文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

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十分な情報を開示しなかったことは「国際保健規則」に反しており、国際社会は中国に補償金の請求を求めるべきという政策提案を発表。

2020年06月14日 14時35分03秒 | 全般

以下は前章の続きである。
広がる″対中包囲網” 
2019年3月に習国家主席が訪仏、400億ユーロ(約4兆6千億円)の受注契約を締結したフランスもマクロン大統領が4月中旬、フィナンシヤル・タイムズ紙に、「中国がこれ(ウイルス流行)にうまく対処していると、バカ正直に言ってはいけない」と中国政府の責任を明確に指摘した。 
フォルクスワーゲンの世界販売台数中、中国が約4割を占めるため慎重姿勢だったドイツのメルケル首相も透明性に苦言を呈した。
4月20日の会見で、「中国がウイルス発生源に関する情報をもっと開示していたら、世界のすべての人々が学ぶ上でより良い結果になっていた」と述べたのだ。 
ドイツ最大手紙「ビルト」が4月中旬、中国に賠償総額1650億ドルを請求すべきとの社説を掲載すると、中国政府関係者が反論を投稿、同紙が再反論する異例の言論戦が繰り広げられた。
中国とロシアは、ブレグジットなどで欧米を離間させる工作をしてきたが、コロナでは中国の責任を問う米国の強硬姿勢に英仏独など欧州主要国が同調、「独立調査」を求めるオーストラリアを加え欧米で”対中包囲網”が広がる。 
英国の政府系シンクタンク「ヘンリー・ジャクソン協会」は4月、中国政府が世界保健機構(WHO)に十分な情報を開示しなかったことは「国際保健規則」に反しており、国際社会は中国に補償金の請求を求めるべきという政策提案を発表。
英国の損害額は3500億ポンド(約47兆4400億円)、先進7ヵ国(G7)は最低3.2兆ポンド(約430兆円)と試算した。 
さらに5月、英国は医薬品やハイテクなど付加価値が高く戦略的に重要な71製品を中国からの輸入に依存しており、機密情報を共有する米国、カナダなどアングロサクソン5ヵ国「ファイブ・アイズ」で連携して、中国とデカップリング(分離)貿易で中国依存を解消すべきと提言。
5ヵ国で319製品を中国から自国に取り戻すべきだとしている。 
ところがパンデミック封じ込めに四苦八苦するうち、気づけば中国企業が先端企業の買収攻勢を仕掛けて来た。
コロナ危機で、欧州企業の株価が下落したためだ。
欧州各国は防衛に乗り出した。 
英デイリー・エクスプレス紙によると、M16とM15は、英国のインテリジェンスと先端産業を保護する安全保障の観点で、戦略的産業が中国資本に飲み込まれないように国家が管理を厳格にすべきと訴えた。
ドイツ政府は4月上旬、EU域外企業が買収しようとした場合、「ドイツの利益を阻害する恐れがある」と見なせば、阻止できる規制を承認した。
医薬品やエネルギー、デジタル産業も安保上、重要とした。 
イタリア政府も銀行や保険、エネルギーなどで海外企業が10%以上の株式を取得しようとすると、政府承認を求める。 
スペインも新規則を導入。
戦略的業種に指定する企業の経営権や10%を超える株式をEU域外投資家が取得する場合、新たな承認獲得を義務づけた。
この稿続く。


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