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北朝鮮に加えてイランとも? ワシントンに高まる開戦論 ジョシュア・キーティング

2018年05月09日 23時19分24秒 | 日記

以下は前章の続きである。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/12/post-9223.phpから。
北朝鮮に加えてイランとも? ワシントンに高まる開戦論
2017年12月27日(水)15時00分
ジョシュア・キーティング
<核開発を加速させる北朝鮮とのにらみ合いが続くなか、今度はイラン封じ込めの主張が強まってきた>

アメリカが北朝鮮を軍事攻撃するなんてあり得ない――そう一蹴するのが難しくなってきている。現実になれば、多数の人命が失われることは間違いない。

これだけでも十分に憂慮すべき事態だが、そこへ新たに浮上してきたのが、アメリカとイランとの武力衝突の可能性だ。

ホワイトハウスは、アメリカには北朝鮮と対話する用意があるというティラーソン国務長官の発言を正式に否定(更迭が近いとされるティラーソンの発言は、政権を代弁したものと考えないほうがいい)。一方でリンゼー・グラム上院議員は、アメリカが北朝鮮を先制攻撃する確率は30%あり、次に北朝鮮が核兵器実験を行えば70%に跳ね上がると、メディアに語った。

彼のようなタカ派議員の意見は、普通なら話半分に聞くべきだ。しかし最近は、北朝鮮に核を使わせない唯一の策は先制攻撃だという考えを表明する政権高官が相次いでいる。

「北朝鮮の話をするトランプ政権の様子は、イラク戦争を前にしたジョージ・W・ブッシュ政権に薄気味悪いほど似てきた」と、ブッシュ政権で国家安全保障会議のメンバーだったコリー・シャキーは言う。

もう1つイラク戦争を思い起こさせたのが、ヘイリー米国連大使が12月14日に行った記者会見だ。彼女は、イエメン暫定政権と対立するイスラム教シーア派武装組織ホーシー派が11月に同国からサウジアラビアに撃ち込んだとされるミサイルの残骸を大げさな身ぶりで見せた。

ヘイリーはイラン製とされるこのミサイルを指して、イランが武器を提供している証拠だと述べ(イラン側は否定)、中東地域の対立をあおっていると非難。「イランの政権がこれ以上、違法行為に関わることは許されない」とし、イラン包囲網を築くことになると明言した。

1月半ばに危機到来?
トランプ政権は今まで、同盟国であるサウジアラビアとイスラエルの見解をことごとく採用し、イランについては封じ込むべき圧倒的脅威と見なしてきた。反イラン政策を唱えるトム・コットン上院議員は、イランとの核合意の不備を補うことを戦略に掲げるホワイトハウスに同調し、「わが国の対イラン政策は、イランの政権交代を主眼とすべきだ」とまで主張している。
イランとの開戦はやむなしと言う声は、北朝鮮に対する声ほど大きくない(議会は長年にわたってイランとの核合意に不満を言いながら、合意内容の改正法案を可決に持ち込めるほどまとまっていない)。だが合意が決裂した場合、アメリカがイランと武力衝突する事態に至るシナリオは難なく想像できる。

イランが合意を遵守しているかどうかを90日ごとに確認する次の期限は、1月半ばだ。トランプは10月、イランが合意を遵守していないとの判断を発表した。そこから進展が見られない場合、トランプ政権が対抗措置を強化することは避けられない。アメリカとイランが挑発や応酬を繰り返すうちに、危険なスパイラルに陥ることも考えられる。

トランプは大統領選で、共和党内の対立候補や民主党のクリントン候補と一線を画してイラク戦争を批判し、他国の政権交代や大規模な軍事行動を支持した歴代大統領を非難した。だが大統領となったトランプは、さまざまな国で米軍の駐留規模を拡大し、新たに大規模な軍事行動を起こす可能性を高めている。

このまま事態が進めば、問題はトランプが戦争を始めるかどうかではなく、どこで始めるか、になるかもしれない。

<本誌2017年12月26日号掲載>


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