ゲームレビュー書いたついでに格納庫を漁っていたらこんなん出てきたので掲載しときます。引用文からすると、もう二年以上前の記事になるらしいが、実質ここからほとんど変化していない。といっても、最近のゲームはダメだとかいう話ではなくて、単にゲームをほとんどやらなくなったのが大きいのだが。一応「うみねこのなく頃に」、「学校であった怖い話 特別編」、「ゆめにっき」など長時間プレイしたのもあるが、前二者はランクに入るほどのものではなく、後者はランキングとかいう基準で評価しにくい作品である(「好きな作品」と言われたら迷わず挙げるけど)。
まあそういうわけで5年以上前の作品がほとんどだが、何かの参考になればwなお、やんごとなき事情によりほとんどのレビューは死滅しているので、主にOPへのリンクを貼るにとどめている。
<原文>
あの長い「ひぐらし賽殺し編再考~詩と本編の齟齬が孕む毒~」でひぐらしを殿堂入りにして以来、しばらく傑作PCリストに触れていなかった。よってここでは、改めてその内容を確認した上で音楽で見た私的傑作選なども書いていきたいと思う。
<傑作PCゲームリスト>
【殿堂入り】=別格
・この世の果てで恋を唄う少女YU-NO(elf)
・君が望む永遠(age)
・沙耶の唄(Nitro+)
・ひぐらしのなく頃に(7th expansion)
【傑作ランキング】
1位 CROSS†CHANNEL
2位 腐り姫
3位 Fate stay/night
4位 flutter of birds
5位 鬼哭街
6位 家族計画~絆箱~
7位 行殺新選組 ふれっしゅ
8位 終末の過ごし方
9位 Phantom of Inferno
10位 化石の歌
番外 さよならを教えて
なお、ここには含まれないが「傑作の周辺」としてone、Forest、月姫、flutter of birdsⅡなどが控えており、「よくできたゲーム」程度では全く入り込む余地がないところまでは完成している。と言っても、現在の9位・10位にはそこまで納得してないんで、「フロレアール」あたりが食い込む可能性に期待したいところだ。
<音楽傑作選>
今まで音楽だけを基準に選んだことがなかったので、ついでに掲載する(といっても、場面との組み合わせなどもあるので純粋に「音楽だけ」というわけにはいかなかったが)。なお、選ぶ際に重視したのは個々の音楽の質よりもむしろ全体的な統一性・雰囲気である。それゆえ、そもそも曲数の多いひぐらしや君が望む永遠は選考から漏れることとなった(前者は“Amber”や“confession”、後者は「時に忘れられた部屋」、「終わりを迎える日まで」、“Rumbling Hearts”など多くの名曲を擁するのではあるが…)。その結果は以下の通り。
1位 鬼哭街
戦闘関連の熱い曲と物悲しい曲の組み合わせがすばらしい。それは別の言い方をすると、荒廃した町並み(現在)と中国風の庭園(過去)、あるいは血肉湧き踊る戦闘と背景にある愛憎の物悲しさという構図を見事に表現しているように思う。しかも、単に対立しているわけではなく、例えば“Vow of Sword”は熱さ(エレキギター)と物悲しさ(ピアノ)の両方を兼ね備えたすばらしい出来映えになっている。そして全体としても、相反する曲調が渾然一体となって鬼哭街の世界観を作り上げており、その完成度・統一性は非常に高い。音楽の取り込みや編集が容易になった今日、私はCDアルバムを通して聞くことは滅多にしなくなったが、ミスチルの「深海」などと並んでこの作品の曲は通して聞くに耐えるだけの質を備えている。なお、“Vow of Sword”以外では“Supersonic Showdown”が特におススメ。
2位 腐り姫
僅差で2位にランク付けしたが、鬼哭街とは方向性が全く違うので正直甲乙はつけがたい。「過去の住まう田舎」が舞台なだけでなく民間伝承も絡むということで、怪談ぽいものも含めノスタルジックな曲が多い(「湿原」や「腐り姫の伝説」、「樹里のテェマ」など)。そうなると日本昔話的なありきたりの曲のみで構成されていると考えるかもしれないが、多くの曲に「雨」のイメージを含めたり、それをピアノで表現したりすることで独特な繊細さや重みを表現することに成功しているように思う。例えば、「とうかんもり」はゆったりとした時間の流れる田舎町に降るしとしと雨、「翠の森」は雨上がりの晴れ晴れとした空と木々の瑞々しさ、「氷雨」は雨とともに心に降り積もっていく悲しみ・苦悩…という感じで。また「とがの楔」は速いテンポが感情の乱れ(激情)、そして重低音が心の澱を思わせるが、この曲もまた雨を背景に苦悩する伊勢の姿とともに流れることは、やはり雨との親和性を強く印象付ける。以上のように、全体としてノスタルジックで繊細な曲調のものが多く、身体に染み込んでいくような感覚が心地よい。ただその中で異彩を放っているのが、「夢のきざはし」だ。これは主に赤い雪として人が消えていくシーンで使われているのだが、もしこの曲に錫杖の音が的確に組み込まれていなかったら、単なる物悲しさを超えた崇高(な美し)さを印象付けることはできなかっただろうし、愛する人たちの「消失」によってあれほど強烈なカタルシスを得ることもできなかったのではないだろうか。中でも「芳野崩壊」と「腐爛」は秀逸で何度見ても心に響くものがあるが、それも画像の美しさと「夢のきざはし」あればこそだろう。
3位 沙耶の唄
安心できる世界とできない世界を両極端な曲調が的確に表現している。とはいえ、各々が完全に独立しているわけではない。単体で聞けば「癒し系のいい曲」にぐらいに留まりそうな“SILENT SORROW”などでも強く印象に残るのは、“SCHIZOPHRENIA”などが肉塊の背景とともに流れ、プレイヤーをアンイージーな気分にさせているからに他ならない(また、曲名の頭文字が“S”で始まることで統一されているのはおもしろい)。ただ、安心できない世界に乾いた曲調やおどろおどろしい曲調を採用するのはいいが、いささか安っぽい感じになっているので質的には鬼哭街や腐り姫にだいぶ劣ると考えている[ただしこれは必要悪と言うべきだろう]。それにもかかわらず沙耶の唄を高く評価する決め手になったのは、(全体の統一性はもちろんのこと)「沙耶の唄」、「ガラスのくつ」という二つの歌である。それぞれハッピーエンド・バッドエンド(もちろん、どっちをどう評価するかはプレイヤー次第)の曲なのだが、曲そのものが秀逸であるだけでなく、エンディングの内容や心情をこの上なく的確に表現しているのがすばらしい。特に「ガラスのくつ」は本来このゲームと無関係に作られた歌らしいのだが、「沙耶の唄」に使われたことによって恋愛という「幻想の終わり」にもう一つの意味が付与されることになった。そのような点も、沙耶の唄の音楽を非常に高く評価するゆえんである。
4位 雫
イメージとしては閉鎖空間の欝とその中でなお芽吹こうとする瑞々しさ(まさに瑞穂のテーマ)、あるいは閉鎖空間からの解放感(瑠璃子のテーマ)、という感じ。てなわけで、実は太田さんがイッてしまう時の気味悪げな曲とかも結構大事だったりする。なお、特に気に入っているのはOPとバッドエンドの曲で、この前「多摩川→野川→田園調布→等々力」と歩いた時は、この二曲だけ5時間くらいリピートで聞いたりしてました[リンクを貼ったのはリメイク版。元の方はもっと重低音がきつくて否応なしに絶望感が高まる]w
5位 Forest
半分くらいがオリジナルではなく引用の曲なためこの順位に。ただ、全体の完成度だけ切り取ってみれば雫に匹敵する。テーマが寓話であるため、そのような曲調のものが多い(まあ「そういう系の映画で流れそうな曲」ぐらいに考えてくださいな)。特に印象に残るのは「ひとりで」、「パドゥア」、「ネメシス」(後ろの二曲は引用曲で題名わからんかったので適当につけましたw)。それ以外にも海賊の登場するシーン(ヨーホー、ヨーホー)で流れる曲とかも独特なノリで○。曲そのものが感情を喚起する力は1位~4位の作品に比べると小さいが、思わず引き込まれるものがある。
この他にも、one、kanon、アトラク=ナクア、零式、黒山羊、同級生2[PC-FX版]、痕、WHITE ALBUM、YU-NO、行殺新選組、flutter of birdsⅡなどなど曲に関して評価すべきものは多々あるが、収拾がつかなくなるのでここは上記五つに止めておきますwさて、次回は「最も影響を受けたPCゲーム」、「各ゲームで最も印象に残ったキャラ」などを書いていくことにしようかな。
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