参院選後の日本の民意を読む

2019-08-02 11:37:43 | 感想など

 

 

 

中島岳志の発表については、先日の保守主義に関する記事でも取り上げた(ついでに言うと、保守主義を取らない私がその思想とどういう共通点を持っているかを「理性への懐疑的態度」で述べている)。こないだハルコロで飯を食った時に、『小説吉田学校』に絡めて大平正芳や田中角栄の話が出て、「日本で二大政党制なんてちゃんちゃらおかしくて、そもそも自民党が非常にグラデーションのある集合体なので、その中で政権交代が繰り返されながらやってきた。」なんてことをしゃべっていた(極論すれば、アメリカの共和党と民主党が一緒の政党になってるようなもんである)。もちろんそれでも掬い上げられない部分はあり、その不満は「永遠の野党」たる社民党などが掬い上げていた(が与党にはなれない・・・)という構造だったわけだ。

 

そういった事情を踏まえると、現在の自民党の代表的人物をインタビューや著作を元にしながら四つの象限で分類するという試みは興味深いものである。加えて言うと、そういう幅の広い自民党に対して、ご存知のように野党はそれぞれの主張で四分五裂している。そこに「民主党=暗黒時代」的なレッテルが効果を持ってしまっている状況では、野党が政権を取るなんて夢幻のごとくですわな。まあそれを承知の上で、「アンチ自民党」的な旗を掲げるか、全く違うベクトルで色を出して勝負するかというのが今話題になっている新政党だったりするわけだが。

 

 

 

 

 

 ついでに(失礼)細谷雄一の発表も掲載。国内にばかり気を取られていると、今起きている現象の背景が見えなくなる(例えば昨今日中関係が良化しているが、そこには当然米中貿易戦争という背景があり、中国が日本を戦略的に取り込む必要があるからそうなっているわけだ)。実際、ポピュリズムというのは日本だけの問題ではなく全世界的な現象であり、相当な速度で近代社会の基盤は流動化しつつある。だから昔のように、西欧諸国=理想像という明治期以来の認識から逆照射して、「西欧諸国に遅れた日本&今のことは日本だけの特殊現象」のような認識でいると、とんでもない勘違いをすることになってしまうだろう。

 

というわけでなかなか興味深い発表でおました。


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