ダンジョン飯:ポイントオブノーリターン

2017-02-22 12:20:02 | 本関係

「ダンジョン飯」4巻が発売された。今回はいよいよレッドドラゴンに挑むということで相当ハードな戦いが展開されている(出たばっかなんでネタバレなしでいきまっせ)。

 

確かに、これまでもマルシルがスライムに窒息死された話やライオスが動く鎧に刺殺される話は出てきたが、それはあくまで昔のことであってそこまで生々しさはなかった。それが前の三巻で始めてマルシルが足を撃ち抜かれる・ナマリが目の前であっさり死ぬという展開があり、さてどうなるかと思っていたところ・・・期待通りの内容であったと言える。また今後の物語の展開(発展)についても色々な意味で楽しみなところだ。

 

そもそも、九井諒子の前の作品である「竜の学校は山の上」・「竜のかわいい七つの子」などには、他者との共生や絶対善・絶対悪の不在というテーマが通底しており、それをファンタジー世界でありながら生活感をもたせた描写にすることで「微笑ましくもありながら同時に遠い世界の話に思えない」という独特の味わいを持った作品に仕立てている(この点で言うと、ファンタジーと実世界という素材の違いはあれど、最近触れることになったこうの史代の諸作品を私は思い出す。というのはそこにも、生活に密着した=地に足のついた描写と同時に、他者との理解不可能性が端的に描かれているからだ)。だからたとえば、「竜のかわいい~」所収の「ワン!ぱく息子」と「狼は嘘をつかない」を読んで、これがダウン症などを持つ親子(そして彼らが生きる社会)にも当てはまるものだと想像するのは容易である(たとえば「ヒヤマケンタロウの妊娠」も類似の特徴をもった作品。ちなみに私の場合は、小さいころ特にアトピーがひどく、共働きだった親が対応に難儀していたことを知っているので、ここで描かれていることは全く他人事ではないと思った。なお、アトピー対応の大変さは、ギャグタッチだが榎本俊二「カリスマ育児」にもつぶさに描かれており、スイミングスクールに通った話とかは小学校の頃を思い出して懐かしい感じがしたものだ)。

 

で、今の話で何が言いたいかというと、4巻の白眉と言ってよい「あの魔法」がこのままハッピーエンドで終わるとは到底思えない。特に4巻の終盤でもなおライオスが足を掻く描写を入れていることを考えれば、回復魔法の件はただのギャグなどではなく、「そう都合よくいいことばかりではない」のを暗示するものと推測されるからだ。

 

そのことも含めて、ケン助の今後、シュローの絡み、謎のダークエルフ(俺ホイホイとも言うw)など今後の展開が楽しみであると繰り返して筆を置くことにしたい。

 

あ、一つ書き忘れた。やっぱナマリかわいいよナマリ(*´Д`)ハァハァ


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