運命と出会う瞬間

映画・小説・音楽・・なんでもありの気ままな感想

ハウルの動く城 めざめのプロセス

2007年02月10日 14時23分10秒 | Weblog
どうやら少し風邪っぽい。おとなしくしていようと、家にあった『ハウルの動く城』のDVDをあらためて観ていた。劇場でも観たから二回目だが、やはり素晴らしい。主人公のソフィー(知恵の意味があるからなのかな)が、そこいらの女の子の興じることには心が満たされずに、でも自分が何を求めているかがわからずないまま、分を尽くして日々を生きている・・そこへ、ハウルという形をとって現れた運命と共に、一瞬だが空を歩くという想像だにしなかった体験をする。たぶん、彼女の中に眠っていた本来の希求心がここでスイッチ・オンして、求めていたものとめぐり会ったことがわかる。その後、一夜にして老婆になったり、寒い山上に独り旅をしたり、荒地の魔女の呪いのおかげで、新しい環境でとにかく生きていくために知恵を駆使して順応していかねばならなくなる。その過程で、ソフィーは気づかないうちに、自分のキャパをどんどん増やして、他者をあたため、力づけられる存在になっていく。旅の途中、見たこともなかった美しい自然や崇高な景色に涙し、そこで得たエネルギーは、かけられた呪いがうすらぐほどの生命力となる。すべて、ソフィーの素直さ、ひたむきさ、誠実さとの相乗効果だ。だが、そんなソフィーでさえ、人生と、そこで学ぶ愛との本当の意味に気がつくまでは大変な労力と回り道とが必要だ、他者を傷つけることも巻き込むこともある。だが、強くならなくてはならない。愛する存在たちだって自分同様、欠点も弱さもあるのだということも受け入れていかなくてはならない。
『ごめんね、私、愚図だから』すべてあやまりながら、進むしかないのだ。
そして、すべては己が引き受ける覚悟で、愛というものを自らの力で選び取ったとき、決して終わることのないように定められているはずのこの世の戦いにも停戦がくだされるのだ。
世界が変わるのは、外ではなく、一人一人の内なる魂の本当の目覚めと完成にかかっている。
世界を統べる魔女、サリバン女史は、私たちのこともいつも見ているのだ。