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歯と眼の治療は贅沢品  仕事と同時に失う医療保険  ロサンゼルス・無料クリニック報告 。

2011年11月16日 06時08分13秒 | 日記
11/14号週刊アエラが50万部は読まれていなければ民主主義は完成されない。③

ジャーナリスト 長野美穂(ロサンゼルス)

文中黒字化と*は芥川。

ロサンゼルスのダウンタウン近くにあるスポーツ・アリーナの外では、日の出とともに数千人が長い列を作っていた。10月17日。失業して医療保険を失った人たちが、無料で歯科や眼科の診断や治療を受けられるというイベント「LA無料クリニック」のアポ取りに殺到したのだ。
 
失業率が13%に迫ろうとしているロサンゼルス。日本のような国民健康保険制度がないアメリカでは、職を失うと、勤務先で加入していた医療保険も一緒に失う。カリフォルニア州で医療保険がない人は約840万人。ロサンゼルス郡では3割近くの住民が無保険だ。
 
56歳のレネー・モレットさんは4時間並んだ。失業して数年になる。
 
「32本あった歯が、虫歯で今では17本だけ。地元の病院で無料なのは抜歯だけ。2年以上治療を受けられずに痛みを我慢してきたの。低所得者なら乳がん検診などは無料でやってくれる病院もあるの。でも、歯科と眼科はまず無理よ」
 
彼女の口元を見ると、前歯が欠け、大きな隙間が見える。
 
低所得者層向けの政府の公的医療保険の「メディケイド」制度では、歯科や視が検査のための眼科診療は、特別な場合を除いてカバーされない。つまり、歯科や眼科の診療は失業者にとって贅沢品。虫歯の痛みや度の合わなくなった眼鏡の不自由さを抱えながら過ごしている人々が増えている。

学生保険はカバーしない

地元の非営利団体「ケア・ナウ」が主催するこのイベントは、無保険者にとって、歯科医師や眼科医に診察してもらえる貴重なチャンスだ。5千人近くが予約を済ませた数日後、巨大なスポーツ・アリーナに足を踏み入れると、まるで野戦病院のような光景が広がっていた。
 
医師や看護師など800人以上の医療関係者がボランティアとして参加。アリーナ中央の「歯科」のコーナーにはリクライニングの椅子とその上で横になった患者がずらっと並ぶ。
 
歯科の順番を待っていたコートニー・オースチンさん(43)は、3歳の息子がいるシングルマザーだ。映画業界で働いていたが、安定した職を求めるために、現在はサンタモニカ・カレッジとUCLAの二つの大学で看護師の学位を取るべく勉強中。医療保険はあるが、歯科の診療は含まれない。前歯の虫歯の痛みを、鎮痛剤で数力月ごまかしてきた。
 
「歯科って一番頻繁に利用するのに、看護学生の私の保険ではカバーされない。虫歯1本でも自腹で治せば数百ドルから数千ドル。とても払えない。大学の歯科も、学生でも無料では診てくれないし」
 
オースチンさんが歯科の治療を受けている間、彼女の母親のナンシー・ルイスさん(59)は乳がん検診を済ませ、骨密度の測定ブースに並んでいた。長年ミドルクラスの一員だったが、今は無保険。病気にならないように食事や運動に気を配る。

以下続く。

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