文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

毎年のようにチフスやコレラが流行した朝鮮では平均寿命が25歳だったが、総督府ができて効果的に検疫が行われ

2022年01月05日 21時28分46秒 | 全般

以下は、月刊誌WiLL2020年12月号に掲載された戦後の世界で唯一無二のジャーナリストである高山正之と阪大文学部出身者の中ではピカイチの文芸評論家小川榮太郎の対談特集からである。
見出し以外の文中強調は私。
赤い巨塔 日本学術会議という病
学はあっても心は反日
縦割り行政の打破
小川 
それにしても、米国の日本に対するアプローチはいつも全く見当違いなんです。
日本を最大の仮想敵と見誤って日米戦争におびき出し、叩き潰して一安心と思ったら、遥かに危険なソ連と中共が巨大な脅威となってしまった。
本当は日本と同盟を組んで、アジアを押えさせておけばよかったんですよ。
実際、冷戦構造の中で、ソ連が核武装を遂げ、巨大化する中で日本を味方に付けざるを得なくなった。
ところが懲りないんだ。ソ連が崩壊したら、世界第二位の経済大国となった日本を再び徹底的に叩きます。
そしたら、日本がすっかりへこんじまっている内に、今度は中国が力をつけて、かつてのソ連以上の脅威になってしまった。
で、今頃になって、一所懸命、中国を叩いている。
高山 
米国はバカばかりやってきたわけだ(笑)。
小川 
米国という国は戦略的に見えて、実は長期的なヴィジョンがない。
逆に日本人はGHQに埋め込まれた遺伝子を、いまだにマジメに継いでいる。
いまだにGHQの占領政策の”亡霊”が中枢に居座っている。
高山 
憲法をはじめ、脱却すべきなんだけど……。
小川 
ただ、人文系の若い学者の著書を読んでいると、意識の変化は確実に見られます。
安倍政権の支持率も30代以下がダントツでしたし、愛国心にしても30代以下のほうが高い数字を見せています。
そういう意味で、若い世代の多くは安倍・菅路線を受け入れている。
高山 
7年9ヵ月に及ぶ安倍政権の時代は、若い世代の意識を変革したという点で、大きな成果があったわけだ。
小川 
逆に言えば、マスコミなり学術会議の連中の方が実態としては遺物化しているんです。
ただ、執行部がまだGHQの残党だからここ10年ほどはせめぎ合いが続くのでしょうね。
高山 
廃止も視野に入れながら、大ナタを振るう必要がある。
小川 
ともかく、今回の菅総理の任命拒否は、学会だけでなく、霞が関の官僚たちにも大きなメッセージを与えたのではありませんか。
特に厚労省がそうでしょう。
『新型コロナ』(上久保靖彦氏との共著/ワック)を上梓しましたが、新型コロナ対策では、厚労省は、ちぐはぐな対応が続きました。
高山 
だから、菅さんは厚労省改革を口にした。よほど懲りたんだろう(笑)。
縦割り行政の弊害が指摘されているが、そもそも厚労省は戦前、内務省管轄だった。
内務省は、もともと建設省、運輸省、厚生省、労働省、警察庁、入国管理庁が一まとめになっていた。
それがGHQによって分割された。縦割り行政はここから始まる。GHQの日本弱体化の目玉だった。
特に警察権(警察庁)と防疫、検疫(厚労省)、入管(法務省)がすべてバラバラにされた。
この弊害が今回のコロナ禍を生んだと言ってもいい。
小川 
内務省は内政の心棒です。そこを解体したわけですから、GHQの意図は明らかでしたね。
高山 
G7の中で内務省が存在しない国は日本だけだ。
重複化の最たるものは、警察庁と厚労省、それぞれに麻薬取締の部署が存在している。
こんなバカげたことはない。もともと内務省で一つにまとめられていたのに。
小川 
内務省がないため、問題が発生する都度不都合が生じるから、内閣府に権限を移してきた。
そうなると「官邸」「内閣府」「省庁」と三重行政になり、司令塔がどこで、誰なのかが逆に分かり難くなります。
官房長官の力量があれば現体制でも回りますが、そうでなければ一気に迷走化すると思いますよ。
高山 
実際に東日本大震災の時、菅直人が対策委員会をどんどん立ち上げたものの、何一つ機能しなかった。
小川 
菅直人の能力が低かったこともありますが、仙谷由人官房長官も 組織を回せるだけの実力がなかった。 
高山 
内務省復活を口にすると「特高警察を管轄していた内務省」という批判の声が上がる。
でも、韓国や台湾には、日本の統治時代、総督府の中に内務省と同じ組織の警務局が設置された。
毎年のようにチフスやコレラが流行した朝鮮では平均寿命が25歳だったが、総督府ができて効果的に検疫が行われ、村々にも衛生班がつくられ、伝染病が終息し、平均寿命は日帝支配の間に倍に伸びた。
そのシステムを韓国人たちが踏襲して、新型コロナの感染拡大を封じ込めることができている。
小川 
日本は強力な統治システムを持った国を自分たちでつくりながら、自らが解体されてしまった。歴史の皮肉で(笑)。
高山 
内務省がないから、今の日本政治は財務省の言いなりになっている。
もともと財務省なんて二流官庁にすぎない。財政出動を拒否して、政治や行政を硬直化させている。
ここにもGHQ戦略が息づいていると言える。

第二、第三の矢が

小川 
今回のコロナ禍で、もう一つわかったことは、総理大臣の権限が実に小さいということです。
コロナ問題がいまだに終息しない一番の原因は感染者数。PCR検査数を恣意的に増やせば、感染者数は上昇する。
担当しているのは保健所ですが、ここは政府の管轄ではありません。地方自治体に権限が委ねられている。
感染者数の発表にしても、政府ではなく地方自治体が勝手に発表しているだけ。
高山 
都道府県が勝手にやっているわけだ。
小川 
しかも、4月から東京都の感染者数データが明らかに異常―本音では不正と言いたいんですけど―を示し始めたので、政府に都のデータの根拠をきちんと問い質すように進言したんです。
ところが、厚労省が東京都の保健所にデータを出してくれと言っても、出してこない。
「保健所の現場が混乱していて、正確なデータが出せない状況です」という。
加藤勝信厚労相(当時)のみならず、安倍総理が要求してさえ数字が上がってこない。
「おかしくありませんか」と菅宣房長官(当時)に電話したら、「いやあ、本当におかしいんですよ」と(笑)。
高山 
呆れるのは当然だよ。
小川 
PCR検査数も各地方自体によってまちまちです。
そんな曖昧な検査の陽性反応を「今日はOO人です」とテレビが速報する。まだやってるんだ。
高齢者で、テレビしか見ないような方は、その数字を見て恐怖心を覚え、外に出歩けないでいます。
高山 
夜の街はいまだに閑散としている。
小川 
実態経済が壊滅的な打撃を受けていることは間違いありません。
高山 
行革が急がれるね。
小川 
菅総理は迅速に実行する気でいますよ。
安倍政権の7年9ヵ月、宣房長官業に徹し、円滑な政権運営のために各省の子飼いをつくり、前川のような国益に反する官僚たちをパージした上で、強固な地盤を固めてきた。
官房長官の立場から、さまざまな問題点が見えていたことが大きい。
高山 
ということは学術会議はその嚆矢に過ぎなくて、第二の矢、第三の矢が放たれる可能性があるわけだ。
小川 
霞が関やアカデミズムの既得権益者たちは戦々恐々としていると思いますよ。
高山 
その矢から身を守るために、学術会議のように「学問の自由」を口にするだけでは、どうにもならないだろう(笑)。
小川 
彼らの汚い手口、道徳的な腐敗には、安倍前総理、菅総理ともに何度も煮え湯を呑まされてきた。菅総理は本気ですよ。
高山 
憲法改正をはじめGHQの軛(くびき)から脱せられるかどうか、これからの菅政権の手腕に期待したいね。


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