Sun Set Blog

日々と読書と思うコト。

ミルク&come again

2008年08月11日 | Days

 金曜日(厳密に言うと土曜日)は結局午前3時30分過ぎに眠った。
 そして目覚めたのは午前9時。
 前日の夜更かし(と少しのお酒)のせいか、大分眠い。けれども起きて、飲み物を飲んで、それからジャージに着替えて柔軟運動をする。本当は起きてすぐにジョギングをしたくはないのだけれど、夜遅くなることがわかっていたので、朝に走ろうと決めていたのだ。
 いつもの夜ではなく朝なので、走る前に飲み物を多めに摂る。汗をものすごくかくので、消耗を少しでも避けるため水分をしっかりと摂っておく必要があるのだ。

 いつものコースを走る。睡眠時間が短いこともあってか、あるいはただ単に疲れているのか、普段よりも大分きつい。日中のジョギングは、本当なら景色が新鮮で楽しいのだけれど、それどころではない感じ。でもなんとか10kmを走りきり、あらかじめ沸かしておいたお風呂に入る。午前中なので少し熱めに。

 それから準備をして、11時30分に着くように歯医者に出発。歯医者で治療をしてもらい、途中のモスバーガーでモスバーガー単品とモスのかき氷(歯医者の後なのに!)を買って、部屋に帰る。出掛ける予定になっていたので、今日は自炊はなしですぐ食べられるようにモスバーガーにした。軽い昼食をとって、それから掃除をする。掃除機をかけて、シュレッダーにかけるものをかけて、玄関を掃除して、それからトイレ掃除をする。

 掃除がひと段落着いてから、本を読んだり雑誌を見たり文章を書いたりして、少しのんびりして過ごす。午前3時30分まで起きていたせいか、少し眠たくなる。でも出発の時間が近づいていたので、16時頃にお風呂の掃除をして、その後でシャワーを浴びる。着替えて、それから出掛ける準備をする。

 土曜日は、国際フォーラムで開かれる「New Classic Gig in Japan 08」に行くことにしていたのだ。これは、昨年からはじまったクラシックとJ-POP(+DJ)のコラボレーションライブイベントで、今年のメインはCharaとm-floのVERBAL、演奏するのは東京フィルハーモニー交響楽団。通勤のときの中吊りで紹介されていて、ずっと気になっていたのだ。

 17時過ぎに部屋を出て、18時少し過ぎに有楽町に到着する。国際フォーラムまでてくてくと歩く。前に来たときにはBlastだったような気がする。国際フォーラムの中央の街路樹が植わっているような広場がライトアップされていて、散歩などに気持ち良さそうな感じになっていた。たくさんの人たちが待ち合わせをしているのかベンチに座っている。

 中に入り、自分の席を確かめる。後ろの中央で通路側。ステージ全体が見えるよい席。
 開演までイートコーナーでコーヒーを飲んで待つ。Numeroという雑誌の最新号が公式パンフレットになっていて、やたらと売り子が売り歩いている。インタビューは読んでみたかったので購入(500円)。
 場所柄、おしゃれに着飾った人がとても多く、いろいろな人を見ているだけで楽しい。男も女も、こだわった感じの人が多い。ただ、年配の夫婦なんかも混ざっていて、これは東京フィルの演奏でもあるからだろうか? などと考える。人間観察というほど大それたものではないけれど、ちょうど通路側の席だったので、通路を行き来する人たちを見る。

 そして、開演。ステージ後方にたくさんのディスプレイがセットされていて、VJのショーとのコラボレーションでもあることがわかる。GIG全体のテーマでもある「NO FIGHT, YES MUSIC & PEACE」の文字が青空などの映像とともに表現される。薄暗いステージに、華やかな映像。大音量のクラシック。そういったイレギュラーな、けれども新鮮な時間がはじまる。

 最初にプレイしたのはSugiurumn。ハウス・ミュージックDJとして有名らしいのだけれど、今回はじめて知った。DJプレイとクラシックの融合というのはこんな感じなのかということがわかる。面白そうだと嬉しくなる。

 そして、次に登場したのはChara。会場が沸く。僕も目的はCharaだったので、当然沸く。
 クラシックでもあるのでホームページに曲順はアップロードされていて、会場でもらったパンフレットセットにも当日の演奏プログラムの用紙が入っていた。12曲。楽しみなのは後半にある「やさしい気持ち」と「ミルク」。特に「ミルク」は大好きな曲だったのでとても楽しみ(Charaも歌う前のMCで「大好きな曲」と言っていたし!)。

 最新アルバムの『HONEY』の曲も数曲やる。結婚の歌だというMCの後の「TROPHY」や、当日ピアノを担当していた蔦谷好位置が作曲した「そして、僕が届かない」、「愛を憶える」に「Cherry Cherry」。どれもオーケストラとの競演で、よく知っている曲なのだけれど、新鮮に感じられる。途中のMCではオーケストラとのこういった形での競演ははじめてで、緊張しているという話があったり、当日誕生日の人のためにハッピバースディを歌ったり、あっという間に時間が過ぎていった。

 そしてインターミッション。20分の休憩。こういうのはクラシックのコンサートのようだ。

 休憩の後の第2部はいよいよVERBAL登場。1曲目から観客総立ちで最高潮に盛り上がる。ステージ所のディスプレイに時々映し出される客席では、戸惑ったように腕を組んでいる中年男性なんかが映っていて面白かったけれど、大半の人はリズムに合わせて腕を振り、あるいは手拍子をしている。

 途中で3組のゲストがくる。1人目はLisa。もちろん観客は大盛りあがり。プログラムでLisaがくることはわかっているのだけれど、それでもお約束でやっぱり大盛りあがり。個人的に(そしておそらく会場のほとんどの人にとっても)最高だったのは「come again」をやってくれたことで、生でLISAボーカルの「come again」を聴くことができるなんて思わなかったので、本当に嬉しい。01年の曲で、01年なんていったい何をしていただろう? と思ったりするのだけれど、よい曲は時の流れはあまり関係ないなと思いながら腕を振りながら目に耳に焼き付けようというように聴く。

 それからもBlastでおなじみの石川直のドラムの時間があったり、MINMI「Lotta Love」があったりと、盛り沢山。最後にはお約束ながら「Love to Live By」(m-floとCharaのコラボ曲。アルバム『COSMICOLOR』収録)をやって終わり。

 面白かった。Chara→VERBALという順番もよかった。また、昨年に引き続き指揮をしたという栗田博文さんは、髪なんか銀色で、なんだかはじけている感じの指揮者だった。キャラクターが立っているというか。

 帰りには、ミラフィス・ウォーターの500mlのボトルを一人一人にくれる。こういうところも自然に優しいというか、テーマと繋がっているのだろう。

 行ってよかったと思う。生のCharaを聴くことができたこともよかったし、クラシックとのコラボレーションなんてなかなか観ることができないのも新鮮だった。出演するアーティストによって印象が大きく変わりそうな気がするけれど、今年の組み合わせは個人的にはとても嬉しかった。繰り返しになってしまうけれど、「ミルク」と「come again」がとてもよかった。


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 今週読んだ本は2冊。『最高の成果を生み出す6つのステップ』マーカス・バッキンガム著。日本経済新聞出版社。と、『誰よりも美しい妻』井上荒野著。マガジンハウス。
 前者は、自分の強みを発揮できる環境を作るためのレッスン、というような本。よくあるような本で、ところどころ印象的ではあるけれど、それほど目新しいところはない。
 後者ははじめて読んだのだけれど、江國香織にとても似たトーンで驚く。実際に友人で仲がよいらしいけれど(著名な作家や随筆家の娘というところも共通している)、なんだか不思議な感じがする。著者名を隠して誰の本か当てる問題があったら、ぼんやりしていると誤答してしまいそうだ。
今回の直木賞をとった作家で、Amazonで取り寄せたら、さっそく帯が「新直木賞受賞作家」になっていた(すばやい……)。でも、いい感じがしたので他の本も読んでみようと思う。
印象的な表現なんかも随所にあって、何かが起きそうで結局何も起きない(あるいは何かが起こっているのに、何も起こっていないかのように錯覚してしまうような)感じがとてもよく出ていて、けだるさというか文中にもある怠惰というか、あるいは美しく腐敗していくような感じもあって考えさせられる。


 日曜日は出勤。6時台の電車に乗り、20時台の電車に乗って帰ってくる。部屋に帰ってきたのは21時20分くらいで、それからいつものように10km走る。1km5分を切るペース。お急ぎモードで洗濯機をスターとさせ、お風呂に入り、カットフルーツ盛り合わせを食べる。先日も飲み会で部屋にテレビがないことに「信じられない!」という話をされたのだけれど、こんなことをしていたらあっという間に0時になっているのだから、確かにテレビを見る暇はないかもしれない。

 明日は仕事。水曜日から5連休で、3泊ほど札幌に帰省する。地元の友人たちと飲む約束をしたので、来週の飲み会も2つに。最近はなんだか飲んでばっかりだ……


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 お知らせ

 今日のジョギングのときの音楽はm-floだったのでした。

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タクシー

2008年08月09日 | Days

 いまは9日の午前2時40分。ついさっき帰ってきたところ。
 今日は休みだったのだけれど、20人くらいで19時からボーリング(2ゲーム)、そして飲み会。
 23時頃1次会が終わって、珍しく2次会にまで出る。
 それで4人でタクシーを乗り合わせて埼玉まで帰ってきて、こんな時間。割り勘にしたのだけれどタクシー代が1万円近くになり、ちょっと驚いてしまう。

 今日もよく知っている人と久しぶりに飲む人とはじめて飲む人とが混在していて、いろいろな話をする。ボーリングもものすごく久しぶりだったし、大分楽しかった。今週は結果的に飲み会が3日あったことになっていて、なんだかいろいろと話を聞いたりしたりした気がする。たまにはこういう週があってもいいかもしれない。

 でもまあ、来週にも別の飲み会(8割型はじめて飲む人)に誘われているので、夏休み企画のような感じで楽しいのかもしれないけれど。

 毎週恒例の休日前夜のレイトショー観賞は、『インクレディブル・ハルク』。以前のハルクは見ていなくてあまり期待をしていなかったのだけれど、思いがけずよかった。エドワート・ノートンの知性がハルクの苦悩と責任を深みのあるものにし、ヒロインのリブ・タイラーも久しぶりに見たのだけれど、とても魅力的だった。また、映像のセンスが非常によく、早回しのあらすじ紹介的な展開や、ブラジルのシーンの独特の映像美、バトルシーンのカメラワークなど、違和感なく引き込まれた。
 後半のあるシーンだけはちょっとそりゃあないだろうという感じで、それがなければかなり評価が高かったのにとも思う。
 でもまあ、観て損はない映画だと思う。

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 お知らせ

 さすがにもう寝ます……

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飲み会

2008年08月07日 | Days


 いまは7日の0時15分。少し前に帰ってきたところ。今日は元々予定に入っていた飲み会だった。
 以前店長をしていたときの店のメンバーで、中途採用の年上の方々4人に、いわゆる自分も含めた生え抜き社員が4名。本社にいるメンバーが多くなってきたので、久しぶりに皆で集合しようという趣旨の飲み会。

 ものすごく面白かった。中途採用の方々が商社出身だったり大手流通業出身だったり、海外経験が豊富だったりして、かなり興味深い話をたくさん聞くことができた。また、異なる部署に所属している人が多く、そういった意味でもいろいろな話を聞くことができた。たまにはこういった横断的な集まりもいいなという話になり、四半期に一度は集まろうという話になる。

 19時から飲み始め、店を出たのが23時。結構いろいろ話していたのだと思う。
 以前一緒に働いていた人たちと定期的に集まったりできるというのは、結構感慨深いことだと嬉しく思う。


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 お知らせ

 今日はさすがに走らないのでした。

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Study

2008年08月06日 | Days

 今日は午前6時31分の電車に乗り研修会場へ。
 午前8時30分から、外部の企業の主催するセミナーへ参加する。普段青山にはなかなか来ないので不思議な感じがする。途中雷がかなり激しく鳴り響く音を窓越しに聴きながら、19時頃にすべてのカリキュラムが終わるまでいろいろなことを頭に詰め込み、さすがに疲れる。ふう。

 研修終了後、会社から一緒に参加していた人とちょっと飲んでいこうという話になり、19時30分から21時30分くらいまで飲む。地下鉄青山一丁目の駅構内にあるライオンに入り、まずは琥珀エビスを飲む。僕は基本的にお酒をあまり飲めないのでビールの種類もよくわからないのだけれど、一緒に行った人がこれがおいしいのだという話をしていて、じゃあせっかくだからと飲む。アルコールが濃いような気がしたけれど、暑い夏の夜にはビールはやっぱりとても似合う。おいしく飲む。

 ただまあ、2杯目からはソフトドリンクに変更したのだけれど。

 4人で飲んだうちの2人ははじめて飲む人で、いろいろな話をしてかなり面白かった。
 それから地下鉄に乗って帰り、部屋に着いたのは22時30分。それからちょっと迷って、結局Tシャツとハーフジャージに着替えて、いつものように10km走る。アルコールが入っていたし、軽食を食べた後だったので横腹が痛くなるかな? とは思ったのだけれど、痛くなったらそこから歩いて戻ればいいやと、結構勢いで走り出す。
 けれどもビールは1杯しか飲んでいなかったし、それほどたくさん食べてもいなかったので、ほとんどいつもと変わらないペースで10kmを走りきる。それからお風呂に入って、あっという間にいまは0時を回っている。

 今日の飲み会は元々今週の予定に入っていた飲み会ではなく突発的なものだったので、明日もまた飲み会だったりする。重なるときは重なるもので、別の人からも明日に別の飲み会に誘われたのだけれど、先約の方をもちろん優先する。明日は8人でしかも年上の人が多い中で飲むのだけれど、いろいろな話が聞けそうで楽しみだ。


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 お知らせ

 ここ数日本当に暑く、溶けてしまいそうな感じです。

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Something to drink

2008年08月03日 | Days

 いまは23時30分少し前。
 今日も仕事から帰ってきてから10kmのジョギング。
 土曜日もちゃんと10km走ったし、金曜日にはいつものようにフットサルに出掛けた(今回は16人の大所帯だった)。
 8月になってからさらに暑くなって、Tシャツ(NIKEのDRYFIT)なんかプールに浸かっていたみたいに濡れてしまう。機能Tシャツでこれなのだから、普通の綿のTシャツならとても走れたものではないかも。本当にものすごく汗をかいて、だからお風呂のあとにはかなり喉が渇く。ついつい飲み物を飲みすぎてしまうくらいに。だから飲みすぎだなと思ったら熱い飲み物に切り替える。そうすれば少なくとも止め処なく飲んだりはしないし。
 まあ、ヒトは眠っているときにかなり汗をかくそうなので、水分を取っておくのは悪くはないのかもしれないけれど。

 来週は飲み会が2つあったり、外部の企業の開催するセミナーに参加したりと、なんだかバタバタとしてしまいそうだ。明日も早いし、もう眠ろう……


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 お知らせ

 夏休みをとってカナダに旅行に行っていたチームの子から、おみやげのチョコレートをもらいました。
 メープルチョコバー。
 冷蔵庫に入れているのですけど、メープルの匂いがものすごく濃くって、食べるのが楽しみなのです。
 夏休みにカナダだなんて、羨ましい……

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水曜日と木曜日と

2008年08月01日 | Days

 今日一番驚いたのは、『ノルウェイの森』が映画化されること。
 しかも監督が『青いパパイヤの香り』、『シクロ』、そして『夏至』のトラン・アン・ユンであること。
 村上春樹も(当然)OKしたから進んでいる話であること。
 配役はまだ決まっていなくて、公開は2010年の予定であること。

 ものすごく複雑な感じだけれど、同時にものすごく期待してしまっている部分もある。
『ノルウェイの森』は個人的なオールタイムベスト10に絶対に入る作品で、思い入れだってものすごく強い。その映像化が変なものだったら憎しみさえ覚えてしまいそうだけれど、同時にトラン・アン・ユンならあの静謐で、あらゆる境目をゆっくりとたどっていくような世界を独特の視点から映像化できるんじゃないかと思ってみたりする。
 あー、なんだかすごく楽しみだ。絶対にこれは映画化できないだろうとずっと思っていて、こういう変化球でくるのかーと驚いてしまった。それは別に日本人じゃないからやってくれそうということではなくて、化学反応のような新しい側面に光が当たるような期待感があるということなのだと思う。

 何はともあれ、2010年はまだまだ先の話だ。どんな女優が緑の役をするのだろう? というのが個人的にはとても楽しみ。
 直子とか緑とか、絶対にこの役をやりたかったんですっていう女優はものすごーく多そうですよね。


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 水曜日は休日。消化できていない休みが溜まっていて、それを消化するための平日休み。
 朝昼ごはんにパスタを作って食べる。具は冷蔵庫に入っていたなすびなど。
 食べ終わって食器を洗ってから、コーヒーを飲んで一息つく。数年前にネスプレッソの機械を購入していて、定期的にカプセルをインターネットで注文している。結構苦い味のものも多いので、朝に気付的に飲むことが多い。休日の午前中、のんびりとコーヒーを飲むのだからのんびりしていていい感じだ。

 出掛ける準備をして、最寄り駅まで歩く。
 行き先は国立新美術館。「ウィーン美術史美術館所蔵静物画の秘密展」を見に行くことにしていたのだ。
 ただし、厳密に言うとその展示会も興味を惹かれはしたのだけれど、佐藤柏可士和がアートディレクションした国立新美術館自体を見てみたいということもあった。昨年『佐藤可士和の超整理術』と、その妻でクリエイティブスタジオ『SAMURAI』のマネジャーである佐藤悦子の『SAMURAI 佐藤可士和のつくり方』の2冊を続けて読んだときから、興味を持っていたのだ。

 地下鉄を乗り換え、乃木坂で降りる。6番出口から新国立美術館は直結で、独特の建物に入ることができる。よく写真などで使われている波打った壁は地下鉄駅側からはよくわからず、とりあえずチケットを購入して中に入る。黒川紀章が設計した建物は、開放感があって広い割りにその広さを負荷に感じさせない作りになっている。14000平方メートルにも及ぶ展示スペースがあるにも関わらずコレクションを持たない美術館であり、静物画の秘密展の隣で毎日書道展が開催されていた。他にも、公募展や自主企画展、共催展などが随時開催されているらしい。

 この国立美術館でありながら、様々な新しい試みに満ちている美術館のシンボルマークとして、佐藤可士和は「新」という文字をメインにもってきた。当初のコンペの条件としてイニシャルを用いた「NACT(National Art Center,Tokyo)」をモチーフにすることというのがあったらしいのだけれど、ビジョンを突き詰めて考えた結果様々な新しい試みがされている場所であるというコアな部分から、佐藤可士和だけが漢字を中心に据えたシンボルマークを提案した。そして、当初の発注者側の縛りのようなものから外れているにもかかわらず、その理由やデザインが本質的な部分を押さえていたからこそ、結局その案が採用されることになる。

 そのシンボルマークをあらためて見る。その辺の事情を著書で読んで知っていた分、シンボルマークひとつにも考えさせられる。印象的で忘れ難いマークだと思う。当初の「NACT」案から離れてこの漢字ベースのマークを採用した人たちも、作り手同様に柔軟な発想ができる人なのだろう。

 一方、静物画の秘密展では、メインの絵のひとつであるヤン・ブリューゲル(父)の『青い花瓶の花束』がやっぱりすばらしかった。必ず花の実物を見て絵を描いたというブリューゲル(父)は、様々な花のデッサンを行っており、その大量のデッサンをベースにこのありえない花束を描き出した。盛りの時期も違うたくさんの花々をひとつの中に閉じ込め、リアルな生物画でありながら、現実には存在し得ない花束を生み出した。リアルなのに幻想的、そういう相反するような要素が同居しているのは奥行きを深めている。

 平日にも関わらず展示会は混み合っていて、たくさんの人が思い思いのスピードで絵の前を横切っていく。もっとずっと若かった頃、たとえば10代後半の頃には、全部の絵をちゃんと見なくちゃというような思いがあった。真面目だったのだろうし、こうあるべきというような頑なさがあったのだと思う。ある程度年をとってきて、いくつもの美術館を訪れるようになって、その辺は大分柔軟に(あるいは適当に)なってきている。てくてくと歩きながら、気に入った絵の前では時間をかけて、あるいはちょっとルール違反だけれど逆に歩いて戻ってみたりする。それほど惹かれない絵の前はすぐに通り過ぎてしまう。乱暴と言えば乱暴だけれど、時間は限られているのだ。好きな絵、惹かれる絵に時間をかけて、そうでない絵には時間をかけないことは悪いことじゃないのだと思えるようになった。そういうのもたぶん成長のひとつの発露のようなものだと思う。単に面倒くさがりでいい加減になっただけなのかもしれないけれど。

 美術展を見終わった後は、地下にある「スーベニア フロム トーキョー」で雑貨を見る。シボネが経営しているミュージアムショップで、セレクト雑貨の店のような雰囲気。こういう店は楽しいのだけれど、難しいのだろうなといつも思う。こういった店が好きなセンスのよい人は、こだわりがあって、そのストライクゾーンに入ったものであれば購入するだろうけれど、そこから外れたら見向きもしない。しかも人の数だけ微妙に(あるいは決定的に)ストライクゾーンが異なる。それらにできるだけ多く最大公約数的に応えようとする品揃えはどうしたって難しい。だからこそ購入頻度が少なくなるし、そうなれば大商圏でしか存在し得ないし、価格だって高くなる。でももちろん、地方に量販店があって、大都市にこういった店がないと消費世界の裾野は広くならないし、多様性だって失われてしまう。
 難しいなと、あらためて思う。
 カメラの形をしたカレイドスコープと、国立新美術館のロゴ入りサクマドロップ(!)、何枚かのポストカード、そしてSECCOの廃キーボードを利用したマグネットを購入する(文字はいくつかあったのだけれど、「HELLO」のやつ)。帰りの地下鉄駅のホームで、さっそくサクマドロップを1粒なめる。緑色。昔よく食べたなあと思う。何年ぶりだろう? また、さっそくカレイドスコープ越しに様々な景色を見る。虫の複眼のように同じ景色がいくつもに見える。かなり楽しい。これで本棚を見ると結構おもしろい感じ。

 美術館を出て、再び地下鉄を乗り換えて最寄り駅まで戻ってくる。近くのケーキ屋(お気に入り)でミルフィーユとマカロンを購入し、部屋に帰ってから紅茶を沸かしてケーキを食べる。そして、電車の中で読み始めた『のぼうの城』の続きを読む。これは、豊臣秀吉が北条氏を征討に出た際に、石田光成が攻めてついに落城することができなかった忍城の攻防戦を描いたものだ。タイトルにもあるのぼうというのはでくのぼうの略で、そう揶揄されるのも当然の何を考えているのかわからないでくのぼうな男が主人公だ。
 人物が生き生きとしていて、それほど豊富とはいえないだろう史実から、魅力的な物語を作っているのだと思う。先の展開をほのめかし気味な文章がちょっとくどい部分もあったけれど、マニアックな題材だけに、興味を惹くためにはそういう仕掛けも必要だったのかもしれない。
 映画か年末のテレビ特番かになるような感じ。

 夕方、Amazonで注文していた本が届き受け取る。
 いつもより早く、20時前にジョギング開始。休日なので、12km走る。1kmあたり4分58秒のいつもと変わらないペース。

 帰ってきて洗濯機を回し、お風呂に入り、それから夕食を作る。仕事の日はほとんど夕食を作らないのだけれど、休みの日はせっかくだからと作る。エビのリゾットを作る。黙々とブラックタイガーの皮をむき、包丁で切れ目を入れていく。エビを炒めた後(エビっていつも思うけれどすごくよい香りがする)、残った油でごはんを炒めはじめる。白ワインと熱湯で順に煮ていきながら、少しずつごはんを柔らかくしていく。お酒をそもそもあまり飲まないので、お湯だけで煮ればよかったかなと少しだけ思う。リゾットに出来合いのサラダ、それからスーパーでやっていた豆腐フェアで買ったおぼろ豆腐(生姜風味のたれつき)と一緒に食べる。飲み物はペリエ(ライム風味)と一緒に。最近ペリエがお気に入りで、冷蔵庫には常に2本常備しておく。瓶のサイズがあまり大きくないので、買い置きしておかないとなくなってしまうのだ。
 難点は他の飲料に比べるとちょっと高いことだけれど(近くのスーパーでは750mlで298円)、煙草も吸わないのでそれくらいの贅沢はいいだろうと思っている。ささやかな贅沢(これくらいで贅沢というのもどうなのだろうという感じもするけれど)というやつだ。それに、炭酸がどうしても飲みたいけれどコーラはちょっとなあというときに、ぺリエの炭酸は喉に小気味よいし。ジョギングの後はついつい水分を求めすぎて水やらスポーツ飲料やらを飲みすぎてしまうのだけれど、ペリエだと炭酸なのでそんなに飲まないし。
 食器やフライパンを洗って、翌日の準備をして眠る。


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 木曜日は 7時半に会社に到着し、20時過ぎに会社を出る。金曜日がいつものように休日なので、休日前夜のお約束であるレイトショーへ。ジャッキー・チェンとジェット・リーが競演している『ドラゴン・キングダム』を観る。別にそれほど観たい! というわけではなかったのだけれど、せっかくの習慣なのでレイトショーには行こうということでほとんど期待もせず観る。
 でもその分気楽に楽しめた。カンフーものはやっぱり単純に楽しい。ファンの人にはジャッキーとリーの競演というだけでかなり嬉しいものらしいけれど、あまりその点はよくわからない。ただ、2人のバトルシーンなどは、昔よく金曜ロードショーなんかでこういう映画を観たよなという懐かしいもの。それにしても、ジャッキー・チェンにせよシルベスター・スタローンにせよ、もういい年なのに本当にすごい。
 ストーリーも軟弱な学生が不思議な世界に飛ばされ、予言にある導かれし者として元の世界に戻るために悪の将軍を倒す旅に出る。途中、カンフーの達人の師を得、修行を受けながら困難に立ち向かっていく。弱虫だった主人公は、様々な出会いや修行の中で、少しずつ強さを身につけていくのだが……といった感じ。展開は誰だって読めるし、むしろそうであることが大切な映画。なんだかロールプレイングゲームのような展開。
 こういう映画は、構えずに大画面の前で惹き込まれながら観るのが楽しいのだろうと思う。

 映画が終わり、ショッピングセンターの駐車場に戻ったときには23時30分を過ぎていた。たくさんの車で溢れていた駐車場には、ごくわずかな車が点在するだけになっている。夜には5分も掛からずにマンションまで到着してしまう。こんな近くに映画館があるなんてやっぱり随分と幸せなことだ。ものすごくお金をかけて製作したものを、大分リーズナブルな価格で体感できるのだからすごいよなと改めて思う。レイトショーだと1200円だし、本当は800円くらいだともっといいのだけれど、それはまあしょうがない。


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 お知らせ

 映画館に『パンダフルライフ』という映画のポスターがあったのですが……ドキュメンタリーなのですね。

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平日2

2008年07月30日 | Days


 今日も午前4時50分に起床。昨日と同じような時間に、同じような足取りで会社へ向かう。
 会社に着いたのは6時30分少し前。会社を出たのは21時少し過ぎ。
 昼食や夕方に休憩をとったときに、同期や同じ部署やたまたま休憩所にいた他の部署の知り合いと他愛のない話をすることが多い。今日は仲のよい同期と昼食を食べ、そのまま休憩スペースでコーヒーを飲みながら言葉を交わす。夕方の休憩のときは、前の部署の同期とコーヒーを飲む。久しぶりに会う同期の近況を聞きながら、いい息抜きになるなと思っていた。

 また、今週は休日消化のため明日も休みなので、その分も今日は仕事を終わらせる。夜に激しい雷が窓の外を照らし出し、激しい雨が打ち付けていた。けれども会社を出る頃にはさっきまで雨が降っていた気配はそこここに濃密に漂っていたけれど、雨自体はすでに止んでいた。

 先週の金曜日や日曜日もそうだったけれど、夕方から浅い夜にかけて激しい夕立が訪れ、夜になると湿度を残しながら雨はあがる。

 最寄り駅のスーパーの閉店時間(22時)ギリギリに駆け込み、最後に残っていたカットフルーツを購入する。やった! と思う。コンビニでスティッククラブを何本か購入する。これはよくコンビニに売っているシリーズでカフェオレとかいちごミルクとか抹茶オレなどの粉末が入っているやつ。

 部屋に到着したのは22時20分過ぎ。ジャージに着替えて、柔軟をする。いつものように10kmのジョギングへ出発。
 最初、会社を出る直前には、雨が降っていたら今日は久しぶりに外食でおいしいものを食べるぞというようなことを同僚と話していて、おいしいものって何ですかと訊かれ、「ラーメン……?」などと答えていた。引っ越してから外食の回数が極端に減っていて、それはそれで健康的でまあいいかと思うのだけれど、だからこそたまに外食するととても新鮮に感じられる。ちょっと前の出張生活のときにはほぼ100%外食かコンビニしか選択肢がなかったので、そのときから比べるとまっとうだなと思う。そして、いかに出張生活が特殊な状況だったのかと実感される。
 もちろん、その生活自体も決してきらいではなかったし、むしろ充実していたのだけれど、それでも毎日お気に入りの部屋に帰ることができる生活というのは、たとえ帰りが遅かったり部屋で過ごせる時間が短いにしても、随分と嬉しいことだと思う。

 いずれにしても、雨が止んでいたので、ちゃんと日課のように走る。先週の木曜日にレイトショーを観てから、金曜日はフットサル、そして土曜日から4日連続10km超えのジョギング。睡眠時間だって短いというのに、なんだって慣れてしまうのだなと思う。あるいは、果物のおかげか。
 ただ、いまこの文章を書いている間も目はとろんと眠たくなっているし、いくら明日が休みだといっても、しっかりと眠りたいなと思えている。それなのでまあ健康なのだろう。

 帰ってきてから牛乳とカットフルーツ。それからお湯を沸かしてスティッククラブのいちごミルクを飲む。これはとてもおいしい。こういう他愛のないことで幸福な気持ちを味わうことができるのだから、これはこれで十分満喫しているのだろうなと思う。


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 お知らせ

 Brandyの「WOW」を久しぶりに聴いたのですが、あらためてよい曲だと聴きいってしまいました。

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平日

2008年07月28日 | Days

 今日は4時50分に起床。出勤準備をして眠たい目をこすりながら駅まで歩き、長いエスカレーターを下り、6時30分少し前に会社に到着。当然のことながら、1桁の出勤順番(?)。土日のあとの月曜日には先週分の数字が出たり何なりと、皆忙しいのだ。僕の所属する部署も当然忙しく、パソコンの画面を見ながら目が悪くなるよなあと思う。
 途中のコンビニで買ってきた水を飲んで、シリアル系の軽い朝食めいた栄養補助食品をもぐもぐと食べて、2つの画面をそれぞれ見る。僕の部署では一人にデスクトップとノートパソコンが1台ずつ支給されていて、その二つを使いながら仕事をする。
 月、火はいつも戦争のような忙しさだ。週末になるにしたがって少しずつ穏やかになっていき、再び月曜日が来ると嵐。でもまあ、このリズムにも少しずつ慣れてきた。
 会社を出たのは20時。帰りの電車の中で最近読んでいた『デフレは終わらない』を読了。
 東洋経済新報社から出ているみずほ証券チーフマーケットエコノミスト上野泰也の書いた本。
 帯にはこう書かれている。

 原油・原材料が高騰してもインフレにならない!
 給料・金利・地価は上がらない!

 帯の裏には章立てが紹介されていて、

 第1章 デフレは終わらない
 第2章 金利は上がらない
 第3章 それでも日銀は利上げを急ぐ
 第4章 デフレ時代、私ならこうする

 となっている。
 読みやすく、図表なども多く流れがわかりやすい。「著者は」という主語が多用されていて、真面目な人なのだなとも思う。
 印象的だったのはまっとうで納得させられる視点で、たとえば食品関係の賞味期限表示偽装などの原因は人口減少・少子高齢化という社会背景によるものという部分などだ。この「構造的な需要減少要因」が、食品関連業界を構造不況業種と呼ぶべき状況に置いているという意見には説得力があると思う。ゼロサムゲーム的な状況の中でコストダウンの方策は限られている。食に対してはとりわけ消費者の目は厳しい。けれども存続するためにモラルを逸脱して偽装に走ってしまう企業が出てくる、といった流れは今後もまったくなくなるということはないのだろう。改めて繋げられると納得性が高い。
 他にも、成長率の上昇下降の数値は相場が変化した状態が1年続くことを前提にして語られていることを忘れてはならないという部分など、経済情報に対しての客観的な目を持つことも述べられている。人には必ず立場があり、立っている場所からの意見を言うものである。それを鵜呑みにしてしまう根拠はまったくなく、それは専門家の意見であったとしてもそうだというのは、語っている人自身が経済の専門家であるというおもしろさがあるにしても、やはり納得性が高い。
 また、グラフのひとつに掲げられていた日本の将来推計人口に関しても、考えさせられる部分があった。

 2005年
 0歳から14歳:13.8%
 14歳から64歳:66.1%
 65歳以上:20.2%

 2055年
 0歳から14歳:8.4%
 14歳から64歳:51.1%
 65歳以上:40.5%

 自分ももし生きていれば40.5%の中に入るわけだけれど、いびつな構成であることは誰が見てもすぐにわかる。著者が言うように、日本がとるべきは人口を増やす政策であるというのも国力増進などの面からも、不可欠だということができる。
 わかりやすく概観のようなものを知ることができるという意味で、読みやすい本だった。

 部屋に帰ってきたのが21時。途中いつも同じことを書いているけれどカットフルーツを購入し、閉まる直前のマツモトキヨシで大きなカットバンと包帯を購入する。昨日擦り剥いた膝小僧が痛くて、かつ小さな絆創膏しかなかったので、傷前面をガードすることができていなかったのだ。靴でもなんでもそうだけれど、サイズの合わないものはやっぱり痛くて、今日一日中膝を曲げている間(つまりほとんどずっと)軽く我慢をしていた。
 そして、ドラッグストアなら大きな絆創膏があるだろうと店員たちが店頭のカーゴ車を片付けている横をちょっと急いで駆け込んだのだった。

 そしてジャージに着替え、柔軟をしてジョギング(10km)。
 帰ってきてから洗濯をして、お風呂に入って、フルーツとちょっとした夕食を食べて、鍋や食器を洗って、明日ゴミの日なのでゴミ袋をまとめて玄関に置いておいて、それからネットのニュースの見出しを確認していくつかのニュースを読んでから、この文章を書いている。
 平日の生活は大分パターン化されてきてシンプルだなと思う。


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 お知らせ

 今日はハーゲンダッツを買ったので、ジョギングしているときからそれを食べるのが楽しみなのでした。

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土曜日と日曜日と

2008年07月27日 | Days

 土曜日。
 部屋の中でゆっくりのんびりと過ごす日と決めていた。
 まず洗濯をして、昨日の分の日記やメールを書く。それから目の前のスーパーに買物に行き、昼食を作る。メニューは鶏肉のソテーバルサミコソースと、そら豆とトマトのスープ。それにご飯とスーパーで買った出来合いのサラダ。
 鶏肉のソテーは名前だけ見ていたら凝ってそうな料理に見えるけれど、実際には鶏肉を小麦粉でまぶして焼き付けた後にバルサミコ酢を絡めて最後にエクストラバージンオイルをまぶすだけだ。それでも簡単なのに歯ごたえがあってとてもおいしい。ただ、バルサミコ酢はあんまり他の料理に流用できないんだよなと思う。

 そら豆のスープを作るときには20分くらい無心でそら豆の薄皮をむき続ける。昔江國香織の短編にねぎを刻むというのがあったけれど、それはある種詩的な感じがするけれど、同じ無心でもそら豆の薄皮をむくのはちょっと違うかな? と思う。いずれにしても、そうすることで柔らかく食べやすくなるからなのだけれど、煮込みすぎて随分と崩れてしまった。それでも素朴な味わいでおいしい。

 最近は趣味が料理の人のようですっかり外食をしなくなったけれど、休みの日にのんびりと時間を気にせず料理を作るのは単純に楽しい。これは平日には作ることを最初から放棄していて休日だけだから気楽で楽しんでいられるのだと思うのだけれど、毎日栄養を考えて献立を作る主婦は本当に大変だし偉いと思う。

 家事は何だってそれなりに時間がかかるし、降り止まない雪の中の雪かきのようなものだから、手を抜くと全部自分に跳ね返ってくる。だから定期的にやり続けなくてはならない。どうしたってやらなくてはならないことなのだから、少しでも楽しめるよう、ちょっとした達成感や満足感が得られるようにしていくことが大切だと思う。それはお気に入りの道具を揃えることだったり、本で様々なやり方を学ぶことだったり、その新しいやり方を試してみることだったりする。でもまあ大切なことは、手遅れにならないうちに出来るだけ早く手を打つことだ、たぶん。何だって可能であれば、早め早めに行うことが大切なのだ、きっと。

 特に男の一人暮らしでは忙しさにかまけてルーズになってしまいがちな面があるので(男女関係ないかもしれないけれど、傾向として)、定期的に継続することを意識することが大切だ。

 ご飯を食べ終わり、ジャーのコンセントを抜く。3合炊いた残りのごはんをサランラップにおにぎり状にして包んで冷凍庫に入れておく。それから食器を洗って、一息つく。

 午後は、読みかけだった『また会う日まで』の下巻の最後の250ページほどを読む。ようやく読了。原稿用紙にして2500枚ほどある大長編で、ただでさえ長いアーヴィングの中でも最も長い作品なのだそうだ。


(一部ネタバレあり)


 実際に、十分に長い。4歳のときの出来事から、30代後半に至るまで、主人公であるバーンズの本当の人生を見つけ出すまでの物語(あるいは多くの年上の女性たちとの遍歴)が語られていく。基本的には善良なバーンズは、父親に見捨てられたという思いからか、どこか欠落した部分を有している。子供の頃から、ずっと演技をしてきたようなジャック・バーンズは俳優としてハリウッドで成功するが、逆に人生の側面すべてが演技のようで、自分の本当の人生のようなものを持ってはいない。その空白を埋めるかのように多くの女性たちと関係を持つが、それも決してバーンズの隙間を埋めることはできない。

 腕のいい刺青師だった母親は、ジャックの記憶を嘘で塗り替えていた。うぶな娘だった母親を捨てた軟派な女好きとして語られ続けていた父親は、実際にはそうではなかったことがわかる。それまで真実だと思っていたことがそうではなかったのだという転換点があり、受身だったジャックは能動的に真実を求めようとする。その過程でジャックは自分の人生を見つけていく。けれども、物語はそれほど劇的に急激には進まず、多くの他愛のないエピソードや、重ねられていく時間が感情を発酵させるかのように寝かしつけられる。

 物語が長ければ長いほど、たとえその歩みが遅々として他愛のないものであったとしても、その分それは人生をあらわしているように見える。ジャックの人生は基本的には風変わりなものだが、真実には性急にたどり着くことができない。大分回り道をしながら、ようやく求めるものにそれも少しずつ近づいていく。
 そこに至る過程の示唆や長さが、その作品世界にいつまでも触れていたいという気にさせられる。この作品でもアーヴィングの特徴のひとつでもある感傷的なファニーさは滲み出ていて、幾度となく印象的なシーンが描かれる。淡々と続く物語の中で、そういったシーンは胸に迫るところがある。

 印象的な言い回しや会話は『ガープの世界』や『ホテル・ニューハンプシャー』などと比べると、大分落ち着いたものになってはいるけれど、それでも今作でもアーヴィングのらしさはよく出ている。久しぶりにアーヴィングの世界にどっぷりとはまり、得難い時間を過ごすことができた。


(一部ネタバレ終わり)



 本を読み終え、クリーニング店にクリーニングを取りに行く。
 土曜日はずっとアバクロのポロシャツにショートカーゴパンツという若作りな格好でスーパーに行ったりしていたのだけれど、そういう格好でいるともうすっかりと夏なのだなと思う。童顔なのでこの格好だと完全に20代に見られてしまうのだけれど、それはそれでまあ別にいいやという感じだ。コンビニのレジの年齢ボタンも、スーツのときと私服のときとで押されるボタンが違うし。
 iPodで音楽を聴きながら、夏の夕方に近場をてくてくと歩く。
 これはこれで健全な休日の過ごし方だと思う。

 ジョギングには20時に出発する。休日なので普段よりゆっくりとしたペースで長い距離を走ることにする。12km。1kmを5分11秒のペースで走る。たっぷりと走って帰ってきてから、Tシャツなどを洗うために再度洗濯機を回し、お風呂に入る。それからお風呂の掃除をする。お風呂掃除用のブラシで浴槽やら床やらを洗う。
 掃除を終えた後、よく冷えた牛乳を飲む。かなりおいしく感じられる。


 日曜日。
 午前5時30分に起床。朝のあれやこれの準備を済ませ、最寄り駅まで歩く。いつものように日経トレンディのPodcastを聴く。朝食を食べなかったので朝マックをする。最寄り駅の隣には24時間営業のマクドナルドがあって、たまに利用する。100円マックに追加されたマックベーカリーは微妙だけれど、アイスコーヒーはおいしい。
 電車の中では今週ずっと読んでいた経済本を読む。週末に出勤の時には必ず座れるので気楽だ。
 会社に到着したのは7時少し過ぎ。会社を出たのは20時少し過ぎ。

 同じ駅の後輩と一緒に帰る。奥さんが妊娠したのだという後輩の話を聞き、「おめでとう!」と言う。同じ部署に1年前から所属している後輩の話を聞いていると、秋は随分と(というかとんでもなく)忙しそうだ。まあ、覚悟はしていたのでいいのだけれど、改めて渦中に放り込まれると慌しいのだろうなと思う。

 最寄り駅の前のスーパーでいつものようにカットフルーツ盛り合わせを購入し、部屋に到着したのは21時。柔軟をしていつものようにジョギングへ。
 iPodの接触が悪くて、どのボタンを押しても反応しなくなってしまったので、仕方がなく音楽なしで走る。こういう状態になってしまったiPodはいままでの経験だと一度充電が完全になくなるまで放置しておかなければダメで、その後に充電すると元に戻っている。なぜそうなってしまうのか不明だけれど、酷使しているのでまあ仕方がない。

 今日のジョギングでは、ある程度熱心にジョギングをはじめたこの2年間ではじめてのことがあった。
 転んだのだ。
 舗道を走っていたのだけれど、舗道の中央におばさんが歩いていて、横からすり抜けようとしたときに足が滑って前から転んだ。1塁ベースに飛び込む高校球児のような姿勢で、前のめりに。「うわあっ」という思いがけない声が出て、はでに滑る。しかもそこは当然アスファルトで、僕は半袖のTシャツに膝丈のジャージだったから、肌の多くがむき出しになっている。
 右の膝小僧を大きくすりむき、左腕がみみずばれのようになる。ただそれも後になって脱衣所で確認してからわかったことで、そのときには泥やら砂やらでこすれた汚れた手や足という感じだった。
「大丈夫ですか……」とおばさんが聞いてくれて、自分のせいだと思われたら悪いなと「すみません」と言う。それからまたすぐに走り出す。走ればまあそんなに深刻だとは思われないだろうと思ったのだ。
 走りながら自分の様子を点検する。Tシャツとジャージの部分部分が泥で汚れている。右の膝小僧はすでに血が滲んで赤くなっていた。
 一瞬、引き返そうかな? とも思ったのだけれど、思い直して走ることにした。せっかく走り始めたのだし、走り終わってからお風呂で消毒をかねて洗えばいいだろうと思った。たとえばサッカーの試合中に少しくらいの怪我をした人は、試合が終わるまではそのままということもあるだろうしとか思いつつ。

 ただ、走っている間ずっと痛かった。膝小僧を擦り剥くなんて、いったいどれくらい小さかった頃以来だろう?

 何だかんだで10km走りきり、部屋に戻ってくる。汗で濡れたジャージなどを洗濯機に入れ、お急ぎモードで洗濯機を回す。そして、いつもよりゆっくりとお風呂に入る。両手を突いたときに小さな石か棘のようなものが両手の平にいくつか入り込んでいるのもわかった。膝小僧は3cm角くらいの傷になっている。右腕の関節も鈍く痛む。まったくドジだなあと思う。確かに夕方短い時間かなりの雨が降って地面は濡れていたのだ。もっと注意するべきだったし、目の前の人を抜かすときには場所をちゃんとわきまえるべきだった。やれやれ。

 消毒して絆創膏をつけるところにはつけて、とりあえず応急処置は終了。情けないなあと思う。
 でもまあ、痛いのを我慢して10km走ったのは、一応少しは頑張ったのだということにしておこう。


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 お知らせ

 マイリー・サイラスのアルバムにシンディ・ローパーの「Girls Just wanna have fun」が入っているのを聴いて、なんだか納得するとともに懐かしく思えるのでした。

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休日

2008年07月26日 | Days

 夕方、雷が光り、その数秒後に激しい音が鳴り響く。
 気がついたときには、すでに当たり前のように雨が降っていた。
 1時間ほど前にスーパーや徒歩5分ほどのところにあるケーキ屋まで買物に行ったときには、まだ雨は降っていなかった。天気予報は夜の雨を予想していたし、雨がいつ降り出してもおかしくはない雲行きではあったけれど、それでも短時間にこんなにもというくらいに、雨は激しく降り注いでいる。窓からベランダ越しに薄い小豆色の空が、厚い雨雲に覆われているのを眺める。
 そして、部屋中の電気が消えた。
 停電だ。とりあえずすぐにブレーカーのところにいって、一応ブレーカーを入れなおしてみる。反応なし。まだ夕方で、少し明るさが残っている時間でよかった。部屋の中は随分と暗く、窓の外では激しい雨が降り続き、部屋中のすべての電気が消えている。ノートパソコンだけが、内臓バッテリーがあるために同じように輝いているのは不思議な光景だった。
 これがすぐに復旧するものなのか、それとも長く続くものなのかがわからず、とりあえず部屋の中でやれやれとぼんやりとする。懐中電灯があればいいのにと思う。こういうときに、いざというときに必要なものがないことをあらためて知らされるのだ。

 突然電気が消えたのと同じように、突然電気がついた。何かが動くような音が響き、様々な電化製品の準備の音だということがわかる。普段は動いていることにさえ留意していないいくつもの道具たち。一応玄関からリビング、洋室などの状況を確認する。浴室乾燥機の操作盤の時計が12時に戻っていて、もう一度時刻合わせを行う。
 窓の外を見ると、雨はまだ降り続いている。

 それが18時を少し過ぎた時間の話。
 とりあえず早く復旧してよかったと思いながら、袋にフットサルの準備をして、出掛ける準備をする。この雨がもし止まなかったらフットサルは当然中止だろうけれど、もし止んだらおそらくやるはずだ。そう思って一応準備だけしておく。目的地はいつものショッピングセンター。今日は『ハプニング』の先行上映を観て、その足でフットサルに行く計画にしていた(ショッピングセンターとフットサルコートは車で5分ほどしか離れていない)。

 M・ナイト・シャマランは結構好きな監督の一人で、あの怪作・迷作の誉れ高い『サイン』だってかなり好きな作品だ。出世作でもある『シックス・センス』はむしろそれほどでもないのだけれど、『ヴィレッジ』だって独特で惹きこまれる作品だった。
 そのシャマランの最新作、しかも予告編はとても面白そうに見える作品だ。これは期待しないわけにはいかなかったし、ちょうど自分の休日に先行上映をやるのだから観に行くしかないと思っていた。

 スクリーンは5分の1ほどの入り。先行ロードショーをやるくらいなのにこの入りでは、ちょっと寂しいものがあるかもしれない。でも、先行ロードショーをやるような映画なのだろうか? とは確かに思っていたのでちょっとだけ納得。



(ネタバレが一部あるので、未見の人は注意)



 感想は、正直な話微妙。
面白い! といった映画ではなく、むしろB級ホラーのテイストのようなものがある。それも最近はやりの狙ってそのテイストを出すといった感じではなく、真面目に撮ったのにそのテイストがそこはかとなくついてまわっているというもの。『サイン』もそうだったけれど、『ハプニング』もそう。しかも、『サイン』のときにはすべての伏線がひとつに収斂されていくある種のカタルシスのようなものがあったけれど、『ハプニング』ではすべての謎を謎のままにしてある分、消化不良のようなものが残る。
 トム・クルーズが出演していた『宇宙戦争』のときにも思ったけれど、巨大な脅威から逃げて逃げて逃げまくる映画は、逃げる側の力が相対的に弱すぎるために、どうしても相手側に計算外の不慮の何かが生じて逃げ続ける状態から開放されるといった終わり方になることが多い。その終り方だと、どうしてもどこかに不完全燃焼感が残ってしまう。もちろん、相対的に弱い側が意地と誇りを見せて相手をやっつけるというのもなかなか現実的ではないし、そういった極限状況の中でその人物の本質のようなものが明らかになり、周囲との関係性のようなもののも塗り替えられるというのがテーマのひとつだということもわかる。『ハプニング』の夫婦もそうで、決定的ではないがゆっくりと終りに向かって進んでいたような夫婦の関係性は、逃避行を通じて確実に再生していく。

 主人公を演じるマーク・ウォールバーグはよかった。原因不明の脅威の中でも、強い意思を持って愛する人たちを守ろうという雰囲気がよく出ていた。昔の映画の俳優のような力強さがあって。

 けれども、(個人的には)全体としてやっぱり微妙だった。期待しすぎていたのかもしれないし、ハプニングを象徴する様々な死のシーンも、驚かせるための突拍子もないものに感じられ、関連性が強くは実感できなかったということもあるし。

 近くのシネコンは客の入りで上映回数を劇的にアレンジしてくるので、この作品が2週間後に何回上映になってしまうのか気になってしまうところだけれど。



 映画を観終わった後、外に出るとあんなに激しかった雨が止んでいた。ということで、当初の予定通りフットサルコートへ。21時から23時までフットサル。夕方の雨のせいか参加者が少なく、ずっと走りっぱなし。かなり疲れる。

 部屋に戻ってきたのは23時30分頃。シャワーを浴びて、冷蔵庫の中からカットフルーツとケーキを出して、牛乳と紅茶と一緒に食べる。ケーキは午後に近くのケーキ屋で1個だけ買ってきたもので、ケーキ1個とマカロン6個を買ってきた。そのケーキ屋はなぜこんな微妙な場所に? というようなところにあるのだけれど、実は有名な店らしく、都内のデパートのスイーツフェアなどにも出店しているのだとネットに書いてあった。近いので月に2、3回くらい買いに行く。甘さ控えめの好みのある味だとは思うけれど、個人的にはおいしい。ざっくりとしたマカロンも好きな感じの味だし。
 部屋の周辺には他にもTVで紹介されました! などと書いてあるケーキ屋が2店舗ほどあって、地味にいい場所なのかもしれないと思う。


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 お知らせ

 もう筋肉痛にはならないのですが、足首が痛いのです……


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