書いたスコット・ギャロウェイの構想である。
さて、著者はその前に自らの経歴を明かしている。
中流の下の上といった世帯に生まれ、シングルマザーに育てられた。
モルガン・スタンレーで2年間働いたが、大企業で働くスキルには欠けていたので
自分の会社を作った。ブランド戦略企業やオンライン通販会社を立ち上げたが、アマゾンによって息の根を止められた。その後L2を創設し、メディア企業の役員をしていたが、グーグルとフェイスブックに撃破された。
そして、2002年にニューヨーク大学のマーケティング教授になった。ブランド戦略とデジタル・マーケティングを教えている。
その中で、学生に教えている講座の目的を伝えているという。「目的は学生たちに武器を与え、自分と家族の経済的安定を手に入れられるようにすること。」だという。
最初の5章は、GAFAと個別に4企業の成り立ちを、その後、
6章 四騎士は「ペテン師」から成り上がった
7章 脳・心・性器を標的にする四騎士
8章 四騎士が共有する「覇権の8遺伝子」
9章 NEXT GAFAー第五の騎士は
10章 GAFA「以後」の世界で生きるための武器
11章 少数の支配者と農奴が生きる世界
という章立てであった。
10章が役に立つかもしれない。
とてつもなく便利な世界が出来ているが、果たしてそれはすべての人々を幸せにするのだろうか?
基盤としての経済成長は必要であるが、それがあまねく行き渡るためには、そしてそこからはみ出してしまう人々がいないようにするには、どうしたらいいのだろうか?
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あんぽん 孫正義伝(佐野眞一著)

2024-06-08 | 読書

ソフトバンク会長、孫正義さんの伝記を読んだ。作者は佐野眞一さんである。

最初にこの本を見たとき、「あんぽん」というのが気にかかった。これ何?というこ

とである。本書を読んで、これは孫氏の帰化前の旧姓が「安本」であり、中学時代に

音読みで「あんぽん」と言われたからだという。

この本は、孫氏のファミリーストーリーであり、異色経営者といわれた原点をたどっ

た物語である。孫氏の父方、母方の先祖、兄弟姉妹などをたどって書かれている。

この本には、文庫版加筆として「盟友が語る『孫とゲイツとジョブスの若かりし

頃』」として、元アスキー社長西和彦氏から伺った話が載せられている。(2014春)

孫氏、ゲイツ氏、ジョブス氏それぞれ近い年代に生まれている。孫氏は1957年生ま

れ、ゲイツ氏とジョブス氏は1955年生まれであり、西氏は1956年生まれである。

4人は、今あるIT時代の先駆けを作ってきた人たちである。そこから今ある

GAFAM(ガーファム)につながってくるのであろう。現代を支配しそうな勢いのIT

業界、中身は詳しくはわからないが、便利ではあるが、脅威を感じる時代である。

血も肉もある生身の人間が、やさしく守られるような世界にITが貢献してくれれ

ばと思うこの頃である。(どうかマネーだけが独り歩きする時代はやめてほしい。)

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