米韓FTAは悲惨
-TPPに似ていると言われる米韓FTA(自由貿易協定)の結果はどうでしょうか。
中野 TPP推進論者がうらやましがっている米韓FTAは、悲惨なぐらいやばい内容です。韓国には何にもメリットがない。韓国では暴動が起きました。韓国国民は今になって大騒ぎをしている。協定発効後、米国は自動車やテレビの関税を徐々に撤廃するが、両方ともすでにきわめて低かった。韓国企業も日本企業と同じで米国での現地生産を進めているし、そのうえ大不況の米国ではほとんど売れない。しかも恐るべきことに、韓国の自動車メー・カーが進出して米国の自動車メーカーが脅かされるような事態になったら、この関税は復活するって書いてあるんですよ。
ーエーツ、本当ですか。(*ジャーナリストとして、この驚きはないのではないか。朝日新聞社員がこれなのだから政治家(屋)たちや官僚も知らないのが一杯いるんじゃないか。)
中野 だから何の意味もない。さらに代償が大きかったのは、韓国は米国の自動車を入れるために、排ガス規制を米国と同じにしたんです。規制を米国車には緩くして自動車税制も米国車有利に変えなければならなかった。農協共済や漁協共済、それから日本の簡保にあたる郵便局の保険サービス、これはFTA発効後3年以内に全部解体です。世界最大の米国の保険会社AIGはりIマンーショックとともに破綻したのですが、米国は国有化した。この国営AIGを大不況の米国で立て直すことはできないので、韓国、さらにその先の大市場、日本に狙いを定めたんですよ。
TPPの敵は民主主義
―ISD条項はどうですか。
中野 実は米韓FTAやTPPで一番恐ろしいのは、そのlSD条項、いわゆる投資家保護条項と呼ばれるものなんです。これも韓国はのまされた。米国企業が、環境規制や労働規制、安全規制などの韓国の政策によって損害を被ったと思った場合は、韓国政府を訴えることができるんです。しかもその訴え先は韓国の司法機関ではなくて、米国にある世界銀行傘下の国際投資紛争解決センターなんです。ここでの審理の観点は韓国の国民の福祉ではなくて、単に投資家が損害を被ったか被ってないかだけなんですよ。しかも審理は非公開、不満があっても上訴できない。これが米国の推進するグローバル化というものです。敵は民主主義なんです。この投資家保護条項はTPPの中にも入っている。しかも、政府資料を見ると、この条項は、なんと日本が確保したい事項のほうに入ってるんですよ。
-それじゃ、政府は何も理解していないということですか。
中野 私は米国流のグローバル化やTPPに反対です。震災が起きようが、原発の事故が起きようが、復興しようと思う人たちというのは、この国を愛して、俺たちの村、俺たちの職場、俺たちの家族を守り、貧しいけれどももう一度ここに戻ってくる人でしょう。グローバル化なんて言う人は、被災したらどこか外国に行っちゃうような人でしょう。ふざけるな、と言いたい。*芥川は、ここを読んで不覚にも涙が溢れた。
そうして愈々思うのだった。芥川の「文明のターンテーブル」がアメリカでも100万部は読まれなければいけないな、と。
聞き手編集部佐藤 章
-TPPに似ていると言われる米韓FTA(自由貿易協定)の結果はどうでしょうか。
中野 TPP推進論者がうらやましがっている米韓FTAは、悲惨なぐらいやばい内容です。韓国には何にもメリットがない。韓国では暴動が起きました。韓国国民は今になって大騒ぎをしている。協定発効後、米国は自動車やテレビの関税を徐々に撤廃するが、両方ともすでにきわめて低かった。韓国企業も日本企業と同じで米国での現地生産を進めているし、そのうえ大不況の米国ではほとんど売れない。しかも恐るべきことに、韓国の自動車メー・カーが進出して米国の自動車メーカーが脅かされるような事態になったら、この関税は復活するって書いてあるんですよ。
ーエーツ、本当ですか。(*ジャーナリストとして、この驚きはないのではないか。朝日新聞社員がこれなのだから政治家(屋)たちや官僚も知らないのが一杯いるんじゃないか。)
中野 だから何の意味もない。さらに代償が大きかったのは、韓国は米国の自動車を入れるために、排ガス規制を米国と同じにしたんです。規制を米国車には緩くして自動車税制も米国車有利に変えなければならなかった。農協共済や漁協共済、それから日本の簡保にあたる郵便局の保険サービス、これはFTA発効後3年以内に全部解体です。世界最大の米国の保険会社AIGはりIマンーショックとともに破綻したのですが、米国は国有化した。この国営AIGを大不況の米国で立て直すことはできないので、韓国、さらにその先の大市場、日本に狙いを定めたんですよ。
TPPの敵は民主主義
―ISD条項はどうですか。
中野 実は米韓FTAやTPPで一番恐ろしいのは、そのlSD条項、いわゆる投資家保護条項と呼ばれるものなんです。これも韓国はのまされた。米国企業が、環境規制や労働規制、安全規制などの韓国の政策によって損害を被ったと思った場合は、韓国政府を訴えることができるんです。しかもその訴え先は韓国の司法機関ではなくて、米国にある世界銀行傘下の国際投資紛争解決センターなんです。ここでの審理の観点は韓国の国民の福祉ではなくて、単に投資家が損害を被ったか被ってないかだけなんですよ。しかも審理は非公開、不満があっても上訴できない。これが米国の推進するグローバル化というものです。敵は民主主義なんです。この投資家保護条項はTPPの中にも入っている。しかも、政府資料を見ると、この条項は、なんと日本が確保したい事項のほうに入ってるんですよ。
-それじゃ、政府は何も理解していないということですか。
中野 私は米国流のグローバル化やTPPに反対です。震災が起きようが、原発の事故が起きようが、復興しようと思う人たちというのは、この国を愛して、俺たちの村、俺たちの職場、俺たちの家族を守り、貧しいけれどももう一度ここに戻ってくる人でしょう。グローバル化なんて言う人は、被災したらどこか外国に行っちゃうような人でしょう。ふざけるな、と言いたい。*芥川は、ここを読んで不覚にも涙が溢れた。
そうして愈々思うのだった。芥川の「文明のターンテーブル」がアメリカでも100万部は読まれなければいけないな、と。
聞き手編集部佐藤 章