文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

欧米先進国が中国をWTOに加盟させ、多額の投資で経済発展させたおかげで中国は強国となり、怪物化しました

2021年12月03日 18時09分21秒 | 全般

以下は発売中の月刊誌Hanadaに、芥川賞作家が中国の脅迫を告発、と題して掲載されている楊逸さんの渾身の論文からである。
本論文も中国が「底知れぬ悪」と「まことしやかな嘘」の国である事を痛切に証明している。
日本国民のみならず世界中の人達が必読。
Hanadaは、本論文の様な本物の論文が満載されていて950円(税込)なのである。
活字が読める日本国民は最寄りの書店に購読に向かうか、お得な定期購読で宅配を受けるべきだろう。
世界中の人達には私が出来る限り知らしめる。
物事の真相を明らかにするのが芸術家や言論人及び学者等の務めである事は言うまでもない。
見出し以外の文中強調は私。
非国有企業の報道禁止 

2021年10月8日、中共中央の新たなメディア規制が報じられました。
日本のニュースでは、「民間企業の報道参入を認めない」とありましたが、実は中国語の原文は民間企業ではなく「非国有企業」なのです。
中国政府が10日までを期限に、報道事業に民間企業が参入することを禁止する規制案を公表したもので、「非国有企業」は新聞社や出版事業、テレビ局に参入できなくなります。
インターネットニュースも、民間企業が経営したり出資したりしてはいけない。
具体的な報道禁止分野は、「政治、経済、軍事、外交、重大な社会問題、文化、科学技術、衛生、教育、スポーツなどのほか、政治や世論、価値観にかかわる業務や事件の実況中継に携わってはならない」。
つまり、何も報道できないのです。
事件の実況中継も禁止です。
そのため、これまで中国のSNSや動画で発信してきた網紅(ネットで有名なインフルエンサーたち)が波が引くように消え、投稿もなくなりました。
フォロワー数上位を争う有名な発信者の事務所やチームが解散しています。
報道の締め付けはさらに徹底されるでしょう。 
21年10月1日の国慶節の直前から同時期にかけて、山西省で大洪水が起きましたが、中国メディアは一切報じませんでした。
締め付けがすでに効いていて、収穫時期の作物がすべて水に浸かったことも報じない。
国慶節の報道が終わった5日すぎに、ようやく情報が小出しになりました。
その前の7月17日、河南省で洪水があり、地下鉄に閉じ込められた乗客など300人以上の犠牲者が出た際には、ネット中継する人がいて、世界に情報が流れました。
しかし山西省の洪水はそれを上回る被害が出たのに、当局の抑え込みが成功し、当初まったく情報がなかったのです。
非国有のメディア企業には当然、在中国の外国メディアも含まれます。
今後、中国からの報道は共産党が嫌う情報を流さなくなり、北朝鮮と同じようになるはずです。
人間性に反する伝統 
私はなぜこうなるか考え続け、中国に反(アンチ)ヒューマニズムの伝統があると気づきました。
魯迅(ろじん)がこのテーマに取り組んだのは有名ですが、現代の文学作品にも、反人間性の伝統が活写されています。
王小波の『黄金時代』(勉誠出版)では、革命の洗脳が浸透した辺境農村で、荒唐無稽なほど人間性を無視する出来事が起こります。
莫言(ばくげん)の『酒国(しゅこく)』(岩波書店)で描かれる中国の腐敗文化、他人を買収して共犯者にする手口は、理屈より物語で読んだほうが実感しやすいでしょう。
反抗しない中国人を作り出す統治体制は、長い歴史を持つ、人間を家畜のように隷属させる制度です。
私の人生を振り返ると、家族全員が下放され、住居もなく、姉は命を落としました。
なぜ不宰な目に遭うのか考えた時、「母親は地主階級出身で、両親とも教師で知識人階級だから、思想改造が必要だ。原因は搾取階級出身である自分のせいだ」との考えにたどりつき、なんとなく納得していたわけです。
その考え自体が間違いだったと、この2年で目覚めました。
来日した1987年から2020年までの33年間、「わが家は迫害されて当たり前だ」と納得していたおかしさにやっと気づきました。
中国人は洗脳され続けた結果、「苦しいのは自分のせいで、仕方がない」と諦めてしまいます。
共産党の圧政下の人たちは反抗など不可能だし、洗脳を解くことすら難しいでしよう。
苦境を受忍する中国人の悪弊こそ、共産党政権が70年も存続した最大の原因だと気づき、私が声を上げなければいけないと決意したのです。
過酷すぎる幼少期の体験に慣れてしまうと、当たり前のように受け入れてしまいます。
もし、私が化大革命の時代に10代後半だったら紅衛兵(こうえいへい)になって、親を「搾取階級」と糾弾していたと思います。
ですから、洗脳された中国人が沈黙している理由もよくわかります。
彼らにつける薬はありません。
私が危機感を覚えるのは、この根本的な価値観の違いを理解せず、中国人の善意を信じる日本人が非常に多いこと。
一対一のふるまいではいい人でしょうが、日本人のやさしさが通用しない中国人の価値観とどれほど深刻な衝突の可能性があるか、想像もできないのは怖いことです。
人民の首にある「ひも」
私自身、どこまで西側の自由と民主主義の価値観や考え方に近づけたか、自信はありません。
でも、中国で身につけた価値観が根本的に間違っていたことはわかります。
だから政治的な主張をしてこなかった私が、中国共産党と習近平体制への激烈な批判者に転じたのです。 
同時代を歩んだ中国人の思考を理解しつつも、日本で学んだ自由と民主主義の価値観を受け入れ、中国共産党の政治体制、人を人として扱わない政治システムをこれ以上存続させてはいけないと確信しました。
欧米先進国が中国をWTOに加盟させ、多額の投資で経済発展させたおかげで中国は強国となり、怪物化しました。
*楊逸さんの、この指摘は、最近、私の脳裏に過っていて、私もまた再度発信しようとしていた事と全く同一です*
その責任の一端は、欧米や日本にもあります。
習近平体制の締め付けは、これからさらに厳しくなるでしょう。
習近平が権力基盤を固めた2016年あたりからひどくなり、最近では締め付ける「ひも」が人民の首に喰いこんでいる状態です。
中国人は機械的に生きるしかない生存環境に置かれ、インプットするのは人民日報の情報だけ。
それ以外の情報で何か考えようとすると、すぐに首のひもが締まって死んでしまう。
習近平体制が存続していけば、やがて中国人の首にかかっているひもが、今度は日本人やアメリカ人の首にかけられることになります。
なぜなら、中国に批判的な海外報道は大きな圧力にさらされているからです。
現地大使館は報道に抗議し、訂正や謝昨を要求します。
また、アメリカ文化を代表するハリウッド映画は、中共宣伝部の検閲基準をクリアしないと公開できなくなりました。
スポーツ関係者の発言やファッション、アート、漫画やアニメ、ゲームの内容にも共産党は囗を出します。
外国企業も、ひとたび屈すればどんどん締め付けられる。
最大の市場・中国に配慮すれば、自己規制するしかありません。
日本やアメリカの子供向けの漫画やゲームは、中国の検閲を受けるのが当たり前になるでしょう。
共産党が得意とするプロパガンダに対抗する最善の策は、それをわかりやすく解説してあげることです。
共産党イコール悪というスローガンでは、一般の人に伝わりません。
そこで、現代文学の表現を借りる必要があります。
中国文学の例は先述しましたが、共産党の暗部を描いた世界的文学者として、チェコ生まれのミラン・クンデラ、ハンガリーのアゴタ・クリストフなどがいます。
日本では左派的なバイアスが強いせいか、彼らの作品に政治的な批判性を読み取る人はそれほど多くありません。
『ブリキの太鼓』で知られるギュンター・グラスは、ポーランドのグダニスクで生まれ育ちました。
戦前はダンツィヒ自由市といい、96%がドイツ系住民で、ヒトラーの侵攻を喜んだ土地柄です。
共産主義批判の新常識 
グラスは78歳になって、「私は17歳の時、武装親衛隊に入っていた」と告白しました。
戦後はポーランドのために働き、1970年12月、当時西ドイツ首相だったヴィリー・ブラントがワルシャワを訪問した際、ゲットー英雄記念碑の前でひざまずいて謝罪するよう助言したこともある人です。
ところが告白後、ポーランドやドイツの左派知識人は一斉に彼を叩き、「彼と握手しなくてよかった」などと悪魔扱いしました。
グラスの心からの反省をわかろうとせず、“ナチ協力者”への決まりきった批判に徹したわけです。
左派知識人にとって大事なのは批判それ自体で、告白の本質的な中身を見ていないことがわかります。
グラスは秘密を墓まで持っていき、ノーベル文学賞受賞者の名誉を守る道もあったのに、告白した。
その心からの反省に、うわべだけの非難を繰り広げた左派知識人は、いかに言葉で相手を打ち負かすか、ということしか考えていないのです。
文革の時、地主は「搾取階級」と大書された三角帽子をかぶせられ、糾弾されました。
他にも、反党思想とか悪質知識人など悪そうな罪名を発明し、徹底的に騒いで批判・糾弾していった。
レッテルを貼り、存在を否定するやり方は、共産党が得意な手法です。
文革がやっと終わり、私を含む中国人は、これで中国はよくなると喜びました。
しかしいまでは、共産党政権が続く限り、中国は絶対によくならないとわかったのです。
問題は共産主義です。
共産党政権が続く限り、世界に真の平和は訪れない、と私は確信しています。

 

 


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