若葉

★窓開けて五月の風を入れ走る
★夏の蝶飛び交わしつつ森に消ゆ
★森歩き若葉を鳴らす風を聞く

五月

★山霧を遠く石楠花の咲けり
★五月の森に揺れる静かな日差し
★夏の蝶光をまとい頂に

石楠花

＜兵庫県立フラワーセンター三句＞
★石楠花の数多に酔える木陰かな
★鯉のぼり池を跨いで花に舞う
★芍薬の玉の蕾が開き初む

しゃがの花

★群れ咲いてどこか寂しきしゃがの花
★赤ん坊背負われ葉桜の下に
★朝の風揺れて揺られて手鞠花

★花びらに一片の雲チューリップ

桐の花

★朝の雨高く咲きおり桐の花
★大橋はすっぽり初夏の霧の中
★須磨海岸夏のはじめの波寄せる

手毬花

★座につけば若葉の光一面に
★若葉山抜けて琵琶湖の真青なる
★手毬花しずかに雨の降り出しぬ

青嵐

★朝風に土手の葉桜身を揺する

＜芦原温泉郷二句＞
★青嵐特急列車の迂回する
★明易し湯煙のたつ露天風呂

★チューリップ陽の降る方へ伸びて咲く

はつ夏

★朽ちてゆく木にはつ夏の陽があたる
★新緑に包まれ歩く山静か
★護摩焚きの香がはつ夏の風に乗り

立夏

優嵐ギャラリー


★歓声が響く広場やこどもの日
★快晴の空に緑に夏来る
★水平線青く立夏の頂に

春惜しむ

★風吹くもやむも続きぬ春落葉
★藤の花緑の色の整いぬ
★頂に座りしふたり春惜しむ