文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

ニューヨーク・タイムズは漁船衝突事件に…「日本と中国の外交対決は、屈辱的退却に見える日本の譲歩で終わった。中国がアジアでの領土紛争で、大胆さを増す危険を引き起こした」

2020年09月10日 15時20分24秒 | 全般

以下は、中国人船長釈放の嘘と詭弁、と題して、今日の産経新聞に掲載された論説委員兼政治部編集委員阿比留瑠比の論文からである。
彼が現役最高の記者の一人であるのは、報道の大原則である事実を書く事を貫き続けているからである。その事が日本国と日本国民に大きな貢献を果たしている事は論を俟たない。
あのときの目がくらむような怒りと失望は、今もはっきりと覚えている。
平成22年9月24日、那覇地検が緊急記者会見で、尖閣諸島(沖縄県石垣市)沖の領海内で、海上保安庁の巡視船に体当たりを繰り返した中国人船長の釈放を発表したときのことである。  
「地検独自の判断だ。それを了とする」 
当時の菅直人内閣の仙谷由人宣房長官は、すぐに記者会見でこう追認し、柳田稔法相は記者団に、問わず語りで「指揮権を行使した事実はない」と強調した。 
折しもこの日、菅首相は米ニューヨークでの国連総会出席のため外遊中だった。
当時、検察は大阪地検特捜部の押収資料改竄事件で追い詰められていた。
そんなタイミングでの不自然極まる発表だった。 
真っ赤な嘘裏付け 
米紙ニューヨーク・タイムズは漁船衝突事件についてこんな予測を示した。  
「日本と中国の外交対決は、屈辱的退却に見える日本の譲歩で終わった。中国がアジアでの領土紛争で、大胆さを増す危険を引き起こした」 
東シナ海や南シナ海の現状をみれば、残念ながらその通りとなっている。 
そして10年後、前原誠司元外相が産経新聞の取材にようやく重い口を開き、菅首相が中国人船長の釈放を求めたと明らかにした。
釈放が菅首相の意向だったこと自体は、これまでも複数の証言がある。
ただ、実際に菅首相が「かなり強い口調で『釈放しろ』と言った」場面に外相として立ち会った前原氏の証言は重い。 
菅首相は「検察当局が粛々と判断した結果だ」と記者会見や国会で述べてきたが、真っ赤な嘘であることが改めて裏付けられた。 
現在は立憲民主党最高顧問を務める菅氏は早速、8日の自身のツイッターにこんな反論とも弁明ともつかぬことを記した。  
「我が国法令に基づき、厳正かつ粛々と対応したものである。指揮権を行使しておらず、私が釈放を指示したという指摘はあたらない」
また、菅内閣の宣房副長官だった立憲民主党の福山哲郎幹事長も、示し合わせたとみられるそっくりな文面をツイッターに書いた。  「我が国の法令に基づき対応したものである。指揮権を発動しておらず菅総理が釈放を指示したという指摘はあたらない」 
何を言っているのだろうか。
国家公務員法に基づく正式な手続きによる指揮権の発動でなければ指示ではないという詭弁が、どこの世界で通用しよう。
国のトップたる首相が配下に「釈放しろ」と言えば、それは指示であり命令である。 
立憲民主党は、安倍晋三首相が指示も命令もしていないことについて「首相の意向で行政がゆがめられた」だの「官僚の忖度を生んだからけしからん」だのと非難し続けてきた。
菅氏や福山氏の理屈でいえば、これらは全部、冤罪であり言いがかりとなる。 
小泉首相との違い 
福山氏は平成16年に、小泉純一郎内閣が尖閣諸島に不法上陸した中国人活動家を、強制送還したことがあるとも強調する。
だが、船長釈放とは根本的に違う点がある。
小泉首相は政治の責任と指示から逃げず、こう堂々と述べている。 
「日中関係に悪影響を与えないよう大局的に判断しなければならない。そういう基本方針に沿って、関係当局に指示した」 
菅内閣は、閣僚が国会で虚偽答弁した際の道義的・政治的責任について「答弁の内容いかんによる」とする答弁書も閣議決定した。
閣僚が嘘をついてもいいという内閣の意思を表明した政権なのだから、何をか言わんや。 

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。