我々が50年以上前に相撲史跡を回り、その後に『相撲の史跡』を刊行した。
その頃はコピー機も無い時代で、もちろん携帯電話も無かった。寺院の出入
りも自由で、過去帳も気兼ねなく拝見出来た。役所で他人の戸籍を見て、複
写も可能であった。半世紀以上たって現在はどうであろうか。寺院の出入り
は許可を得ないと詰問されたり、過去帳閲覧は不可能に近い。それだけ世の
中に悪人が増えたということであろう。以前は自由にどこにどの力士の墓が
あるのかを書き、写真も入れた。これからは遺族に写真の掲載の許可を取ら
なければならないかも知れない。極端にいうと現在は、どこに埋葬されたの
かを伏せているので、これを苦心して探しあて発表するとクレームを受ける
かも知れない。従ってこれからの相撲史跡の研究は、退歩する一方である。
相撲史跡を研究する若者も少ないようである。残念であるが、これも時代と
あきらめなけばならないであろうか。